電気を使用する私たちの生活には、電気を届ける電線が必要です。また電線だけでなくテレビを映すためのケーブルやインターネットを利用するためのケーブルなど、家のなかにはさまざまなケーブルが張り巡らされています。
ケーブル類が必要であると同時に、それらを敷設する配線工事もまた必要不可欠です。
配線工事の作業風景というものはあまり見る気機会がなく、いったいなにをしているのだろうとお思いの方も多いのではないでしょうか。
また、電気に少し詳しく器用な人のなかには、自分で配線工事をしてみようと考えている方もいるかもしれません。
しかしプロでなければケガや事故につながることもあるのです。
今回は電気配線の工事、その全容について解説します。
目次
1.家の中の配線工事って全部でどれぐらいあるの?
「電気配線」と一言でいっても、その種類は多岐にわたります。テレビや電話のコードも配線の1つですし、照明やインターホンにも普段は見えない配線があります。電気配線の工事を知る前に、それぞれの種類について見ていきましょう。
1-1.VVFケーブル
VVFケーブルとは、電線をビニル被覆とビニルシースで覆った構造をしています。
「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」とよばれる種類のケーブルです。VVFとは英語名Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cableの頭文字を取ったものになります。
おもに屋内の低圧配線で使用されるケーブルで、中を通っている線の数で2心・3心・4心というように種類が分かれています。
1-2.テレビアンテナケーブル
テレビアンテナケーブルは、アンテナから受信した電波をテレビまで伝送するためのケーブルで、同軸ケーブルともよばれます。おもに、屋根裏に配線されることが多いケーブルです。
同軸ケーブルは直径の違いによって種類が異なり、3C・4C・5Cなどの種類があります。これらは同軸ケーブルを使用する区間の長さによって、使い分けることがほとんどです。
1-3.LANケーブル
LANケーブルは、インターネット回線を利用するために必要なケーブルです。
有線で直接パソコンに挿して使用したり、無線LANを利用するためにルーターにつなげて使用したりします。
そのままケーブルを露出させて使用することもありますが、住宅で使用する場合はほかのケーブル類と同様に配線するケースがあります。
配線には資格などが必要ないため、DIYで工事を行う方が多いケーブルです。
1-4.電話線
電話線は電話通信を行うための配線で、アナログ・デジタルと光電話で使用する電話線が異なります。一般的に屋外の電柱から、電線を引っ張ってくる形で配線を行います。
アナログ・デジタル回線の場合は、銅線を利用して通信を行います。アナログ回線は音声をそのまま銅線にのせ、デジタル回線は音声を0と1に変換する方式です。
一方光電話の場合は光ファイバーケーブルを利用した通信で、インターネット回線と同じ回線を利用することが特徴です。
1-5.コンセントの配線
コンセントは壁などについている電気を供給するための穴で、配線用差込接続器の構成要素の1つです。配線部は壁に埋め込まれており、配線する場合はおもに天井裏から作業します。
コンセントは左右の穴に大きさの違いがあり、大きい方がマイナス側、小さい方がプラス側というように決まっています。しかし実際は左右逆に取り付けをしても、電化製品などに大きな影響はないため、考えられずに取り付けれることも多いです。
1-6.スイッチプレート配線
スイッチプレート配線は、照明や換気扇をつけるスイッチなどの配線のことです。照明用スイッチであれば、スイッチから壁のなかを通り照明まで配線されていることがほとんどです。
電気回路は電源からスイッチを通り照明を経由して、電源まで戻っていくような設計がされています。そのためスイッチを操作することで照明をON/OFFすることができるのです。
また最近ではスイッチプレートのもので無線式が登場しています。この場合は配線がなく、部屋のどこでも取りつけることが可能です。
1-7.照明器具用配線
照明器具配線は、照明器具を取りつける天井部分の配線のことです。一般的には引っ掛けシーリングとよばれる配線器具がついていることが多く、誰でも簡単に照明器具を取りつけられるようになっています。
