日本の春の風物詩と表現しても過言ではない桜。ピンク色の花弁を付け、大きく成長する木は毎年多くの人を魅了します。
そんな桜をぜひ庭で育てたい、という人もなかにはいらっしゃるでしょう。実は、ポイントや注意点を押さえれば庭のシンボルツリーとして桜を育てることも可能なのです。
その桜を育てる過程で必要な工程のひとつが桜の剪定。このコラムではきれいな桜の育て方や手入れの方法などをご紹介します。きれいな桜を庭に咲かせるためにもぜひご覧くださいね。
桜の剪定に適した時期と注意点について
桜は剪定してはいけないという噂を聞いたことはないでしょうか。桜は枝を切ったりしてしまうと、そこから菌などが入りやすくなってしまいます。そして傷ついた枝から入り込んだ菌が原因で枯れてしまうこともあるのです。
しかし、桜の剪定をしないと、桜の枝が伸びてしまい、樹形を崩してしまったり、害虫の絶好の棲みかになることもたしかです。では、桜の剪定はどのようにおこなえば傷つけることは少なく、形を整えられるのでしょうか。
桜を剪定するときにダメージか少ない時期を選ぶ
桜は剪定しすぎてしまえば、そこから菌が入り枯れてしまったり、病気にかかってしまうことがあります。しかし、それは適切ではない時期に桜の剪定や、強めの剪定をしすぎた場合などに起こり得る事態です。
桜の剪定でなるべくダメージを避けるためには、剪定の時期を見極めることが必要です。桜の剪定時期の最適な時期は年に1回、11月頃といわれています。
なぜ11月頃が最適なの?
桜の剪定時期がなぜ11月頃が最適なのでしょうか。その理由は2つあります。
ひとつめは桜が落葉樹であることです。落葉樹とは、木の休眠時期が近づくと葉を落とす植物のことをいいます。この時期になると枝についた花や葉は落ち切り、枝と幹のみになります。丸裸同然の状態のため、剪定がしやすくなります。
ふたつめは木が休眠時期であること。休眠時期は木の養分やエネルギー消費が一時的に抑えられる時期であるため、切り口の痛みや腐敗の進行が春~初夏と比べると遅れる傾向があるのです。
桜の剪定でやってはいけないこと
桜の木を傷つけないように剪定をおこなうためには、桜の剪定時期を守ることはとても大切なこと。ですが、その剪定時期を守ると同時に、剪定の際はいくつか気を付けなければいけないことがあります。
その気を付けなければいけないことを見ていきましょう。
①手で枝を折る
桜の剪定の際、枝を切る機会はよくあります。しかし、その際、道具を使うのが面倒くさいからといって手で枝を折るのはいけません。
桜の枝を手で折ると雑菌が入りやすくなり、桜の木が弱ってしまう原因になります。とくに日本で多く植えられているソメイヨシノ(染井吉野)は短命といわれているため、手で折るなどもってのほかなのです。
②消毒しないではさみを使う
消毒をしないではさみを使うと枝から雑菌が入りやすくなったり、はさみについた雑菌のせいで桜の木が腐ってしまう原因になります。消毒をおこなった剪定ばさみで桜を剪定しましょう。
③枝を切りすぎる
枝を切りすぎるのも桜の剪定でしてはいけないことです。枝を切りすぎるということは菌が入りやすくなる場所を増やすということ。また栄養が十分にいきわたらなくなったりなど、デメリットも発生してしまうため気を付けましょう。
④桜が活発になる時期、元気がなくなる時期に剪定をおこなう
桜の剪定時期は秋ですが、その後の冬、桜が活発になる春~初夏の剪定は避けるようにしましょう。
春~初夏は桜が活発になる時期で、仮に桜が病気などにかかってしまった場合、被害が広まりやすくなります。逆に冬の時期は桜の病気に対する抵抗力が低くなるため、病気にかかりやすくなる時期だからです。
活発時期を終え、1年のなかで弱る時期になる前の秋に剪定をおこなうように心がけましょう。
桜の剪定方法について
桜の剪定時期になったら、いよいよ桜を剪定していきましょう。しかし、ただやみくもに枝を剪定していけばいいというものではありません。
剪定する枝を見極め適切な量の枝を剪定していきましょう。
桜を剪定する手順
桜の剪定の仕方は以下の通りです。
①桜の木ぼ一番上から、樹形に気を付けつつ軽く切りそろえる
②切り口が直角になるように、樹形に沿って細い枝を剪定する
③切り口に癒合剤を塗る
太い枝を剪定する場合
樹形を乱したり、場所的にも邪魔なので、太い枝も剪定してしまいたいと思うでしょうが、むやみに剪定してしまうと桜が枯れる原因になります。切りすぎないように以下の方法で剪定しましょう。
①剪定する太い枝を1本決める
②枝の根元からから20㎝を目安に切り落とす
※このとき、傷口を平らになるように再度きりますので、その太さ込みで切り落とす
③切り口に癒合剤を塗る
剪定しても問題ない枝の種類
続いて剪定してもいい枝についてご紹介します。切りすぎはよくありませんが、樹形を整えるためにほどほどに切る場合はこういった枝を基準に剪定しましょう。
ひこばえ
