シロアリの巣の見つけ方とは?シロアリ被害を見極める方法について
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一度発生すると住宅の構造に大きな被害を与えるシロアリ。できれば家へ致命的な被害を与える前に、早め早めの駆除をしておきたいものです。しかし発生場所が床下など少し奥まったところということもあり、意外と巣の姿は認識されていません。羽アリが大量発生するという半ば手遅れの状況で、はじめて気づくという場合も多いのではないでしょうか。
今回はシロアリの巣の特徴、そして発生したときに見られるサインや対策法を確認していきます。
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目次
シロアリの巣ってどんなもの?【ヤマトシロアリ編】
まずはシロアリの巣がどのようなものか見てみましょう。まずは日本のほぼ全域に生息するヤマトシロアリから、その特徴を追っていきます。
ヤマトシロアリの特徴
ヤマトシロアリはミゾガシラシロアリ科の一種です。かつては沖縄から北海道南部まで広く分布していることが知られ、「1月の平均気温が-4℃を下回らない地域」に生息していると考えられていました。しかし近年はそれを下回る道東や道北などでも確認されるなど、寒さに比較的強い種・寒さに適応した種といえます。
ヤマトシロアリの巣作りスタイル
ヤマトシロアリは数十匹の小規模からでも集団(コロニー)を作ることができます。また湿気のある木材のある場所がそのまま巣になることが多く、駆除はある程度しやすいといわれているのです。ただし大規模になると分泌物で巣を作り始めるといった傾向もあるようで、注意が必要になってきます。
またヤマトシロアリは水を運ぶ能力が低く、日本で被害を与えるシロアリのなかでは乾燥した木材をとくに苦手とします。そのため「湿気のある床下」が探すポイントの中心になるでしょう。
シロアリの巣ってどんなもの?【イエシロアリ編】
次に日本の家に被害をもたらす二大シロアリのもう一方、イエシロアリについて見ていきましょう。
イエシロアリの特徴
イエシロアリもおなじミゾガシラシロアリ科の一種です。中国南部などから船で渡ってきた外来種とされることも多いですが、共生するハネカクシの存在や遺伝子パターンから、近年では中国と日本が陸続きになっていたときに渡ってきた種と考えられています。外来種としては北アメリカにも生息するなど、シロアリの一大勢力となっている種類です。
なおイエシロアリは暖かい気候を好むため、太平洋岸を中心に分布を広げています。その北限は関東(神奈川県・千葉県)で、東北や北海道・東北・北陸・山陰といった地域ではほとんどみられません。
イエシロアリの巣作りスタイル
イエシロアリは巨大な巣を作り、そこに定着するスタイルです。そのため何百万ともいわれる多くのシロアリが集まって暮らす「本巣」と、食料となる木などに集まる「分巣」に分かれ、その間を「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる通路がつなぎます。またイエシロアリには水を運ぶ能力が確認されており、湿り気がある場所以外にも進出することが多いです。
なお巣を巨大化させていくことから、イエシロアリが地域に定着するには数年ほどかかるといわれています。近年では茨城県でもイエシロアリの巣が確認されており、今後定着の可能性も考えられます。
シロアリの巣ってどんなもの?【その他のシロアリ編】
世界では3,000種以上、日本では現在25種ほどのシロアリが確認されていますが、そのほとんどは枯れた植物の分解者の役割を果たす益虫です。しかしイエシロアリやヤマトシロアリとは別の性質を持ち、かつ住生活に被害を与えるシロアリも。ここではその代表例となる「ダイコクシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」についても見ていきましょう。
ダイコクシロアリ
沖縄・小笠原諸島など熱帯に分類される地域に生息するのが「ダイコクシロアリ」です。このシロアリはレイビシロアリ科、つまり乾いた木材に穴を開けて住みつくという特徴があがられます。また巣を作らないことも特徴であり、ヤマトシロアリよりもさらに小規模・木に穴を開けて木を食べていきます。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカ西海岸原産、その名の通り湿った木だけではなく「乾いた木」も食べるシロアリです。輸入した家具木材に含まれていたことが日本に入ってきた原因といわれており、被害も潜んでいた木材が運ばれた「1点」から徐々に広がっていく傾向があります。ダイコクシロアリと異なり、寒さに耐性があることも特徴です。そのため東北や北海道南部でも今後、被害が発生するおそれが指摘されています。
こうした「カンザイシロアリ」は巣を作らず、目に見える家具や床材などに被害を与えるのが大きな特徴といえます。木材であればシロアリ被害に遭うと考え、被害にあっていないか目視で確認することが大切になってくるでしょう。
シロアリの巣があるかも?サインを読み取ろう
では目視以外に、家の中にシロアリの巣があるか確認する方法はないのでしょうか。
木材、とくに成長の早いスギなど針葉樹の特徴として、「春から夏にかけて急激に成長した部分は柔らかく、冬を中心にゆっくり成長した部分は堅い」というものがあります。これが年輪など木材の模様を生み出すわけですが、シロアリもまた、木の柔らかい部分を中心に食べるのです。つまり被害に遭った木材でも年輪部分は残りやすい、といえるでしょう。
また一般にシロアリの幼虫は光を嫌います。このことからシロアリの被害にあった木材は見た目に変化がなくても、中には空洞ができていることが少なくないのです。このことから、次の現象がみられる場合、シロアリが発生しているおそれがあるといえます。
床の浮き・きしみ
床材や床を支える支持材の内部がシロアリに食べられた結果構造がゆがみ、正常な状態を保てなくなった可能性が考えられるでしょう。
壁の空洞音
近年の住宅では断熱材を詰めるなど、壁の間の隙間は最小限に抑えられています。にも関わらず空洞音がするということは、木材がかじられている可能性が考えられるのです。
羽アリの大量発生
シロアリのほとんどは幼虫のまま一生を過ごしますが、一部は成虫に変化し、新たな巣を求め飛び立っていきます。つまり羽アリが家の中を飛んでいるということは、家の中に充分な大きさの巣があるという裏付けです。すぐに床下や天井裏などを点検するか、シロアリ駆除のプロに依頼することが必要でしょう。
シロアリの巣、どうやって探すの?