引っ掛けシーリングは決まった場所にしかついていまいため、好きな位置に照明をつけることはできません。好きな位置に照明をつけたい場合は電気配線を延ばして工事する必要がありますが、そのためには電気工事士の資格が必要になります。
1-8.インターホン配線
インターホンには屋外の子機と屋内の親機が配線されている有線方式と、無線で通信をする無線方式の2種類があります。
有線方式の場合は壁のなかを通して配線を行い、おもに2線・4線をもちいます。
2.屋内配線工事って結局なにをすること?作業の内容について
屋内での電気配線の工事とはつまるところ、なにをすることをいうのでしょうか。ここではその作業内容を解説します。
2-1.【作業内容1:天井裏の柱に電線を固定する】
電線は電気を供給するために非常に重要なケーブルなため、どこかに固定しておく必要があります。おもに各部屋への配線の拠点になるのは天井裏で、天井裏の根太や梁に固定することが多いようです。
固定の仕方は簡単で、電線となるVVFケーブルを、ステップルやサドルとよばれる金具で留めていきます。
2-2.【作業内容2:ケーブルの分岐点を作る】
部屋がいくつもある場合はケーブルを分岐させ、電線同士をつなぐ必要があります。
一昔前であればケーブルをよりあわせ物理的につないでいたようですが、現在は差し込みコネクターとよばれる道具を使うことが一般的です。
差し込みコネクターを使えば決められた直径に電線を剥くだけで、簡単に分岐させることができます。
2-3.【作業内容3:電線を各所(コンセント・スイッチ・照明器具)につなぐ】
用意した配線をコンセントなどが使えるように各部屋につなぐことも、配線工事の重要な作業になります。
コンセントやスイッチを設置したい場所に、市販のコンセントやスイッチボックスを準備しておきましょう。
その場所まで電線を引っ張ってきたら、あとはコンセントやスイッチボックスの裏にある穴に電線を差し込んで配線は完了です。
配線が完了したらそれぞれビスなどで固定しておきましょう。
3.配線工事はどんなふうに進められていく?手順を知ろう
ここまでで電気配線の工事を簡単に説明しましたが、実際は配線するにあたって作業・準備することがたくさんあります。具体的に配線工事は、以下のような流れで行われます。
(1)位置決め
家のどこへ配線するかということは、はじめに考えなければなりません。コンセントやスイッチ、照明の位置を平面図に書き込んでいきます。
(2)配線図の作成
配線はただつながっていればよいのではなく、各所がどれだけ電力を使うかも考える必要があります。コンセントなどの位置や数が適正か検討しつつ、配線図を作成します。
(3)第一次工事を開始
コンセント・スイッチをつける場所に配線用のボックスを取りつけ、天井裏などから電線をひっぱってきて結線します。
(4)内装の仕上げ
第一次工事は内装ができあがっていると作業できないため、完成する前に工事を行うのが一般的です。
工事が終了したあとは断熱材をいれるなど、仕上げの作業を行い内装工事が完了します。
(5)第二次工事を開始
各所にコンセント・スイッチ・引っ掛けシーリングを取りつけ、事前に配線したケーブルをつなぎます。これによって、見た目は完成したときと同じ状態になります。
(6)引き込み
ここまでで家のなかの配線は完了しているため、電柱から電線を引き込む作業をします。このとき同時に、各部屋に電気を分ける分電盤を設置します。
(7)電力会社への申請と許可
電気を使えるようにするため、電力会社に審査し検査してもらいます。検査に合格することで、ようやく電気が通るようになります。この申請は引き込みを電気工事業者に依頼した際に、一緒に依頼しておくとスムーズになるでしょう。
4.配線工事には電気工事士の資格が必要!取得してDIYするときの注意点
配線工事は取扱いに注意が必要な電気配線を扱うため、電気工事士の資格が必要になる作業があります。
電気工事士の資格には2種類あり、それぞれ以下のような違いがあります。
・第二種電気工事士
住宅や小規模な店舗などの、一般用電気工作物の電気工事作業に従事できる資格
・第一種電気工事士
第二種電気工事士の作業範囲に加えて、工場やビルなどの自家用電気工作物で、最大500KW未満の電気工事作業に従事できる資格
一般住宅でDIYする場合、第一種電気工事士であれば問題ありませんが、第二種電気工事士の場合は電線からの引き込み作業をすることができません。
資格を取得したときは、自分ができる作業の範囲を意識して作業しましょう。
なお電気工事士の資格がなくてもできる作業は、電気工事法の施工例第二条で定められており、具体的には以下のようなものがあります。
