
キッチン周りの空気環境は、換気扇だけの働きだけではありません。レンジフードも大きく貢献し、重要な役割をはたしています。
レンジフードは、換気扇と一緒に必ず設置しなければならないものです。しかし、ときにはキッチンで邪魔に感じ、高さを調節したいとお考えの方もいるのではないでしょうか。
レンジフードの高さは、実はしっかり定めがありきちんと計算されているのです。そこで今回は、レンジフードの高さについて詳しく説明し、適切な決め方についてご紹介していきます。
目次
レンジフードとは
キッチンの排気能力を高めるために設置される設備であり、基本的にコンロの上部に取り付けられていることが多いです。換気扇と組み合わせて使われ、内部のダクトを通じて煙やニオイなどを排出します。
形状や性能も多岐に分かれ、住宅でより快適に過ごすために欠かせない設備です。建築基準法でも換気扇の設置が定められているため、ご家庭のキッチンに対応したレンジフードの高さを見極め、最適なものを設置する必要があります。
従来のタイプのレンジフードに限らず、様々な機能をもったものが販売されており、高性能なレンジフードは手入れも楽に行うことが可能です。
なかには24時間常時換気を行い、常に住宅で快適にすごすために働くものもあります。稼働の音がどうしても気になるという場合は、音が静かなものを選択するということも可能です。
自動スタートや省エネ機能を備えたものは、とくに利便性が高くなります。加熱器具と連動し、自動で換気を始めてくれるためニオイもこもりにくいです。また、連動していることにより消し忘れる心配も少なくなります。
さらに、機能性だけではなくデザイン性も高いものが豊富に販売されており、キッチンにもなじみやすいです。基本的にはキッチンの空気環境を整える際に活躍するものですが、こだわりぬいたレンジフードは、インテリアとしてお部屋のおしゃれを演出するために大きく貢献するでしょう。
レンジフードの種類
設置されるレンジフードの形状は様々であり、それぞれ特徴も違いますので、レンジフードの高さを決める際にも重要視する必要があります。
始めに、レンジフードの形状についてきていきましょう。
フラット型
天井尾が低い場所でも設置することができ、住宅のスペースを有効に活用する際に役立つレンジフードです。
少し音が大きい点がありますので、設置の際は近隣への配慮が必要となります。
ブーツ型
様々なキッチンのタイプに適応するレンジフードであり、一般住宅に多く普及されている傾向があります。比較的深い形状となっており、煙を集めやすいのが特徴です。
スリム型
おうとつを限りなく減らした設計で、油汚れを付きにくくする工夫が凝らされているレンジフードになります。
見た目がおしゃれな点もあり、インテリアとしても人気が上昇してきている形状です。また、キッチンの形状によっても適したレンジフードに違いがありますので、それぞれ見ていきましょう。
壁面取り付けタイプ
壁際にキッチンが設置されている場合に設置されるレンジフードとなり、天井に広々としたスペースを作ることが可能です。
比較的掃除もしやすくニオイも広がりにくいといったメリットもあります。
横壁取り付けタイプ
対面型キッチンに取り付けられているものであり、壁際に設置するのが特徴です。
天井取り付けタイプ
アイランド型キッチンに適したタイプのレンジフードとなり、開放的な空間を演出してくれます。おしゃれなデザインのものが多いですが、反面少し費用が高額になる傾向もあるため注意が必要です。
レンジフード自体の高さや奥行
レンジフードは、高さや奥行きを計算して設置される設備になります。普段ご家庭で何気なく使用していたレンジフードも、安全に使用できる高さと奥行きを計算されているのです。
高さが低いと、ニオイが滞留するなどの影響が出てしまうおそれがあります。排気環境などを把握し、設置を依頼するときは快適に使用できる条件で設置するようにしましょう。
国内で販売されているレンジフードは、主に幅が決まっており60 cm、75 cm、90cmの中から選択する必要があります。横幅による性能の違いはあまりないと言われていますが、幅が長くなるにつれて本体価格も高額になる傾向があるのです。
レンジフードの高さと奥行きは、天井の高さ、ガスコンロとの距離で決めます。ただし、規定があるため、むやみに高さを変更することはできません。
現在のキッチンの使用に影響が出ているというときは、規定をクリアした範囲内で調節する必要があります。
レンジフードの高さは決まっているの?
