
庭木や生垣としてさまざまな品種が栽培されているプリペットですが、見栄えがよい状態をキープして育てるためには、高頻度で剪定をおこなう必要があります。
というのも、プリペットは成長が早い植物で、放っておけばすぐに枝が伸びてしまうのです。伸び放題の枝は、樹形を乱して見栄えを悪くするばかりか、害虫を寄せ付ける原因になるおそれがあります。
プリペットを枯らすことなく健康的に育てるために、適切な剪定の時期と方法をしっかりと覚えておきましょう。
生垣として剪定する場合のコツや剪定以外に必要なお手入れについてもあわせてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
プリペットの特徴
中国が原産地のプリペットは、モクセイ科イボタノキ属の低木で、栽培地域や品種によって落葉することはありますが、基本的には常緑の広葉樹です。学名はLigustrumといい、別名セイヨウイボタともいいます。
日当たりのよい場所でよく育ち、水はけのよい土壌を好みます。暑さにも寒さにも強く、並大抵の気温の変化では枯れません。そのため、初心者でも育てやすいといわれている樹木です。
ただし、冬に葉が落ちることはあるので、その場合はこまめに掃除して木の周辺を清潔に保っておきましょう。放っておくと、積み重なった落ち葉の内側がジメジメした空間になり、病原菌や害虫の温床となるおそれがあります。
また、ただ丈夫なだけでなく、成長が早いというのも特徴的です。樹高は大きいものだと4mを超えますし、枝が飛び出して樹形を乱すこともあります。美しい状態を保つためには、こまめな剪定を欠かさないことが大切です。
日本で見られる4つの品種
プリペットとひとくちにいっても、品種はさまざまです。日本で見られるものだけでも4種類の品種があるので、それぞれ特徴を簡単にご紹介します。
プリペット
プリペットの基本種です。葉はほかの近縁種と比べて緑が深く、背景として花を引き立ててくれます。また、成長しても樹高は比較的低く、縦よりも横に広がっていくことが特徴です。
シルバープリペット
庭木や生垣として人気の品種です。白い斑入りの美しい葉が特徴的で、ほかの品種に比べて色味が薄い印象があるので、ホワイトガーデンなど淡い色調の庭に適しています。
ただし、白い斑模様の葉は繁殖力が低く、こまめに剪定をしていないと模様がなくなって緑一色の葉になってしまうので注意が必要です。緑色の葉が目立ってきたら、枝ごと緑の葉を切り取るようにしましょう。
プリペット・レモンアンドライム
葉がとても鮮やかで、レモンやライムのような色をしています。そのため、プリペットのように花を引き立てるのではなく、葉そのものを楽しむ品種だといえるでしょう。また、樹高を1m前後におさえることができるため、コンパクトに育てたい方におすすめです。
プリペット・オーレア
ラテン語で黄金色を意味する、オーレアという名前にふさわしい鮮やかな黄色の葉を生い茂らせます。そのため、レモンアンドライムと同じく葉を楽しむ品種であるといえるでしょう。樹高を低く保てるため、手軽に栽培ができるといえますが、落葉性であることから生垣には向かないかもしれません。
プリペットの剪定時期
どのような雰囲気のお庭に仕上げたいかによって選択する品種は異なりますが、剪定する時期や方法はどれも同じです。
プリペットは剪定に対して強い耐性があります。そのため、基本的にどの時期でも剪定をおこなうことができるのです。ただし、8月など暑さの厳しい時期は植物の多くが弱りやすいといわれているので、避けたほうがよいかもしれません。
また、5月~6月にはキンモクセイに似た香りのする白い花が咲きます。葉だけでなく花も楽しみたいという方は、花芽の付く3月や開花時期も避け、花が終わる6月以降に剪定するのがおすすめです。
プリペットは縦にも横にも大きく成長します。樹形を飛び出して伸びる枝や枯れている枝、ほかの枝と異なる方向に伸びている枝などは積極的に切り取ってしまいましょう。
生垣に仕立てるなら
プリペットは、庭木としてだけでなく、生垣としてもして利用されることも多くあります。常緑樹なので一年中葉が落ちることがありませんし、前述したように品種が複数あるので、お庭の雰囲気に合わせた見た目に仕上げることができるからです。
そして、プリペットに限った話ではありませんが、生垣の条件は樹高を低く保つこととブラインドの役割を果たせることの2点です。そのため、数か月に1回は剪定をおこなうようにしてください。
また、外からの目隠しとして機能するためには、密度の高い枝葉が必要です。そのためには、枝を途中から切り取る「切り戻し」という剪定方法が適しています。
全体が同じように成長するとは限らないので、密度の低い箇所があれば「切り戻し」をして枝葉の密度を高めましょう。
