ご自宅で水漏れが発生した場合、数万円もの水道料金を請求されてしまうことがあります。そんなときは減免制度を利用してみてください。減免制度は、水漏れにより高くなった水道料金の一部または全部を免除してくれる自治体の支援措置です。
一定の条件を満たしている住民は、数万円の水道料金を数千円にまで減額できることもあります。でも、自治体によって条件や期限、申請方法などに違いがあるので注意しなければいけません。
申請の遅れや必要書類の不備によって減免が受けられない、といったことにならないように減免の要件をよく覚えておきましょう!
また、減免を申請するには、まず水漏れ箇所の修理をしなければいけません。まだ修理をおこなっていないという方は、本記事をお読みになったあとに生活110番までお電話ください。
目次
不注意や管理不足は減免制度の対象外!
減免を適用するための条件は、自治体ごとに違います。一例として埼玉県飯能市の条件をご紹介しましょう。
・給水装置からの漏水であること
・地下、床下、壁中、その他発見が困難な箇所からの漏水又はメーターからの漏水
・過去1年に同一箇所において漏水減免を受けていないこと
・飯能市指定給水装置工事事業者による漏水修理が完了していること
・修理完了日が漏水発見後2か月以内であること
※市又は飯能市指定給水装置工事事業者の都合により修理が遅延した場合を除く
・申請日が漏水修理の終了後3か月以内であること
・納入期限を過ぎて未納となっている水道料金がないこと
減免の対象とならないもの
・蛇口の閉め忘れなど使用者の不注意による場合
・蛇口、水洗トイレ、給湯器等の給水用具の故障を原因とする漏水
※単身世帯で急な入院等により、自宅を離れている間に発生した漏水については、状況によって減免される場合がありますので、水道業務課までお問い合わせください。
なお、この場合でも減免を希望する検針期間の検針水量が前回の検針期間の検針水量の2倍以上であることが条件となります。
・受水槽及び受水槽先からの漏水
・故意又は重過失と認められるもの
・不正工事に起因するもの
・用途区分が臨時用のもの
引用元:飯能市 公式ホームページ 漏水した場合の水道料金の減免制度について
条件が少々複雑になっていますので、適用できるかどうかは自己判断で決めてしまわずに、水道を管理している水道局に聞いてみてください。また、水道局に問い合わせたときには、「水漏れ箇所」「水漏れ原因」「修理はおこなったのか」「いつ水漏れが発生したのか」「いつ水漏れが発覚したのか」などを伝えることで、スムーズに話が聞けるでしょう。
ただし、水漏れの原因が使用者の不注意である場合(蛇口を締め忘れたなど)や使用者の管理に問題があった場合(設備の劣化を放っておいたなど)は、基本的に減免の適用外です。減免を受けるためには、「水漏れに気づくこと」や「水漏れを予防すること」が困難であったかどうかがとくに重要になります。
結局いくら減額されるの?
減免制度でどのくらい水道代が安くなるのかは自治体によって違います。たとえば、佐賀県佐賀市では減免料金を以下のように定めています。
第3条 給水装置等(貯水槽以降を含む。)の故障により漏水が認められ、漏水個所の修繕工事が完了したときは、当該使用者の申請に基づき水道料金を減免することができる。減免は次の各号に掲げる基準による水量(以下「減免水量」という。)に相当する料金とする。
(1) メータユニオン等によるメータ部からの漏水は、推定漏水量の全量。
(2) 風水害、地震等自然災害による給水装置等の破損に伴う漏水の場合は、推定漏水量の全量。
(3) 給水装置等(貯水槽以降を含む。)の故障による漏水で地下、床下、壁面内部等水道使
用者又は所有者が通常の注意義務によっても発見が困難と認められる場合は推定漏水量の2分の1。
(4) 貯水槽のボールタップ(電磁弁等を含む。)の故障による漏水は、推定漏水量の2分の1。
2 前項の減免水量に小数点以下が存在する場合は、切り上げるものとする。
3 第1項第3号及び第4号の場合においては、次の各号に掲げるとおり、認定使用水量の上限を設けることができ、上限を超える水量に相当する料金は減免することができる。
(1) 推定使用水量が基本水量未満の場合は、基本水量の3倍を上限とする。
(2) 推定使用水量が基本水量以上の場合は、推定使用水量の3倍を上限とする。
4 濁水放水の場合は、管理者が認定した放水量の全量に相当する料金については減免することができる。
引用元:佐賀市 公式ホームページ 漏水等に係る水道料金の減免の基準を定める要綱
要綱の本文のままでは少し複雑でわかりにくいかもしれませんね。簡単にいうと、佐賀県佐賀市における減免料金は、漏水量の「全量」「2分の1」「上限を超えた分」という3種類があるわけです。どれが適用されるかは、漏水の原因や発生箇所、漏水量によって変わります。
