ムカデのそっくりさん、益虫だけど害虫なヤスデを駆除する方法

2021.4.30

ムカデのそっくりさん、益虫だけど害虫なヤスデを駆除する方法

ヤスデという節足動物は私たちにはあまり馴染みがない生き物なのかもしれません。ヤスデの見た目はムカデに酷似していることからよく間違えられますが、ムカデのように人を噛むことはなく、自然の中での分解者として重要な役割を果たす益虫です。しかし、家の中に発生すれば害虫になってしまいます。家の中にいるヤスデは駆除しましょう。

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ヤスデとは

ヤスデは赤茶色で体長2~7cm、体幅2mmほどの細長い体と多数の足が特徴的な節足動物の一種です(海外のヤスデになると大きさが30cmを超える巨大なものもいます)。 日本では北海道から沖縄まで全国的に生息しており、その種類は200種類以上です。ヤスデが6~10月に行動し、とくに梅雨の時期は活動が活発になります。普段は雑木林などの野外で石や落ち葉の下に隠れて生活していることもありますが、エサを求めて人の住居に迷い込んでくることもあります。

ヤスデの見た目はムカデに酷似していますが、体節あたりの足の本数、生殖口の位置、体の大きさなど様々な点で異なります。

とくに、違うのはムカデが肉食性であるのに対し、ヤスデが腐植食性であることです。

ムカデはゴキブリやクモなどの害虫を主食としているので、それらのエサを捕まえるために素早い動きをします。ムカデは攻撃性が高く、棒などでつつくと反撃してくることもあります。

それに対しヤスデは枯れ葉や朽木などの腐食質や菌類を主食としているので動きが緩慢です。ヤスデは棒などでつついても丸くなるだけで、つつくのをやめるまで動こうとはしません。

また、ムカデが毒のあるあごで人を噛むのに対し、ヤスデは直接人を攻撃することはありません。ヤスデの種類にもよりますが、日本に生息するヤスデには人に重篤な被害を与えるような毒をもつものはいないそうです。そのため、ヤスデはムカデよりは無害であるといえますが、家の中に侵入してきた場合はほかの害虫と同じようにヤスデも駆除しなければなりません。ヤスデがもたらす被害については次章で詳しく説明します。

      ヤスデとは

ヤスデの被害

ほかの害虫にもいえることですが、見た目がグロテスクな虫はそれだけで不快害虫として扱われます。ヤスデも例外ではなく、たとえ体の構造や習性が異なるとは言っても不快害虫であるムカデに酷似していることから、その見た目の不気味さから不快害虫として扱われています。

また、ヤスデは発生量が多いことも不快害虫として扱われる一因になっています。1976年山梨・長野県境で、ヤスデが大量発生して鉄道の線路上を徘徊したことにより、列車がスリップしてしまった事故もあります。近年でも同じように、1999年と2010年に鹿児島県のJR指宿枕崎線で海外から侵入した外来種のヤスデが大量発生し、列車がスリップする事故がありました。ヤスデの発生量があまりにも多すぎるため、自治体や鉄道会社も手を焼いているのが現状です。

そして、ヤスデの中には防御のために臭腺から臭いにおいのする分泌液を出すものがいます。カメムシやケムシも防御のために臭いにおいを発することがありますが、それと同じ機能がヤスデにも備わっているというわけです。それだけでも十分な害ですが、ヤスデの種類によっては、分泌液にヨードやキノンなどの毒物が含まれており、それらの毒物が体内に入ると危険です。幸いなことに日本に生息するヤスデには人に重篤な被害を与えるような毒をもつものはいないそうですが、安心はしないほうがよいでしょう。

このようにさまざまな害をもたらすことがあるので、家の中に発生したヤスデは駆除する必要があります。

       ヤスデの被害

ヤスデはじつは益虫?

前章ではヤスデを害虫としてみたときの被害について説明しましたが、その反面、ヤスデは自然の中の分解者としてみた場合は、益虫であるということができます。

ヤスデは、前述のとおり、枯れ葉や朽木などの腐食質や菌類などを食べて生きています。食事をしたヤスデが出した糞には有機物が豊富に含まれているので、植物の栄養源になります。また、ヤスデは自分の糞の中に未消化の落ち葉や菌類が含まれていれば再度食べます。こうして、ヤスデが食事をすることで植物の成長が促進されるだけでなく、土壌の中にいる微生物の育成にも役立つこともできます。そのため、ヤスデがいる森林は良質な森林であるといわれています。

このようなヤスデの益虫としての特性から、ヤスデは農業に利用されることもあります。肥沃な畑の中にはヤスデのエサが多くあるので、ヤスデが自然な状態で生息することができます。ヤスデが自然な状態で生息している限りは、自然界の分解のサイクルが潤滑に回っているので、農家の人たちの中にはヤスデの有無で農薬を使うべきかどうかを判断する人もいるそうです。そのような見方をすれば、野外にいるヤスデまで駆除することはないのかもしれません。

      ヤスデはじつは益虫?