どうやらシロアリの巣があるらしいとなったときはシロアリ駆除のプロに任せるのが確実です。最近では多くの業者が無料調査をおこなっているため、実際の作業を依頼する前に見てもらえるという面も大きいでしょう。しかし自分の目で確かめておきたい、という気持ちを持っている人も多いのではないでしょうか。
そこで、自分でシロアリの巣を探す場合の探し方についてみていきましょう。
床下・天井裏への潜り方
ヤマトシロアリやイエシロアリが巣を作る床下や天井裏は狭く、また通常人が立ち入らないことから専用の点検口から出入りすることになります。まずは点検口がどこにあるか確認してみましょう。
・床下収納
・押し入れの天井
・ユニットバス天井
なお古い住宅の場合、こうした点検口がない場合も少なくありません。
また天井裏・床下はほこりが溜まっていることも多く、普段の服装で入るのは危ういといえます。次にあげるような「万全の装備」で臨みましょう。
・長袖長ズボン、頭にタオルなど肌を出さない
・ゴーグル・マスクで顔面を隠す
・軍手など着用
・できればひざやひじ部分を保護するプロテクターを
・懐中電灯などで照らせるように
「蟻道(ぎどう)」を見つけよう
シロアリの巣を見つけるポイントは「蟻道(ぎどう)」です・蟻道は乾燥を防ぐため、シロアリが自身の分泌物で作り上げた巣との連絡通路。つまり蟻道が見つかれば、その延長線上に巣がある可能性も高いといえるでしょう。
湿気のたまりやすい場所を確かめよう
浴室など水回りの下は水漏れで湿気がたまっている可能性も高く、シロアリが定着していることが否定できない部分です。そのため床下点検ではシロアリの巣がないか、その部分を支える木材が腐りかけていないかなどをしっかり見るようにしましょう。
また雨漏りしている場合など、2階より上でもシロアリ発生の可能性は否定できません。天井裏もしっかり確認するようにしてください。
壁の内側を確かめよう
壁の内側は確かめにくい部分ではありますが、シロアリ発生の可能性も高い部分です。というのも冷暖房などで室内と屋外の温度差が大きくなった場合、壁の内側で結露するおそれが出てくるから。また屋根から雨漏りしていた場合、床下まで壁の内側を通って雨水が浸入していることもあるでしょう。
とくに壁が濡れているようなときは空洞音がしないか、壁がふわふわしていないかを確かめてみてください。
シロアリの巣を見つけたら
床下点検などでシロアリの巣を見つけた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
自分で処置も不可能ではない
シロアリ対策のためのベイト剤(毒エサ剤)や土壌処理剤などは市販されており、自分で駆除することも不可能ではありません。一方でシロアリ対策の難しさは「奥にいるシロアリまで確実に駆除し、新たな入り口を作らないこと」にあるため、難易度はかなり高いといえます。
なお、一般に市販されているピレスロイド系の殺虫スプレーは使わないでください。シロアリにも効果があることは確か。しかしシロアリの巣というのは何百匹から何百万単位にも及ぶ共同体のかたまりです。そのため、家中にシロアリが分散してしまうおそれのほうが高いといえるでしょう。
半端な処理は逆効果!「二次生殖虫」について
シロアリは黒アリと同じく社会性を持った虫です。しかし黒アリとの違いのひとつとして「二次生殖虫が出現すること」があげられます。
シロアリは巣が大きくなったとき、もしくは女王アリがいなくなった場合、一部が変化し女王アリの代わりに卵を産み始めます。そのため1か所だけ対策しても、逃げ延びた個体が新たな巣を作る可能性が高いといえるのです。
シロアリはほとんどが幼虫、つまり「今後の成長の可能性を残している」といえます。つまり逃がしてしまえば逆に被害を大きくしてしまうでしょう。
確実を求めるなら業者に!定期的な点検も
確実にシロアリのコロニーを破壊し、家の中に定着させないようにするにはシロアリ駆除のプロに依頼することを検討しましょう。見落としがちな重要ポイントや確実・効果的な土壌処理など、安定したシロアリ駆除・予防をおこなうことができます。
また駆除・予防に使う薬剤にも効果には限りがあります。そのため5年ごとを目安に定期的な点検と予防に心掛け、被害が拡大しきらないうちにシロアリ対策をおこなってください。
まとめ
シロアリの巣は何百万匹にもわたる巨大な集団(コロニー)になることも少なくありません。できれば巣が拡大して家に被害が出ないうちに、できれば家にシロアリが定着してしまわないうちに適切なシロアリ対策を取り、家からシロアリを追い出すようにしましょう。
とくに羽アリが出るような状況の場合、状況はより深刻と思われます。家にあるシロアリの巣をまとめて駆除するためにも、シロアリ駆除のプロに依頼するような場面があってよいかもしれませんね。
シロアリ駆除を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「シロアリ駆除」をご覧ください。
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