最新の断熱材がおすすめって本当?失敗しない断熱材選びのヒント

2021.4.30

最新の断熱材がおすすめって本当?失敗しない断熱材選びのヒント

近年では断熱材を用いた「高気密・高断熱」の新築住宅が多く見られるようになりました。こうした住宅は断熱材の効果によって、外気の気温に影響を受けにくくなるというメリットがあります。しかしその一方で、断熱材を使用することより結露が発生しやすくなるなどのデメリットがあるのも事実です。

「住宅の断熱対策として断熱材をおすすめされたけど、結露の発生で家が傷むのは嫌」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、断熱材のメリットやデメリットについてご紹介していきたいと思います。また、新たに注目されている断熱材についても触れていきますので「以前から断熱対策に興味があった」という方は、参考にしてみてください。

断熱材の基礎知識

断熱材とは、熱移動と熱伝導を減少させてくれるもののことで、特に寒さの厳しい冬の時期に重宝されます。

冬季は外気の影響により家の中もひんやり寒くなりますが、断熱材を用いることにより、外部の寒い空気をさえぎり、家の中を暖かく保つことができます。そして断熱材を使うことによりエアコンの効果もより発揮されるため、寒い時期でも断熱材を使えば屋内で快適に過ごすことができます。

断熱材には、繊維の間に空気を含む繊維系のものと、独立した気泡内部に気体を閉じ込める発砲プラスチック系のものの2つがありますので、これから繊維系の断熱材と、発砲プラスチック系の断熱材について触れてみようと思います。色々見比べてみて、ご自宅の断熱材におすすめのものを見つけてみてはいかがでしょうか。

現在の住宅に使われている断熱材のメリット・デメリット

住宅の断熱対策を考えたとき、断熱材をおすすめされることも多いと思います。断熱材の種類を、以下にまとめました。

繊維系断熱材 発砲プラスチック系の断熱材
無機系 木質繊維系
・グラスウール
・ロックウール
・セルロースファイバー ・押し出し発泡ポリスチレン
・ビーズ法ポリスチレン
・硬質ウレタンフォーム
・フェノールフォーム

断熱材の種類は、何を基準に選べば良いのでしょうか?そこで、断熱材には主にどのようなメリットとデメリットがあるのか、種類別に見ていきましょう。

ビーズ法ポリスチレンフォーム

炭化水素系発泡剤とポリスチレン樹脂が原料で、一般的には発泡スチロールと呼ばれています。

メリット

・柔らかさがあるため加工しやすい
・発泡プラスチック系断熱材の中でも軽い
・発泡プラスチック系断熱材の中では値段が安い
・耐久性が高い
・耐水性に優れている
・湿気を通しにくい
・劣化する速度が遅い
・緩衝性が高くて軽い

デメリット

・切断する際にゴミが出やすい
・発泡プラスチック系断熱材の中では断熱性能が劣る
・鉱物系の繊維系断熱材に比べると値段が高い
・傷が付きやすい

硬質ウレタンフォーム

工場で板状に形成するタイプと、建築現場で吹き付けて発泡させるタイプの2種類があります。

メリット

・吹き付けて発泡させれば気密性が高くなる
・衝撃に強い
・強度が高い
・発泡プラスチック系断熱材の中でも断熱性に優れている
・吸音効果が高い

デメリット

・日光と水に長時間さらされた場合は早く劣化する
・発泡プラスチック系断熱材の中でも値段が高い
・硬さがあるので施工しやすいとはいえない

フェノールフォーム

フェノール樹脂に硬化剤や発泡剤を加えて発砲させ、板状にした断熱材です。

メリット

・断熱性がとても優れている
・耐熱性が高い
・耐薬品性が高い
・劣化する速度が遅い

デメリット

・衝撃に弱い
・吸湿性と吸水性が高いため水に弱い
・高性能の場合は値段が高い

押出法ポリスチレンフォーム

主に発泡剤・ポリスチレン樹脂・難燃剤を混ぜ発泡させつつ押し出して作られる断熱材です。

メリット

・発泡プラスチック系断熱材の中でも軽い
・吸水性と吸湿性が低い
・切断しやすいため加工しやすい
・比較的値段が安い
・断熱性が優れている
・硬いので圧力にも耐えられる

デメリット

・発泡プラスチック系断熱材の中でも耐熱性が低い
・時間経過による性能低下が著しい
・衝撃に弱い
・強度が低い

羊毛断熱材

主に羊の毛を原料として作られる繊維系断熱材です。

メリット

・調湿性に優れている
・天然素材のため化学物質によるシックハウス症候群のリスクがない
・防音効果が期待できる
・燃えにくい
・撥水性に優れている
・ホウ酸の効果により燃えにくくなり、カビを抑制する効果や虫を防ぐ効果が期待できる

デメリット

・採用している住宅が少ないため、技術の高い職人が少ない
・職人の技量によって技術差が出やすい
・断熱性能の割に値段が高い

グラスウール

主に砂やガラスなどの鉱物系の原材料で作られる繊維系断熱材です。

メリット

・流通量が多く入手しやすい
・戸建住宅に用いられる断熱材の中でも値段が安い
・鉱物系の素材でできているためシロアリ被害を受けにくい
・軽い
・柔軟性があり施工しやすい
・耐火性に優れている
・吸音効果がある

