
パソコンを長い間使っていると、購入したころに比べて動作が重くなるものです。動作が重いと操作に時間がかかってしまい、ストレスがたまってしまうのは避けられないでしょう。
パソコンの動作を改善したいといっても、その原因はさまざまです。ひとつだけ問題が起きた場合はそれほど重くなくても、複数の問題が重なった結果、動作が重くなることも少なくありません。ですから、問題を解消するためにはひとつひとつ原因となるものを調べ、解決していく必要があります。
今回このコラムではパソコンの動作が重いときの解消法について、原因別に解説していきます。原因によってとるべき対処はさまざまなので、まずはパソコンが重い原因を解明するところからはじめるようにしましょう。
目次
原因①【メモリ・ハードディスク容量の不足】
パソコンが一度に処理することができるデータ量は、「メモリ」と呼ばれています。メモリはパソコンの作業机ともいえる存在であり、メモリが少なければその分同時に作業できる量は少なくなるでしょう。
また、メモリが少ない場合もパソコンは一定の作業容量を確保するため、本来はファイルを保存しておく部分であるハードディスクをメモリのように使うことがあります。
この機能を「仮想メモリ」というのですが、本来のメモリよりは読み書きできる速度が遅く、結果としてパソコンの動作が重い原因となるのです。
タスクマネージャーでメモリの状態を確認しよう
Windowsの場合、パソコンで動いているソフトを管理する「タスクマネージャー」を活用することで、常駐ソフトの確認が可能です。タスクマネージャーを起動するには、[Ctrl]と[Shift]と[Esc]の3つのキーを同時押しして、「タスクマネージャー」を起動しましょう。
メモリ使用量は、タスクマネージャーの「パフォーマンス」のタブを選択することによって確認することができます。使用メモリが搭載メモリと近い数値、さらには使用メモリが搭載メモリを上回っている場合は、パソコンが重い原因はメモリ不足にある可能性が高いでしょう。
なお、macOSの場合は起動ディスクから「アプリケーション」から「ユーティリティ」のフォルダを開き、そこからさらに「アクティビティモニタ」を開くことで、メモリ使用量の確認が可能となっています。
メモリ不足を解消するには?
メモリ不足の原因のひとつとして、ハードディスクの容量が足りなくなっている点があげられます。そのため、メモリ不足の対策として、思い切って使用していないアプリケーションやファイルを削除するのが手っ取り早いでしょう。
この際に注意すべきなのは、ごみ箱から削除したデータは復旧することができないということです。削除する前に本当に削除していいデータなのかしっかりと確認するようにしましょう。
また、Windows10の場合、「ディスククリーンアップ」を実行することでハードディスクの容量を減らすことが可能となっています。以下の手順でディスククリーンアップをおこなえば、動作の問題が解決するかもしれません。
2.「プロパティ」を選択し、出てきた画面から「ディスクのクリーンアップ」を選ぶ。
3.ディスクのスキャンが始まるので、完了するまでしばらく待機する。
4.ディスククリーンアップの画面から「システムファイルのクリーンアップ」を選ぶ。
5.再度ディスクのスキャンが始まるので、完了するまでもう一度待機する。
6.ディスククリーンアップの画面から削除するファイルにチェックを入れる。
7.「OK」→「ファイルの削除」で不要なファイルの削除が開始される。
場合によっては、過去の更新プログラムなどによって数GBもの不要なデータが溜まっている場合があります。説明文をよく読んだうえで、不要なファイルを削除してハードディスクを整理しましょう。
しかし、音楽や写真データのように、あまり使わないデータではあるけど削除はしたくないものもあるでしょう。そういったデータは、外付けハードディスクやUSBメモリ、SDカードなどに移動するとよいでしょう。この時、重要なデータもコピーしておけばデータのバックアップができるので一石二鳥です。
メモリ増設の前に、パソコンが32bitか64bitかを確認
メモリ不足を解消する手段として、メモリ自体の増設を考えるのもよいでしょう。最近のパソコンはメモリの使用量も増加しているため、最新のOSを利用している場合は8GB以上を目安に増設することを検討した方が得策かもしれません。