ほかの自治体では漏水量の「3分の2」や「4分の3」と規定しているところもあるので、自治体ごとの減免料金を確認することが大事です。漏水量の2分の1でもけっこう大きな金額になりますので、減免を利用するメリットは十分にあるでしょう。
また、水漏れが初めて発生した場合分からないことだらけだと思います。そんなときは以下のリンクを参考にしてみてください。水漏れに関してとりあえず知っておくべき情報をまとめておきました。水漏れ発生時の優先事項を把握したいときに役立つはずです。
漏水量は平均使用水量から算出している
漏水量に対して減免されるといっても、一体どれくらいの水が漏れたのか正確にはわかりませんよね。
そこで、各自治体は「平均使用水量」を用いて漏水量を計算しています。平均使用水量とは1か月間に使用する水量の平均値のことですが、この平均使用水量を超えた分を漏水した水量として扱っているのです。
つまり、「普段使っているであろう水量を超えた分」が漏水量として扱われるので、水漏れした大部分は減免対象となるでしょう。
平均使用水量の算出方法は自治体によって違う
「普段使っているであろう水量」の算出方法は自治体によって違います。でも、どの自治体の算出方法であってもそれほど大きな違いは出ませんので、あまり気にする必要はないかもしれません。一例として群馬県富岡市、岐阜県瑞浪市、群馬県藤岡市、埼玉県飯能市の4都市における平均使用水量算出方法をご紹介しておきましょう。
岐阜県瑞浪市:漏水が発生した月の前4か月間の平均値
群馬県藤岡市:漏水が発生した月の前6か月間の平均値
埼玉県飯能市:漏水が発生した月の前年の同じ月とその前後2か月間の平均値
群馬県富岡市、岐阜県瑞浪市、群馬県藤岡市では、漏水が発生した月の前数ヶ月間から平均使用水量を算出しています。3都市の違いは何か月間を考慮するのかという点です。埼玉県飯能市の場合は少しわかりにくいかもしれませんので、以下に例を出してみます。
各月の使用水量は以下のとおりとする。
2018年7月の使用水量:20立方メートル
2018年8月の使用水量:30立方メートル
2018年9月の使用水量:25立方メートル
平均使用水量 = ( 20 + 30 + 25 ) ÷ 3 = 25立方メートル
減免の対象は「漏水で増額した水道の料金」のみ
請求された水道料金が高いからといって、必ずしも原因が漏水であるとは限りません。
減額の対象となるのは水漏れした分の水道料金のみで、「水道設備の修理費」や「通常の生活で使用した分の水道料金」には適用されません。たとえば、下記のような場合は、漏水分の水道料金である5,000円にのみ減免が適用されます。
28,000円 = 20,000円 + 3,000円 + 5,000円
通常の水道料金は変わらず徴収され、修理費も自費負担となることを覚えておきましょう。また、「修理費に火災保険は使えるかな?」という疑問があるかもしれませんが、残念ながら水漏れの修理費に保険は適用されないことが多いです。
ただし、水漏れによって建材が傷んでしまったという場合に、建材の修理費には火災保険が適用されることがあります。水漏れと火災保険の関係については以下の記事で解説していますので、気になる方は一度目を通してみてください。
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漏水認定期間が長いほど減額が大きくなる!
減免が適用される期間のことを「漏水認定期間」といいます。漏水認定期間は基本的に1か月(1期)ですが、場合によっては2か月(2期)以上になることもあります。2か月(2期)以上になるのは、「長期に渡って水漏れが続いていた場合」や「検針日をまたいで水漏れが続いていた場合」などです。
漏水認定期間が長いほど減額される金額は多くなり、水道料金の自己負担額を減らすことができます。自治体によって漏水認定期間は違うので、お住まいの地域を管理している自治体に確認してみてください。
一例として、埼玉県飯能市と佐賀県佐賀市が定める漏水認定期間についてご紹介しますので、参考にしてみてください。
料金が減免されるのは、漏水を発見した日が属する検針期間から漏水修理が完了した日が属する検針期間までの内、漏水量が最も多い1検針期間となります。ただし、市又は飯能市指定給水装置工事事業者の都合による修理の遅延等があった場合で、漏水期間が3検針期間(6箇月)以上となる場合は、その内の2検針期間を減免の対象とします。
引用元:飯能市 公式ホームページ 漏水した場合の水道料金の減免制度について
漏水があった使用期間(定期の検針期間)の1期(2か月)が減免対象となります。
ただし、漏水があった使用期間が検針日をまたがる場合は、最大で2期(4か月)が減免対象となります。
引用元:佐賀市 公式ホームページ 漏水に伴う水道料金の減免について
減免を手続きする一連の流れ
水漏れが発覚してから、減免によって水道料金の還付を受けるまでの流れを6つの手順でご紹介していきます。それぞれの手順での注意事項も一緒にご紹介しますので、あわせて覚えておきましょう!
