シロアリは、木材であれば基本的になんでも食べつくす、家屋にとっての天敵です。そんなシロアリにも、好みの木材というものは存在します。今、ご家庭にそのシロアリが大好きな木材があるという方は、早急に対策をしなければならないでしょう。
また、逆にシロアリの嫌う木材というのも存在します。ヒノキはシロアリの苦手な木材として有名ですよね。しかし、仮にヒノキの家だったとしても油断してはいけません。シロアリを甘く見ると、大変な目に遭ってしまうのです。
この記事ではシロアリの好む木材・好まない木材から長期的なシロアリ対策の方法にいたるまで詳しく解説していきます。シロアリから家屋を守り、安心して暮らせる住まいを作っていきましょう。
目次
シロアリの種類ごとの生態
シロアリが好む木材の対策も大切ですが、その前にシロアリの生態について知っておかなければなりません。被害状況や被害の特徴はシロアリの種類によっても異なります。ここではそんなシロアリの種類の中でも、日本でよくみられる『ヤマトシロアリ』、『イエシロアリ』の2種類をご紹介していきましょう。
全国に広く分布する、もっともポピュラーなシロアリです。体長3~5ミリほどで、ひとつの群れに約3万匹ほどの数がいます。
ヤマトシロアリは大型の巣を持たず、コロニーのような集団で生活しています。基本的に暑さに弱く、夏場には集団で涼しい地中やほかの場所に移動するなど、とくに一度住んだ場所にはこだわりはない点が特徴です。
家屋の被害は、主に湿った箇所で起こることが多いといわれています。床下や結露した場所、雨漏りをした天井などには十分注意しましょう。
主に太平洋側や瀬戸内海の沿岸、九州などに分布するシロアリです。体長7~9ミリほどで、木造のみならずコンクリートなどであってもかまわず食べてしまうほどの攻撃性が特徴です。
その攻撃性から、被害はヤマトシロアリのものに比べて非常に大きくなりやすいでしょう。また、巣の形状もヤマトシロアリとは異なり、非常に大型です。巣によっては100万匹以上のシロアリが生息していることもあり、その影響により被害の進行速度も非常に早くなっています。
巣は主に壁の中や風呂場、場合によっては玄関の木造部分に作られてしまうこともあるため、注意が必要です。
シロアリはなぜ木材を食べるのか
そもそもシロアリはなぜ木材を食べるのでしょうか。その理由は、木に含まれている成分『セルロース』にあります。
セルロースは、主に木材や植物に含まれている成分のことです。この成分に含まれるブドウ糖を、シロアリは栄養源としているのです。このセルロースは消化しにくい成分なのですが、一般的な多くのシロアリは体内に微生物を住まわせることでセルロースを分解してもらっています。
このセルロースは畳や紙、衣類などにも含まれています。中でも木材は家屋の中でもっとも豊富にあるため、シロアリも木材を中心に食害していくのです。
シロアリが好む木材はなに?好物を知って対策しよう
シロアリは非常にさまざまな種類のものを食べますが、そんなシロアリにも好みがあります。ここでは、そんなシロアリが好む木材をご紹介していきます。シロアリの好みを知って、今後の対策に役立てていきましょう。
- マツ(トドマツ、アカマツなど)
- モミ
- ホワイトウッド
- セン
シロアリが好む木材には、以上のようなものがあります。これらの木材に共通する特徴は、『やわらかい木材』である、ということです。
基本的に木材であればなんでも食べるシロアリですが、堅い木の家とやわらかい木の家があれば、自然とシロアリも後者側に流れるでしょう。
また木材が雨に濡れるなどすると、どうしてもやわらかくなってしまいます。シロアリはやわらかく、湿気のある木が大好物なので、ここで対処をしなければ非常にシロアリの被害を受けやすい状態になってしまうのです。
雨の当たりやすい場所などはこまめにチェックして、雨漏りがないかメンテナンスをしておきましょう。
ヒノキはシロアリ対策になる?シロアリに強い木材
前章ではシロアリが好む木材について解説しましたが、もちろんその逆のシロアリが嫌う木材というのも存在します。ここではそんなシロアリが嫌がる木材をご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
シロアリの好まない木材
〇効果大
- ヒバ
- コウヤマキ
- ローズウッド
など
〇効果並
- ヒノキ
- ケヤキ
- スギ
など
上記のような木材は、シロアリがあまり好まないという特徴があります。理由としては木材そのものが堅く、シロアリの嫌う『ヒノキチオール』という成分が入っていることが多いからです。
しかし、シロアリ対策によい木材としても有名なヒノキには『ヒノキチオール』が含まれていないなど、決して大きな効果を出すほどの防蟻性(シロアリを防ぐ効果)はありません。もちろんマツやモミよりは耐性が強いですが、過度な期待は禁物です。
木材の中でおすすめするのであれば、『ヒバ』が非常に優秀です。ヒバは硬く頑丈で、その樹木は枯れても倒れないといわれているほど。腐りにくさも優秀であるため、非常に性能のいい木材といえるでしょう。
ヒノキやヒバでもシロアリ対策は必須!自分でもできる予防法とは
シロアリが好む木材はもちろん、ヒバやヒノキなどのシロアリが嫌う木材でも注意しなければならない理由は、『シロアリはなんでも食べてしまうから』です。
