
野菜などが生長し、実を付けるものも多い夏の季節。植物にとって伸び盛りのこの季節は雑草にとっても例外ではありません。とくにつる性雑草はこの季節に範囲を大きく広げ、庭一面を覆ってしまうことも。除去してもなかなか減らず、面倒なお庭の大敵です。
しかしなぜ、つる性雑草は厄介な存在なのでしょうか。今回はつる性雑草に焦点を当て、対策法などを考えていきましょう。
目次
つる性雑草の葛が厄介な理由とは
つる性雑草が強敵である理由は数多くあります。
絡み付くので取りにくい
つる性雑草は範囲を広げるために上へ横へと伸びていきます。しかしつる性雑草の茎は自分を支えることができるほどには太くなりません。そのため高くそびえるほかの植物などを頼り、それに絡みつくように生長していくのです。
そのためフェンスやほかの庭木に絡みついてしまい、取るのに一苦労なこともしばしば。しかも円を描くように巻き付いているので引っ張ってもなかなか切れず、丁寧にほどいていくかハサミを多用しなければならないことも少なくありません。
やせた土地にも生えやすい
植物は光のエネルギーを利用して、二酸化炭素と水から養分(でんぷんのもととなる糖類)を作る光合成をおこないます。一方で植物は生長に必要な窒素を空気中から取り込むことができず、土の中から吸収せざるを得ません。そのため畑や植木鉢などには窒素の含まれた人工肥料をまくことも多くなっています。
しかしマメ科など一部のつる性雑草はこの「窒素固定」をおこなう細菌と共生する特徴を持っています。そのためほかの植物が生えないような栄養の乏しい土地でも、つる性雑草は生長できることが少なくないのです。
つる性の雑草は葉を広げる範囲を増やすことでより多くの養分を得ることができるのも、やせた土地に適している理由です。
途中から根を付けられる種も
つる性の植物は茎の途中から根が生えることも少なくありません。この「気根」と呼ばれる根は養分吸収の補助の役割を果たしているほか、巻き付く先の植物から離れにくくする側面もあります。
多くの庭木は枝の一部を切り取っても切り口から根が生え、1本の植物として生長し始めることができます。つる性雑草も同様に、この根を使って単独で生育することができるのです。
生命力が強く、根からの除去が必要
このようにつる性雑草は生命力が強いため、駆除するには根から茎まですべてを一気に除去する必要があります。しかし絡みつくつるを取るだけでもなかなか難儀な作業。しかも栄養の乏しい地面に生えるぶん、根もしっかりと張り巡らします。
多年草も多い
雑草の多くは1年サイクルで生え変わりますが、つる性雑草は何年も同じ個体が生き残る種もあることがなかなか難儀な点でしょう。周りの植物の生長を抑制し、その場にとどまり続けるのです。
つる性雑草は種類が多い!それぞれの特徴
つる性として有名な雑草には次のような植物が該当します。
マメ科
マメ科の大きな特徴として、窒素を養分にする細菌と共生していることがあげられます。そのためやせた土地でも育ちやすく、マメ科植物が庭を覆ってしまうことも少なくありません。
とくに厄介な種として挙げられるのが「クズ」です。栄養が乏しい土地でもあっという間に地面や周辺の木の表面を覆ってしまいます。根から取れるデンプン「葛粉」はかつて貴重な栄養源で、秋の七草にも数えられるほどでした。ただし現代では採取の手間もあり、ジャガイモなどのデンプンと混ぜて使われることが多くなっています。
そのほかのマメ科植物のつる性雑草としてはツルマメ、ヤブツルアズキ、ヤブマメ、カラスノエンドウなどが挙げられます。
ガガイモ科(キョウチクトウ科)
とくにガガイモと呼ばれる、毛がついた星形の花を咲かせる種が代表的です。つるを切ると有毒な白い乳液を出すことが特徴といえるでしょう。
アカネ科
