刺されたときのかゆみや睡眠中の「プ~ン」といったうるさい羽音など、蚊にわずらわしい思いをさせられた人は多くいるはずです。とくに夏場のキャンプやバーベキューなどの行楽には、虫よけ対策が欠かせません。
ある意味夏の風物詩ともいえる蚊ですが、冬にも血を吸いに来る種類がいるのをご存知ですか?
多くの蚊は冬になると休眠したり、卵の状態で越冬しています。しかし、今回紹介するチカイエカは冬になっても活動をしていて、夏の蚊と同様の被害を私たちに与えることがあるのです。
チカイエカはほかの蚊と何が違うのでしょうか。特別な対策が必要なのか見ていきましょう。
寒さに強いチカイエカの生態とは
チカイエカはアカイエカの亜種で、体長は5~6mmほどの大きさで、薄茶色の体をしています。北半球に広く分布していて、都市部に多くあらわれるようです。
幼虫のボウフラは都市の排水槽や地下にある水槽で育つことが多く、季節に左右されることなく1年中みかけます。地下を好むのは、地下の方が地上に比べて気温が安定しており、冬でも暖かいためだと考えられています。
成虫も、冬でも関係なく気温が高ければ休眠せずに活動します。
蚊の一生は、まず水の中に産卵されるところから始まり、1.5日ほどでふ化をし、ボウフラになります。7~10日ほどボウフラとして過ごしたあとは、さなぎのオニボウフラとして過ごすようです。
さらに2~3日経つと成虫となり、オスは普段は花のみつなどを吸って生活します。実は血を吸うのはメスの蚊のみで、メスの蚊は吸血によって産卵に必要な栄養を蓄えるのです。
チカイエカは例外的に、最初の産卵は吸血をしなくてもおこなえるようです。そのため、繁殖力が比較的高いといえるでしょう。

チカイエカが人に及ぼす被害とは
チカイエカは、産卵をするために栄養としてタンパク質を摂取しなければなりません。そのためにおこなう吸血が、人に害を与えています。
チカイエカが吸血をするとき、皮膚に針を刺しますが、そのときに麻酔効果のある唾液を注入します。その唾液に人体が反応するとかゆみや腫れが起こり、人を苦しめるといったしくみなのです。
また、チカイエカはフィラリアやウエストナイル熱などの病原菌を体内に持っていることがあります。吸血行動をした際に病原菌を人体に移されることがあるということです。
体内に病原菌が入ってしまった場合、抵抗力が弱ければ感染してしまいます。
蚊が運んだ病原菌に感染するケースは熱帯地域で見られることが多かったですが、近年では地球温暖化やグローバル化が進んでいるため、日本にいても注意が必要です。
実際に、2014年の8月には日本でもデング熱の感染が確認されており、一部の公園などが立ち入り禁止になったり、イベントが中止されたりしました。
チカイエカを完全に駆除するのは難しい!?その理由は
蚊の駆除に有効なのは、幼虫であるボウフラが生育するたまり水をなくすということです。
夏場によくみられるヒトスジシマカは、植木鉢の受け皿や墓石のくぼみなどのたまり水に産卵することが多いようです。
しかしチカイエカが主に繁殖する場所として選ぶのは、ビルの地下水槽や地下鉄の排水溝などです。こういった場所の多くは公共施設や企業の所有物であることが多く、範囲も広いため個人がたまり水をなくさせるのは難しくなります。したがって、チカイエカの完全駆除は手が出しにくいのです。

チカイエカの被害に遭わないための対策方法とは
チカイエカの駆除が難しくても、被害に遭わないよう対策することはできます。その対策方法は、他の蚊に刺されないための方法と同じです。
たまり水の多い地下鉄や地下道などに向かうときは、長袖や長ズボンを着て肌の露出を減らしましょう。手などの露出している部分に虫よけ剤を塗り、さらに携帯用の蚊取り線香を持ち歩くという方法もあります。
虫よけ剤には、ハーブやクローブなど蚊が嫌う香りのものを使うとより効果的です。
また、蚊が人を見つけ出す要因を減らすことも大切です。蚊は汗に含まれる成分で寄ってくるため、汗をかいたときは体用のシートなどを使いこまめにふき取りましょう。
ほかにも、蚊は人が吐く二酸化炭素にも反応します。アルコールを摂取すると吐き出す二酸化炭素の量が増えるため、蚊に刺されないためには外出前の飲酒は控えたほうがよいのかもしれません。
まとめ
チカイエカは冬場にも活動するもののほかの蚊と同じく吸血によってかゆみや腫れを引き起こし、病原菌を運んでくるため駆除をしたい対象です。
しかしチカイエカの特徴として、名前のとおり産卵場所に地下を選ぶというものがありました。産卵場所が地下の水槽などであり規模が大きいため、生育場所をなくすという手段がとりにくく、完全な駆除が難しいです。
ですが、チカイエカの完全な駆除はできなくても、刺されないように対策をすることはできます。基本的な習性についてはほかの蚊とあまり変わらないので、同じように虫よけをおこないましょう。
生活している場所に蚊が発生して、虫よけ程度では対処が追い付かないときは害虫駆除のプロに依頼してみましょう。プロならではの視点で、根本解決へと導いてくれるはずです。
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