・電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼット、その他の接続器を接続する工事
・電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
・電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ)または電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード。キャブタイヤケーブルおよびケーブルを含む)をねじ止めする工事
・電圧600V以下で使用する電力計もしくは電流制限器またはヒューズを取りつけ、または取り外す工事
・電鈴。インターホン、火災報知器、豆電球、その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る)の二次側の配線工事
・電線を支持する柱、腕木、その他これらに類する工作物を設置し、または変更する工事
・地中電線用の暗渠または管を設置し、または変更する工事
このように法律で定められていますが、見分けるためにもある程度知識が必要になります。
自分がやろうとしていることが電気工事法に触れているか心配な場合は、業者に依頼した方がよいかもしれません。
5.スムーズな配線工事にはなにが必要?配線に便利な道具
DIYでスムーズに電気配線の工事をするためには、作業が楽になる便利な道具を使うのがよいでしょう。ここではなかでも良く使われている「通線ワイヤー」と「ケーブルキャッチャー」について解説します。
5-1.通線ワイヤー
通線ワイヤーは通線用スチールともよばれ、配管にケーブルを通すために使われる道具です。
配管とはさまざまなケーブルが納められている管で、ケーブルを押し込むだけでは通しづらいことがよくあります。そこで通線ワイヤーを使うことで楽にケーブルを通すことができるのです。
使い方
1.ケーブルを引き寄せる側の配管から通線ワイヤーをさし込み、反対側から出るまで押しこみます。
2.配管から出てきた通線ワイヤーにケーブルをくくりつけます。
3.差し込んだ側から通線ワイヤーをゆっくり引き上げ完了です。
このとき通線用の潤滑油を使うとより楽に作業することができるうえ、効果が持続するため後にケーブルを追加することになっても作業が楽になります。
通線ワイヤーは高額で配線工事以外に使用する機会がないことから、ビニールひもで代替されることがよくあります。
使い方は通線ワイヤーと同様で、違いといえば配管から取り出す際に掃除機などで吸う必要があるだけです。
5-2.ケーブルキャッチャー
ケーブルキャッチャーは、離れたところにあるケーブルを引き寄せる際に使用します。
構造はマジックハンドのようになっており、片手で使えるように小型化されていることが特徴です。
配線工事は天井裏などの狭い場所で行うことが多く、少し離れたところにあるケーブルを引き寄せるのにも苦労するといった場面が多くあります。
そういった場面でこのケーブルキャッチャーは重宝されています。
ケーブルキャッチャーもプロでなければさほど使う機会がないため、代替品を使う場合があります。よく使われているのはコンベックスです。
コンベックスは工作用に使われている金属製の巻尺で、金属でできているため延ばしてもピンと張ることができます。先端がL字に折れているためこれを利用して、離れたところにあるケーブルを引き寄せることができます。
6.スイッチ配線とは
スイッチ配線はその名のとおり、スイッチプレートを使って各所に電気配線を行うことです。
スイッチ配線はスイッチや照明器具の数で配線の形・経路が変わってくるため、配線図が複雑になることがあります。ここではスイッチ配線の仕組みを解説します。
6-1.スイッチ配線の仕組み
スイッチ配線はスイッチのON/OFFによって、照明器具の点灯/消灯などを切り替えます。
このとき配線はどのようにつながっているのかというと、
電源 → スイッチ → 照明器具 → 電源
というように電気が流れています。
すなわち途中のスイッチを操作することで、照明器具へ向かう電気を操作することができるのです。
これは単純なスイッチ1つ・照明器具1つの場合の例で、スイッチと照明器具が増えると配線図は複雑になっていきます。
たとえば照明器具2つ(A・B)・スイッチ2つ(A・B)で、それぞれの照明器具がそれぞれのスイッチに対応しているとします。
このとき、
