オイルダンパーの仕組みとそのメリット・デメリットを詳しく解説!

2021.4.30

オイルダンパーの仕組みとそのメリット・デメリットを詳しく解説!

建物の揺れを抑える耐震設備は、さまざまなものがあります。その中に地震の揺れを抑えることに使われているオイルダンパーは、どのようなものかご存知でしょうか。オイルダンパーを設置すると、地震の揺れを軽減することができるのです。

しかし、その詳しい仕組みについてご存知でない方もいると思います。そこで、オイルダンパーの仕組みや、建物に設置したときのメリットおよびデメリットを紹介します。オイルダンパーの仕組みを理解して、建物に設置することが適しているか検討するとよいでしょう。

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オイルダンパーが揺れを軽減する仕組みとは

そもそもオイルダンパーとは、地震の揺れを軽減することができる装置のことです。オイルダンパーは筒のような形をしており、筒の中にはオイルとピストンが入っています。このオイルとピストンが地震に合わせて動くというのがオイルダンパーの仕組みとなっており、その動きで揺れを軽減しているのです。

どうしてピストンやオイルが動くと、エネルギーを吸収することができるのでしょうか。オイルダンパーの中をみてみると、オイルが入っている場所と入っていない場所があります。この2つの場所は小さな穴でつながっているのです。小さな穴でつながっていますが、通常はどちらかの空間に偏っています。

地震が起こると、建物が左右に揺れてオイルダンパー全体が引き延ばされたり縮められたりします。縮められたときオイルダンパーの内部は、ピストンが押されることでオイルがたまっている空間が小さくなるのです。

オイルの量は変わらないのに空間が小さくなると、圧力が高まります。高まると圧力の低いもう一方の空間に移動しようとするのです。オイルが移動するには、抵抗のある小さな穴を抜ける必要があります。この穴をオイルが通り抜けるときに抵抗が発生して、エネルギーが減少するのです。

反対にピストンが伸ばされると、さきほどまでオイルがあった空間から引き延ばされてできた空間に移動します。このときもオイルが小さな穴を通るときに、エネルギーが吸収されていくものです。

地震が起きたときはオイルダンパーのピストンが、空間を大きくしたり小さくしたりしてオイルが流れる方向を調整しています。ピストンの動きを繰り返すことで徐々にエネルギーがなくなり、揺れが軽減されるのです。

オイルダンパーが揺れを軽減する仕組みとは

オイルダンパーのメリットとデメリット

オイルダンパーの仕組みは上述したようなものになります。では、そのメリットとデメリットにはどんなことがあるのでしょうか。ここで詳しくみていきます。

メリットは、小さな揺れでも抑えられることです。建物は地震だけではなく風でも揺れることがありますが、そのような小さな揺れでもオイルダンパーは動き、揺れを軽減することができます。そのため、風の影響を受けやすい高層ビルや高層マンションに使われていることが多いです。

大きな地震の揺れの場合、ピストンの動きが大きくなるため、たくさんのエネルギーを吸収するようになります。このようにオイルダンパーを設置すれば、風による小さな揺れから大地震による大きな揺れまで対応することができるでしょう。

オイルダンパーを設置するデメリットは、高価であることです。筒の中に入れるオイルの種類やエネルギーを吸収しやすい穴の大きさなどの細かな調整が必要になるため、高価になっているのです。しかし、免震や制震構造を取り入れた建物が増えてきていることから、値段が下がりつつあります。

オイルダンパーは密閉されて中からオイルが漏れないようになっていますが、定期的に点検をしてオイルが漏れていないかを確認する必要があります。オイルダンパーによっては20年間の製品保証がついているもの、メンテナンスフリーでメンテナンスの必要がないものもあったりします。

オイルダンパーが用いられる建物の構造について

一般的にオイルダンパーが取り付けられる建物は、主に免震構造と制震構造になります。それぞれの構造では、取り付ける場所や向きが異なるので、押さえておくとよいでしょう。オイルダンパーの仕組み自体は同じなのですが、それぞれ求められている機能が違うからです。

免震構造

免震構造は、地盤と建物を切り離して建物に地震の揺れが伝わらないようにすることです。免震構造には、オイルダンパーのほかにアイソレータという装置が取り付けられています。アイソレータは地震が起きたときに激しい揺れを吸収し、緩やかな揺れへと変換するものです。

このアイソレータの揺れは、そのままだといつまでも続いてしまいます。そこで、アイソレータの揺れを抑えるために、オイルダンパーが使われているのです。免震構造で使われているオイルダンパーは、横向きに設置されて水平方向の揺れを抑えることをメインにしています。

制震構造

制震構造は、地震が起きたときの揺れを吸収することを目的の構造です。制震構造の主に使われているものには、おもりやオイルダンパーがあります。

オイルダンパーの建物の下ではなく、壁や柱に直接取り付けるものが多いです。高層ビルやマンションだと各階層に設置して、揺れやすい高層階を揺れにくくしています。斜め向きに設置されているので、水平方向だけでなく垂直方向の揺れにも対応しています。

オイルダンパーが用いられる建物の構造について

耐震改修を検討しているならまずは耐震診断から

地震の対策をするためにオイルダンパーを設置することは有効です。しかし、オイルダンパーの仕組みを活用した場所に設置しなければ、思ったような効果が得られないかもしれません。

そこで、耐震改修を業者に依頼するまえに、耐震診断を受けることをおすすめします。耐震診断とは、建物がどれくらいの地震に耐えることができるか評価してもらえるのです。評価を受けるだけでなく、地震に弱い建物の箇所や補強工事にかかる費用の目安を教えてもらえます。

耐震診断にも費用がかかりますが、自治体によっては戸建て住宅やマンションの耐震診断に補助金を出していることがあります。耐震診断を受けるときは、自治体から補助金が出ていないかを確認することをおすすめします。もし補助金が出ていたら条件を確認して、補助金の申請をおこないましょう。

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まとめ

免震構造や制震構造でよく使われている、オイルダンパーの仕組みについて紹介しました。オイルダンパーは、オイルとピストンが動くことで地震の揺れを吸収しているのです。大きな地震だけでなく、小さな揺れも軽減できるものになっています。

耐震改修をしようと考えている方は、工事を依頼するまえに耐震診断を受けることが大切です。耐震診断を受ければ、どこを補修すべきかを教えてもらえるだけでなく、およその費用もわかるのです。この耐震診断の結果から、効果的な耐震工事をすることができます。

耐震工事を依頼できる業者や料金

依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「耐震工事」をご覧ください。

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