エアコン専用コンセントとは、エアコンの電源プラグにのみ対応したコンセントのことです。エアコンの電源プラグは特殊な形状をしているため、通常のコンセントは使用できません。またコンセントとプラグの電圧が合っていない場合は、火災や漏電などの事故の元となります。
しかしなぜ、エアコンには専用のプラグとコンセントが設けられているのでしょうか。それを知るためには、分電盤からその仕組みを解き明かしていく必要があるでしょう。今回はエアコン専用のコンセントの意義や設置の手順について見ていきます。
目次
エアコン専用コンセントとは?
そもそもなぜ、エアコンの専用コンセントは設けられているのでしょうか。
部屋のブレーカーとエアコンのブレーカーは分かれている
エアコンの専用コンセントを考えるためには、まず分電盤の仕組みについて見ていく必要があります。
分電盤には電力会社との契約電気量を超えた場合に作動するアンペアブレーカー、漏電を検知した際に作動する漏電ブレーカー、回路ごとに容量を超えた際に作動する安全ブレーカーの3種類のブレーカーが集められています。
安全ブレーカーは1つが1回路に対応しており、回路内に流れる電流が安全な電流量を超えると作動しその回路の電気が止まる仕組みになっています。そのためアンペアブレーカーや漏電ブレーカーが作動した際は家全体が停電するのに対し、安全ブレーカーが作動すると1部屋だけ電気が使えない、ということが起こるのです。
ただしエアコンやキッチンのIH機器など、大電流を使用する機器に関しては専用の回路を設け安全性を高めることが推奨されています。電圧は機器の使用状況によって変化するので、専用の回路であればその分電圧の変化を抑えられ、安全に使用できるというわけです。
専用の回路を設置すると、それに対応して安全ブレーカーも別途設ける必要があります。そのため同じ部屋だとしてもブレーカーが分かれて設置されているのです。
エアコンは求める電圧や電流量がさまざま
エアコンは大型になればそのぶん、多くの電力を必要とします。そのためエアコン専用コンセントの形はさまざまです。
電力の計算は電圧×電流
エアコンの冷やす力、暖める力を表す電力(W)は電圧(V)と電流(A)を掛け合わせることによって計算されます。つまり電圧もしくは流せる電流量が大きくなれば、そのぶん電力を使ってエアコンの機能を高めることができるのです。
電流量の違い
一般のコンセントは15Aまでの電流が流れても安全なように設計されていますが、エアコンによっては20Aまで使用することを求められるケースがあります。この場合、電極の穴が「┘」となっているコンセントが必要です。なお「┤」というコンセントの形をしている場合は15A・20A兼用のコンセントです。
電圧の違い
家庭用コンセントには100V前後の電圧によって電気が流れていますが、単相3線で引き込まれている場合、200Vの電圧も使用可能になっています。
200Vの電圧でエアコンを使用すればそのぶん電力を使うことができるため、温度調整機能の向上が見込めます。そのため広い部屋に設置する想定のエアコンは200Vの電圧に接続するものも多くあるのです。
200Vのコンセントにはアース端子が付いているとともに、電極が横向きになっていることが多いでしょう。
エアコン専用コンセントは法的に定められたものではないが……
エアコン専用に回路を設ける、つまり専用のコンセントを増設することは法的に定められているわけではありません。しかし、メーカーの設置基準などで安全性・安定性確保のために専用コンセントに接続することが求められているため、専用コンセントがなければ設置自体をおこなわない業者も増えています。
注意が必要なのはエアコンの取り替え時です。つながっているコンセントが部屋と共用の回路上に存在する場合、エアコン専用のコンセントを増設することが求められることが少なくありません。その場合想定外の費用が発生する、設置工事が長引く、設置工事が高額になることも多いので事前に確認しておきましょう。
エアコン専用コンセントは自分で工事はNG!その理由とは?
専用コンセントがなければエアコン専用のコンセントを増設すればいいと考える方もいるかもしれませんが、自分で工事することは基本的にNGです。
これはコンセント増設が屋内の電気配線工事であることに由来します。分電盤からコンセントまでの工事は屋内配線工事に分類され、工事には電気工事士の資格が必要になります。コンセントを交換するだけでも必要な資格となるため、この資格を持っている場合でない限り、自分で専用コンセント工事をおこなってはいけません。
エアコンの場所が確保できないとコンセント工事もできない?
エアコンの場所を決めなければ事前にエアコン専用のコンセント増設も難しいといいます。これは本当なのでしょうか。
これを考えるにあたってもメーカーの設置基準が関連してきます。メーカー基準においてはエアコン設置時、延長コードを使用してコードを伸ばすことを想定していません。つまりエアコンの電源コードが伸ばせる範囲に専用コンセントの位置も限定されてきます。
エアコン専用コンセントを設置する際、将来設置予定の部屋もコンセント工事を依頼しておくケースがあります。その場合エアコン設置を想定する位置によってコンセント工事の内容も変わってくるので、慎重に検討する必要がでてくるでしょう。
エアコン専用コンセントの増設の流れ
ではエアコン専用のコンセントを増設する流れについて、順を追ってみてみましょう。
分電盤の工事
アンペアブレーカーを落として停電させた後、分電盤に専用の安全ブレーカーを増設します。違う階へ一度に増設する場合、その階に分電盤を追加設置する場合もあります。
電線を伸ばす
回路を伸ばしていき、コンセント設置場所までつなげます。新築住宅の場合は壁のなかに入れることも多いでしょうが、既存住宅への追加設置の場合はモールで部屋の隅を走らせることが少なくありません。
コンセント設置<
エアコン付近にコンセントを設置・固定します。コンセントの形はエアコンや回路に合わせて変わることが多いでしょう。
電圧確認
ブレーカーを上げ、規定の電圧がコンセントまで来ているかを電圧計によって測定します。
もちろん、エアコン設置はコンセント工事だけではありません。エアコン設置の流れについては過去コラム「エアコン設置の時間はどれくらいかかる?設置に時間が掛かる場合も…」でも解説していますので、そちらもぜひご覧ください。
エアコン専用コンセント増設 | |
項目 | 料金 |
コンセント形状交換 | 2,000~3,000円 |
コンセント電圧変換 | 1,000~6,000円 |
エアコン専用回路増設 | 12,000~16,200円 |
まとめ
近年はメーカーの設置基準に基づき、専用のコンセントがなければエアコン設置工事を請け負わない業者も増えています。その場合、エアコン専用のコンセント増設が必要不可欠となってきますので、設置前、とくに取替前にはしっかりと確認する必要があるでしょう。
またエアコン設置位置が事前に決まっている、使用する電圧や最大電流が分かっている(コンセントの形が分かっている)のであれば、設置・取替工事を依頼する前に別の業者によって施工してもらうのもひとつの手でしょう。事前見積りによる工事であれば、その費用を抑えられるかもしれません、
コンセント工事・取替・増設を業者に依頼する際は
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「コンセント工事・取替・増設」をご覧ください。
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