床の間は和室のイメージが……。最近ではさまざまなデザインに利用されています

2021.4.30

床の間は和室のイメージが……。最近ではさまざまなデザインに利用されています

趣があり、格式高いイメージがある床の間。しかし、使い方がよくわからなく「無駄なスペースだし、収納スペースにする」と思われる人もいらっしゃるでしょう。一方で、洋室の部屋や家が多くなってきたことで、床の間自体が作られる機会が減り、「床の間ってなに?」と床の間の言葉すら知らない人もいます。

このコラムでは床の間のことや、床の間のおしゃれな利用方法などについて見ていきます。うまく床の間を活用して自分オリジナルのおしゃれな床の間をデザインしてみてくださいね。

床の間ってなに?どういった役割があるのか

もともと仏像を置くスペースとして仏家で取り入れられたのが床の間の始まりといわれています。それから武家に床の間の存在が広がり、仏画、や武具、陶器や置物などを置かれるようになったそうです。

今現在の床の間の役割は、絵画や観賞用の置物を展示する空間として使われることが主です。

床の間には種類がある

床の間にはさまざまな種類があります。そのなかでもオーソドックスなものを中心にご紹介していきます。

踏み込み床

床の間ってなに?どういった役割があるのか

床目を客座の畳と同じ高さにして板(または畳)を敷いた床の間のことを踏み込み床といいます。

蹴込床

床の間ってなに?どういった役割があるのか

蹴込床は床框(とこがまち)を付けず、蹴込と呼ばれる横板をはめ込み、畳より一段高くした床の間のことを指します。蹴込床にはさまざまなバリエーションがあり、竹や丸太を使った床の間もあるのです。

袋床

床の間ってなに?どういった役割があるのか

床の間の前面に小柱などを、落掛けの下まで立てて袖壁を付けたものは袋床と呼ばれています。
床の間口よりも、床の間の奥の方が広くなっているため、袋床という呼称が付けられたそうです。

置き床

床の間ってなに?どういった役割があるのか

置き床とは床の間として代用できる台のことをいいます。床の間の簡易版のようなもので、簡易な移動も可能になります。

床の間で覚えておきたい用語
床の間には実にさまざまな用語があります。知っておくと業者などに相談するときにスムーズに床の間について話し合うことも可能になるでしょう。

床の間ってなに?どういった役割があるのか

床框(とこがまち)

床の間の前端にわたした化粧横木のことをいい、床板、または、床畳を隠す役割を持ちます。

床柱
床の間の脇に立つ化粧柱のことです。床の間を飾る一部として用いられることが多いです。

落掛け
床の間の正面上の小壁下の横木のことを落掛けといいます。

床天井
床の間の天井のことです。

床壁
床の間の内壁のことをいいます。

本床
和風住宅のルーツともいえる「書院」(来客と応対する場所)を構成する要素が整った床の間のことです。床の間の隣には「違い棚」などの飾り棚を設けます。また窓側(縁側)は四角形の部屋からはみ出すように、「付書院」(または出書院)と呼ばれる机状のスペースが設けられるのが特徴といえるでしょう。

床の間のメリットと、してはいけないこと

床の間はいわば、部屋の展示スペース。美術館でいう展示ケースと表現してもいいでしょう。なにかを置いくスペースとしてはうってつけの床の間。
この床の間のメリットとしてはいけないことをご紹介していきます。

してはいけないこと①:収納スペースにしない

床の間を使う上で注意しておきたいのは「収納スペースとして利用してはいけない」という点です。
たとえば、引き出しや電気製品の置き場所としてはもちろん、もともと仏像を置くところだからといって、仏壇や神棚を床の間に置くことは床の間を使う作法上ご法度とされています。
作法やマナーを気にされる人は収納スペースとして利用するのを避けた方がいいでしょう。

してはいけないこと②:床の間に上がってはいけない

床の間は飾り物を置く場所として多くの人に知られていますが、歴史的には、もともと「神様を祀って(まつって)いた場所」とされています。
家の中では床の間が一番格式高く、神聖な場所とされていますので、そこに上がったり、乗ったりするのはマナー違反なのです。

床の間のメリット

収納スペースとして活用できないのであればいっそのこと床の間をなくしてしまおう……。そう思ってしまう人もいるかもしれませんが、少しお待ちください。
床の間をなくしてしまう前に床の間があることによるメリットを考えてから、床の間をなくすか検討してみてくださいね。

メリット①:部屋を広く見せられる

床の間をつくることにより、部屋に奥行きがでて部屋を広く見せることができます。そこに観賞用の置物や生け花などを置けば、趣き(おもむき)がある部屋へデザインすることも可能でしょう。
置き方や置くもの次第では洋風や和モダンになったりします。

メリット②:リラックスができる

部屋にあまり物がなさすぎたり、有り過ぎたりしてしまうと、目のやり場に困ってしまい、ストレスがたまってしまうことがあります。そこで、床の間に飾り物を置き、視線を集める場所をつくってあげることで、部屋にいるときのストレスを軽減され、リラックスして過ごしやすい部屋になるでしょう。
視線を集める場所のことを、インテリア界では「アイ・スポット」と呼ばれています。

メリット③:殺風景な和室を華やかにできる

和室はシンプルな作りであることから、落ち着いた雰囲気の部屋へデザインしやすいです。しかし、シンプル過ぎてしまってインテリアなどを置いてみても殺風景になってしまいやすいのも和室の困ったところ。
こういう時に床の間に観賞用の置物や部屋の雰囲気に合わせた物を置いてあげれば、自分好みのデザイン性あふれる部屋へ変身させることも可能になりますよ。

      

床の間の周辺は畳の敷き方に注意!