なお、近年では64bitのパソコンが主流ですが、価格の安さから32bitのパソコンを購入する方もいるかもしれません。この2種類は同じように見えて異なる部分も多いため、メモリ増設時には注意が必要になります。
32bitのパソコンは理論上合計4GB、Windowsの場合は実質3.3GBほどのメモリしか認識することができません。そのため、これ以上の容量のメモリを増設したい場合は、64bitのパソコンを購入しておく必要があるでしょう。
また、64bitのパソコンに32bit版のOSが入っている状態だと、認識可能なCPUのサイズは4GBまでとなります。OSを64bit版にすることでより多くのメモリを認識させることが可能なので、この場合はOSを変更するようにしましょう。
32bitと64bitでは、使用可能なメモリの種類も異なります。メモリ増設の際にはパソコンのbit数についても一度確認しておきましょう。
原因②【常駐ソフトの稼働】
性能的には十分でも、起動しているプログラムが多ければ処理が多くなり、パソコンが重い原因にもなるでしょう。
パソコン内のアプリケーションは利用者が実際に操作できるもののほかに、パソコンの起動時に立ち上がり、裏で動作しながら機能を提供するものがあります。これを「常駐ソフト」といい、ウイルス対策ソフトがその一例です。
常駐ソフトを確認しよう
Windows10の場合、タスクマネージャーの「スタートアップ」から常駐ソフトを確認することが可能です。その一覧の中で不要なソフトの欄を右クリックして「無効化」を押すと、そのソフトを停止することができます。
ここで注意しなければいけないのは、誤って重要なソフトを終了させてはいけないということです。
例えば、もし誤ってセキュリティソフトを停止させてしまうと、パソコンがウイルスをはじめとする脅威になす術もなくなってしまうでしょう。
もし常駐ソフトを停止する場合には、そのソフトがパソコンにとって必要不可欠な存在なのか、事前にソフト名で検索して調べておくのをおすすめします。
原因③【データの断片化】
パソコンはハードディスクにてデータの書き込みをしています。書き込みに必要な広い領域が確保できなくなってしまうと、狭い複数の領域に分割してデータを書き込むようになるのです。こうしてデータが複数に分裂するのを、「断片化」と呼ばれています。
断片化したデータが蓄積されていると、パソコンが重くなる原因になってしまいます。それだけでなく、あちこちに散らばったデータを集める必要があるため、パソコンに余計な負担をかけて寿命を縮めてしまうおそれさえあるのです。
デフラグでデータを整理しよう
データの断片化を改善するためには、「デフラグメーション」、略して「デフラグ」をおこなう必要があります。デフラグによって散らばっていたデータを整理することで、ハードディスクの容量が増えたりパソコンの動作が軽くなったりするのです。
Windows10の場合、初期設定で毎週デフラグを実行しています。ですが、もし設定を変えたかったり手動でデフラグを実行したりしたい場合、「ローカルディスク(C:)」を右クリックしてプロパティを選びます。すると、「ツール」の欄からデフラグの画面に移動することができるでしょう。
原因④【視覚効果(アニメーション)】
パソコンを操作する際にはアニメーションが演出されるため、感覚的にパソコン操作を理解するのに役立つ場合があります。また、透明効果などのエフェクトによって、画面の見た目も美しく仕上がっています。ですが、こうした視覚効果も、パソコンが重い原因のひとつになり得るのです。
アニメーションや透明効果のような視覚効果は、必ずしもパソコンに必要なわけではありません。ですので、もし見た目より機能性を重視したい場合には、視覚効果を切ることでパソコンの動作を速くするのもよいでしょう。
Windows10の場合、「設定」の「簡単操作」の項目にある「ディスプレイ」の欄から、アニメーション表示や透明効果のオンオフを切り替えることが可能です。
原因⑤【ウイルス】
もしかしたら、パソコンが重い原因はウイルスに感染しているせいかもしれません。ウイルスの中には視覚的に感染をアピールしてくるものもありますが、その多くが秘密裏に作動し、パソコンに悪影響を与えるものとなっています。
ウイルスに感染すると、勝手にプログラムが閉じたりファイルが消えたりするなどの症状が発生しますが、パソコンの速度が遅くなるのも症状の1つに数えることができます。パソコンの挙動がおかしい場合は、ウイルスの感染を疑うようにしましょう。
