
動画編集などの重い作業が中心になり、メモリやグラフィックボードを増設したいと考えたことはありませんか。場合によってはCPUを交換して高性能にしたい、そんなときもあるでしょう。しかしそこで壁になってくるのが「型番」。パソコンの心臓部・マザーボードにはいくつもの部品が載っているのですが、このマザーボードに合わせてメモリなどを選択しなければ増設した効果を実感することがむずかしいこともあるのです。
今回は型番から何がわかるかを確認しつつ、マザーボード型番の調べ方を確認していきます。
目次
マザーボード型番からわかることとは
そもそもなぜ、マザーボードの型番を調べる必要があるのでしょうか。じつはマザーボードがどんな性能を持っているかを調べなければ、パソコンの高性能化をすることはむずかしいのです。
マザーボードはパソコンの性能を決める要素
パソコンの性能を決めるのはCPUやメモリ容量、グラフィックボードだけだと思っていませんか?
確かにこうした部品は性能に大きな影響を与えています。しかしこうした部品を最終的にまとめ上げるのがマザーボード。個々の人間が優秀でもまとめ役のリーダー次第でグループの評価が変わるように、マザーボードによって最終的な性能は変わってくるのです。
しかもマザーボードの性能は部品選び自体にも影響してきます。高性能なCPUやメモリを利用するには、そもそもマザーボード自体の性能が高いものである必要が出てくるのです。そのためメモリなどの部品を交換する際には、マザーボードの型番を確認して性能を見極める必要が出てきます。
型番によって何が違うの?
マザーボードの型番によって、次のような性能に違いが出てくることに注意しましょう。
ビット数
現行使われている多くのパソコンは「32bit」か「64bit」のいずれかになっています。このビット数、簡単に言えば同時に処理できる量のことを指しており、同じ条件なら64ビットの方がより多くの情報を処理できます。
このビット数を決める要素が「CPU」「メモリ」「マザーボード」「OS」「アプリケーション」の5つです。どれかが低いビット数のものであればその条件でしか動かなくなります。また32bitの制約として「メモリを4GBまでしか取り扱えない」という点もあるのです。いくらメモリを増やそうとも、32bitでは4GBしか扱えません。マザーボードが64bitに対応しているかどうかはこの点で重要になってくるでしょう。
使えるCPU
先ほども触れたとおり、CPUの性能を最大限発揮するためにはそのぶん、マザーボードの性能も高い必要があります。最近では「Core i9」「Xeon」「Ryzen」といった高性能CPUも登場してきましたが、マザーボードが古いとその性能に追いつけないことも多いのです。
使えるメモリ
よく気にするのは4GB・8GBなどメモリの「容量」ですが、メモリの性能を決める要素はそれだけではありません。とくに意識したいのが「ピン数」(端子部の数)で、このピン数が多いほど一般的にメモリの読み書きするスピードが速くなるのです。
しかしマザーボードではあらかじめ決まったピン数のメモリしか利用することができません。パソコン部品の中でもメモリは高額な部類、買い間違えなどあったら大変なことになるでしょう。そのためマザーボードの性能や搭載されているソケットについて事前に調べておき、適切なメモリを選ぶ必要があるのです。
USB・LANなどの規格・数
USBやLANの規格には日々新しい技術が取り入れられ、より高速なものが扱えるよう進化を続けています。しかしそれがマザーボードにすべて取り入れられているかといえば、そうではありません。
有線LAN(Ethernet)における2018年12月現在の最新規格は10Gbpsでの転送に対応した10GBASE-Tです。しかし現在は1世代前・1000BASE-T規格のマザーボードが多いほか、少し古いと100BASE-Tにしか対応していないということも。
有線LANであればインターネットなどの速度が落ちるだけですが、USBに関しては「USB3.0以上にしか対応していない」という機器も存在します。USB2.0ポートしかないマザーボードであれば拡張ボードなどを利用する必要が出てくるのです。またマウスやキーボード接続にはUSB2.0規格で十分なこともあり、現在販売されているマザーボードであっても「USB3.0ポートを3つ、USB2.0ポートを4つ」といった数になっていることは意外と多いので注意が必要でしょう。
使える拡張ボード
グラフィック性能やポートの増設など、パソコンの機能を強化するのが拡張ボードです。最近のパソコンでは「PCI Express」という規格が主流になっており、多くのパソコンでは共通して利用することが可能です。
