
「庭木の剪定を自分でやってみたい」という方は、剪定方法だけでなく、目的やタイミングなど基本的な知識を身につけておこないましょう。
なぜなら、剪定の目的を知ることでどんな枝を落とせばよいのか理解しやすくなるからです。また、樹木ごとに異なる剪定時期を知ることで剪定によるダメージを抑えられます。
この記事では、剪定の基本を解説していきます。基本をしっかり押さえて、庭木が元気に育つための剪定をおこないましょう。また、自分で剪定するのが不安な方は業者に依頼するという選択肢もあるので、さいごにご紹介する業者料金などもあわせて参考にしてみてください。
剪定の基本その1:目的
そもそも、「庭木の剪定はどうしておこなうの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。そこでまずは、庭木を剪定する目的についてご説明します。
目的1:木の形を作り出す
ひとつ目の目的は、木の形を作り出すことです。庭木は放置しておくと樹形が乱れていきます。そこで、伸びすぎた枝や不要な枝を切り落とすことで、キレイな樹形にできるのです。また、先端に伸びる幹や枝の先端を切ることで、樹高を抑えられます。
目的2:木の病気・害虫を防ぐ
ふたつ目の目的は、木を病気や害虫から守ることです。もし、剪定せずに放置しておくと、枝同士が混み合って風通しが悪くなります。その結果、病気や害虫が発生しやすくなって木が弱ってしまうのです。
そのため、剪定で混み合った枝を切り風通しをよくすることが、病気や害虫の被害防止につながります。このように、庭木を元気に育てるために、剪定は欠かせない作業なのです。
目的3:花や実をきれいにつける
みっつ目の目的は、花や実がきれいにつくようにすることです。剪定で不要な枝を取り除くこと、木全体の日当たりがよくなり、十分に光合成をおこなうことができます。
光合成によって木の栄養状態がよくなると花芽がつきやすくなり、きれいな花や実を楽しむことができるのです。
剪定の基本その2:時期
基本的に、庭木の剪定は夏と冬の年2回おこなうのがよいといわれています。夏と冬の剪定はそれぞれ異なる意図があります。
夏の剪定
夏は木がいきおいよく成長するため、枝や葉が密集しやすいです。枝や葉が密集すると病害虫の被害にあいやすくなったり、光合成がしにくくなったりします。そのため、夏の剪定では不要な枝を切って、風通しや日当たりをよくするという意図があるのです。
冬の剪定
冬は木の成長が落ち着く期間であるため、樹形を整えるのに適した季節だといわれています。太い枝や長い枝を切って全体的な形を調整したり、樹高を抑えたりするのが冬剪定のおもな意図です。
庭木ごとの剪定タイミングを確認しよう
剪定は基本的に夏と冬におこなうのがよいとさきほど解説しました。しかし、じつは木の種類によって剪定タイミングは違ってきます。樹木のカテゴリーごとに代表的な庭木をあげていくので、育てている庭木の剪定タイミングを確認してみてください。
常緑広葉樹
おもな常緑広葉樹の庭木
キンモクセイ、サザンカ、サツキ、ツバキ、ナンテン
木の種類にもよりますが、常緑広葉樹の基本的な剪定時期は3月下旬~4月下旬または5月下旬~6月とされています。
落葉広葉樹
木の種類にもよりますが、落葉広葉樹の基本的な剪定時期は12月~2月とされています。
常緑針葉樹
木の種類にもよりますが、常緑針葉樹の基本的な剪定時期は3月~4月とされています。
果樹
木の種類にもよりますが、果樹の基本的な剪定時期は12月~2月とされています。
【豆知識】木を切ってはいけない日とは?