スパイウェアにも要警戒
ウイルス以外にも「スパイウェア」にも注意しておくべきでしょう。スパイウェアは個人情報を盗み出すのが目的なので、ウイルスのように目立つ症状が出てくるケースは少ないです。そのため、感染に気付けないことも珍しくないのです。
パソコンをウイルスやスパイウェアから守るためには、OSのアップデートやウイルス対策ソフトの定義ファイル更新、そして定期的なスキャンをかかさないようにすることが大切になってきます。また、ウイルス対策ソフトの期限やOSのサポート期限も気にかけておきましょう。
なお、ウイルスやスパイウェアは、フリーソフトに内蔵されていることも少なくありません。ですので、もしフリーソフトをダウンロードする場合には、必ず信頼できるダウンロードサイトを利用するようにしましょう。
原因⑥【スペック不足】
パソコンが快適に動作するかどうかは、CPUの種類やクロック数、マザーボードやグラフィックの性能など、さまざまな要素に左右されます。メモリが十分に足りているのにパソコンが重い場合は、こうした各部分の性能についても確認してみましょう。
最後に、種類が多く比較しやすいCPUとグラフィックについて解説していきます。ひょっとしたら、パソコンが重い原因は各種パーツのスペック不足にあるかもしれません。
CPUについて
「中央処理装置」とも呼ばれるCPUはパソコンの頭脳といえる部分であり、この部分が高性能なら全体的に処理が早くなります。パソコンの動作が重い場合は、使用するアプリケーションがパソコンの処理能力の範囲内かどうかを確認する必要あるでしょう。
CPUの性能を決める条件として、次のような要素があげられます。
CPUの種類
一口にCPUといっても、使用目的によって向いているCPUは異なります。Intel製のCPUでいえばCore i3/i5/i7といったシリーズが代表的ですが、費用を抑えたモデルにはCeleronやPentiumといった比較的性能の低いCPUが使われている場合も多いのです。
もし自分のパソコンのCPUがCeleronやPentiumだった場合には、高性能のCPUを搭載したモデルへの買い替えを検討してみるのもよいでしょう。なお、Core iシリーズは同じi5やi7でも品番によって性能が異なってくるため、注意が必要です。
CPUのコア数
コアとは、実際に処理をおこなうCPUの中核部分です。2000年の時点では1つのCPUに1つのコアが一般的でしたが、現在では1つのCPUに複数のコアがあるものが主流となっています。
基本的に、1つのコアでは1つの処理しか同時におこなうことができません。一見して複数の処理を同時にやっているように見えても、実際にはひとつずつ処理を切り替えながらおこなっているので、全体として遅くなってしまうのです。
しかし、複数のコアがあればそのぶん処理を並行することができるため、スペックとしても高性能となる場合が多いのです。一方で、コア数が増えると値段が割高になったり、消費電力が多くなってしまったりするといったデメリットも存在しています。
CPUのクロック数
クロック数はCPUの処理速度ともいえる数値で、基本的に数字が大きいほど処理が早く、高性能と考えても大丈夫でしょう。最近のCPUのクロック数はギガヘルツ(GHz)単位が一般的です。
近年では通常時のクロック数に加え、高処理が必要な際に速度を高めるターボブースト機能の付いたCPUも多くなっています。もし同じコア数のパソコンが複数あった場合、クロック数を参考にしてみるのがよいでしょう。クロック数が高い方が、パソコンの速度も速いです。
CPUの性能は、これらの条件を総合して決まります。もしパソコンの動作が重い場合は、これらの数値を一度確認してみましょう。
グラフィック
2018年現在では、CPUが画面表示などのグラフィック処理機能を担う場合も多いですが、高度な画像処理・動画編集アプリケーションや3Dゲームなどを利用する場合は、グラフィック性能が動作にも影響してきます。
グラフィックの処理回路は「GPU」とも呼ばれ、グラフィックボードという形で搭載することも今なお主流です。GPUには「GeForce」や「Radeon」といったブランドがあり、必要な性能によって価格も大きく異なります。
また、アプリケーションによっては動作要件がまとめられているものもあります。その要件も目安に、各種スペックが動作に足りているかを確認してみましょう。
高スペックなパソコンなら仮想通貨も扱える?