数多くの種を有するアカネ科にもつる性雑草が含まれています。代表的なのが「ヘクソカズラ」。その悪臭から名が付けられたといわれ、花の特徴からサオトメバナ(早乙女花)やヤイトバナ(灸花)と呼ばれることも。
ヘクソカズラも放置しておくとあっという間に木へ絡みつき、太い茎を持つことから取り除くのが大変です。しかしながら油断せず駆除することが必要でしょう。
ブドウ科
ワインを作る材料としても代表的なブドウですが、育てる際には立派な棚を作る必要があることからも分かるようにつる性植物です。そのなかでも厄介な雑草として分類されるのが「ヤブガラシ」。地下の根から植物へと絡みつき伸びていくため駆除は大変で、しかもほかの植物にも深刻なダメージを与えます。侵入先の沖縄では4割以上のサトウキビ収穫減少につながるほど。
縦横無尽に根を張り巡らし、根を切り取っても一部が残っていれば繁殖を続けます。
アサ科
柔軟かつ強靭な植物はその繊維が衣服や紙などに利用されることも少なくありません。アサ(麻)はその1つに数えられ、古くから使われてきました。
アサ科のカナムグラも同様に固い茎を持ち、なかなか取り除くことの難しい若緑色のつる性雑草です。茎部分にはトゲがあり、ほかの植物へとしっかり絡みつきます。
ヒルガオ科
アサガオやサツマイモなど、おなじみのつる性植物もこのヒルガオ科に属しています。このうちつる性雑草として駆除の対象となることが多いのは「マルバルコウ」という種。北米からの外来種で、道端などあらゆるところに生育します。
ウリ科
キュウリやヘチマなど、ウリ科にはつる性植物も多く属しています。とくにアレチウリは北米原産ですが全国各地に急速に分布を広げており、特定外来生物に指定されるほどの勢いを持っているのです。
そのほかユリ科やヤマノイモ科などにも、つる性雑草として問題になっている植物があります。このように幅広い種類にまたがっていることも、対策が困難な理由のひとつでしょう。
観賞用・園芸用でも葛の取り扱いに注意!
観賞用・園芸用などとして売られている植物のなかにも繁殖力の強いつる性植物があります。そのため取り扱いには万全の対策が必要となるでしょう。
つる性植物を雑草にしないためには、適切なコントロールが必要となるでしょう。その植物の特性を理解しておかなければあっという間に庭を覆ってしまい、ほかの植物を枯らしてしまうことにもつながりかねません。
支柱などでつるをしっかり誘導対策
行き場のない枝は絡みつく先を探し、植えている植木鉢を外へ外へと出ていきます。出ていくのを防止するには十分な行き先を支柱や網棚などで立て、コントロールしてあげるようにしましょう。
つる性雑草の葛は根っこから駆除する
つる性雑草の駆除ポイントとしてまず挙げられるのが「根から」しっかりと取り除くことです。しかしやっかいな雑草はそのぶん固い地面の奥深くまで、しっかりと根を伸ばしていることも多く、意外と駆除は困難なのです。
根から引き抜きやすくするポイント
根から引き抜くために、作業をおこなう日時を調整しましょう。できれば水分で土が柔らかくなる雨上がりを狙うと引き抜くのが楽になります。
また根から引き抜くのはつる性雑草に留める、というのもひとつの方法でしょう。比較的柔らかい土に生える1年性の雑草は根に栄養を溜め込まないため、根元近くの生長点より下から刈り取ってしまえばその後生えてくることは少ないのです。根は微生物によって分解され、土の養分になっていきます。
根から引き抜きやすくするグッズ
ここでいくつか、根から引き抜けるよう工夫されたグッズを紹介します。
モンブラン 草取りフォーク 250MM
先端で雑草を引っかけ、てこの原理で根を引き出す道具です。このほか先端がフォーク状になっており、より抜きやすくなるよう工夫されたタイプも発売されています。
サカソウインベント 草抜きクルポン NEO 【立ったまま草抜き】