しかし気を付けたいのが拡張ボードの使える数とソケットの長さ。拡張ボードはマザーボードに差し込むもののため、マザーボード側のソケットが足りていなければボードを増やすことができないのです。拡張ボードによっては大きくスペースを取るものもあるため、配置を確認しておかなければせっかく買っても宝の持ち腐れになってしまいます。また扱う情報量の増加によりソケットの長さも長くなっており、古いマザーボードでは新しい拡張ボードを追加できないことも考えられるのです。
マザーボード次第でパソコンの性能・そして高性能にできる範囲も大きく変わってきます。今のパソコンの性能に不満を感じたら、一度マザーボードの型番を調べてきましょう。マザーボード型番の調べ方については、次章から解説していきます。
マザーボード型番の調べ方①:コマンドプロンプトから調べてみよう
マザーボードの型番を調べるには、実際にパソコンのマザーボードを取り出してみないとわからない……そう思っていらっしゃる方は多くありませんか。実際にはマザーボード情報はパソコンの内部で管理されているため、その情報を確認することができるのです。
まずはシステムの情報を調べる基本、コマンドプロンプトを利用した方法をご紹介しましょう。
コマンドプロンプトを起動させよう
コマンドプロンプトを起動させる簡単な方法はWindows10の場合、「スタートメニュー」をクリックし、「cmd」と入力しましょう。すると「コマンドプロンプト」が出てくるため、すぐに起動させることができます。またはアプリケーションが並ぶ一覧から「Windowsシステムツール」を選択すれば出てきます。
wmicコマンドを利用
コマンドプロンプト上でシステムの情報を得るのであれば「systeminfo
」を思い浮かべる人は多いかもしれません。しかしこれだとパソコンのモデルがわかってもマザーボードの情報はあまり出てこないのです。
代わりに使えるのが「wmic
」コマンド。WMI(Windows Management Instrumentation)というシステムの中核にアクセスし、「systeminfo
」よりも詳細なデータを見ることができるのです。
このうちマザーボードに関する情報は「wmic baseboard get…
」で簡単に確認できるようになっています。次のように打ち込めば「メーカー」「型番」「バージョン」「シリアル番号」を見られるので、一度打ち込んでみましょう。
(入力)
wmic baseboard get Manufacturer,product,version,serialnumber
(出力例)
Manufacturer Product SerialNumber Version
STK Inc. 99ZZZZ /11AAAA1/AAAAA111AA1/ A00
あとは得られたメーカー名、型番をインターネットで改めて検索してみることで、マザーボードについての情報が明らかになることが多いです。
マザーボード型番の調べ方②:BIOSから調べてみよう
WindowsなどのOSの下で、パソコンの部品や周辺機器のコントロールを支えているのがBIOS(Basic Input/Output Sysyem)というシステムです。このうち近年仕様が変更されたBIOSはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)と呼ばれることもあります。
こうした役割を持つBIOSなので、マザーボードに関する情報も取得・管理しているのです。
なおBIOSの入り方には主に次の2つの方法があります。
起動時に特定のキーを押す
パソコン起動時、最初に立ち上がるのがBIOSです。そのため電源を入れる際、特定のキーを押すことでOSを自動的に立ち上げずBIOSの設定画面に移ることが可能となっています。なお押すキーについてはメーカーごとに異なりますが、多くの場合「F2」または「Delete」キーのことが多いようです。
なおWindows8以降のパソコンの一部ではシステム終了時、OSを完全には落とさず次回利用時すぐ立ち上がるようにしていることもあります。この場合は一度OSを落とす「再起動」を利用しましょう。
Windows設定から選択する
Windows8以降では「設定」を利用してBIOS画面に入ることも可能です。
Windows10
スタートメニューから「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「今すぐ再起動」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「UEFIファームウェアの設定」→「再起動」
Windows8系
画面右側に出るメニューから「設定」→「PC設定の変更」→PCの起動をカスタマイズするの「今すぐ再起動」、以降Windows10と同様
BIOSは方向キーによって各項目を移動していきます。BIOSによっても違いますが、「Main」や「System Info」といったタブから情報を調べることができるようです。なおBIOSはパソコンの中核を担うシステムなので、むやみに設定変更をしないよう気を付けましょう。
