庭木には、こまめに手入れをしないと、すぐに生育が悪くなるような繊細なものも数多くあります。そのため、手間をかけずに庭木を育てたいというかたも少なくありません。そういったときにおすすめなのが、ヒメユズリハです。剪定の手間が少なく丈夫なところは、育てていく上での大きな利点といえるでしょう。
日本での歴史も古く、最古の和歌集といわれる万葉集にもユズリハの名が記されています。また、縁起のよい木として祭事や神事に使われることもあるので、ご存じのかたが多いかもしれません。ここでは、縁起の良いヒメユズリハを育てる方法やコツを名前の由来なども含めてご紹介します。
ヒメユズリハの育て方
ヒメユズリハは育てやすい庭木です。しかし、ヒメユズリハの育て方には、いくつかのポイントや注意点があります。
植えつけ
植えつけは、春と秋が適しています。しっかりと根づけば、自然の雨だけでも十分に育ちます。暑さにも強く、植えこむ場所は日陰でも問題ありません。
土づくり
ヒメユズリハの土づくりには、栄養豊富な粘土質の土壌がおすすめです。たい肥や腐葉土などを混ぜ込んで、水もちがよく湿度の高い状態を保てるような環境を整えましょう。
肥料
生育が悪いようなら、2月ごろに有機肥料を与えてあげます。即効性の肥料や効果が強すぎるものは、避けておいたほうがよいかもしれません。
水やり
ヒメユズリハは乾燥に弱いので、土が乾いているときには水やりをしましょう。乾燥した状態が続いてしまうと生育も悪くなり、葉が落ちやすくなってしまいます。
病気や害虫
ヒメユズリハは病害虫がつきにくいといわれていますが、こぶ病を引き起こすこともあります。こぶ病は、幹や枝を腐らせる原因になります。ヒメユズリハを剪定するときには、病気になっていないかも確かめましょう。
株の増やしかた
ヒメユズリハは、種まきで株を増やすことができます。10月ごろにつく黒紫色の実から、種を取り出し保存をして、翌春に種まきをします。実には毒性があるため、注意しましょう。
ヒメユズリハの剪定にはコツが要る
ヒメユズリハを丈夫に育てていくには、剪定が重要です。ヒメユズリハを剪定するときのコツは、深く剪定しすぎないことに注意しましょう。1度樹形を崩すと、成長の速度が緩やかなため、元に戻るまでに時間がかかってしまいます。
剪定は、庭のスペースに対して、樹形を崩すほどに成長しすぎたときや間伸びした枝を切り詰めていくのがよいでしょう。また、枝先に10センチほどある葉が密集するので、混みすぎた葉を間引いてあげるのも効果的です。葉を間引くことで、栄養を作り出すための光合成がしやすくなり、より生育がよくなります。
剪定時期は、花が咲いたあとの6月ごろと実が落ちたあとの12月ごろが適しています。成長が遅いことから、1年2回も剪定をおこなう必要はないかもしれません。手入れの手間が少ないのは、はじめてヒメユズリハを育てる方にとっても、扱いやすい庭木といえるでしょう。
ヒメユズリハを植えるには
植物が育つには、それぞれに適した環境が大切です。ヒメユズリハは、日本が原産地ということもあり、国内では東北地方より南で、九州や沖縄を含むあたたかい地域を中心に広く分布しています。その適した環境に近い状態を維持するのが、健康なヒメユズリハを育てる方法の秘訣になるでしょう。
また、見た目は似ていても、特性が大きく異なる品種もあります。例えば、北海道に自生するエゾユズリハは、ユズリハの変種です。背も低く全体的に小型ですが、寒さに強い性質をもちます。寒冷地方では、このエゾユズリハをユズリハの代わりとして、祝い事などに用いるそうです。
ヒメユズリハは、剪定も軽くてよいのですが、植えるまえに特性をしっかり把握して、育つ環境を整えてあげることが大切です。大きく育てれば、シンボルツリーとしても向いており、剪定などの手入れをして樹形を保っていけば、庭の植栽にも使えるので便利です。
ヒメユズリハの特徴
ヒメユズリハは、ユズリハよりも葉が半分ほど小さいので、名前の頭にヒメがついています。しかし、ユズリハよりも樹高が高くなるのは、ヒメユズリハです。剪定には苦労してしまいそうですが、ヒメユズリハは育て方次第で、10メートル以上に成長するものもあるようです。
また、ヒメユズリハは漢字で「姫譲葉」と書きます。春になって新芽が伸びてくる時期に、新しい葉も顔を出してきます。そして、その新しい葉のために、古い葉が場所を譲るように落ちることから、ユズリハの名がついたそうです。
これを親から子への伝承になぞらえて、ユズリハの花言葉には、「若返り」「世代交代」「新生」などがあります。縁起がよいことから、正月木(ショウガツノキ)として新年の飾りに使われたり、学校の記念樹や神事などに用いられたりすることもあります。
まとめ
ヒメユズリハを育てる方法のコツとしては、日当たりのよい場所に植えこみ、乾燥しないように、水もちのよい土壌を保つことが大切です。病気への気配りも忘れないようにしましょう。
家の屋根を超える高さにまで木が成長してしまうと剪定作業は困難になり、脚立などを使った高所での作業は、特に危険をともないます。その場合は、業者にヒメユズリハの剪定を依頼するのも、ひとつの方法かもしれません。
健康に育つことのできる環境で、大きく成長させるのもよいですが、庭に適した大きさを保つということも忘れずにおきたいですね。縁を呼びこめるように、上手に元気なヒメユズリハを育ててみてください。
剪定を依頼できる業者や料金
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