建築基準法により、レンジフードの高さは定められています。設置を検討されている場合は、しっかり基準を把握して適切に対応してもらいましょう。
法令は、コンロがガスかIHなのかで決まりが違います。
ガスの場合
設置の高さは、排気口からフード下端までの高さを80cm以下
IHの場合
排気口からフード下端までの高さは100cm以下
吸い込み能力を十分に発揮するため、使用に影響が出ないために定められている基準になりますが、キッチンのタイプによっても効率に変化が見られます。
また、横幅も設置の規定があり、加熱器具よりも幅のあるレンジフードを設置しなければなりません。
レンジフードの高さによっては頭をぶつけることも
レンジフードの高さを決めるときは、法律を順守することはもちろんですが自分の身長を把握して適切な高さに設置することが重要です。
あまりに低いと頭をぶつけてしまうおそれがあり、ケガにつながることも考えられます。80cm、または100cm以上離して設置することはできないため注意が必要です。
また、高さが適切でもご自宅のキッチンの広さに合っていないことも頭をぶつけてしまう原因となりかねません。レンジフードが大きすぎるため移動中に頭をぶつけてしまうというケースも想定できます。
レンジフードは、規定を守っていれば設置することは可能です。しかし、使用するときに不便がでないためにも、高さや大きさ、奥行きをよく考えて設置することが重要になります。適当に設置しても、日々の使用するなかで邪魔に感じ料理の効率にも悪影響を及ぼすでしょう。
レンジフードの高さの決め方・考え方
レンジフードの高さは、複数のポイントを重視して決めることが大切です。挙げられる要点をまとめましたので、高さを決める際にぜひ役立ててみてください。
・前のめりになったときに頭が当たらない
・排気能力が十分得られる高さか
基本的には、キッチン使用時あらゆる体勢を想定して決めるのが適切です。少し前のめりで調理するときや、高い場所にある調理器具を取るときのことなどを考えるのがいいでしょう。
ただし、高すぎると換気扇がうまく機能しないこともあるため物理的な面だけではなく性能にも注視する必要があります。
規定で一定の距離以上は離さないといけないため、基本的にはキッチンから80cm、100cmを目安にするのが適切です。また、キッチンの高さにも注目しましょう。
キッチンの天板の高さは、主に80cm、85cm、90cmに分類されます。それに加えレンジフードとの距離を合わせることで、明確な高さが算出できるのです。
また、キッチンのタイプ、ガスコンロの種類によって考え方にも違いがあります。
IHの場合は上昇気流がガスコンロに比べて弱いとされ、ニオイが低い場所に滞留してしまうおそれがあるので注意が必要です。
そのためあまり高く設置しすぎないほうが換気能力を十分発揮してくれるはずです。もしご自宅のキッチンが対面式だった場合は、室内の気流の影響が出てしまうおそれがあるため身長よりも換気効率を優先したほうがいいかもしれません。
頭をぶつけないような高さに設置することはもちろんですが、部屋が煙で充満しないような条件で取り付けることも大切です。
使う人が複数ならレンジフードの高さに余裕を
キッチンは、ご家庭により使用状況が異なるかと思います。常に一定の人物が使用するとは限りません。もし複数の方が使用される予定があるなら、レンジフードの高さには余裕をもつ必要があります。
身長の低い方に合わせてしまうと、ご家庭で一番身長が高い方が使いづらくなってしまうおそれがあるのです。設置前には、だれがどのくらいの頻度で使用するのかをしっかり把握してからお願いしましょう。
具体的にキッチンの高さを求める目安としては、「身長÷2+5cm」と考えるのが一般的です。160cmの身長の方を基準に考えると、キッチンの高さは、
160÷2=80
80+5=85cmです。
高さ80cmのレンジフードを設置するときは、上記で求めた85cmを足し、合計で165cmと求められるのです。これは床からレンジフードまでの高さであり、身長160cmの方にとっては5cmほど余裕がみられます。
ガスコンロを採用したキッチンであるなら、既定にも満たした条件であるため問題もありません。ただ、身長180cmを越える方が使用するときは、少し低く感じ、使いづらく感じるおそれがあります。
もし180cm以上の方の使用頻度が高いという場合は、適切な高さとは言えません。ただ、法律上設置の高さにも限界があるという点はしかり理解が必要です。
レンジフードの高さを調整する方法
レンジフードの高さを調節するためには、業者に依頼して作業してもらうのが一般的です。法令を順守する必要があり、なるべく正確に高さを測定する必要があります。
業者に依頼する際は、自分の希望に沿った業者を選択することが大切です。ご自分の身長と換気性能の関係をしっかり把握し、適切に作業してくれる業者なら安心してまかせることができるでしょう。
高さを調節するときは、レンジフードをいったん取り外す必要があり大掛かりな作業になることもあります。業者に依頼することで、交換や調節することはもちろん、蓄積した汚れの除去についてもまかせられる可能性があるのです。
業者と相談して、高さを調節してもどうにもならないようであるなら、最大限に効果を発揮し、キッチン使用時も邪魔にならないものに交換するのがいいでしょう。
また、交換作業だけではなく修理も相談できます。設置位置は正しくても、経年劣化などにより換気扇、レンジフードが機能しないかもしれません。寿命がきてしまった場合は、新品に交換する必要がありますが、故障であるなら修理で事態が改善する可能性があります。
そういったケースに対応するためには、症状をしっかり把握する知識が求められるため、あまり無理に自分で触らないほうがいいでしょう。
少し高さを調節するだけでも、高所の作業になると危険を伴うため安全に作業できる業者にまかせるのが最善ではないでしょうか。
リフォームではレンジフードの高さを決めることを忘れがち
住宅のリフォームを依頼する際、どのようなキッチンにしようかよく考えて決める方が多いでしょう。広さや料理のしやすさ、デザインなど個人で様々なこだわりがあると思います。
その際にレンジフードの高さにまで気が回らないことが多いです。業者にまかせると、規定を満たした高さに設置してくれますが、最適な高さに設置したいのなら要望を伝える必要があります。
自分が料理しやすいだけではなく、どのような体勢になっても安全かつ排気能力も得られるレンジフードは、ご自宅のキッチン環境をより快適にするはずです。
ときには音がどうしてもうるさいと感じてしまうことがあり、設置後に後悔するケースもみられます。そのような事態にならないためにも、リフォーム前によく相談して決めることが大切です。
そうすれば、リフォーム後も不便に感じることなく費用も無駄になりにくくなります。
まとめ
キッチンの換気に欠かせないレンジフードは、様々な種類がありキッチンの形状に応じて適したものも違います。
リフォームなどを検討中の方は、機能などを十分把握し最適なものを選択することが大事です。とくにレンジフードの高さについては、規定もありますのでむやみに高さを調節せず業者に相談するのが賢明ではないでしょうか。
高さを決めるためには、自分の身長や換気性能などのバランスを考慮し慎重に決めるのがいいでしょう。
現在のものから交換したいという場合も、キッチンに対して適切な幅のものを選択しなければならないため注意が必要です。
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