庭木の剪定では、種類ごとに適した時期があります。それとは別に、「木を切ってはいけない日がある」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
木を切ってはいけない日については、伐採に関する言い伝えがあります。伐採では「つちの日」や「土用の日」といった日に切るべきではないといわれています。理由は諸説ありますが、これらの日に伐採すると木を弱らせてしまったり、土の神様の怒りをかってしまったりするからだという考えがあるからです。
このように、木を切ってはいけない日とは伐採に関する言い伝えです。剪定ではとくに気にすることはないといわれているので、適した季節に剪定をおこないましょう。
剪定の基本その3:方法
剪定とひとことでいっても、やり方が何種類もあることをご存じでしょうか。そのなかで代表的な剪定方法を8種類ご紹介していきます。
透かし剪定
透かし剪定とは、混み合った枝や伸びすぎた枝などの枝を間引くことです。透かし剪定をおこなうことで、日当たりや風通しをよくすることができます。また、乱れた樹形を改善することもできるでしょう。
整姿剪定
全体的な樹冠(葉が生い茂っている木の上部)を整えるために、枝の長さをそろえる剪定方法です。
切り戻し剪定
切り戻し剪定は、伸びすぎた枝を切って樹形を整える剪定方法です。この方法では、枝を2分の1~3分の1程度の長さで切ります。
切り詰め剪定
伸びすぎた枝を切って樹形を整えるというねらいでは切り戻し剪定と共通しています。切り詰め剪定では芽の3mm程度上の位置で、斜めに切ります。残す目の方向をみてその後の樹形をイメージしながら剪定してください。
枝おろし剪定
枝おろし剪定は、木を移植したり細かい枝が入り組んできたりしたときに、大きな枝を切り落として調整する剪定方法です。ノコギリを使い、枝元から切り落とします。
刈り込み剪定
生垣やトピアリーの樹形を作る剪定方法です。刈り込みバサミや電動バリカンを使って、理想の形になるよう外側から刈り込んでいきます。
芽摘み
芽摘みは、管理しやすい樹形にするための剪定です。芽摘みでは、新しく生えた新芽を摘んでいきます。新芽を摘むと株の生長が抑えられ、枝が伸びるスピードがゆっくりになります。その結果、庭木の管理がしやすくなるのです。
花がら摘み
花がら摘みでは咲き終わった花を、花の根本から切ります。庭木の種類によってはハサミを使わずにおこなうので剪定というイメージは弱いかもしれませんが、その後の花付きをよくするために大切な作業です。
剪定の基本その4:不要な枝の種類
剪定では基本的に、伸びすぎた枝や混み合った枝、不要な枝を取り除きます。しかし、いざ剪定するときに「不要な枝ってどれかわからない」と悩んでしまう方もいらっしゃるでしょう。そこでここからは、剪定で切り落とすべき枝をご紹介します。
切ったほうがよい枝の種類を覚えておけばスムーズに剪定できるので、以下の内容を参考にして、不要な枝を見極めてみてください。
方向の悪い枝
方向の悪い枝とは、以下のような枝のことです。
・交差枝:ほかの枝と交差している枝
・逆さ枝:幹に向かって伸びている枝
・下り枝:下に向かって伸びている枝
方向の悪い枝は景観を損なうおそれがあるため、切り落としましょう。
密度を高めてしまう枝
密度を高めてしまう枝には、以下のようなものがあります。
・ふところ枝:幹の周辺から伸びている枝
密度を高めてしまう枝は、日当たりの悪化や害虫の発生をまねく原因となります。植物を元気に育てるためにも、切り落としてしまいましょう。
木の形に影響する枝
木の形に影響する枝には、以下のようなものがあります。
・ひこばえ:地面や株の根元から生えている枝
・胴吹き枝:幹の下部から細かく多数伸びている枝
・庭木の上部にある葉からはみ出した枝
上記のような枝を放置しておくと、樹形を乱す原因となります。また、ひこばえや胴吹き枝は、上の部分に渡る栄養を奪ってしまうため、上部の枝が栄養不足になってしまいます。木の形に影響する枝は、切り落としましょう。
病気・害虫にかかった枝
病気や害虫の被害にあった枝も、切り落としましょう。病気や害虫が発生した枝は、放置すると被害が拡大してしまうおそれがあるのです。
ここまで、剪定で切る枝についてご紹介しました。しかし、これらの枝はただ切ればよいというわけではありません。そこで以下からは、剪定での枝の切り方についてみていきましょう。
剪定の基本その5:枝の切り方
ここからは、剪定での切り方をご紹介します。木へのダメージをできるだけ抑えながらキレイに切るために、正しい切り方を理解しておきましょう。
【1】枝は分かれ目の根元で切る
先ほどご紹介したような、交差枝や平行枝などの樹形を乱す枝は、根元から取り除いてしまいましょう。もし途中で枝を切ると、先端から芽が出てしまいます。その結果、不要な枝が余計に伸びてしまうのです。
切り戻し剪定などで枝の途中から切るときは、外側に向かって伸びる芽の上で切りましょう。もし内側に芽が伸びている場合、生長すると内向きに伸びていきます。その結果、景観を乱す枝になる場合が多いのです。
いっぽう、外側に伸びる芽の上で剪定すれば、枝は外側に向かって生えます。外側に伸びる枝を残すことで、自然な樹形となるのです。
【2】枝が重ならないように切る
混み合った枝は、枝同士が重ならないように切りましょう。具体的な切り方は、枝の生え方によって異なります。具体的な切り方を、枝の生え方ごとに示しました。
