桃の木は、春には花を夏には実を楽しむことができます。しかし、ただ木を植えるだけではなく、元気に育つようなお手入れをしなくてはなりません。そして、その重要なお手入れのひとつが剪定です。
桃の剪定を適切におこなうためには、まず桃がどのように成長していくかを知る必要があります。それは、桃には活発に成長する時期と緩やかに成長する時期があり、成長具合によって適したお手入れ方法が異なるからです。
桃の特徴と適切な育て方を知って、樹齢や成長具合に合わせて正しいタイミングで剪定をおこないましょう。そうすることで、自宅でもおいしい桃を栽培することができるでしょう。
目次
桃の特徴
桃にはさまざまな品種があるのですが、大きく2種類にわけることができます。ひとつは花桃といわれる花を楽しむための品種で、もうひとつが今回ご紹介する実を楽しむための品種です。
実を楽しむ果樹に分類される桃は、暑さにも寒さにも強いという特徴があり、日光を好むため日当たりのよい場所でよく育ちます。ただし、過湿を嫌うので水のやりすぎには注意が必要です。
これからご紹介する剪定が上手くできても、上記のような栽培環境が整っていないとおいしい桃ができないかもしれません。まずは栽培環境をよく確認して、不足している点があれば整えておくようにしましょう。
桃は鉢植えでも育てられる
前述した条件が整っていれば、桃は鉢植えでも栽培することができます。ただし、鉢植えで育てる場合は土を自分で準備しなければなりません。
赤玉土や腐葉土などを混ぜたものが栽培に適しているのですが、配合が難しい場合は果樹用の培養土を使用するのもよい方法です。無理なく楽しんで桃の木を育ててみるとよいでしょう。
桃の剪定は冬の時期に!
枝が込み入ってきた桃の姿を見るとついすぐに剪定をしてしまいたくなりますが、まずは時期を確認しましょう。落葉樹である桃の剪定は、木が葉を落とし成長を緩める「休眠期」におこなうことをおすすめします。
桃の休眠期は1月から2月にかけてです。この時期に剪定をおこなうと木に与える負担も少なく、翌年の成長を剪定でうまくサポートしてあげることができるでしょう。詳しい剪定方法は樹齢によって異なるので、後述する【桃の剪定方法】でご紹介します。
また、場合によっては冬だけでなく夏にも剪定をおこなうことがあります。その理由は、木が大きく成長する夏場には枝の混み合いが目に付く場合があるからです。
ただし、夏は桃の成長が活発なので、木にあたえるダメージを少なくするため、不要な枝だけ切断する弱めの剪定をおこなうのがよいでしょう。
そして、木に生える不要な枝にはいくつかの種類があります。代表的なのは株元から細い枝が生える「ひこばえ」、一本だけ大きく成長している「徒長枝」です。
とくに、桃の場合は徒長枝があると幹が太くなるだけで実や花がつきにくくなる場合があります。不要な部分に栄養を使ってしまわないように、花芽のない徒長枝はカットしておくようにしましょう。
揃えておくべき道具
桃の剪定に必要な道具はおもに以下の5種類です。のちほどおすすめの道具もご紹介しますので、まずは何が必要かを確認しておきましょう。
・剪定ノコギリ
・グローブ
・ガーデンシュレッダー
・殺菌剤
剪定ばさみ
剪定に使う道具のなかでも、もっともポピュラーなのが剪定ばさみです。剪定ばさみは、直径1センチから2センチ程度の枝を剪定するのに適しています。サクッと無駄な枝を落としたいときに便利です。
刃物の名産地である越後三条にあるメーカーで作られています。創業は江戸時代の文久年間だということで、品質を裏付ける歴史のあるメーカーです。手にフィットするため、心地よく剪定できる商品です。
【岡恒 剪定鋏 180mm NO.101】
持ち手が2色になっていておしゃれな印象の剪定ばさみです。刃が頑丈なので、太めの枝もカットできて便利に使用できるでしょう。
