おいしいシャインマスカットを収穫するには、定期的な剪定が欠かせません。同じぶどうのなかでも、シャインマスカットに適した剪定方法があるため、理解したうえで実践をすることが大切です。
そこで、今回はシャインマスカットの剪定方法についてご紹介します。剪定をすることで枝の芽を出す確率が上がり、収穫量の増加が期待できるでしょう。剪定方法とあわせて育て方もご紹介するので、育てる際はぜひ参考にしてみてください。
目次
シャインマスカットの剪定前に確認しておくべきこと
シャインマスカットはぶどうの仲間ですが、同じ剪定方法ではおいしく育てられない場合があります。シャインマスカットには適した剪定方法があるため、以下で具体的な方法をご紹介します。
ぶどうの種類によって異なる剪定方法
シャインマスカットには「短梢剪定」という方法を用います。短梢剪定とは、前年の枝のなかから1~3個ほど芽を残して短く切る方法です。
そのほかにも、ぶどうの種類には、5つほど芽を残しておく「中梢剪定」や、6~8個ほど残す「長梢剪定」が使用されます。とくに、中梢剪定や長梢剪定は、赤嶺や巨峰などの品種に使用されることが多い方法です。
シャインマスカットの剪定に適した時期
シャインマスカットの剪定は、12月から2月までにおこないます。冬のうちは葉が枯れ落ちているため、芽を見つけやすくなるのです。春になると葉が生えてくるため、できるだけ落葉してから早めにおこなうのがよいでしょう。
剪定に必要な道具
シャインマスカットの剪定は、専用のハサミを用いておこないましょう。剪定をすると木にダメージがかかるため、切れにくいハサミを使ったり、手で折ったりすると、株が弱るおそれがあるのです。そのため、ダメージが少ない剪定用のハサミを使用します。
無理をして剪定作業をしないこと
シャインマスカットは、剪定方法を間違えるとうまく実がつかないこともあります。そのため、剪定が難しいと感じた場合は、業者に剪定を任せることをおすすめします。剪定のスキルや知識のある業者に任せることで、失敗するリスクを減らすことができるでしょう。
シャインマスカットの発芽率をより高める剪定方法
シャインマスカットは、剪定によって収穫量を増やせるといわれています。この方法を「第二芽剪定」といい、先ほどご説明した短梢剪定のなかでも、シャインマスカットの生育に適しているのです。そこで、以下では発芽率を高めるための剪定方法についてご紹介します。
収穫量アップには「第二芽剪定」が大切
第二芽剪定は、おもに剪定によって芽の発生をうながす方法です。枝を短く切ると、切り口近くから新芽が生えてきます。新芽から育った若い枝は、花をつけやすくなります。花の数が多いほど、結果する量も多くなるため、収穫量の増加が期待できるのです。
第二芽剪定の方法
第二芽剪定の方法は、短梢剪定と同じようにふたつ芽を残し、それ以上は切り落とす方法です。枝のつけ根から芽ふたつぶんまでさかのぼり、ふたつ目よりすこし上の位置で枝を切ります。
ただし、枝のつけ根に生えている芽は、カウントしないよう気をつけましょう。つけ根の芽を含めると、枝が短くなりすぎてしまいます。芽をひとつだけ残す「第一芽剪定」という方法もあるため、短く切ったからといって枯れることはないようですが、第二芽剪定のほうが新芽を出しやすいのです。
シャインマスカットの育成年数にあわせた剪定方法
シャインマスカットの剪定は、育てるうちに適した方法が変化します。樹形が整う3年以降は第二芽剪定が適していますが、植えつけて間もないころは、年数にあわせて剪定方法を変える必要があるのです。以下ではシャインマスカットの年数ごとの剪定方法についてご紹介するので、育てる際にお役立てください。
植え付けから1年目まで
地面に植えつけたばかりのシャインマスカットは、土から60センチの時点で幹の頂上を切り取りましょう。そのまま育てていると上に伸びすぎてしまうため、頂上を剪定することで高さをおさえられるのです。
ただし、鉢植えの場合は30センチの地点で幹を剪定しましょう。剪定する際は、切り口より下に3つほど芽が残っているのが理想的です。
支えが必要になる2年目