デメリット

・他の断熱材よりも熱伝導率が高いため断熱性が低い
・自重による脱落や隙間ができやすい
・湿気に弱い
・湿気を含むと断熱性が著しく低下する

セルロースファイバー

主に硫酸アンモニウムやホウ酸に紙・綿などの木質系原料を加えて作られる繊維系断熱材です。

メリット

・調湿性に優れているため壁内が結露しにくい
・密度を高めると遮音効果も高まる
・ホウ酸の効果により燃えにくくなり、カビを抑制する効果や虫を防ぐ効果が期待できる
・古紙などを再利用して作られているため地球にやさしい

デメリット

・他の断熱材よりも重い
・密度を高めずに用いると自重により沈下するなど断熱性が損なわれてしまう
・他の断熱材と比べると断熱性能の割には値段が高い
・専門業者による施工を行なわなければならない

ロックウール

主に岩石などを繊維状にして作られた人造鉱物繊維です。

メリット

・リサイクルして再生できる
・鉱物系が原であるためシロアリの被害を受けにくい
・断熱性能が高い
・耐火性に優れている
・撥水性が高いため吸湿性が低い
・吸音性が高い

デメリット

・グラスウールよりは少し割高
・吸湿すると断熱性能が著しく低下する
・職人の施工技術によって断熱性能の差が出やすい
・自重による脱落や隙間ができやすい

一概にいい・悪いの判断はできない?総合的な判断のむずかしさとは

住宅の断熱対策を考えて工務店に相談をすれば、さまざまな種類の断熱材をおすすめされる可能性があります。しかし上記で述べたとおり、断熱材には種類によって異なるメリットやデメリットがあります。

たとえば、断熱材の中でも値段が安い「グラスウール」を用いた場合、グラスウール自体は軽くて扱いやすいというメリットがあります。しかし、湿気を吸収すると自重によって脱落や隙間ができやすくなったりします。それを防ぐために防湿措置を施さなければならないなどのデメリットもあります。

そのため「断熱材」をひとくくりにし、その性質の一部だけを捉えて「この断熱材はいい」とか「この断熱材は悪い」と言い切ることはできないのです。

ですから断熱材を選ぶときには「どのようなポイントを重視するか」という視点で選ぶと良いでしょう。しかし、その断熱材を選ぶことによって得られるメリットの裏には、デメリットがあることを理解したうえで、総合的な判断をしなければなりません。

安定した施工と価格を重視したいなら

〇グラスウール
日本国内で一番使われている断熱材であるのと同時に、比較的安値なので、無難に行きたい、安値にしたい方はグラスウールを選んでみてはいかがでしょうか。

〇ロックウール
グラスウールと同等の性能と価格となっていて、650度以上の熱に耐えられるほど熱に強いので、耐熱性を重視する場合はこちらを選んでみてもよいかもしれません。

地球環境に配慮したいなら

〇セルロースファイバー
古新聞を原料としたエコな断熱材です。断熱、防音、防虫、防火、結露の5つに強いので頼りがいがあります。

〇フェノールフォーム
価格はグラスウールの3倍前後ですが、130度までの熱に耐えられるほど断熱性が高いです。発砲に特定フロンガスを使用していないため、地球に優しい断熱材です。

新たに注目されている断熱材がおすすめされてるわけ

つづいて新たに注目されている断熱材についてみていきます。これまでも述べてきたように、断熱材にはさまざまな種類があります。しかし近年新たに注目されている断熱材があるのです。それは魔法瓶を超える究極の断熱ともいわれる「真空断熱材」です。

真空断熱材がおすすめされているわけは、まず高い断熱性にあります。真空断熱材の断熱性能は硬質ウレタンフォームの約15倍・発泡スチロールの約20倍・グラスウールの約30倍ともいわれています。

このような優れた性能を持つ真空断熱材は「グラスウール芯材」を「ガスバリアフィルム」という素材で包み、真空の状態で密封する仕組みでできています。これにより、気体による熱伝導をほぼゼロにすることに成功した奇跡の断熱材なのです。

また真空断熱材は優れた断熱効果が得られる上に、厚さが非常に薄いという特徴も兼ね備えています。そのような理由から、近年では真空断熱材をオススメする業者が増えているようです。

新たに注目されている断熱材がおすすめされてるわけ

内部結露に気を付けるべき?結露しにくい断熱材とは

それでは住宅の断熱対策を考えたとき、さまざまな断熱材をおすすめされると思いますが、なかでも「結露しにくい断熱材」についてみていきましょう。

じつは住宅の「結露」には2つの種類があるといわれています。冬季に室内で暖房器具を使用することによって窓ガラスが濡れるのは「表面結露」といわれる現象です。一方で、湿度の高い室内の空気が、壁体内部から浸透し、露となる現象を「内部結露」と呼びます。

この「内部結露」は、住宅の建材を劣化させるおそれがあり注意が必要です。「内部結露」を防ぐのに効果的なのは「断熱性」と「防湿性」を兼ね備えた断熱材であるといわれています。

「内部結露」を防ぎたいなら「断熱性」と「防湿性」に優れた断熱材を選ぶようにしましょう。

まとめ

ここまで住宅の断熱対策に有効な断熱材をおすすめしてきましたが、いかがでしたか?湿度の高い日本において住宅に断熱対策を施すことは、大切な家を守るうえで効果的な方法だと思います。これを機に一度、ご自宅の断熱対策を検討してみませんか?

一方で断熱材選びを誤ると、かえって建材の劣化を早める恐れもあることから「こうしたことはプロの業者に頼みたい」と思われた方も多いと思います。家は大切な財産ですから、失敗したくないと思うのは当然です。そんな時は無理せず、信頼できる業者に見積りをとることからはじめてみてはいかがでしょうか?

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