剪定ノコギリ
剪定ばさみではカットできない太い枝を切るためのものです。軽く引くことで簡単に余分な枝を落とせるだけでなく、はさみで切りにくいときはのこぎりで軽く抑えることで切りやすくなります。
太い枝を切り落とすダイナミックさと、必要以上の剪定をしない細やかさをあわせもつ剪定道具です。
【シルキー ズバット 270mm 270-27】
刃のカーブにより、力が働きやすくてスムーズな切断作業を可能にしてくれます。
【FLORA GUARD 折込鋸】
折り畳み式のノコギリなので、収納しやすく持ち運びしやすいものです。グリップも握りやすい形になっています。
グローブ
切れ味のよい刃物を使う剪定には、自分の体を傷つけてしまうというリスクがあります。また、刃物だけでなく切り落とした枝先が刺さってしまうというのもよく聞く話です。
肌の見えにくい衣服で自身を守ることはもちろんですが、刃物を扱う手先もこのようなグローブで保護しましょう。
【[Civil Life]軍手 防刃手袋 切れない手袋 (L)】
こちらのグローブはシームレス編み製ですので、手肌により密着してくれます。保護してくれるだけでなく、抜群のフィット感で細かい感覚を必要とする剪定もサポートしてくれるものです。
【niceluke 軍手 防刃 手袋 】
強度があり高い弾力性のある素材が使用されているので、手にフィットして作業しやすいでしょう。汚れにくいという特徴もあるので、外での作業に適したグローブといえます。
ガーデンシュレッダー
剪定が終わったあとの木材の処分には、頭を悩ませるところです。自治体によって多少異なりますが、多くの場合はそのまま可燃ごみとして出すことができます。
しかし、量があまりにも多い場合には紐でしばってまとめたり、粗大ゴミとして出さなければならなかったりすることもあるようです。
ガーデンシュレッダーを使うことで、剪定で発生した大量の木材を細かくし、ゴミとして処理しやすくすることができます。剪定する木がたくさんある場合や大きく育った木の剪定をする場合には、あると便利な道具です。
【山善(YAMAZEN) 園芸用電動粉砕機 ガーデンシュレッダー YGS-30A】
高出力のモーターが使用されていてパワーのあるガーデンシュレッダーです。高い負荷がかかると自動でスイッチがオフになる安全機能もついています。
【YARD FORCE 枝シュレッダー 粉砕機 タイヤ付き ヤードフォース 福KD】
太めの枝でも粉砕できるので、大胆な剪定をしたときに便利なガーデンシュレッダーです。ひとつ目にご紹介したものと同様、過負荷の際に自動でスイッチが切れる装置はついています。
殺菌剤
剪定した枝の切り口を殺菌して病原菌が入るリスクをカバーするためのものです。樹木の持つ治癒力を高める働きのあるものは癒合剤とも呼ばれています。
【住友化学園芸 トップジンMペースト 100g】
名前の通りペースト状になっている殺菌剤です。チューブ状になっているため、使用時に手を汚すことがありません。
【癒合剤:キヨナールエース 100g】
こちらもペースト状でチューブタイプのものです。口が細くなっているので、小さい切り口にも使いやすいでしょう。
桃の剪定方法
必要な道具がわかったところで、次は剪定方法です。前述したように、桃の剪定は樹齢によってやり方が変わります。それぞれ詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
樹齢が短い場合
樹形がまだ定まっていない若い桃の剪定は、全体をY字に整えながらすべての枝に日が当たりやすいようにしておこないます。
年数 | 切り方 |
1年目 | 木の形がY字になるように左右一本ずつ太い枝以外を切り落とします。 |
2年目 | 1年目に整えた形から伸びた枝のうち、先端の数本を残してあとは切り落とします。 |
