羽アリの大量発生はなぜ?駆除すべき理由と防除方法
この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。
玄関やベランダ、庭などに集団であらわれる黒い羽虫……。いきなり見かけたときは、思わずギョッとしてしまいますよね。もしかしたら、その羽虫は「シロアリの羽アリ」かもしれません。シロアリの羽アリであれば、すぐに駆除をすることが大切です。羽アリは新しい巣を求めているため、駆除しないと別の場所に巣を作るおそれがあります。
そこで、今回はシロアリの羽アリが大量発生したときに考えられる原因とその対処法を解説。この記事を参考にして、シロアリ被害に困らないための環境づくりをしてみてください。
シロアリ駆除・予防のお問い合わせ・ご相談はこちら
目次
大量発生の原因!羽アリは何をしている?
まず気になるのが「どうして羽アリは大量発生してしまうのか?」という点ではないでしょうか。もちろん、羽アリが大量発生するのは偶然ではなく、羽アリが持つ習性によるものです。そこで、羽アリが大量発生する理由を詳しくご紹介しましょう。
「群飛」の習性が原因
シロアリの羽アリが大量発生する原因は、羽アリが持つ群飛(ぐんぴ)という習性によるものです。群飛とは呼び名のとおり、集団で一斉に飛んでいくことをいいます。なぜ群飛をおこなうかといいますと、群飛によってオスとメスがペアになり、元の巣とは別の場所の新しい巣を作るためなのです。
そして、運よく巣を作ることができた羽アリは、王アリ・女王アリとなります。もし家の中に巣を作られると、家の木材を食べられてしまい大変です。そのため、羽アリを見かけたら駆除しなければなりません。
ちなみに、未来の王アリ・女王アリ候補となる羽アリは、シロアリのなかでもごく限られた個体しかなれず、さらにその9割以上は巣やペアを作ることができずに死んでしまいます。
家の中の羽アリ大量発生は要注意!
もしベランダや玄関といった家の中で羽アリの大量発生を発見したら、注意しなければなりません。家の中に羽アリがいる場合は、すでに家の中にシロアリの巣が発生している可能性があるからです。しかも、羽アリが出てくるならば、ある程度被害が進行しているおそれがあります。
大量発生した羽アリが家の中から出てきたものであるかを確認する場合は「群飛孔(ぐんひこう)」という小さな穴を探してみましょう。家の中にシロアリが潜んでいる場合、羽アリの集団の近くに不自然に空いた穴が発見できるはずです。
また、家の中で羽アリが発生したときは駆除することも大切ですが、群飛孔の有無に関わらず業者に依頼して「シロアリ被害のチェックと駆除」をしてもらうようにしてください。シロアリ被害は進行すると大きな修理費用がかかったり、ケガにつながったりして危険です。
羽アリには異なる種類がいる
羽アリには家を食害する有害な種類や、無害どころか益虫の側面を持つ種類までさまざまです。そのため、できれば駆除を始める前にその羽アリがシロアリであるかを特定しておくとよいでしょう。羽アリの種類ごとの特徴を解説していくので参考にしてみてください。
見た目で見分ける
シロアリの羽アリと見た目が少し似ている昆虫に「クロアリの羽アリ」がいます。クロアリは庭や公園でよく見かけるあの黒いアリで、シロアリと同じように飛行して新しい巣を探します。しかし、クロアリは木材を食べるシロアリと違って肉食であり、シロアリを食べてくれる益虫です。そのため、クロアリであるとわかった場合は、駆除しないほうがよいでしょう。以下に両者を見分けるポイントをまとめたので、参考にしてみてください。
羽アリの種類の見分け方 | ||
見分ける項目 | シロアリ | クロアリ |
羽の形 | 均等で長い、楕円のような形 | 後ろの羽が短い、ハチに似た形 |
羽の取れやすさ | 取れやすい | やや取れにくい |
胴体の形 | 寸胴でくびれがない | 細いくびれがある |
触覚の形 | まっすぐに伸びている | 「く」の字に曲がっている |
羽アリはとても小さい体をしているため、見分けるのは少し難しいかもしれません。そのようなときは、粘着テープなどを使って羽アリを捕まえてから観察してみるとわかりやすいでしょう。なお、イラストでは黄色い体になっていますが、体の黒い種類のシロアリの羽アリもいるので注意しましょう。
時期で見分ける
あくまで傾向ではありますが、羽アリを見かける時期によって種類を推測することも可能です。そこで、以下に日本で見かけるシロアリ・クロアリの羽アリが出現する時期をまとめました。
このようにシロアリは春や夏の梅雨の時期に見られ11月以降はほとんど見られず、クロアリは夏~秋を中心として活動する傾向があることがわかります。ただ、より正確に判断するには先ほどご紹介した「見た目」で見分けるほうがよいでしょう。
家で羽アリを見かけたら駆除しよう!
