アジサイの中でも人気の品種であるアナベルは、白くて大きい花を咲かせるのが特徴です。その姿からアナベルは「寛容な女性」「ひたむきな愛」という花言葉がつけられています。ふつうのアジサイは色の変化から「冷淡」「移り気」という花言葉をつけられており、アナベルはまったくイメージの異なるアジサイだということがわかりますね。
そんなアナベルの美しさを引き立たせるためには、剪定によって樹形を整えることが大切だといえます。では、アジサイの中でもほかのアジサイと違うといわれるアナベルの剪定方法は、どのようにすればよいのか見ていきましょう。
目次
アナベルの剪定はほかのアジサイと違う!正しい時期とは
アナベルがほかのアジサイと違うのは、開花の時期にあります。一般的なアジサイの花芽は前の年の晩夏から秋につくられ、1年後の夏に咲きます。しかし、アナベルの場合は花芽が春にでき、その夏にはもう咲いてくれるのです。
そのため一般的なアジサイの剪定時期は、花が終わり翌年の花芽が作られる7月半ばくらいまでが適切とされています。花芽ができてから剪定をすると、来年の花芽まで切り落としてしまうおそれがあるからです。
しかしアナベルは、春にできた花芽がそのまま夏に咲いてくれるので剪定の時期がより広がります。花が落ちたあとか、落葉期で木が休眠に入る2月から3月ごろにかけておこなうことができるのです。
さらにアナベルは、そのままでも樹形が整いやすい品種ですので、剪定の頻度もそこまで高くなくて大丈夫です。生命力も強く、寒さや暑さにもめげないので元気に育ってくれます。アナベルは剪定がしやすく、きれいに育てやすい品種であるため、経験に自信がない方や剪定が苦手な方でも人気を集めています。
アナベルの剪定方法は強剪定でも大丈夫?
育てやすく剪定もそれほど必要としないといわれているアナベルですが、実際剪定する際にはどのようにすればよいのでしょうか?
さきほどご紹介した通り、アナベルは新しく生えた枝に花芽をつけます。そのため、弱剪定・強剪定を気にすることなく、育てたい形にあわせて自由に切ってしまってよいといえるでしょう。
一般的なアジサイを強剪定すると、翌年は花がつかなくなるケースが見受けられるようです。そのため、アジサイの強剪定はもっと小さく育て直したい場合のリセットのような意味合いでおこなわれることが多くあります。新芽に花がつくアナベルであれば、強剪定でも翌年には花をつけるので、気軽におこなうことができるでしょう。
ただし、アナベルの剪定法によって翌年の花のつき方がかわるという違いは頭に入れておいたほうがよさそうです。剪定を強くすれば枝数が少なくなって花が大きくなり、弱めに剪定すれば古い枝を残すため枝数が増えて、小さい花がたくさんつきます。アナベルに、どんな花をつけてほしいのかを考えながら剪定しましょう。
強剪定する場合には、地面から数節のところで切り落としてしまいます。弱剪定をする場合には、花のあとに花がらを切ったあと、秋から冬にかけて生えた芽の上で軽く剪定します。
また雪が多い地方の場合には、雪で枝が折れてしまうことを防ぐために強剪定をおこなうのがおすすめです。自分の住んでいる地域にあう剪定方法がわからなければ、剪定業者に依頼してしまうのもよいでしょう。
アナベルは病気にかかりやすい!
育てやすい品種として人気のアナベルですが、病気にかかりやすいという弱点があります。以下にかかりやすい病気とその症状をまとめてみました。アナベルを剪定する際は、病気にかかっていないかもあわせてチェックしましょう。
うどんこ病:葉にカビが生えて白い粉をふいている
地面にひそんでいた糸状菌というカビが、風にとばされて葉に付着することでおこる病気です。7月から11月ごろに多く、葉が混み合っているとまん延してしまいます。もしうどんこ病になった葉を見つけたらすぐに取り除いてください。
根腐れ:根元が黒くなっているが、葉は元気である
水分が多すぎて根が腐ってしまった状態です。土からの水分蒸発がなんらかの原因で阻害されたり、日照時間が少なく温度も低かったりするとおこりやすくなります。アナベルの水やりは花の時期と夏場の乾燥する時期のみで十分です。
モザイク病:葉に濃淡がまだらな斑点がある
モザイク病はほぼ1年中見られるウイルス性の病気です。そのため感染すると治療法がなく、感染した部分を処分してしまうしかありません。もし全体に広まってしまった場合にはその株ごとぬきとり、感染した個体が生えていた土も殺菌しなければなりません。
モザイク病はアブラムシによって媒介される病気です。アブラムシは樹液を吸う害虫ですので、病原菌を媒介する以外にもアナベルの樹勢を弱める危険性を持っています。見つけ次第ガムテープなどではがしましょう。
アナベルは病気だけでなく害虫にも注意を
病気にかかりやすいアナベルですが、害虫にも注意しましょう。いま上でご紹介したアブラムシのほかに多く見られるのはカミキリムシです。
カミキリムシが発生すると、木の中身を食べられてしまうので成長が阻害され、やがて枯れてしまうことがあります。株元におがくず状の糞が落ちていたり、幹に穴が開いていたりするとそこにカミキリムシがいることが考えられます。
カミキリムシの発生を確認したら、薬剤を注入する、あるいは針金でつついて幼虫をほじくりだすなどの方法で対処しましょう。食害されたあとに薬剤で対処するのは難しくなるので、アナベルの剪定時だけでなく日ごろからよく観察しておくことが大切です。
また、乾燥した場所に多く発生するハダニにも要注意です。ハダニは葉の栄養分を吸い取るため、吸われた部分の葉緑素がなくなって針でつついたような白い斑点があらわれます。
被害が進行すると「白いカスリ状」と表現されるような見た目になるようです。葉の裏にスプレーで水を散布することで予防できるようですので、葉が腐らないように注意しながらおこなうのがよいでしょう。
まとめ
アナベルはアジサイの仲間ですが、ふつうのアジサイとは異なり新しく伸びた枝に花芽をつけるという特徴があります。そのため、アナベルの剪定方法や剪定時期は自由に決めやすく、初心者でも育てやすいことで人気があります。
アナベルは生命力が強く、暑さ・寒さにもよく耐えますが、病気や害虫の発生には注意が必要です。どんな剪定法がいいのか悩んだり、害虫がついていたり病気にかかっていたりしないか心配な場合には、剪定業者に依頼することをおすすめします。
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