切れ味の低下は目立て不足かも?簡単なチェーンソーの目立て方法

2021.4.30

切れ味の低下は目立て不足かも?簡単なチェーンソーの目立て方法

エンジンやモーターの動力を使い、刃の付いたチェーンを回転させて木を切る道具、チェーンソー。
迫力ある駆動音や木屑の散り具合とは裏腹に、少ない力で効率よく伐採が可能なスマートな道具です。

林業だけでなく、植木の剪定や伐採、木工材料の切り出しといったDIYにも大活躍するチェーンソーですが、使い続けていると切れ味が鈍ってくることがあります。
切れ味の落ちたチェーンソーは作業効率が落ちるだけでなく、引っ掛かりが原因の重大な事故につながる危険性もあるため、切れ味は常に維持しておきたいものです。

そこで今回は、切れ味を復活させるチェーンソーの「目立て」について、基礎的な部分から徹底的に解説していきます。

チェーンソーの『目立て』とは?

「目立て」について解説する前に、まずはチェーンソーのかんたんな仕組みと構造についておさらいしておきましょう。
チェーンソーは、無数の小さな刃のついたチェーン(鎖)をエンジンやモーター動力で高速回転させ、チェーンの触れている場所を切断する工具です。

チェーンソーは「切る」というより「超高速で削る」といったほうが近い原理で切断していくため、斧のように打ち降ろさなくとも、回転するチェーンを押し付けるだけで切断力が発生します。
そのため、短時間かつ少ない労力で木などを切ることができるのが特徴です。

ガソリンで動くエンジンタイプをはじめ、バッテリーやコンセントから電力を引くモータータイプなど動力によっていくつか種類が分かれます。
いずれも人力より強いパワーで切断することが可能です。

チェーンソーの基本構造は、刃の付いたチェーンと、それを取り付けるガイドバー(チェーンを回転させるレール)、エンジンやバッテリーといった動力部分と、操作を行うハンドルで構成されています。

チェーンソーの切れ味を左右するのは、もっぱら直接切断を行うチェーン部分です。
チェーンは木を切断する刃となる「カッター」とガイドバーのレールに接続する「ドライブリンク」を交互に並べて鎖状にしたもので、これを高速回転させることで切断力を生み出しています。

したがって、カッターがしっかり研ぎ澄まされていなければ切断力が落ちてしまう恐れがあるのです。
木の表面を滑るばかりで一向に切れなかったり、木に食い込んでチェーンが止まってしまうことがあります。

こうした切断の不具合は、ときに非常に危険な事故につながることがあるため、カッターは常に研ぎ澄ませて切れるようにしておかなくてはなりません。
とくにチェーンソーを使用する林業などでは、作業中に休憩時間を兼ねて頻繁にカッターを研いでいます。

同様に、日曜大工でときどき使う程度の使用頻度であっても、作業前には必ずカッターがさび付いていないか確認し、しっかりと研いでおく必要があります。
このチェーンソーを使ううえで絶対に欠かせない、カッターの手入れこそが、チェーンソーの「目立て」と呼ばれる作業です。

      チェーンソーの『目立て』とは?

チェーンソーの目立て不足で起きるトラブル

チェーンソーの目立てが不十分だと、切断作業に大きく影響が出ます。
まずはっきりとわかるのが切れ味の低下であり、木の表面で刃が空滑りしてしまってなかなか切断することができなくなります。

木を切るのにいつも以上に時間がかかったり、本来あるような切断の手ごたえが弱いと感じるときは、目立てが不足している可能性をうたがうべきでしょう。

刃が空滑りするだけであればまだ危険は少ないですが、中途半端に切断が進んでしまうと今度は別の危険性が出てきます。チェーンが木を噛み込んで止まってしまい、回転がうまくいかなくなってしまう状態です。

刃がこれ以上進むことができないと、エンジンやバッテリーの強力な動力が行き場を失って、反対方向へと刃を跳ね返らせます。
これは「キックバック」と呼ばれる現象で、跳ね返った刃が向かう先は大抵の場合、作業者の手元になります。

高速回転するチェーンが手元に迫ってきたときの危険性はいうまでもありませんが、問題はキックバックの方向をほとんど制御できないという点です。
とにかくチェーンソーは強力なので、跳ね返りの勢いもすさまじいものがあります。