2年目になったら、余計な枝を剪定します。小さな枝や細い枝などは根元から切り取っていき、いちばん大きな枝が2本だけ残っている状態にしましょう。枝が多いと栄養が分散されてしまうため、より元気に育てるには、成長させる枝を限定させることが大切なのです。
枝を剪定したら、近くにフェンスを設置し、麻ひもなどで結び付けて枝を固定しましょう。このように枝をフェンスに固定し、横広がりに育てる「垣根仕立て」という方法が有効です。
ただし、鉢植えの場合は垣根仕立てで育てるのが難しいとされています。鉢植えの場合は、1本の支柱に絡ませて育てる「一文字仕立て」や、3本の支柱に枝を絡ませる「行燈仕立て」という方法がおすすめです。
8月の収穫が楽しみな3年目以降
3年目以降は、先述でご説明した「第二芽剪定」を用いて、剪定をおこなっていきます。3年目には樹形を整える必要がないですが、実の収穫に向けて、毎年の剪定が必要になってくるのです。枝の数だけ果実の量も増えるため、収穫量アップが期待できるでしょう。
剪定以外のおいしいシャインマスカット収穫に必要なこと
シャインマスカットには剪定だけでなく、おいしい実をつける過程でさまざまな手入れが必要です。そこで、以下ではシャインマスカットを収穫するまでに必要な作業についてご紹介します。作業の内容を知り、おいしいシャインマスカットを育ててみましょう。
花穂整形(かすいせいけい)
シャインマスカットの開花後、淡い緑色の穂が生えてきます。小さな粒がついた穂を「花穂(かすい)」といい、花穂が成長すると果実になるのです。
全体的に花穂が出てきたら、穂先4センチ前後まで粒を残し、それより上の粒は切除していきましょう。余分な花穂を落とすことで、果実になったときの形が整うでしょう。
摘房(てきぼう)と摘粒(てきりゅう)
花穂の粒が丸みを帯びてきたら、「摘房」をおこないます。摘房とは、花穂をつけ根から切り落として間引く方法で、花の開花からおよそ1~2週間前後におこないます。花穂がすべて実に育ってしまうと、栄養が分散されて果実の品質が落ちるおそれがあるのです。そのため、数を減らして、より品質のよい果実に栄養が集まるように調節しましょう。
摘房をするときは、ほかよりも小さい花穂や、真っすぐ下向きにならず、曲がりくねった形の花穂などを優先的に取り除きます。最終的に、枝1本に対して、1つの花穂が残っているようにしましょう。
摘房後は、「摘粒」という作業に取りかかります。摘粒とは、花穂についている粒の数を減らす作業です。そのまま育てると、シャインマスカットの粒が小さくなるため、適度に数を減らすことで、立派な実に育つでしょう。
摘粒では、全体の粒の数が40粒前後になるように整えていきます。摘粒の際、上部の粒数は多く、下にいくほど少なくなるようにするのがおすすめです。
袋がけ
摘房・摘粒が終わったら、花穂に果樹用の袋をかけましょう。そのままにしておくと、病気にかかったり、虫や鳥の被害を受けたりするおそれがあるのです。また、袋をかけておくことで、薬剤散布の際に成分がかかるのを防ぐことができるでしょう。
収穫
シャインマスカットの収穫時期は8月ごろとされています。ぶどうのなかでも日持ちしやすいといわれていますが、見た目が緑色から黄色に変わってくるころには収穫しましょう。黄色に変色してからも放置すると、表皮に茶色の斑点が出始めるのです。
まとめ
シャインマスカットの剪定をするときは、芽をふたつ残して枝を切り戻す「第二芽剪定」という方法を使います。芽をふたつ残しておくことで、枝を多く育てることができるのです。シャインマスカットは、のちの摘房という作業で「1枝に1房」を目安に減らすため、枝数が多いほど収穫量アップが見込めるでしょう。
しかし、植えつけから3年経つまでは、生育年数に応じて剪定方法を変えなくてはなりません。そのため、剪定で間違えないか心配になる人もいるでしょう。剪定で不安になったときは、業者に任せることをおすすめします。剪定の知識が豊富な業者に任せることで、失敗のリスクを減らせるでしょう。
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