電源 → スイッチA → 照明器具A → 電源
電源 → スイッチB → 照明器具B → 電源
という二つの回路があるとみなすことができます。
この場合はA・Bのスイッチがついているスイッチプレートからは、電源・照明器具A・Bの3つのルートがのびているため、3芯用のケーブルが必要であることがわかります。
7.スイッチ配線に必要なもの
回路だけ見ると電源とスイッチさえあればスイッチ配線になりそうですが、実際に電気配線工事を行う際にはいくつか必要なものがあります。
7-1.分電盤
分電盤とは名前のとおり、各部屋に電気を分ける役割をもった機器です。おもにアンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの、3つのブレーカーで構成されています。俗にいうブレーカーが落ちたというときは、先にあげたブレーカーのどれかが落ちている状態のことです。
分電盤は各部屋で使用する機器の電源になるもので、当然スイッチ配線の電源にもなります。
7-2.ジョイントボックス
ジョイントボックスとは簡単にいえばケーブル類の中継地点のことで、ケーブル接続部の被覆がはがれている部分を保護する目的で使用されます。
ジョイントボックスにはいくつか種類があり、接続部にかぶせて固定するタイプと端子付きタイプに分かれます。
端子付きのものは端子にケーブルを接続することで、中継地点の役割を果たします。
ジョイントボックスはスイッチ配線においては、スイッチの数や照明の数で分岐することが多いため、その中継地点としてよく用いられます。
7-3.照明器具
スイッチ配線には、もちろん照明器具も必要になります。
照明器具には天井に取りつけるシーリングライトや天井からつり下げるペンダントライトがあります。
シーリングライトの場合は引っ掛けシーリングとよばれる配線用の器具に取りつけることが一般的で、天井の形によっては固定器具をもちいて固定します。
ペンダントライトの場合はシーリングライトと同様引っ掛けシーリングを用いる方法と、天井から垂れている配線に直接つなげる直結とよばれる方法があります。
直結を行う場合は電気配線を扱うことになるため、第二種電気工事士以上の資格が必要となります。
8.配線工事は大切。電気を使った快適な生活を送るために
電気配線の工事は、電気を使う私たちの生活には欠かせないものです。今回ご紹介したもの以外にも様々なケーブルが壁を走り、たくさんの機器が配線されています。
なかにはDIYで配線できるものも多くあり、自分で配線工事をしてしまう人もいますが素人が作業することはあまりおすめできません。
8-1.大切に使うために
雑な配線工事の例としてLANケーブルや電源コードなどを、壁や床にくぎやステーブルで固定していることがあります。これらの被覆は弱くこのような設置をすると劣化の原因になり、電源コードであれば漏電から感電や火災につながる恐れがあります。
また電線の追加工事などで無理な分岐をおこなうと、接続部分が熱をもち場合によっては発火することがあります。
ケーブル自体を大切に扱うことも大切ですがなにより災害につながることもあるため、半端な知識や技術で工事しないようにしましょう。
8-2.電気工事の事故
電気工事ではプロでも事故を起こすことがよくあるため、経験がない人の作業では特に注意が必要になります。
作業時にスイッチを切り忘れたことによる感電事故や、天井裏での作業中に転落して負傷などDIYでの事故は少なくありません。
自信があっても事故は起きるものですから、業者に依頼するようにしましょう。
まとめ
配線工事は電気やインターネットなどを使うために、必要不可欠な工事です。
屋内配線工事の作業内容は、簡単にいってしまえば、家全体に電線などケーブル類を張り巡らせることになります。しかし実行するためには配線図の作成から各工事を経て、電力会社に申請するまで大変な労力になります。
電気工事士の資格を取得すればDIYもむずかしくはありませんが、やはり業者に依頼した方が確実でしょう。電気という危険なものの取り扱いや、天井裏などの狭い場所での作業には事故がつきものです。経験が浅いと思わぬトラブルを引き起こすこともあります。
とはいったものの知識があるに越したことはないため、電気配線に関して調べることは大切です。
今回ご紹介したことを踏まえて業者に依頼すれば、スムーズに満足できる工事を実現できるはずです。
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