一瞬で思わぬ方向へと刃が跳ね返ってしまい、作業者が命にかかわる大けがを負ったり、周囲のものや人を傷つける可能性があるため、キックバックは危険です。

なにより、キックバックには前触れがなく、作業者が跳ね返りの方向を制御することもできないため、気づいたときには手遅れになってしまうことが多いトラブルです。

安全な伐採作業を行うためにも、必ず頻繁にチェーンソーの目立てを行い、切れ味を常に維持できるようにしましょう。

チェーンソーの目立てに必要なもの

チェーンソーの目立てを行うにあたって、用意しておくべき道具をご紹介します。

手袋(軍手)

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チェーン部分は鋭利な刃が連なっているため、素手で触るとケガの危険があります。
最低限の備えとして手袋を付けておきましょう。安価な軍手のほか、より頑丈で安全性の高い革手袋も有効です。

丸やすり

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カッターを研ぐためのやすりです。やすりにはいくつか形状によって種類がありますが、ほとんどの場合は細かい場所にピンポイントにあてられる丸やすりを使います。
丸やすりはさらに太さが分かれており、お使いのチェーンソーに合った太さのものを用意しておきます。

目立てゲージ

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目立てゲージとは、やすりをカッターに対して適切な角度であてられるようにするための補助具です。
たとえるならまっすぐな線を引くときに定規を使うようなもので、ゲージに沿ってやすりを動かせばキレイに目立てをすることができるため、必須ではありませんがあると便利です。

パーツクリーナー

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チェーンソーには「オイルタンク」という部品が取り付けられており、ここからチェーンオイルという潤滑油が出てチェーンを回転しやすくしています。
チェーンは常にオイルで濡れている状態なので、木を切ったときに発生する木屑やゴミが付着していることがあります。

油分を除去するパーツクリーナーや無水アルコールを用意しておくと、目立ての際にカッターに付着した邪魔なゴミを取り払うことができ、やすりに油が付いてしまうことも防げるので、これもあると便利です。

チェーンソーの目立てのポイント・注意点

チェーンソーの目立ては、「つぶれてしまった刃を復活させる」ことを目的としています。
したがって、間違った角度でやすりをかけてしまうとかえって刃をつぶしてしまうなど逆効果になることがあります。

包丁を研ぐ作業をイメージしてみましょう。包丁を砥石に対して垂直にあてると、当然刃が削れて丸くなってしまいます。
適度に包丁を傾けて(寝かせて)、刃の先端が鋭角になるように研いでいかなければなりません。

目立てにおいても同じように、やすりを寝かせるようにしてカッターに対して鋭角をつくり、研いでいく必要があります。初心者が適切な角度を掴むのはむずかしいので、目立てゲージをつかって補助してもらうのが無難です。

また研ぐ際にはしっかりチェーンを固定しておくことも忘れないようにしましょう。
チェーンはガイドバーに刻まれたレールの上をすべるように回転するため、そのままだと完全には固定されていません。

手袋をつけた手でチェーンをしっかりガイドバーに押さえつけて、やすりをかける際にグラつかないようにすることが大切です。
もちろんチェーンソー本体も抱え込むか万力を使うなどしてしっかり固定しておきましょう。

カッターを研ぐやすり自体のメンテも重要です。
研ぐことで発生した金屑がやすりの目が詰まっていては効果が薄いので、カッターを一つ研ぎ終えるたびに目に詰まった金屑を払い落としましょう。
その後油が付着していたらパーツクリーナーを吹き付けて落とすようにします。

最後に、カッターを研ぐということは、鋭利な刃物に直接触れるということでもあります。
研ぎ澄まされたカッターはたやすく皮膚を傷つけ得るので、自分やほかの場所に刃が触れないように細心の注意を払いましょう。

      チェーンソーの目立てのポイント・注意点

簡単な目立て方法

まずは初心者向けの、簡単なチェーンソーの目立てのやり方をご紹介します。
チェーンを固定して、丸やすりを寝かせながらあてて数回前後させましょう。これだけで、カッターの切れ味はある程度復活します。
あとはチェーンについたカッターの数だけ同じ作業を行っていきます。

こうした簡単な研ぎは、研磨用語で「タッチアップ」といい、身近な例では包丁なども専用のタッチアップやすりで数回こすると切れ味が戻ります。
タッチアップは研磨の仕上げとして行われるほか、一時的な切れ味を復活させる日常のお手入れとしても広く使われています。