羽アリは新しい巣作りのために飛び立つので、家の中で羽アリの大量発生を見かけたら逃がさず駆除するようにしてください。駆除するためには、これからご紹介する方法でおこなうのが有効です。
掃除機で吸う方法
羽アリが大量発生したときは、掃除機を使った方法を試してみてください。ただし、無計画に使用するのはうまく駆除しきれない可能性があるので、以下の手順通りにおこなうことが大切です。
【掃除機での駆除手順】
- 掃除機のノズルを外す
- 羽アリを直接吸い取る
- 捕らえた羽アリを袋に入れる
- 可燃ゴミとして処分する
羽アリを吸い込むときは、掃除機のノズルを外しておきましょう。そうすることで羽アリをまとめて吸い込めるだけでなく、吸い込む力も強くなります。強力な吸い込みによって羽アリが絶命するため、捕獲と同時に駆除ができるのです。その後掃除機のタンクから羽アリを取り出し、袋にまとめて処分しましょう。
粘着テープで捕る方法
【粘着テープでの駆除手順】
- 粘着面を羽アリにくっつける
- テープを切り取り、丸めておく
- 袋に入れて処分する
掃除機のノズルが届かなかったり、掃除機が使えなかったりする場合は、上記の手順のように粘着テープで駆除するようにしてください。また、羽アリ駆除に使う粘着テープはガムテープや掃除用のローラー(コロコロ)で十分です。
群飛孔の対策もしておこう
羽アリの近くに小さな群飛孔が発見できた場合は、その穴から羽アリやシロアリが出てこないように塞いでおきましょう。群飛孔で塞ぐための道具はガムテープがおすすめです。風や衝撃ではがれてしまわないように、しっかりと塞ぐようにしてください。
また、群飛孔の周りをポリ袋で覆う方法も有効です。あえて群飛孔を塞がないことで、群飛をしようと出てきた羽アリをまとめて捕らえることができます。
大量発生の場合は殺虫剤に注意!
羽アリが大量発生したときの対応策として、殺虫剤を使うのはおすすめできません。なぜなら、羽アリは小さくて軽いため、殺虫剤の噴射では羽アリが散ってしまうからです。そうなると羽アリに逃げられてしまいますし、羽アリが新しい巣を作ってしまうかもしれません。そのため、掃除機や粘着テープといった逃がさない方法で駆除することが大切です。
シロアリ駆除を業者依頼するときに知っておくこと
うまく羽アリを駆除できたからといって、それだけで終わらせてはいけません。なぜなら、家の中で羽アリが出たということは、すでにシロアリが住み着いている可能性が高いからです。羽アリが出たときは、シロアリ駆除業者に現地調査の依頼と駆除を申し込んでおきましょう。ここで、シロアリ駆除を業者に依頼する場合に知っておきたいことを紹介していきます。
シロアリ駆除の費用
まず覚えておきたいことが、シロアリ駆除業者の施工費用相場についてです。基本的にシロアリ駆除の料金は、1回〇円といった固定料金ではなく「1平方メートルあたり〇円」または「1坪あたり〇円」といった敷地の広さで決まります。そのため、家が広いほど多くの施工料金がかかるのです。
また、シロアリ被害の程度によっても施工費用が異なります。シロアリ被害が進んでいて駆除が困難であると判断された場合は料金が高くなりやすいです。さらに、基本料金にプラスする形で木材の修繕費用がかかる場合もあります。
業者の選び方
お近くのシロアリ駆除業者を選ぶのも選択肢のひとつですが、できるだけサービスの良い業者を選んでおくと安心できます。シロアリ駆除は完全におこなうことは難しいため、あまり実績のない業者を選ぶと施工後に被害が再発する可能性が高くなるからです。以下の基準を参考にして、最適なシロアリ業者を選んでみてください。
【業者の選ぶ基準】
- 業者の実績はどれくらいか
- 保証内容と期間はどれくらいか
- 極端に高い価格・低い価格で施工していないか
- 評判がよい業者であるか
また、シロアリ駆除業者を検討するときは、複数の業者に料金の見積りを取る「相見積り」をしておくことがおすすめ。複数の業者の料金を調べておくことで、自宅にかかるシロアリ駆除相場を知ることができます。
DIYでのシロアリ駆除はリスクが高い理由
「できれば費用をかけたくない」と自分でシロアリ駆除をおこなうことを考えている人もいらっしゃるでしょう。しかし、DIYでシロアリ駆除をおこなうのは、ここで解説した内容のとおり、おすすめできません。よほど自信があるわけではないのなら、業者に依頼してシロアリ被害を解決しましょう。
