
梅の木を理想的な形にするにために、2つのポイントを覚えておきましょう。1つ目は「剪定時期」、2つ目は「埋め込みからの年数」です。
梅の木は成長が早く、「時期」や「埋め込みからの年数」に適した剪定をしないと無造作に枝が伸びてしまい、不格好になるだけでなく花つきや実つきにも悪影響が出てしまいます。
また、梅の木は大きいものだと10mほどになるため、剪定や手入れを高所でおこなう必要があります。
高所で慣れない作業をするとケガをする危険性があるため、難しそうだと思ったらプロの庭師に相談するのをおすすめします。
目次
梅の木の特徴と剪定が必要な理由
梅にはさまざまな種類がありますが、大きく2種類に分けられます。
ひとつは、しだれ梅のように花を楽しむ「花ウメ」と、もうひとつが南高梅のように花だけではなく実も楽しめる「実ウメ」です。
どちらも日当たりがよく風通しのよい場所でよく育ち、寒さにも強いのでマイナス15度を下回るような極端に寒い土地でない限り屋外で栽培できます。
梅の木は2~3月に花を咲かせ、6~7月に熟した実がなる、時期によってさまざまな楽しみ方ができる植物ですが、成長が早いため剪定を怠るとすぐに形が悪くなってしまいます。
また、枝が多くなりすぎると光合成がうまくできなくなったり風通しが悪くなったりして、梅の成長に悪影響を及ぼすこともあります。
そのため、健康で美しい梅の木にするためには不要な枝の剪定が必要不可欠です。
剪定をする不要な枝とは
まずは剪定をする不要な枝はどのようなものがあるのか確認しておきましょう。
交差枝:残したい枝と交差して伸びている枝
徒長枝:主枝や幹の途中から太く、まっすぐ上に力強く伸びている枝
平行枝:残したい枝と平行にあとから伸びた枝
腹切枝:幹と交差するように伸びている枝
逆さ枝:幹に向かって伸びている枝
車枝:一ヶ所から複数伸びている枝
ふところ枝:幹に近い場所で成長している枝
絡み枝:枝同士が絡み合っているもの
下り枝:地面の方向に伸びている枝
胴吹き枝:幹の下のほうから飛び出している枝
ひこばえ:木の根元から生えている枝
勢いがある元気な枝に見えても、上記に該当するものは不要です。
不要な枝があると見栄えが悪くなるだけではなく、木の栄養分を吸いとってしまうため花つきや実つきに悪影響が出てしまいます。
せっかく伸びた枝を切るのはもったいないと思う人もいるかもしれませんが、梅の木の樹形と健康のために不要な枝はすべて剪定しましょう。
梅の木は年に3回剪定しよう
梅の木の剪定方法は春、夏、冬のそれぞれの季節によって変わり、剪定をするタイミングは梅の木の状態で判断します。
- 春の剪定「梅花が咲き終わったあと」
- 夏の剪定「梅の実が熟したあと」
- 冬の剪定は「葉が落ちきったあと」
以上のようになります。
春の剪定方法(梅花が咲き終わったあと)
春の剪定は3月~4月頃に花が咲き終わったあとの花後におこないます。
梅の花には「今年花が咲いた芽からは、翌年花が咲かない」特徴があるため、花が咲き終わった芽を残しておく必要はありません。
そのため、春の剪定をする前に花が咲いている芽を記録しておくといいでしょう。
- 徒長枝などの長く伸びた枝を切る
- 交差した枝を切る
- 枯れている枝を切る
- 内側に伸びた枝を切る
- 元気のない枝を間引く
- 今年花が咲き終わった芽しかない枝を切る
- 1本の枝に新芽を3~4個ほど残しカットする
1本の枝に新芽がたくさん付いている場合、切り落とすのに抵抗がある人がいるかもしれません。
しかし、新芽が多いと必要な栄養がいきわたらずに、花や実に悪影響が出てしまう場合があります。
きれいな花や立派な実のために、新芽が残っていてもしっかりと剪定するのをおすすめします。
夏の剪定方法(梅の実が熟したあと)
夏の剪定は7~8月におこないます。
梅はこの時期に花のつぼみとなる花芽をつけるので、花芽に栄養が届くように剪定をしましょう。
また、不要な枝を落とし日当たりや風通しをよくすることで病気や害虫被害の予防もできます。
夏の剪定で意識するポイントは2つです。
- 花芽のない枝を落とす
- 大幅なカットはせず樹形を整える程度
枝の数が多いとその分だけ栄養が分散されてしまい、花芽が付いている枝に栄養が届かなくなってしまいます。
元気に成長している枝であっても、1年に1m以上成長したものには花や実がつくことはほとんどありませんので、思い切って根元から剪定するのもいいでしょう。
ただし、夏の剪定は大幅に切り過ぎてしまうと花つきや実つきが悪くなる原因になるおそれがあるため以下の手順にしたがって、慎重に剪定をおこないましょう。
- 徒長枝などの長く伸びた枝を切る
- 交差した枝を切る