減免を申請する手順
手順1.水道設備の修理を「指定給水装置工事事業者」に依頼する
手順2.「水漏れ箇所の写真」を取り、修理してもらう
手順3.指定給水装置工事業者から「漏水修理証明書」をもらう。
手順4.自治体のホームページから「減免申請証明書」をダウンロードして、記入印刷する。
手順5.漏水修理証明書と減免申請書を「水道局」に提出する。
手順6.水道局の審査後、口座に減免分の料金が支給されて完了。
手順1. 水道設備の修理を「指定給水装置工事事業者」に依頼する。
指定給水装置工事事業者とは、自治体が「その給水区域において給水装置工事を適正に施工することができる業者」であることを認めて指定した事業者のことです。
指定給水装置工事事業者ではない者に修理してもらった場合は、減免の適用外となる可能性があります。自治体や水道局のホームページに指定給水装置工事事業者の一覧が載っていますので、そちらを確認して修理を依頼するようにしましょう。
手順2.「水漏れ箇所の写真」を撮り、修理してもらう。
自治体や水道局によっては、水漏れ箇所の修理前・修理後の写真が減免申請に必要になる場合があります。床下の配管のように自分で撮影するのが難しい場所は、修理業者に依頼して写真を撮ってもらうとよいでしょう。申請に写真が必要かどうかは各自治体・水道局のホームページや電話等でご確認ください。
手順3. 指定給水装置工事事業者から「漏水修理証明書」をもらう。
漏水修理証明書とは、水漏れが発生していた設備の修理を実施したという証明書です。水道局や修理業者によっては名称が違うことがありますので、修理業者に「減免申請するための証明書(またはその写し)がほしい」という旨を伝えるようにしてください。
手順4. 自治体・水道局のホームページから「減免申請証明書」をダウンロードして、記入押印する。
減免申請証明書は自治体によっては名称が違うので、各自治体で使用されている申請書を用意するようにしてください。また、水道局の窓口や指定給水装置工事事業者から直接交付してもらえる場合もあります。ネットから申請書のダウンロードができない方は、申請書がもらえるかどうかを水道局や修理業者に聞いてみてください。
手順5. 漏水修理証明書と減免申請書を「水道局」に提出する。
自治体によっては書類の提出先が「上下水道課」「上下水道部」「水道企業団」といった名称になっていることがあります。提出先はしっかりと確認しておきましょう。また、代理人による申請を認めている自治体もありますが、基本的には本人が提出することをおすすめします。手続きがスムーズに進むからです。
手順6. 水道局の審査後、口座に減免分の料金が支給されて完了。
必要書類を提出したら、後は審査の通過を待つだけです。審査期間は自治体によって違うため、いつ完了するのかハッキリとは決まっていません。審査が完了したら変更後の料金が通達され、減額された分の料金が振り込まれます。
福岡県久留米市のホームページでは審査期間について以下のように記載されているので、参考までにご覧ください。
通常は、申請から1か月程度で審査を行い、その後に減免通知書を郵送にてお送りします。但し、修繕後の実績調査が必要な場合や、次回検針の使用量が減免の対象となる場合は、2~3か月後に減免通知書をお送りします
引用元:久留米市 公式ホームページ 漏水にかかる料金減免制度について
水漏れした月の水道料金の支払いがまだ完了していない場合には、減免分の料金を差し引いた請求書が届くこともあります。この場合は口座振込で還付を受けるのではなく、減免後の水道料金を支払って完了となります。納入期日を過ぎて給水停止なんてことにならないよう注意してください。
減免申請には提出期限がある
減免の申請書には提出期限があります。期限を過ぎると受け付けてもらえないので、できるだけ余裕をもって申請しましょう。水漏れ箇所の修理完了後すぐに提出すると安心です。
提出期限は地域を管理している自治体ごとに違いますので、詳しくはお住まいの自治体のホームページでご確認ください。以下は各自治体の提出期限の一例になります。
沖縄県うるま市:漏水修理の完了日から2か月以内
静岡県磐田市:漏水修理の完了日から3か月以内
愛媛県新居浜市:漏水修理の完了日から6か月以内
まだ修理が終わっていない方は生活110番へ
水漏れによる高額な水道料金を減額するうえで、減免はとても有用な制度です。でも、場合によっては条件を満たせず減免が受けられないこともあります。水漏れが発生したときは、水道料金が高くなってしまう前に一刻も早く修理することが大切なのです。
減免申請をするにも、まずは水漏れ箇所の修理をしなければいけません。まだ修理を依頼していないという方は、ぜひ生活110番までお電話ください。
生活110番では24時間いつでも電話受付をおこなっており、水回りのトラブルに迅速に対応しています。対応エリアは47都道府県となっていますので(一部の離島を除く)、どの地方にお住まいの方でもお気軽にご相談ください。
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