処理能力が高いパソコンは単に動作が早いだけでなく、さまざまな恩恵を受けることができます。高度な処理能力を要求するゲームで遊べたり、より高度な動画編集が可能になったりするのですが、その中でも注目したいのが「仮想通貨のマイニング」です。
仮想通貨のマイニングとは、仮想通貨の取引を成立させるためになくてはならない行為で、これをおこなうことで報酬として仮想通貨を受け取ることも可能なのです。仮想通貨のマイニングをするには高い処理能力をもつパソコンが必要であり、それさえあればご家庭でもマイニングができるでしょう。
どうしても改善しない場合は…?
スペックが足りているのにパソコンが重く、どんな手を使っても動作が改善しない場合は、ハードディスク自体が故障してしまっているおそれがあります。もしパソコンが重い原因が故障にあった場合は、業者に修理を依頼するしかないでしょう。
業者にパソコン修理を依頼した場合、修理の内容によってかかる費用はばらつきがあります。例えば、ハードディスクを交換するとしたら、部品代を含めた費用相場は約2万円からとなっています。
なお、パソコンの修理をおこなうと、故障の状態によっては内部のデータを初期化せざるを得ない場合もあります。ですので、常日頃からバックアップをとっておき、万が一の事態が起きてもデータを復元できる状態を作っておきましょう。
パソコン動作を早くするためのほかの方法
ここまでに紹介してきた方法以外にも、パソコンの動作を早くするための方法はあります。それは、電源オプションを高パフォーマンスにする方法と、自動メンテナンスの時間を変更する変更する方法です。
電源オプションを高パフォーマンスにする
パソコンは動作を早くすればするほど、消費電力が上がります。そのため、パソコンを高速にしたいと考えている方は、省電力モードを解除しておくとよいです。消費電力は上がってしまいますが、それでも「パソコンの動作を改善したい」という方は、試してみてください。
自動メンテナンスの時間を変更する
Windowsには標準で「自動メンテナンス」機能が搭載されており、ある特定の時間になると自動でメンテナンスされるしくみになっています。しかし、「自動メンテナンス」はパソコンが起動されているときでないと実行されません。もし、パソコンを使いたいときに「自動メンテナンス」が開始されるとパソコンの動きがとても遅くなってしまいます。
動作が重くて困っているというかたは、作業の邪魔にならない時間にメンテナンスするように設定すれば解決できます。
まとめ
パソコンが重い原因にはさまざまなものがありますが、原因がわかればその対策も可能です。ただ、32bitと64bitの違いや細かな品番ごとの性能差など、理解しづらい部分も含まれてきますので、対策は慎重におこなうようにするべきでしょう。
また、今回紹介したもの以外にも、パソコン自体の故障をはじめ原因はさまざまです。ですので、わからないことがあればパソコン修理のプロなど、専門知識をもった人に頼ることも大切になってきます。
パソコンは今やオフィスだけではなく、ご家庭にも必要不可欠なものとなっています。もし動作に問題が起きるようになったら、パソコン修理のプロに相談してみるのがおすすめでしょう。
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