ウォシュレットはトイレの暗くなりがちなイメージを大きく変えました。その要因として「清潔さ」があったことは捨てきれないでしょう。「温かいお湯で洗浄してくれる」「次に使うときににおいが残らない」など、どれもウォシュレットがあってこそです。
こうしたウォシュレットの機能を果たすために重要なのが、2つのフィルターです。どちらも汚れなどを捕まえてくれますが、それゆえに長年使っていると汚れてきてしまい、能力も落ちてきてしまいます。
今回はウォシュレットのフィルターがもつ役割と、そのフィルターの機能を維持するための掃除方法をご紹介します。ウォシュレットのもたらした清潔なトイレを、メンテナンスによって維持していきましょう。
目次
ウォシュレットには2つのフィルターがある
ウォシュレットのフィルターは主に2つです。そして、それぞれが重要な役割をもっています。ここではこの2つのフィルター、「水のごみを取り除くフィルター(給水フィルター)」と「においを取りのぞくフィルター(脱臭フィルター)」について解説していきます。
水のゴミを取り除くフィルター
ウォシュレットの給水フィルターは、砂などの異物を取り除く役割をもっています。水道水にはまれに砂が混ざっていることがあり、ウォシュレット内部に侵入すると故障の原因となることが少なくありません。そこで、ウォシュレット内部に入る前、給水管の部分で異物を網目でキャッチするのが、給水フィルターの役割です。
しかし、長年使用するとフィルターに異物や汚れがたまって詰まり、ウォッシュレットに水を取り入れにくくなってしまうことがあります。とくに近年主流の「瞬間式」と呼ばれる種類のウォシュレットは、給水管から取り入れた水をその場で加熱しています。そのため、ノズルから出てくるお湯の勢いが弱くなることに直結するでしょう。
脱臭フィルター
トイレはどうしてもにおいが残りやすい場所。このにおいを軽減するため、ウォシュレットにはにおいを吸着するフィルターが設置されています。ふたを閉めておけばその間に便器内の空気を循環させ、次に使うときにもにおいが気にならず快適にしてくれるのです。
しかし、このフィルターに汚れがたまっていくと、においの吸着能力が落ち、におい残りへとつながってしまいます。そのためこのフィルターも定期的に掃除し、ウォシュレットの機能を維持していきましょう。
フィルターの掃除方法
フィルターの能力低下はウォシュレットの機能低下にも直結します。では、ウォシュレットについているこれらのフィルターはどのように取り外し、掃除すればよいのでしょうか。ここでは気になる掃除方法を順を追って説明していきましょう。
掃除の前には必ず止水栓を閉めよう
ウォシュレットには給水管が接続されているため、誤って外れた場合は周囲に水が漏れてしまうおそれがあります。とくに「給水フィルター」は、給水管からウォッシュレットに至る部分に設置されているため、水を止めないままフィルターを外そうとすると水が噴き出してしまうおそれが高いのです。
トイレの止水栓には三角のハンドルがついたタイプのほかに、マイナスドライバーなどを使って開閉をおこなうタイプがあります。右(時計回り)へと回していき、確実に閉めてから作業をおこないましょう。この際どのくらい回したかをメモしておくと、掃除が終わった後の水量調整が楽になります。
なお、止水栓に給水フィルターが組み込まれたタイプの場合、内側の部分を回すことで水は止まります。マイナスドライバーでも作業できますが、専用の工具を用意すると便利です。
水のゴミを取り除くフィルター
水中のゴミを取り除く給水フィルターには取り付け場所によって、いくつかの種類があります。
【給水管に取り付けられているタイプ】
ウォシュレットにホースが入る手前に「アダプター」が取り付けられており、その部分にフィルターが内蔵されているタイプです。
【止水栓に取り付けられているタイプ】
止水栓との一体型の場合、2つのつまみの外側だけを回すことでフィルター部分にアクセスすることができます。
【本体に取り付けられているタイプ】
本体に組み込まれている場合、ウォシュレットの水抜き栓の役割を兼用していることが多いです。
いずれも左(反時計回り)に回すことで取り外せます。ただし、ウォシュレットや給水管内に残った水が出てくるため、水を受けるための洗面器などを用意しておくようにしましょう。
ウォシュレットからフィルターを取り外したら、たまっている汚れを落としましょう。流水などでしっかりと流すだけでなく、歯ブラシなどを使って網目を掃除することが大切です。ただし、力を入れすぎてフィルターを変形させないように注意してください。
