畳の敷き方――「吉」と「凶」とは|正しい畳の作法について

2021.6.3

畳の敷き方――「吉」と「凶」とは|正しい畳の作法について

何気なく敷かれている畳ですが、実は畳の敷き方にはいろいろな方法があります。ふだん和室で敷かれている畳が、どういった場所で、どんな理由で敷き方か変わるのか?そのような疑問を今回は解決していきます。また、畳には寿命があります。日焼けをしてしまうなど経年劣化が一番主な理由ですが、実は使い方次第では長持ちさせる方法もあるのです。「うちの畳も長持ちさせたい!」と思う方必見です。

出入口と床の間に気を付けて敷こう

出入口や床の間前の畳は、それぞれの箇所に対して平行に敷いたほうがよいです。

畳の上では、移動する際に立てる音を最小限にとどめるのが作法とされています。そのため、立っている状態ではすり足で、正座している状態では躙(にじ)って移動するのが、音を抑えやすくて好ましいです。

※躙る(にじる):正座の状態で膝を地面に擦りながら少しずつ動くこと

足や膝を擦りながら移動する際は、畳の網目の方向を意識することが重要になってきます。畳の網目に沿わないように移動すると、足や膝が引っかかって滑らせづらくなります。そうなると、不必要に音が立ち、失礼になってしまいます。また、網目に逆らって足や膝を擦ると、畳が傷みやすくなります。

畳の網目の方向は決まっており「畳の縁に対して垂直の方向」が「畳の網目の方向」になります。そのため、畳の上で移動する際は、可能な限り畳の縁に対して垂直の方向に足や膝を滑らせて移動することになります。

1.畳 網目 方向
      
これらの事情から、人の行き来が多い出入口前の畳は平行に置くのがいいとされています。

床の間は一見、人の行き来が少ないように見え、畳を平行に敷く必要性が感じられないかもしれません。しかし、床の間は来客をもてなすために、生け花や掛け軸が飾られていることが多く、来客もそれらを鑑賞するために床の間の前に足を踏み入れる機会がしばしばあります。その際に、来客が足や膝を擦りやすいようにするためにも、床の間前の畳は平行に敷く必要があるのです。

2.床の間 畳 垂直 平行

ここまでの話を読んできて「なぜ室内の畳をすべて同じ向きで敷かないのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

たしかに、畳の方向がすべて同じであれば、足や膝を滑らしやすくなり、畳も長持ちしやすくなります。しかし、畳をすべて同じ方向で敷くと「不祝儀敷き」という縁起の悪い敷き方になってしまいます。次の章では「祝儀敷き」と「不祝儀敷き」について解説するので、興味のある方は読んでみてください。

祝儀敷きと不祝儀敷きとは

畳には大きく分けると「祝儀敷き」と「不祝儀敷き」の二種類の敷き方があります。ここではそれぞれの敷き方について解説していきます。

祝儀敷き

3.祝儀敷き

畳の合わせ目が十字になるようにする、葬式などの縁起が悪いことがあった際の敷き方です。

十字は「四辻(よつつじ)」ともいいます。そして、四は古来より「死」を連想するので縁起の悪い数字とされてきました。このことから「死を連想させるような縁起の悪い敷き方」ということで、凶の敷き方になりました。そのため、葬式をおこなうことが多い寺や神社では、不祝儀敷きになっていることが多いです。

不祝儀敷き

4.不祝儀敷き

しかし、現在では祝儀や不祝儀の際に畳を敷きなおすという文化は一般の家庭ではほとんどなく、それぞれの敷き方が本来持つ意味も形骸化しつつあります。実際に旅館の大広間などでは「畳が傷むのを緩和できる」「お手入れがしやすくなる」などのメリットから不祝儀敷きにしているケースも少なくありません。

琉球畳や縁なし畳の敷き方は?

琉球畳や縁なし畳は基本的に半畳です。そのため、一畳である普通の畳とは敷き方が大きく異なり、祝儀敷きや不祝儀敷きがありません。その代わり「市松敷き」という特別な敷き方ができます。

5.市松敷き

市松敷きとは、畳の網目が互い違いになるように配置する敷き方のことです。縦に敷いた畳と横に敷いた畳は光の反射の仕方が変わるので、同じ畳でも異なる二色の畳があるように見えます。そのため、網目が交互になるように敷くと、チェス盤のようなおしゃれな模様(市松模様)になります。これは普通の一畳の畳ではできない敷き方なので、琉球畳や縁なし畳が人気な理由のひとつとなっています。

畳を長く使用するには

畳を長く使うために掃除方法とメンテナンス方法に知っておきましょう。

①掃除方法

畳の敷き方、方向を頭に入れたうえで掃除機は畳の目に沿ってかけましょう。力を入れすぎると畳が傷んでしまうので、力は入れずかけます。拭き掃除は乾拭きをします。掃除機と同様、畳の目に沿って拭いてください。

この時も傷がつかないよう、力は入れず優しく扱ってください。畳は湿気を嫌うので乾拭きにします。天気が良い日には換気をして、風通しを良くしましょう。畳の寿命はこうした工夫の積み重ねで長持ちします。2~3年で裏返し、4~5年で表替えを目安としてください。

②メンテナンス方法

・畳にカビが生えてしまったら、消毒用アルコールスプレーをするか、布に染み込ませ拭き取ってください。室内の湿度が高いとカビが生えやすくなります。特に梅雨時には除湿が必須になります。

・密閉した部屋はダニが発生しやすいです。掃除を小まめにしたり、自然通気を心掛けてください。防虫シートでダニの発生を抑えられます。

・家具の跡がついたら、濡れタオルを当てアイロンをかけてください。
・液体をこぼしてしまったら、小麦粉、塩、ベビーパウダー、粉石鹸、クレンザー等の粉末をかけ、液体を吸い取らせてから処理をしましょう。その後、よく絞った布で拭いてください。

まとめ

畳の敷き方について分かりましたでしょうか。日本の伝統ある畳の良さ、特性を生かして活用していきたいですよね。フローリングの家が増えつつありますが、ちょっとした手入れを取りいれて畳を大事にしましょう。

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