- 枯れている枝を切る
- 内側に伸びた枝を切る
- 元気のない枝を間引く
- 癒合剤を塗る
基本的な流れは上記のとおりです。
手順2~4は順番が違っても問題ないため剪定をしやすい場所からするといいでしょう。
手順5の元気がない枝の間引きは、近い場所で同じような太さの枝が何本も生えている場合にもっとも元気がない枝のことを指します。
また、手順6の癒合剤は剪定した枝の切り口を保護するために使います。
切り口の小さい細い枝の場合は、塗る必要がない場合がありますが、太い枝を剪定した場合は、菌の侵入や害虫を防ぐために、念入りに塗っておきましょう。
冬の剪定方法(葉が落ち切ったあと)
冬の剪定は10~12月におこないます。
この時期は梅があまり成長しない休眠期なので、夏よりも大胆な強剪定が可能です。
葉が落ち切っており、枝の流れが見やすいため理想の樹形を意識して剪定しましょう。
- 徒長枝などの長く伸びた枝を切る
- 交差した枝を切る
- 枯れている枝を切る
- 内側に伸びた枝を切る
- 元気のない枝を間引く
- 残った枝の先のほうを切る
- 癒合剤を塗る
基本的な手順は夏の剪定と同じですが、癒合剤を塗る前にひとつ作業が増えます。
残した枝には花芽が付いているものが多いですが、花芽はたくさんあればいいわけではありません。
目安として枝の根元から数えて5つほど芽を残したら、それよりも先の部分は切り落としておきましょう。
厳選して芽を残すことで、木全体にバランスよく栄養がいきわたるようになります。
しだれ梅の剪定方法
しだれ梅とは、その名のとおり垂れ下がった枝が特徴で観賞用の梅の木として人気があります。
しだれ梅の木は、一般的な梅の木よりも枝の数が多くなるため夏と冬にしっかりと剪定しましょう。
また、枝が細く垂れ下がっているため切りやすいと考える人もいるかもしれませんが、じつは梅の木よりも硬いです。
そのため、剪定用のハサミではなく、ノコギリを使って剪定するのをおすすめします。
梅の木の剪定方法は埋め込みの年数でも変わる
埋め込みから1~3年目までの梅の木は毎年剪定方法が変わります。
美しく健康的な梅の木に成長するためには、3年目までの若い時期の剪定が重要です。
1~3年目までの剪定方法や4年目以降の剪定方法を詳しく解説します。
1年目の剪定
1年目の剪定時期は9~11月です、
地面から30~80cmくらいまでの高さに幹を切り詰めます。
切り詰めると苗木の成長を促すことができるため思い切って剪定しましょう。
2年目の剪定
2年目の剪定は12月~翌年1月におこないます。
梅の木は埋め込みから2年経つと幹の先端から数本枝が伸び始めます。
伸びている枝のうち生長がいい3本を残し、ほかの枝は切り落としましょう。
また、残した枝から細い枝が生えている場合は、こちらも3本ほどだけ残してほか枝は切り落とし、さらに残した細い枝を3分の1程度の長さに切ることで成長を促進できますよ。
3年目の剪定
3年目の剪定は12月~翌年1月に、しましょう。
埋め込みから3年目になると太くしっかりとした枝が生えてきます。
日当たりや風通しを邪魔する枝は梅の木にとって悪影響になるため根元から切り落とすのをおすすめします。
4年目以降の剪定
4年目以降の剪定は季節によって変わります。
春、夏、冬で剪定が必要になりますが、それぞれ剪定する目的が違います。
春の剪定の目的 | 花が咲き終わった芽がついた枝を切る |
夏の剪定の目的 | 不要な枝を落とし、樹形を整える |
冬の剪定の目的 | 大胆に剪定し樹形のベースを決める |
きれいで健康な梅の木には剪定が必ず必要になるので年に3回必ず剪定しましょう。
梅の木の剪定で必要な道具
梅の剪定に使用する道具は、木の大きさや成長具合によって変わるので、さまざまな状態の剪定に対応できるように以下の道具を揃えておきましょう。
- 剪定バサミ
- 高枝切りバサミ
- 剪定用のノコギリ
- 脚立、滑り止め付きの手袋
- ビニールシート
- 癒合剤
剪定バサミは使う機会がもっとも多くなるため、軽量でよく手に馴染むものがおすすめです。
また、剪定用のノコギリは片手で持てるタイプと両手で使うタイプがありますが、どちらも使う機会があるため両方揃えるのをおすすめします。
そして、脚立や手袋、ビニールシートなどはホームセンターなどで市販されいるもので構いません。
最後に、癒合剤は剪定した枝の切り口を保護するために使います。
剪定は木の健康を目的としていますが、傷をつけてしまう必要があるため、きちんと保護して雨風や害虫を防いであげるといいでしょう。
梅の木の肥料と害虫対策
梅の木の肥料は、冬の剪定と同じ時期の12月頃に撒くといいでしょう。