3年目 | 新しく伸びた枝を3分の1の長さに切り戻します。 |
桃を育てていると、早く花や実をつけた姿を見たくなってしまうかもしれませんが、植え付けてから数年は株の成長に栄養を集中させるため、花芽などはすべて摘み取りましょう。花芽がつくのは2月ごろですので、剪定をおえたあとにも気を抜かずに観察してみてください。
そして、3年目からは実を結ばせてもよいかもしれません。ただし、あまり欲張りすぎず数個程度の実をつけさせるのにとどめておくのがよいでしょう。
樹齢が長い場合
4年目以降は伸びた枝の切り戻しや、混みすぎた枝の間引きなどがメインになります。伸びた枝を切り戻す場合には、先端の3分の1程度の長さが目安となるようです。
桃をおいしくするコツは摘蕾と摘果
実をおいしくするためには、桃の実の数を減らすための「摘蕾(てきらい)」・「摘果(てきか)」という作業も大事です。摘蕾は蕾(つぼみ)をとることで、摘果は果実をとることをさします。
摘蕾 | |
時期 | 花が開く前の2月下旬から4月中旬頃 |
やり方 | 枝先から幹に向かって手でこするようにしましょう。 |
ポイント | 短い枝であれば先端部に数個、長い枝であれば長さにあう数の蕾が中央部に残るようにします。 |
桃は多くの花芽をつける品種です。そのため、摘蕾をすることで開花に使われる栄養をセーブして成長しやすくさせます。ただし、結実しにくい品種の桃は摘蕾が不要な場合もあるので、一度品種の特徴を調べておくとよいでしょう。
摘果は、予備摘果と仕上げ摘果(本摘果)の2回おこないます。それぞれの時期と内容を以下にご紹介します。それぞれ満開から数週間後、1ヶ月半後におこないましょう。
時期 | やり方 | |
予備摘果 | 自然に実が落ちるのが落ち着いたころ | 1本の枝に4~6個実が残るように摘み取る。 |
仕上げ摘果 (本摘果) |
5月下旬~7月 | 1本の枝に1~2個実が残るように摘み取る。 |
また、上記のあと満開から2か月後に、修正摘果という3回目の摘果をおこなうこともあるようです。大きく虫に食われているなど状態の悪いものが残っている場合は、摘み取っておきましょう。
そして、摘果が終わったら害虫が寄りつかないように袋掛けをします。実全体を包める大きさの袋をかぶせて、輪ゴムなどでしっかりと口を閉じておきましょう。
このとき、袋の中に虫がはいらないように殺菌剤を散布してから袋をかけるのがポイントです。
剪定したら肥料をあげましょう
剪定や摘蕾、摘果をすることで、状態のよい実を厳選して成長させることができます。しかし、剪定で枝を切るのは桃の木にとってダメージにもなるのです。
そこで、成長のサポートやダメージからの回復のために肥料を与えることも必要なお手入れのひとつになります。
桃には、年3回肥料を与えるのが効果的だといわれています。1回目は桃の剪定が終わった2月ごろの寒肥(かんごえ)、2回目と3回目は桃の花が終わる5月と実が終わる10月ごろのお礼肥え(おれいごえ)です。
・寒い時期に与える肥料です。
・春の成長をはじめる桃をサポートすることができます。
・遅効性の肥料がよいとされています。
即効性のある肥料だと雑草に栄養をとられてしまうので逆効果です。新たな1年をより元気に成長してもらうために、冬場の剪定が終わったあとなどに肥料をあげてください。
・花や実をつけてくれた樹木に「ありがとう」の意味をこめて与える肥料です。
・栄養分を消耗した樹木を元気にします。
・即効性のある液体タイプの肥料などがよく使われています。
とくに桃は、果実ができているときにはすでに来年の花芽がついている樹木です。適切な時期に肥料をあたえることで、来年もきれいな花とおいしい実をつけてくれることでしょう。
桃の栽培は病害虫にも注意が必要!