たしかにヒノキやヒバは、その他のやわらかい木材に比べて被害を受けにくいでしょう。しかし、もしもヒバでできた家にシロアリが飛来して、そこにヒバ以外の木材がなかったら?その場合、シロアリはヒバを食べていってしまうのです。
ヒノキでも同様です。シロアリは、たとえ苦手な木材でもそこにそれしかなければ食べてしまうのです。もちろん、まったく効果がないわけではありませんが、ヒノキやヒバでできているからといって安心しきっていてはいけません。防蟻性は間違いなく上がるためヒバの家にして損はありませが、そこで満足せず、しっかりとほかのシロアリ予防対策を取っていきましょう。
防シロアリの塗料などはプロの技術や知識がないと難しい部分はありますが、個人でできる対策ももちろんあります。まだ被害が出ていない場合は、予防に力を入れておくようにしましょう。
湿気・風通りをよくしよう
シロアリは軒下など、じめじめとして空気の滞留した、湿気の多い場所を好みます。逆に風や日差しを嫌う傾向にあるため、軒下や家の死角など、湿気がこもりそうなところは風通りをよくしておかなければなりません。
シロアリの嫌う木材を使用していても、この湿気や風通しの部分が不完全だと被害にあいやすくなってしまいます。結露や風通しに注意し、快適な環境をキープしていきましょう。
いらない木材はすぐに廃棄しよう
家の周りにいらない木材を放置している場合、そこからシロアリが入り家に移動されてしまう恐れがあります。角材などはもちろん、段ボールや切り株などもシロアリ侵入の足掛かりにされてしまうため、早急に除去するようにしてください。
壁などの穴やひびを補修しよう
シロアリは、壁や床のひび割れなどからも侵入してきます。思い当たりのある方は、できるだけ早く補修をしておきましょう。
またシロアリに侵入されている場合、ひびから壁づたいに地面へのびる茶色がかった線、『蟻道』ができることがあります。これを見つけたら、駆除をしなければならないところまで来ている可能性があるでしょう。
シロアリ以外でも木材は劣化する!『腐朽』と『害虫』を予防しよう
これまではシロアリが好む木やシロアリの生態などについて解説してきましたが、木材の劣化原因はシロアリだけではありません。
腐朽菌
腐朽菌とは、その名の通り木材を腐らせる菌のことです。大きく分けて褐色腐朽菌・白色腐朽菌・軟腐朽菌の3つがあります。
これが進行すると、木がぼそぼそとほぐれるような感じになってしまいます。こうなってしまうとシロアリがいなくても家の耐久性が落ちてしまうため、しっかり対策をしましょう。
木材の中にも、腐りにくいものは存在します。腐りやすさの観点からも、木材を考えていきましょう。
腐りにくい木材
- ヒノキ
- ケヤキ
- クリ
- スギ
- ヒバ
- ミズナラ
など
腐りにくい木材は、シロアリに強い木材にもリンクしてきます。シロアリ対策をするということは、腐朽しにくい家を作ることにもつながるのですね。
シロアリ以外の害虫
木を食べる虫はシロアリ以外にも存在します。キクイムシやシバンムシなど、シロアリほどではありませんがじわじわと家具や壁を食べていく虫は意外と多いのです。
これらの虫は主に木材の中で成長し、成虫になると出てくるものが多いです。人に危害はありませんが、家への被害は十分にあるため注意しておきましょう。
シロアリを根本から対策するならプロに頼もう
シロアリをはじめとした害虫は、住み着かれる前であれば個人の予防も可能です。しかし、壁や床下に侵入されてしまうとなかなか個人の技術では対処しきれません。また、特にイエシロアリともなると膨大な数が住み着いている可能性もあるため、巣ごとの対処が必要となります。
適切な対処と今後の予防をするためにも、屋内でシロアリを見た・気配を感じた場合や、被害にあっている場合は業者に駆除を依頼しましょう。
シロアリ駆除を業者に依頼した場合、相場としては1坪約5,000~9,000円ほどかかります。この費用は作業内容や家の構造などによって変化するため、依頼前には業者の方と相談して、見積もりを取ってもらいましょう。
また、まだ被害にあっていない場合も、点検をしてもらって損はありません。シロアリ点検・調査のニーズは大きいため、点検や調査のみおこなっている業者も意外と多いのです。
現地調査だけなら0円で対応していることもあるため、安全のためにもぜひ一度ご相談ください。
まとめ
シロアリが好む木は、マツやモミなどのやわらかい木材です。シロアリの対策をするのであれば、それとは逆に“堅い”木材を採用する必要があるでしょう。代表的な例では、ヒバやケヤキが挙げられます。
しかしこれらのシロアリに強い木材も、弱い木材に比べてシロアリが付きにくいというだけで、絶対に被害にあわないというものではありません。シロアリはなんでも食べてしまうため、ただ木材を変えただけでは依然シロアリ被害にあうリスクは残ったままです。
少しでもリスクを減らすためにも、家全体の風通しや日差し、湿気などの環境を良化させ、シロアリの住みにくい環境を作っていきましょう。
また、シロアリにすでに侵入された可能性がある場合は、個人での対処が難しくなってしまっています。業者に依頼をして点検・駆除をしてもらいましょう。点検だけであれば、無料でおこなっている業者もあります。さまざまな業者を見比べて、よりよい業者を選べるとよいですね。
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