肥料は油カスなどの有機質肥料を梅の木の根本に与えてあげるのが効果的です。
また、梅の木を狙う害虫はホームセンターやガーデンショップで売られている害虫対策グッズで対応できます。
害虫は日当たりや風通しの悪い場所を好むため、梅の木を守るためにはきちんと剪定をして風通しをよくしてあげることも重要です。
梅の木の剪定を自分でやるときの注意点
梅の木を自分で剪定をするときの注意点は5つあります。
- 内芽を切って徒長枝を予防する
- 切り口からの病気を防ぐために癒合剤を塗る
- 剪定をしたら肥料を与える
- 間引きすぎないようにする
- 尖った枝でケガをしないようにする
剪定は不要な枝を切るだけではありません。
梅の木の健康のためには剪定後のアフターケアが重要です。
内芽を切って徒長枝を予防する
内芽とは枝の内側(空の方向)に付く芽のことをいいます。
梅の木は、芽の付き方で枝がどのように生長するのかある程度の予想が可能です。
内芽は徒長枝になる可能性がとても高いため、内芽の段階で切ってしまいましょう。
切り口からの病気を防ぐために癒合剤を塗る
癒合剤とは切り落とした枝の切り口に塗る薬で、切り口を乾燥や雨風から保護してくれる役割があります。
最近では切り口を保護するだけではなく、癒合促進剤が含有される製品が増えており、新しい枝がスムーズに生長する効果も期待できます。
剪定したら必ず癒合剤を塗らなければいけないわけではありませんので、冬の剪定で太い枝を切ったときなどに塗るといいでしょう。
剪定をしたら肥料を与える
不要な枝とはいえ剪定は木にダメージを与えることになります。
梅の木の状態によっては剪定のし過ぎにより弱ってしまい枯れてしまうこともあります。
そのため、剪定をおこなったあとは一緒に肥料をあげるといいでしょう。
ただし、肥料を与え過ぎても枯れてしまう原因となります。
例えば、冬に強剪定をした場合のみ肥料を与えるように木の状態を考えながら与えるといいでしょう。
間引きすぎないようにする
特に注意していただきたいのが、冬の時期の剪定です。
冬の梅の木は休眠期のため大胆に剪定ができますが、枝が見やすいため切りすぎてしまう場合があります。
スカスカになるほど間引いてしまうと樹形が乱れてしまうため、開花した樹形をイメージしながら剪定をするといいでしょう。
尖った枝でケガをしないようにする
梅の木はとても硬いため、底が薄い靴を履いていると踏んでしまったときに刺さってしまうことがあります。
梅の木を剪定するときは靴底の厚い靴を履き、剪定が終わったらきれいに片付けておきましょう。
また、梯子から降りるときは木片を踏まないように慎重に降りるようにしましょう。
大木になった梅の木を小さくする方法
梅の木は2mほどの大きさが手入れしやすいため理想とされています。
しかし、梅の木はよく成長するため10m以上の大木になってしまうこともあります。
育ちすぎてしまった梅の木を小さくする方法をご紹介します。
梅の木を小さくする方法①:芯止め
芯止めとは、もっとも成長している主幹の先端を短く切断し、高さを抑えて管理しやすい大きさにする方法です。
ただし、一度芯止めをしただけでは、主幹となる枝が変わるだけで全体のサイズを小さくできません。
芯止めを何度もおこなうことで徐々に小さくなっていくので根気よく剪定しましょう。
梅の木を小さくする方法②:切り戻し剪定
切り戻し剪定とは、不要な枝を切断する際に理想のサイズまで切り込んでしまう方法です。
芯止めのように主幹1本を切るのではなく、全体の不要な枝を短くして樹形を整えます。
伐採したほうがよい場合も
大きくなりすぎた梅の木が、芯止めや切り戻しもできない場合は、伐採するのも方法の1つです。
伐採するときは、チェーンソーやノコギリを使って根元から梅の木を切り倒します。
しかし、伐採は自分でやるのは難しいですし、危険性もあります。
梅の木が大きくなり過ぎて自分で対処するのが難しいと感じたときは、無理せずプロの業者に相談するのをおすすめします。
安全・確実に剪定するなら業者に相談するのがおすすめ
梅の木の剪定は、美しく健康な梅の木にするために必ず必要です。
元気がある枝を切り落とすのは抵抗があるかもしれませんが、思い切って切り落としてしまうのが、きれいな花や実をつけさせるための鍵です。
もし梅の木が大きくなりすぎてしまった場合は、伐採してしまうのもひとつの手でしょう。
しかし、高所作業や慣れない作業はケガをしてしまう可能性があります。
自分で伐採するのは難しそうだなという場合は、自分で対処しようとせず、業者に依頼するといいでしょう。
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