雑草の中心に先端を当て、2回ほど回すことで雑草を根ごと抜きやすく工夫された道具です。柄の部分が長いため立ったまま抜くことができ、草刈りに対する負担を小さくなることでしょう。
Mont Blanc 草抜くぞう 35094
雑草の根を抜く工夫のひとつとして「ラジオペンチ」を利用することが挙げられます。この製品はその発展型でハンドル部分を持ちやすくし、雑草の根元をしっかりと固定・抜くための道具です。
ムサシ 除草バイブレーター WE-700
根の部分に振動を与え、その振動で効率よく根を引き抜く電動工具です。延長ケーブルや立ったまま作業できるハンドルなども用意されており、効率的に根を抜くことができるでしょう。
葛の除草は根から枯らす除草剤を活用しよう
もうひとつ、つる性雑草の駆除方法として「除草剤」の使用が挙げられます。植物にからみつくつる性雑草はどうしても残したい植物への影響が気になるところ。そこで「ピンポイント」で対策をおこなっていきましょう。
使い方のポイント
つる性雑草の根に対して除草剤がしっかりと浸透するようにするポイントは「切り口に塗る」ことです。
つる性雑草に限らず、植物は先端まで養分や水分などを運ぶため、茎の中を液が循環しています。この液に除草剤を吸収させ根まで運ばせることで、地下に広がった根をまるごと駆除してしまうのです。
つる性雑草の駆除は暑い時期がポイント?
クズやヤブカラシといったつる性雑草の繁殖力は養分の使い方にもあるといわれています。これらの植物は多年草で、地下の根に養分を貯めこみ冬を越します。ただ貯めこみ始める時期は残暑付近からと遅く、それまでは生長に全力を注いでいるのです。そのため暑い時期に地上の茎だけでも丁寧に取り除いてしまえば、光合成ができなくなり枯れてしまうことも少なくありません。
暑い中の草刈りは熱中症などにも警戒が必要ですが、夏の早い時期に片づけてつる性雑草とは無縁な庭を作り上げたいものです。
雑草が生えてくる前に対策を!対策方法を紹介
庭木へも絡みつくつる性雑草は駆除が難しいため、できれば生える前にあらかじめ対策をおこなっておきたいところです。そこで、ここでは代表的な2つの対策をご紹介します。
防草シート
シートで地面を覆ってしまうことで植物の根が地面に根付くことを防ぐとともに、地面から根が生えたとしても日光を遮断し生長を阻害する役割があります。防草シートには大きく分けて透水性タイプと、水を通さないタイプの2種類がありますが、繁殖力の強いつる性雑草には隙間のない不透水タイプがおすすめです。また防草シートの上に砂利を敷くことで見た目の違和感も小さくなるでしょう。
地面を固める対策
植物は自分の体を支え、かつ栄養を吸収するため地面にしっかりと根付く必要があります。逆にいえば、根が侵入できないほど地面が固ければそこに雑草が生えることも少なくなるでしょう。現在は手軽に固めることができる土なども市販されており、転圧などの大掛かりな作業をしなくてもよい点が魅力といえます。
ただしつる性雑草はほかの植物の根付きにくい、固い地面にも生えやすい特徴を持っています。またヤブガラシなどは地下から侵入することも多く、油断は禁物です。これらの対策をおこなったとしても、雑草が生えていないかのチェックは定期的に行うようにしましょう。
まとめ
つる性雑草は1日で1メートル伸びるようなものもあるといわれるほど繁殖力の強い植物です。まずはどのような雑草がつる性か、とくに気を付けなければならない種はどれかを確認し、適切な駆除対策ができるようにしましょう。また草刈りグッズや除草剤を使って、つる性雑草はしっかりと根から除去したいものです。
ただつる性雑草はほかの植物に絡みつくため、駆除はなかなか難しい部分もあります。大量に繁殖して手が付けられないなど問題が深刻な場合は草刈りのプロに相談し、方針を決めていきましょう。
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