四角い樹形や丸みを帯びた樹形など、遊び心あふれる自分好みの形にアレンジするのもおすすめです。こまめに剪定をすればこだわりの樹形を長く保つこともできるので、楽しんでお手入れをおこないましょう。
剪定以外に必要なお手入れの仕方
比較的育成が簡単であるプリペットですが、育て方を間違えると枯らしてしまうおそれはあります。プリペットの適切なお手入れ方法を知っていれば、そういった悲しい事態は避けることができるでしょう。ここでご紹介する2点のポイントに注意して、健康なプリペットを育ててください。
水と肥料
植物を育てるうえで欠かせないのが水、成長具合を左右する重要なものが肥料です。不足しても与え過ぎてもいけないので、適切な水やりの頻度や肥料の種類を覚えておきましょう。
・庭植え
基本的に降雨のみで水分はまかなうことができます。ただし、日照りが続くなど土が乾燥しやすい時期は、土の表面が乾いたら水やりをおこないましょう。
・鉢植え
土の表面が乾いたら水やりをおこないます。
肥料はなくても育てることができますが、施肥するのであれば2月と9月の2回与えることをおすすめします。栄養を継続的に少しずつ供給してくれる緩効性肥料がよいでしょう。
病害虫対策
さまざまな耐性をもちあわせるプリペットは、病気や害虫にも強いですが、まったく被害にあわないというわけではありません。
被害にあうおそれのある病気1種類と害虫2種類の症状と対処法をご紹介しますので、もしものときのために頭に入れておきましょう。
病気 | 症状 | 対処法 |
うどんこ病 | うどん粉のような白いカビが発生します。放っておくとカビが葉全体を覆って光合成の邪魔をするので、生育が悪くなったり枯れてしまったりします。 | 症状が軽い場合は、カビが発生した葉を切り取れば問題ありません。 広範囲に被害が広がっている場合は、被害箇所とその周辺に殺菌剤を散布しましょう。 |
害虫 | 症状 | 対処法 |
ハマキムシ | 葉を食い荒らします。その名の通り葉にくるまって身を隠します。 | ハマキムシが隠れている葉を取り除き、株元に根から全体へと効果がいきわたる殺虫剤をまきましょう。 |
イモムシ | ハマキムシ同様、葉を食い荒らします。サイズが大きければ大きいほど被害範囲は広くなるでしょう。 | 使わない箸やピンセットなどを使ってイモムシを取り除き、株元に根から全体へと効果がいきわたる殺虫剤をまきましょう。 |
プリペットは苗や挿し木で増やそう
「美しいプリペットをもっと増やしたい」と、育てているうちに考え始める方もいるでしょう。そのような場合、プリペットは苗から育てる方法と挿し木で増やす方法があります。
苗から育てる方法
苗から育てるのであれば、比較的気温が安定した3月~6月に植え付けることが理想的です。成長してからは寒さにもある程度耐性がつきますが、苗木のうちは寒さに弱いという特徴があります。そのため、気温が安定していても秋の植え付けはおすすめできません。
土は市販の栽培用土で十分に育てることができるでしょう。また、庭の土に腐葉土を1/3ほど混ぜた土壌でも代用することができます。植え付けてから根が定着するまでの約1か月の間は、水分をこまめに与えてください。
挿し木で増やす方法
プリペットは、剪定によって地面に落ちた枝からも根が生えるほど発根力の強い品種です。そのため、正しい手順で挿し木をおこなえばうまく根を張ってくれる可能性が高いでしょう。
挿し木に使用する枝を切るときは、若くて丈夫そうなものを選んで10~15cm程度の長さで切り取り、水揚げの処理を施します。
水揚げとは、枝の切り口を水中でななめに切り、そのまま1時間ほどつけておくことです。この作業により挿し木のあとの水不足による枯死を予防することができます。処理を終えたら苗と同じ手順で植えていきましょう。
まとめ
プリペットは、耐暑性・耐寒性を持ち合わせている丈夫で枯れにくい植物です。しかし、成長スピードが早いため、樹形を保つためにはこまめに剪定をしなければなりません。
剪定に強いという特徴から、剪定時期はあまり選びませんが、春~初夏にかけて咲く白い花を楽しむためには、花芽を傷つけない時期を選ぶことが大切です。
また、樹形をつくる要となる枝を切ってしまえば、いくら丈夫な樹木でも枯れてしまうおそれはあります。自分で剪定をおこなうことに不安がある場合は、プロの剪定業者に作業を依頼することも検討しましょう。
そして、剪定以外にも必要なお手入れはあります。プリペットの好む栽培環境を整えて、状況に応じて水や肥料を与えましょう。
もしもプリペットが気に入ったのなら増やすことも可能です。苗から育てるか挿し木をするかして本数を増やしてみてもよいのではないでしょうか。
その際、どちらの方法も根が定着するまではたとえ庭植えであっても水やりが必要になるので、日々のお手入れを怠らないよう注意してください。
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