タッチアップで戻る切れ味は、あくまで一時的なものです。
作業自体が単純なので比較的短時間で研ぎが行えるほか、刃をつぶしてしまうような失敗もしにくいというメリットがあります。

本格的な林業に使うチェーンソーではなく、あくまで日曜大工や剪定に使うものであれば、お手軽なタッチアップを定期的に行うだけでも十分に使用することができます。

デメリットとしては、手作業でやすりをかけていくため一つ一つのカッターの研ぎ具合が均一に仕上がらず、木に接触するカッターによって切れ味にムラがあることです。

また、長期間使用を続けたり、石や鉄、コンクリートなどにぶつかって本格的につぶれてしまったカッターにはあまり効果がないという部分も難点ではあります。
つぶれてしまったカッターを復活させるには、もう少し本格的な目立て作業が必要です。

次項では、少し本格的な目立ての方法を解説していきます。

      簡単な目立て方法

少し本格的な目立て方法

少し本格的なチェーンソーの目立てには、しっかりと均一な角度でやすりをあてる必要があるため、目立てゲージを使用します。

目立てゲージを使った目立て

目立てゲージには二種類あります。カッターに取り付けてやすりをあてる角度を調整するタイプと、やすりに取り付けてやすりの傾きを調整するタイプになります。
複数のカッターを順番に研いでいく場合、やすりに取り付けるタイプの目立てゲージのほうが付け替えの手間がなく便利です。

目立てゲージでやすりの角度を調整したら、研ぎ漏れを防ぐために最初に研ぐカッターに印をつけておきましょう。
印をつけた箇所から順番に研いでいき、一周して再び印の付いた箇所までたどり着けば、すべてのカッターを研いだことになります。

しっかり研げているかどうかは、刃の表面に「バリ(金属の毛羽立ち)」が生じているかどうかで判断できます。バリが出ていなければ研ぎが不十分なので、バリが出るまで研ぎ続けましょう。

デプスの調整

本格的につぶれた刃を復活させるには、刃をしっかり研ぐ必要があります。そうして何度も研いでいると、次第にカッターがすり減っていき、背が低くなっていきます。

カッターには、刃が食い込む深さを調整する「デプス」というでっぱりがついており、デプスよりも刃の背が低くなると木に食い込まず切れなくなってしまいます。
そのため、カッターを本格的に目立てして刃がデプスより下に隠れてしまったら、デプス自体も削って刃が出るように再度調整する必要があります。

デプスもやはり均一な高さに調整しなければならないため、「デプスゲージ」という高さを測る道具を使います。
デプスゲージに沿ってすべてのデプスにやすりを当てて、すべての刃が同じ高さだけ出ているように調整していきましょう。

デプスは刃のように湾曲していないので、削るときは丸やすりではなく平面を削れる平やすりをつかいましょう。こちらも目が詰まらないように都度の手入れが必要です。

欠けてしまった刃の処理

チェーンソーは高速で刃を回転させるため、硬いものにあてると刃が欠けてしまうことがあります。
小さな欠損であれば、刃の欠けたカッターだけを入念に研いで、欠けた部分を削り取ってしまうことで切れ味への影響を抑えることが可能です。

刃を完全につぶさないと削り切れないような大きな欠けが生じている場合は、チェーン自体を交換しましょう。
刃が大きく欠けていると、切断の軌道がおかしくなったり、使用中にカッターが壊れてはじけ飛ぶ可能性があります。

高速で回転している分、カッターが弾け飛んだときの周囲への危険がおよぶこともあります。
こうした劣化のみられるチェーンは絶対にそのまま使い続けないようにしましょう。
すぐにチェーンの交換が必要です。

まとめ

包丁をはじめとする刃物全般にいえることですが、「刃物は切れないほうが危険」です。
切れ味がするどければすんなり切れるものも、切れ味が落ちていると余計な力がかかってしまう恐れがあります。
また明後日の方向に刃が弾かれて思わぬケガの原因となることがあるので注意しましょう。

同じように、チェーンソーの目立ては安全に作業するうえで必須のお手入れです。正しい刃のメンテナンス方法を理解して、事故のない安全な伐採を行いましょう。

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