道具を準備する手間がかかる
シロアリ駆除をDIYでおこなうとなると、駆除に必要なすべての道具を自分で用意する必要があります。例えば、身を守るための作業着ヘルメット、床下に潜り込むための解体道具やドリルなど。さらに、シロアリを駆除するための薬剤も購入しなければなりません。
また、シロアリ駆除剤は取り扱いに十分注意しなければならないものもあり、準備だけでなく管理の手間もかかります。その点、業者であればこれらの手間をかけずにシロアリを駆除できます。
ケガなどのリスクがあること
基本的にシロアリは床下の狭い場所で巣を作り、人間の見えないところでこっそりと木材を食害する生活を送っています。そのようなシロアリを駆除するには、直接床下に潜らなければなりません。もちろん、作業着やヘルメットなどの準備があればある程度のケガや事故は防げるかもしれません。しかし、シロアリ被害が思ったよりもひどい場合は建築材が崩れて大ケガをする可能性もあるでしょう。
また、シロアリ駆除作業に慣れていないと、大切な建築材を誤って壊してしまうおそれもあります。このように大ケガをするリスクや建築材を壊すリスクがあるため、DIYでのシロアリ駆除はおすすめできないのです。
羽アリに出会わないための予防策
羽アリの大量発生は密集している姿が気持ち悪いし、できれば見たくない方も多いでしょう。その場合は、シロアリ駆除の他にこれからご紹介する羽アリの予防方法も知っておくことが大切です。すべて実行するのは難しいかもしれませんが、少しでも心がけておくことで、羽アリの大量発生に遭う確率を下げることができます。
木材やダンボールを片付ける
シロアリの主食は木材であるため、家の外に木材を放置していると羽アリが寄ってくるきっかけになってしまいます。特に地面に設置してある木材は、地中からやってきたシロアリが木材に穴を開けて巣を作る可能性があるため、木材をシロアリが届かない位置に移動させておきましょう。
また、シロアリは意外にもダンボールや発泡スチロールもエサとして食べてしまうため油断なりません。そのうえ、ダンボールはゴキブリなどの他の害虫を呼び寄せるエサにもなるため、片付けるようにしてください。
湿度を下げておく
日本のシロアリ被害件数のなかでも特に多い「ヤマトシロアリ」は、湿度の高い環境を好み、お風呂場や床下付近の湿った木材を好んで食べます。ヤマトシロアリは食害した木材の中に巣を作るといった習性を持つため、食べられてしまう前の対処が肝心です。
具体的には、食害されるのを避けるため、床下に調湿剤や換気扇などの湿度対策グッズを設置しておくことになります。シロアリのなかには乾いた木材でもお構いなしに食べてしまう厄介なものもいますが、一番被害に遭いやすいヤマトシロアリを対策できるのはよいことです。
蛍光灯の光を外に出さない
羽アリには、紫外線に向かって飛んでいく「走光性」という性質があり、紫外線を発する光があれば誘われて寄ってきます。紫外線といえば太陽の光を想像する方も多いかもしれませんが、実は部屋の蛍光灯にも紫外線があるのです。
そのため、夜中に窓を開けたままにしていると、シロアリが家の中へ入ってくるかもしれません。できれば蛍光灯の光を出さないように締め切ったほうがよいですが、少なくとも窓は開放しないほうがよいでしょう。部屋が暑くて窓を開けたい場合は、網戸にしておくことをおすすめします。
定期的な点検をしておく
羽アリの大量発生を防ぐために、床下の定期点検を業者にしてもらうことが大切。少なくとも年に1回定期点検をしておけば、万が一シロアリ被害が発生していても、被害が深刻化する前に対応しやすくなります。
まとめ
家の中で羽アリが大量発生しているのを見かけたら、すぐに駆除するようにしましょう。ただし、羽アリは軽くて吹き飛びやすいため殺虫剤ではなく掃除機や粘着テープなどを使って逃がさず捕獲するように駆除してください。
また、羽アリが家の中で出たときはすでにシロアリ被害が起きている可能性があります。シロアリ被害を放置すると家の修復費用が大きくかかってしまうので、早めにシロアリ駆除のプロへ相談して床下を点検してもらいましょう。
ちなみに、弊社ではシロアリ駆除が得意なプロをご紹介するサービスをおこなっています。床下の点検や今後のシロアリ予防まで対応することが可能です。24時間365日いつでも受付をしていますので、もしシロアリや羽アリについてお困りであればぜひご相談ください。
※対応エリアや加盟店によって変わります