もし、リフォーム時などに、新しく床の間をつくる場合は以下のことに注意しましょう。畳の移動などは、手間はかかりますが、複数人いれば動かすことも可能です。

床の間の向き

床の間は「とこしえ(永久)」という意味もあり、その家の繁栄を象徴するものなのです。なので、床の間をつくる場合は家相がよい場所に作ることをおすすめします。家相とは土地や間取りなどの相。占術のひとつとされています。

いいとされる床の間の向き

  1. 北を背にした南向きの床の間
  2. 西を背にした東向きの床の間
  3. 北西を背にした東南向きの床の間
  4. 東南を背にした北西向きの床の間

床の間の周辺は畳の敷き方に注意!

悪いとされる床の間の向き

  1. 北向きの床の間
  2. 南西向きの床の間
  3. 北東と南西の鬼門向きの床の間

床の間の周辺は畳の敷き方に注意!

このふたつの向きは不運の相とされているため避けることが多いです。ちなみに鬼門とはなにをするにも避けなければならない方角のことで、一説では鬼が出入りする方角なので万事に忌むべき方角ともされています。

もし、新しく床の間の設置を考える人はこの方角につくらないようにするとよいでしょう。
しかし、家相学によっては違いがあるとおもうので、信頼している家相学にしたがって設置するのがベストですね。

この他にも南、東を背にした床の間は凶相といわれています。

畳の向きにも注意

床の間の設置をするときは、畳の向きにも注意が必要です。こちらも家相学にもとづいている部分も多いので、その辺に注意してみていきましょう。

畳の敷き方

畳の敷き方は大きくわけて2種類あります。それが祝儀敷きと不祝儀敷きです。

祝儀敷き

本来は婚礼や祝いごとのときの畳の敷き方ですが、多くの和室で使われる一般的な畳の敷き方です。四枚の畳の角が一か所に集まらないように敷く敷き方になります。

不祝儀敷き

葬儀など縁起の悪いときの敷き方です。畳の角が十字になるように同じ方向に畳の角が集まっています。

2種類の畳の敷き方のうち、床の間のある和室は祝儀敷きをしています。このとき、床の間の前に敷いてある畳は床の間と平行に敷くようにしてください。

もし床の間に対して垂直に敷くと、上座に座られたお客様が畳の縁の上に座ることになります。畳の縁を踏むことはマナー違反といわれているので失礼に当たってしまうのです。

また、お客様が床の間に飾った花や陶器や掛け軸を鑑賞した後に畳の目が合っていないため、膝をすって後ずさりしにくいこともあります。和室の畳は床の間と平行に敷くように気を付けてください。

畳の敷き方や素材にまよったら業者に一度相談してみてくださいね。

純和風から和モダンまで!床の間を利用した雰囲気作り

では、最後になりますが、床の間のおしゃれな使い方についてご紹介していきます。飾り物も配置などに迷う人もいると思いますのでこういった画像を参考にオリジナリティあふれる床の間にしてみてくださいね。

床の間に生け花

掛け軸の前に生け花を飾ってあります。


床の間に掛け軸

シンプルな床の間に掛け軸をかけています。


床の間に花器

掛け軸の前に骨董品のみを飾っています。掛け軸とのコントラストが素敵ですね。


床の間に兜

こちらの床の間では掛け軸と兜も飾られています。

床の間に飾るものには制約がありません。お祝い事やお正月などに合わせて、四季を楽しみながら飾りつけをしてみてくださいね。

和モダンってなに?

和モダンとは日本らしい古風な感じをそのままに、欧米のスタイルを取り込んだ住まいの形です。上記で紹介してきたものは純和風のものが多かったのですが、この和風に欧米スタイルをとりこむことで新たな和を床の間に生み出すことも可能です。

和モダン

和モダンな床の間

一見和風に見えますが前面のおしゃれな壁面は、まさしく和モダンと呼ぶにふさわしいスタイルではないでしょうか。古風なスタイルと現代のスタイルがうまく組み合わさるとこんなに素敵な床の間になるのです。

まとめ

床の間はマナー的には収納スペースとして扱ってはいけません。もともとはなにかを展示したりするスペースなので、その通りに使えればいいですね。
また、所説ありますが、家の中では床の間が一番格式高く、神聖な場所とされており、家の繁栄を象徴するところだといわれています。もし、あたらしく床の間を設置される人は方角や畳の敷き方に注意しましょう。
新しく設置する床の間の畳の敷き方や素材に迷ったら業者に一度相談してみるのもいいですね。

自分が納得できる床の間をつくっておしゃれでリラックスできる空間をつくってみましょう。

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