ご紹介したお手入れを丁寧におこなうことで、おいしい桃を手に入れることができる可能性は高くなるでしょう。しかし、忘れてはいけないのが病気や害虫による被害です。
桃は害虫被害の多い植物といわれています。病害虫の被害にあうと、花芽がつかなかったり果実が収穫できなくなったりする場合があることはもちろん、最悪の場合桃の木が枯れてしまうおそれもあるのです。
ここでは代表的な病害虫のみをご紹介しますが、それ以外にも被害にあうおそれのある病害虫はあります。もしも以下の症状に該当しなくても、様子がおかしいと思うことがあったら剪定業者などの植物に詳しいプロに相談してみましょう。
病気
桃がかかりやすい病気はおもに2つあります。それぞれの病名と症状、できる対策を解説しますので、以下を参考にして病気の被害を防ぎましょう。
縮葉病 | |
症状 | 若い葉が変色して縮み、成長すると縮んだ部分が膨らむ病気です。放置して病気が進行すると、葉は白カビにおおわれて落ちてしまいます。 |
発症条件 | 桃の休眠期に飛散して枝に付着したカビが、冬を越す間に増殖してさらに飛散し、葉に付着することで発症します。 |
対策 | この病気は早めにカビを洗い流せば発症が防げるので、休眠期の間に果樹への使用が可能な殺菌剤を散布してカビを洗い流しておくとよいでしょう。 |
灰星病 | |
症状 | 果実に発生する病気で、灰色の粉をふいて実が淡い褐色に変わっていく病気です。最初はわずかな範囲ですが、早ければ2~3日で実全体に広がります。 |
発症条件 | 桃の開花時期に雨が多いと発症しやすいです。雨で飛散した菌が枝に付着し、成長とともに花や実にも影響を及ぼして枯れたり腐ったりという症状が出てしまいます。 |
対策 | 被害にあっている桃は、実だけでなく枝であっても灰色の粉がふきます。粉をふいている花や実、枝を発見したらすぐに切り取って処分しましょう。 また、病気を発症した実に触れた人の手から菌が感染することもあります。被害にあったものを処分したあとは、そのままの手で健康な果実を触らないように注意してください。 |
害虫
とくに注意しておきたい害虫は、アブラムシとカイガラムシです。害虫は発生時期を突き止めるのが難しいので、ここでは症状と対策についてご紹介します。
アブラムシ | |
症状 | 新芽や葉などの柔らかい場所に群がり、排泄物が付着することでカビが生えたり病気の原因になったりします。 |
対策 | すでに虫がつている場合は、殺虫剤を使用して駆除しましょう。果樹に使ってもよいとされている天然成分の殺虫剤を使用するのがおすすめです。 また、現状害虫が見当たらないという場合は、アブラムシが嫌うとされている銀色の反射テープを周囲に張り巡らせておくとよいでしょう。 |
カイガラムシ | |
症状 | 植物に寄生して幹や枝、葉などから汁を吸います。栄養分を吸われてしまうので、植物が成長しにくくなります。そのうえさまざまな病原菌を媒介するので、病気を発症するリスクも高くなるでしょう。 被害が進行すると枯れてしまうこともあるので注意が必要です。 |
対策 | カイガラムシは幼虫と成虫で対処法が異なります。幼虫を発見した場合は殺虫剤を使用してすぐに駆除しておきましょう。 成虫は殻が強く殺虫剤が浸透しにくいので、使わなくなった歯ブラシなどを使って地道にこすり落とす方法が効果的です。 また、一度寄りつかれると翌年も被害にあうおそれがあるので、冬の休眠期の間に殺虫剤を散布して予防しておく必要があるでしょう。 |
まとめ
桃の剪定は、休眠期である冬のうちにおこなうのがよいとされています。休眠期におこなうことで木にあたえるダメージを少なくすることができるためです。剪定が終わったら寒肥を与えて木の成長をサポートしましょう。
さらに、花や実をきれいにつけるためには、摘蕾や摘果などの作業や、花・実が終わったあとにそれぞれお礼肥えを与えることも大切です。こちらの作業も忘れずにおこなってください。
また、ご紹介した方法で剪定をおこなっていても、桃の木を育てる環境が悪ければ元気には育ちません。栽培環境にも気を配り、日当たりや土の状態などまでしっかりと管理しましょう。
そして、病害虫の被害にあわないようにするための対策も怠ってはいけません。おいしい桃を楽しむためにできることから取り入れていくとよいでしょう。
上記のような作業を難しく感じたら、剪定業者に依頼して確実にきれいな桃を育てられるようにするのがおすすめです。剪定だけでなく栽培環境についてのアドバイスがもらえることもあるでしょう。
(この記事は2020年8月27日に加筆・修正しています)
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