汚れを落とした後は、逆の手順でフィルターを戻すことで掃除は完了です。
脱臭フィルター
脱臭フィルターは便器に向かって正面右寄りの部分にあります。ただし、こちらもウォシュレットによって取り外しかたが異なるため、注意が必要です。
【本体へ直接取り付けるタイプ】
脱臭フィルターをウォッシュレットに直接取り付けるタイプの場合、掃除するにはウォシュレット自体を一度外さなければなりません。コンセントを抜いた後「取り外し用ボタン」を押しながら手前へと引っ張り、固定金具から引き抜いてください。
その後ウォシュレットをひっくり返し、底の部分に付いているフィルター固定のつめを外します。フィルターを歯ブラシなどで丁寧に掃除した後、もとに戻しましょう。
【本体から引き出すタイプ】
一体型などウォシュレットが外れないタイプの場合、フィルターを引き出すためのつまみがついています。その部分を引き出すことでフィルターの掃除ができます。なお、フィルター自体は取り外すことができないため、歯ブラシなどを使ってその場で汚れを落とすようにしてください。
もし劣化しているときは交換しよう
ウォシュレットのフィルターは消耗品です。手間をかけて掃除をしても十分な機能を果たさない場合は、交換することが必要になってくるでしょう。ただし、フィルターを取り付けないまま使用することは、修理できない故障などトラブルの原因になるため厳禁です。
ウォシュレット用のフィルターはメーカーが取り替え用の純正部品を販売しているほか、インターネット通販などでも購入できます。給水フィルター・脱臭フィルターとも500~1,500円前後と、決して高いものではありません。能力低下が気になったら、一度交換を検討してみることをおすすめします。
フィルターを掃除しても問題が解決しないときは
ウォシュレットのフィルターを掃除しても水の勢いが弱かったり、においが取れなかったりすることはあります。先ほど触れたようにフィルターの劣化も十分に考えられますが、そのほかにもウォシュレット自体が故障していることが考えられるのです。
ウォシュレットが故障している可能性
給水フィルターを通じて取り入れられた水は、ウォシュレット内部で加熱され、ノズルをとおして放出されます。それだけでなく、便器に座っていることを検知するセンサーや、温度・勢い調整のためのリモコンなど、さまざまな電子部品が関わっています。
そのため、これらの電子部品のどこかに異常があれば、ウォシュレットは正常に動かなくなるおそれがあるのです。フィルターを掃除しても問題が解消されない場合、一度本体の故障を疑ってみるのもひとつの選択肢になってくるでしょう。
メーカーの保証期間を確認してみよう
ウォシュレットも電化製品であり、多くのメーカーでは「保証期間」を設けています。メーカーにとっては有料で10年までの延長保証をおこなっており、家庭用の範囲を超えた洗浄回数やフィルターを取り外しての使用など「無理な使いかた」をしていなければ、メーカーによる無料修理を受けられることもあるのです。こうした保証の対象かどうか、修理を依頼する前には必ず確認しておきましょう。
緊急時には業者の利用もおすすめ
メーカーによる修理は「修理の予約が混み合っている」「部品の手配が必要」などで時間がかかる場合も多いです。とくに夜間や休日に突然ウォシュレットが動かなくなったなど、緊急を要する場合は修理業者を手配するという手もあるでしょう。業者に依頼すると少なからず料金はかかりますが、「すぐに対応してもらえる」のは大きなメリットです。
とくに、保証期間が切れている場合のメーカー修理は高額になってしまったり、部品がなく修理不可能と判断されてしまったりすることも少なくありません。こうしたウォシュレットの修理にも、メーカー以外の業者は力になります。
まとめ
ウォシュレットを快適に、そしてその機能を維持していくためにはフィルターの掃除が欠かせません。水の汚れを取る「給水フィルター」、においを吸着する「脱臭フィルター」それぞれの状態を定期的に確認し、必要に応じて掃除をおこなうようにしましょう。また、劣化が見られるようであれば交換するのも手です。
ウォシュレットは家庭に広く普及したぶん、故障などのトラブルも目立つようになってきています。生活110番では、ウォシュレットを含むトイレまわりのトラブルや修理などに対応できる業者をご紹介していますので、お困りの際は一度利用してみてください。
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