・互生(枝が左右に互い違いに生えているもの):おもに枝同士の間隔が狭いところを切る
・対生(枝が左右対になって生えているもの):互い違いに切る
上記のように切れば、枝同士の重なりを解消することができるでしょう。そして枝同士が混み合った部分を改善することができ、樹形が乱れたり風通しが悪くなって害虫が発生したりすることを防止できます。
【3】太い枝は下に切れ込みを入れてから
太い枝を切る際は、切り込みを入れてから切りましょう。あらかじめ切り込みを入れることで、樹皮が裂けて枝が傷むことを防止できます。
切り込みは枝元から15~20cm離れたところに、枝の下部から2分の1程度まで入れるとよいでしょう。次に、切り込みを入れた場所から枝先よりに数cm離れたところを上から切ります。すると、樹皮を裂くことなく枝を切れるでしょう。
枝を切り落としたら、切り残した部分も切り落とします。切り残した部分から枯れてしまうおそれがあるので、切り残しは必ず切り落とすようにしてください。
剪定後にやるとよい手入れ
太い枝を切ったあとには、切り口を保護するための癒合剤(ゆごうざい)を塗ることをおすすめします。なぜなら、切り口の面積が大きい場合、そこから病気や害虫がつきやすいからです。また、癒合剤を塗ることで木の水分や養分が流出するのを防ぐという効果もあります。
剪定後は木が元気を取り戻しやすいよう、肥料を与えてやるのもよいです。庭木の種類にあった肥料を選んで与えてやりましょう。
剪定の基本その6:道具
剪定の目的や方法を理解できたら、実際の剪定にむけて道具を準備しましょう。剪定で使うおもな道具は、下記のものです。
・植木バサミ
・剪定ノコギリ
・刈り込みバサミ
・脚立(3脚のものがよいです)
・軍手
剪定道具をそろえる際に、安全のために知っておくとよいことがあります。それは、脚立は4脚ではなく、より安定しやすい3脚タイプのものを選ぶことです。さらに、「支柱の金具がロックされているかを確認する」、「天板にのらない」といった脚立を使う際の安全確保も心がけましょう。
また、高い木を剪定する際には高枝バサミや高枝ノコギリを用意するとよいでしょう。高枝バサミや高枝ノコギリは柄の部分が長い剪定道具です。剪定する場所によって高さは異なるので、伸縮機能があり長さを調整できるものがおすすめです。
剪定業者に依頼する場合について
この記事では剪定の基本について解説してきましたが、「難しそう」「自分にできるか不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、剪定業者に依頼するという手段もあります。作業の様子をみながら剪定方法を学んでいくのもよいでしょう。
剪定の料金相場
剪定料金は業者によってさまざまですが、庭木1本あたりの料金相場は下記のようになります。下記の料金は、剪定業者9社が提示している料金の平均値を算出したものです。
・樹高3m~5m……6,860円
・樹高5m~7m……15,624円
ここでは料金相場をご紹介しましたが、実際の料金は木の状態、切った枝の処分を含むかなどによっても変動します。また、料金の算出方法が庭木1本あたりではなく、職人の作業時間や日数である業者もみられます。
依頼する際に押さえておきたいポイント
ここからは、剪定を依頼するときに押さえておきたいポイントをご紹介します。剪定業者への依頼を検討している方は、参考にしてみてください。
剪定前に見積りを依頼する
剪定業者に依頼する際は、事前に見積りを取りましょう。さきほど解説したように、剪定料金はさまざまな要因で変わってきます。そのため、剪定にかかる正確な費用を知るには見積りを取る必要があるのです。
このとき、複数の業者から見積りを取るとよいでしょう。複数の業者から見積りを取れば、剪定費用が高いか安いかを客観的に判断することができます。その結果、高額な費用を請求する業者を避けることができるのです。
何をしてほしいのかを確認する
業者に依頼する際は、業者に何をしてほしいのかを明確にしておいてください。例えば、業者によっては木の処分をおこなってくれるところもあります。木の処分を依頼する場合は、追加料金がかかるところが多いです。
そのため、木の剪定だけでよいのか、処分もしてほしいのかをあらかじめ決めておくことで、業者とのやり取りがスムーズになるのです。
木ごとの剪定に向いた時期を確認する
業者に依頼する際は、庭木の剪定時期を確認しておきましょう。庭木には、種類によって剪定に適した時期があります。
もし、剪定時期を誤ると、花芽を切り取ってしまい花が咲かなくなったり、庭木に負担がかかって弱ってしまったりします。▼剪定の基本その2:時期で、ご家庭で育てている庭木がどのタイプに該当するかを確認しておきましょう。
まとめ
剪定をする際には、剪定の目的、時期、切り方など基本的な知識を身につけておこないましょう。基本的な知識をもって剪定すれば、庭木の成長をサポートしたり、庭木へのダメージを抑えられたりします。
しかし、自分での剪定が難しい方は、剪定業者に依頼する選択肢もあります。剪定業者に依頼する際は、何をしてほしいのか、そして今育てている樹にあった剪定時期を確認しておきましょう。さらに、剪定前に見積りを取ることも重要です。
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