マザーボード型番の調べ方③:フリーソフト「CPU-Z」「Speccy」を利用してみよう
これまで紹介した2つの方法は特別なアプリケーションを使わず、Windows本来に備わっている機能を利用してマザーボードの型番を調べてみました。しかし通常は参照しない機能と考えられているからか、複雑と感じる方も多いでしょう。そのような需要を見越して、簡単に調べられるフリーソフトがあるので使ってみるのもひとつの手です。
型番を調べられるソフトとして、次のようなソフトがあげられます。
・CPU-Z
・Speccy
どちらのソフトもマザーボードの型番だけでなく、パソコンの機器に関わる仕様・温度などの情報を一覧にして表示させることが可能です。コマンドプロンプトやBIOSを直接確認するより簡単なツールとして、インストールしておいてもよいでしょう。
マザーボード型番の調べ方④:Macの場合
近年はiPhoneのヒットにより、Apple製のパソコンMacの人気も高まってきました。しかしこれまで確認してきた方法はWindowsが中心で、Macには対応していないことも多いです。そのため次のような方法でマザーボードについて調べてみてください。
方法1:モデルを調べる
MacはAppleで設計から製造まで一貫しておこなわれていることから、モデルを特定すれば型番を調べずとも、マザーボードの仕様について特定可能な場合が多いです。左上の「Appleメニュー(リンゴのマークのアイコン)」から「このMacについて」を開けば「機種名」「いつのモデルか」などを調べられるので、その後Appleのwebサイトで仕様を確認してみましょう。
方法2:シリアル番号を利用する
Macの場合、シリアル番号から調べることでより詳細にマザーボードの仕様を確認することができるようになっています。先ほどの「このMacについて」からシリアル番号についても確認できるほか、シリアル番号から細かな仕様について検索することもできるのです。
メモリ・CPU交換はパソコン修理のプロに任せる手も
マザーボードの型番を調べる機会はやはり「CPU交換」「メモリ増設・交換」といった、マザーボードに手を加える前提が多いでしょう。しかしマザーボードは精密な部品が多く載った基盤であり、慎重に取り扱わなければ故障のおそれも出てきます。とくに次のような部分には注意が必要です。
静電気
マザーボードに載っている機器はデリケートです。そのためコンデンサなどを利用し、細かな電圧コントロールがされているのですが、静電気などで想定外の電圧がかかってしまえば故障のリスクも大きくなってくるでしょう。
ほこり
マザーボードにほこりが付けば最悪の場合ショートしてしまいます。ショートによって想定外の電流・電圧がかかってしまえば静電気のときと同様、故障のリスクが高まってしまうのです。
必要以上の力を加える
CPUやメモリなど、部品によっては不意に外れてしまわないようしっかり固定されていることも多いです。かといって取れないからと無理に力を加えてしまえば、ピンなどが破損することも考えられます。かといって力を加えないわけにはいかず、適切な力加減を見極める必要が出てくるでしょう。
接続状態が不十分に
逆に部品を取り付ける際、差しかけの状態・抜けかけの状態で放置してしまうことも考えられます。マザーボードやメモリなどに対しては想定外の処理が起こるおそれがあるため、パソコンのフリーズ、最悪故障へとつながってしまうのです。
こうしたリスクを防ぐため、CPUやメモリ、あるいはマザーボード交換などの作業に関してはパソコン修理のプロに依頼するのが確実といえるでしょう。とくに一体型パソコンやノートパソコンの場合マザーボードにたどり着くのさえ一苦労なことも多く、取り付け方が特殊になっている可能性も否定できません。費用はかかりますが、安心を得るための費用と考えれば意外と高くないことも多いのではないでしょうか。
まとめ
マザーボードはパソコンによってそれぞれ仕様が異なるうえ、対応するCPUやメモリも変わってきます。そのためCPUやメモリ交換を考え始めた際はまず、マザーボードの型番から調べていくのが大切になってくるでしょう。マザーボード型番の調べ方をマスターすれば、あとは対応する部品を確認・購入して交換作業に入ることができます。
しかしマザーボードはデリケートな部品のため、これを抜き差しすることはパソコン故障のリスクを高めることも忘れてはいけません。そのためパソコン修理のプロに依頼して安全に作業をおこなってもらうことも場合によっては必要となってくるでしょう。
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依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「パソコン修理」をご覧ください。
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