木の根元から生えてくる細い木をひこばえといいます。剪定しないと桜が蓄えている養分がひこばえに吸い取られてしまうため、桜が元気に育ちにくくなります。
からみ枝
枝のまわりに絡むように伸ばす枝で、放置しておくと枝同士がこすり合い傷ができてしまい、桜が病気になってしまう原因になります。
逆さ枝
一般的には上向きに枝が伸びますが、下向きで伸びる枝を逆さ枝といいます。
ほかの枝の成長を邪魔してしまう場合があるので、この枝も剪定しておきましょう。
枯れ枝・病気の枝
言葉の通り、枯れた枝のことをいいます。
また、病気にかかってしまった枝は放置しておくと、桜の木全体に病気が蔓延してしまうことがあるので早めに剪定します。
胴ぶき枝
地面から約2m以下の、通行に邪魔になる枝のことをいいます。とくに通行が多い場所に植える場合はケガの元にもなってしまう場合もあるので剪定しましょう。
桜の剪定を業者に依頼する
桜のような大きな花木の剪定作業に不慣れな方の場合、業者に依頼したほうがいいかもしれません。足場が必要になるほど大きな花木では、高所から落下してケガをするおそれがあります。
また、間違った剪定をしてしまい、枯らしてしまうおそれもあるのです。そのため、桜の剪定に少しでも不安を感じるようであれば、プロである業者に依頼することをおすすめします。
もし桜の剪定を依頼する業者選びにお困りでしたら、生活110番までご相談ください。全国にある加盟店のなかから、少しでもご希望に沿った業者をご紹介させていただきます。24時間365日無料で受け付けをしていますので、いつでも相談可能となっております。
きれいな桜の花をさかせるポイント
桜を元気に美しく育てるには剪定を適切にタイミング良くおこなうようにしましょう。美しく育てるためには、桜の育て方も把握しておかねばいけません。
この章では桜の育て方についてご説明します。
肥料
休眠時期に寒肥(有機質肥料を中心に配合したもの)をあげましょう。桜の木は根の先端から肥料に含まれている栄養を吸収します。枝の先端を目安にした地面に肥料をまきます。このとき、ただ地面をまくのではなく。地面を10㎝程度掘ってから肥料をあげると桜が肥料の栄養を吸収しやすくなります。
水やり
基本的に水やりは不要ですが、乾燥が続く時期や、雨が降らず暑い日が続く時期などは、2週間に1回の目安で朝の涼しいうちに水やりをおこないます。
とくに夏は桜にとって厳しい時期なので、2日に1回のペースで水をあげてください。
庭木に適した桜の品種も知っておこう
桜は自生している種類だけでも100以上存在します。その中でも数種類ピックアップして桜をご紹介していきます。
ヤマザクラ(山桜)
桜の種類の多くは品種改良されていますが、山桜はその中でも原種の一種として数えられています。
シダレザクラ(枝垂れ桜)
日本を代表する桜の一種です。枝が柔らかく枝垂れているのが特徴です。品種もさまざまで、ソメイヨシノより開花時期が約1週間ほど早いといわれています。
オオシマザクラ
ソメイヨシノなどを生み出した品種です。開花時期は春で、初夏になると実をつけ、その実は十分に熟せば食用としても食べることができます。また、桜餅はこの桜の若葉を塩漬けしたものを使うことが多いです。
桜にはまだまだ種類がたくさんありますので、自分の家にあった桜を選んでみてくださいね。
桜の木を増やす「つぎ木」の方法について
桜は園芸向きのものであればつぎ木で増やしていきます。種まきで桜の木を増やすことも可能ですが、親株と同じ品種でないと咲かないことが多いので、違う品種を植えたい場合はおすすめしません。
庭木に植える場合は高さがない桜を選ぼう
広大な敷地の庭であれば大きい桜の木を植えてもいいかもしれませんが、一般家庭で植える場合はあまり高くならない木を選びましょう。桜の詳しい品種については前章でご紹介したとおりです。
植える場所の条件
桜は繊細で、品種によっては極端な暑さや寒さを嫌う植物です。日当たりがよく、風がよく通る場所に植えましょう。また養分がある土に植えるといいでしょう。
植える時期
桜を植える最適な時期は剪定と同じく休眠時期の11~12月。開花前の2月といわれています。地植えする場合、根が伸びすぎているときは根を短く切り、苗の根を水で浸してから植えましょう。程よい長さの場合はそのまま根を水につけます。
まとめ
桜の剪定やお手入れなど、ポイントや注意点を押さえれば素人でも桜を育てることは可能です。きれいに育てられれば多くの人を魅了するシンボルツリーとなるでしょう。
しかし、桜の剪定の時期を誤ってしまったり、育て方を間違えてしまうと桜は枯れてしまうことがあります。また、桜は見た目以上に繊細なので、きれいに育てるためにもいろいろ気をつけておくべき点もあります。
桜の剪定に困った場合は、剪定のプロに依頼してきれいに剪定してもらいましょう。また、害虫、病気予防も合わせておこなってもらえることもあるので利用してみてくださいね。
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