危険な『アライグマ回虫』アライグマを見つけても触るのは厳禁

2021.4.30

危険な『アライグマ回虫』アライグマを見つけても触るのは厳禁

水辺で両手をバシャバシャさせている姿が印象的で、アニメのキャラクターのモチーフとしても人気の高いアライグマ。しかし、そんな可愛らしいアライグマにも、見た目とは裏腹におそろしい危険性があります。

その理由のひとつがアライグマを宿主とする「アライグマ回虫」です。アライグマ回虫は人にも感染することがあり、感染すると死に至るケースもある非常に危険な寄生虫です。アライグマは民家の屋根裏などに住み着くこともあるため、しっかりと対策を取っておく必要があります。

本コラムでは、そんなおそるべきアライグマ回虫について解説し、野生のアライグマの危険性について紹介していきたいと思います。

おそろしい『アライグマ回虫』の正体

人間をはじめとした哺乳類が感染しやすい寄生虫の一種に、「回虫」と呼ばれる種類がいます。回虫は主に消化器などに住み着いて、宿主の摂取した食べ物から栄養を横取りする寄生虫で、宿主となる生き物の名前をとって「イヌ回虫」や「ウシ回虫」、「ブタ回虫」といった分類に分けられます。

回虫は宿主となる生き物の身体に居るうちは、栄養を横取りすることが主な害となります。しかし、宿主ではないほかの生き物の身体に入ると、消化器の環境に適応できず、体中を移動して別の臓器に入り込んでしまう「迷入」という行動に出ることがあります。

この「迷入」によって重要な臓器に回虫が入り込んでしまうと、臓器の動きを阻害したり、重大な後遺症の残る症状につながるおそれがあり、非常に危険とされています。

アライグマを宿主とする「アライグマ回虫」がヒトの体内に入ってしまった場合、脳にまで回虫が迷入するケースがあります。そうなってしまうと、失明や神経障害をはじめとした重大な症状を引き起こすケースも多く、アメリカではアライグマ回虫が原因で人が死亡した例が報告されています。

2018年現在、日本ではアライグマ回虫に感染したという例は出ていませんが、野生アライグマの数は毎年増加傾向にあるため、絶対に感染しないとは言い切れないというのが現状です。

      .おそろしい『アライグマ回虫』の正体

アライグマ回虫症の感染経路と症状

ときには命に関わる重症にもなるアライグマ回虫。このおそるべき寄生虫は、一体どのような経路をたどってアライグマからヒトへと感染するのでしょうか。以下に、感染経路と主なアライグマ回虫症の症状を解説いたします。

感染経路

アライグマ回虫の感染のスタート地点は、宿主であるアライグマです。アライグマ回虫の成虫は、アライグマの小腸に住み着いて、宿主が摂取した栄養を横取りして暮らしています。

回虫が宿主の身体から排出される機会は大きく分けて3つです。

・寄生虫自体が死に、宿主の消化器から排泄される。
・宿主が自然死、あるいは捕食されるなどして、宿主ごとほかの生き物に取り込まれる
・回虫が産卵し、卵の状態のまま宿主の消化器から排泄される。

このうち三つ目の排出機会が最も多いとされています。回虫は毎日10万個以上の卵を産み、卵は消化されることなく糞に混じって排泄されます。外界へと放り出された回虫の卵は、そこから約2週間程度でほかの生き物への感染能力をもった「感染幼虫包蔵卵」と呼ばれる状態へと成長します。

感染幼虫包蔵卵の状態になった卵は、乾燥した糞と一緒に風にあおられて宙を舞うようになり、目に見えない微細な粒子となってほかの生き物の呼吸器などから体内へ侵入します。

このように、アライグマ回虫は空気感染します。とくにアライグマと接触したことがなくても、近くにアライグマの糞があれば、そこから舞い上がった卵を吸い込んで体内で孵化してしまうということもあり得るのです。

症状

アライグマ回虫に感染して起きる症状は、一般的に「風邪」に似ているといわれています。咳、発熱、身体のだるさ、情緒の不安定などが主な初期症状とされています。

感染症が進行し、アライグマ回虫が脳や中枢神経にまで達してしまうと、歩行障害、会話障害といった神経系の障害をはじめ、視覚障害からの失明、脳の機能障害などを引き起こすことがあります。それらの症状は重くなると後遺症が残り、死に至ることもあります。

初期症状では風邪とあまり区別がつかないというのが非常に厄介で、気づいたときには病状がかなり進行してしまっているといったケースが少なくありません。家の近くにアライグマが住み着いているなど、アライグマ回虫の可能性が思い当たることがあれば、すぐに病院で検査を受けるようにしましょう。

      アライグマ回虫症の感染経路と症状

アライグマ回虫症をさけるために

アライグマ回虫は、アライグマ自体との接触だけでなく、アライグマの糞を経由して空気感染するケースがあるため、とにかく生活圏からアライグマを遠ざけることが重要となります。そのためには、以下のようなことに気を付けましょう。

アライグマを餌付けしない

野生のアライグマを見かけても、決してエサを与えないようにしましょう。野生動物はエサが安定して得られることを学習すると、その場所に住み着いてしまう習性があります。可愛らしい見た目からエサをあげたくなってしまうことあるかもしれないですが、絶対にエサを与えないようにしましょう。

またアライグマ自体も性格がおとなしいわけではなく、近寄ると噛みつかれたり、引っ掛かれたりすることがあります。アライグマを見つけても、近づかないようにしましょう。

アライグマの糞の処理に注意する

アライグマ回虫の主な感染経路は、糞から舞い上がる卵を吸い込んだことによる空気感染です。したがって、アライグマの糞の処理はとくに危険です。処理するなら細心の注意を払う必要があります。

家の敷地内や屋根裏に糞をされてしまって処理しなければならないときは、必ずマスクを着用し、手袋を付けて処分するようにしましょう。

糞はできれば湿っているうちに撤去し、その際はビニール袋を二重にかぶせて乾燥と蔓延を防ぎます。処分に使用した道具は、必ずしっかりと洗浄するか、すぐに処分することを心がけてください。

      アライグマ回虫症をさけるために

近所でアライグマを見つけたら

家の近くでアライグマを見つけたら、絶対に近づかないようにしましょう。アライグマ回虫はアライグマが近くに住んでいるだけでも感染の可能性があります。

アライグマは大型のものはとくに凶暴で攻撃性が強く、さらに「鳥獣保護法」によって保護されている動物なので、個人で駆除を行うことは非常に難しいです。毒エサや罠を使ってアライグマを捕獲、殺傷することは法律で禁じられています。

そのため、家の周りからアライグマを排除するには、「追い出す」ほかに方法はありません。ただし、棒などを使って威嚇し、追い立てることも、「無用なストレスを野生動物に与える」として違反となってしまうケースがあります。

アライグマ対策で最も無難なのは、やはり害獣対処のプロに相談することです。アライグマに対するノウハウをもったプロであれば、鳥獣保護法に抵触しない範囲内で、効果的にアライグマを追い払えることでしょう。

まとめ

愛らしい見た目に騙されがちですが、アライグマは重大な感染症を引き起こすアライグマ回虫を蔓延させる害獣です。

そのような危険性をもつアライグマには不用意に近づかず、エサをあたえたり接触したりすることは避けて、必要であれば害獣対策のプロに相談するなど、適切な対処をしていきましょう。

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