ヤスデが大量に発生する原因

2章で、「ヤスデは大量発生する」と書きましたが、それはなぜでしょうか?ヤスデが大量発生するメカニズムについて、この章ではご説明します。

一般的なヤスデの一生は約1年のサイクルになっています。ヤスデの卵は秋に産みつけられます。ヤスデの卵が孵化すると幼虫は土の中で成長します。成長したヤスデは脱皮を繰り返して、体節が増えて体がどんどん大きくなり、成虫になれば地上に出てきます。こうして成虫になったヤスデが秋に再び産卵して、その一生を終えます。

しかし、ヤスデの種類によっては一生が8年サイクルのものもいます。キシャヤスデがその典型例です。

キシャヤスデとは、その名前のとおり大量発生したことにより列車をスリップさせる事故を起こしたヤスデのことです。このキシャヤスデは卵が孵化するとセミのように7年ほど土の中で過ごします。脱皮は1年に1度しかしません。そして、8年目にキシャヤスデは成虫になると一斉に落ち葉の下や朽木の中に隠れて冬を越します。そして、初夏になると1000個ほど産卵して一生を終えます。

このように生活環境の周辺や家の中で大量発生してしまったヤスデを駆除するのは、肉体的にも精神的にも大変な作業になることは間違いありません。

      ヤスデが大量に発生する原因

ヤスデの侵入経路はどこから?

家の中のヤスデを駆除するためには、ヤスデの侵入経路をある程度特定しておかなければなりません。

ヤスデは落ち葉や庭石などの狭いところによくいるということからもわかるように、隙間に入り込む習性があります。窓の隙間や換気扇、ウッドデッキの隙間など様々な隙間が家にはありますが、とくにヤスデが侵入しやすいのはなるべく地面に近いドアの下の隙間などがあるでしょう。

ヤスデは日があまり当たらず、湿気の多いじめじめとした狭いところを好んで住処にするので、家の中にそのような場所があればとくに注意が必要です。

ヤスデの発生を対策する方法

ヤスデはいったん発生してしまうと大量に発生してしまうことがあるので、ヤスデの駆除よりはヤスデの発生防止に力を入れたほうが、効率的にヤスデ対策ができます。ヤスデの発生を防ぐためには以下のような方法があります。

方法1:隙間をなくす

ヤスデに限らず、様々な害虫が小さな隙間から家の中に侵入してきます。なので、ドアの下、窓、床板など家の中にある隙間をテープやパテなどを使って塞ぎましょう。また換気扇や排気口など、空気を通す必要があるものには網目の細かいネットをかぶせておくことも必要です。

方法2:殺虫剤を撒く

ヤスデをよく見る場所や侵入経路になりそうな場所に殺虫剤を撒きます。殺虫剤を家の周囲をぐるりと1周囲むように散布したり、窓枠や玄関ドアの側面など壁をよじ登ってきても侵入できないように散布したりすればある程度の効果が期待できます。

とくに、害虫駆除に特化した成分が入った殺虫剤は害虫の体に付着すると即時に神経作用を破壊して、息の根を止めます。それだけでなく忌避剤としての効果もあるので、再び害虫が近寄ってこなくなります。害虫駆除に特化した成分は哺乳類や鳥類にはあまり作用しないので、人やペットに影響を及ぼしにくいというのも利点です。さらにヤスデだけでなく、ハチやムカデなどのほかの害虫にも高い効果を発揮するのでおすすめです。

      ヤスデの発生を対策する方法

      

方法3:燻煙剤を使う

ゴキブリやムカデと同じように燻煙剤はヤスデを駆除したり追い払ったりする効果があります。燻煙剤を使えば一網打尽に害虫を駆除できますが、使う場所やタイミングを誤ると人体にも害をもたらすことがあるので注意が必要です。

方法4:日当たりや風通しを良くする

ヤスデが好むのは暗くて狭くて湿気が多いジメジメとした場所です。そのことを考えると、定期的に日当たりを良くしたり、風通しを良くしたりすれば、ヤスデが住み着きにくい環境になります。

床下にヤスデが発生した場合は床下換気扇を設置することをおすすめします。

方法5:こまめに掃除をする

ヤスデは食事ができてかつ身を隠せるような落ち葉が積もった場所を好みます。庭や家の周辺に落ちた落ち葉をそのままにしていませんか?そうして放置している落ち葉の中でヤスデが繁殖しているかもしれません。

よって、家の周辺に落ちている落ち葉はこまめに掃除しましょう。また、雑草や庭石の下、外に置いてあるゴミ箱の下などもヤスデが住処にしやすい場所なので、そういった場所の掃除もこまめに実施しましょう。

方法6:水はけをよくする

ヤスデは湿度の高い環境を好むので、とくに梅雨などのジメジメする季節にその活動を活発化させます。ちなみに、梅雨の時期は多くのヤスデにとって、繁殖時期にもなっているのでヤスデの個体数も多いです。

雨が降って、庭や家の周辺に水たまりができると、ヤスデの成虫は土の中から出てきます。一説によるとヤスデの成虫は水に弱いため、水たまりの水におぼれないように地表に逃げてくるということもあるそうです。そうして地表に出たヤスデにとってはなるべく湿気が多くて風や乾燥をしのげる場所を探します。ヤスデは地面を歩行する節足動物ですが、水たまりを避けるために壁や塀などをよじ登ります。その結果、家の中に侵入する危険性が高まるのです。

このことから、砕石を入れるなどして水はけをよくすることで、水たまりができるのを防止しましょう。

      ヤスデの発生を対策する方法

ヤスデには天敵がいない

ヤスデを食べる生き物は昆虫、爬虫類、両生類、鳥類など様々なものがいますが、ヤスデを好き好んで食べる生き物はいないといいます。それは、ある意味、「ヤスデには天敵がいない」といえるのかもしれません。

ヤスデを好んで食べる生き物がいない理由としては、やはりヤスデが防御のために臭腺から臭いにおいを出すからと考えられています。ただ臭いだけであれば、まだ問題はなかったのかもしれませんが、種類によっては習性から出す体液の中に毒が含まれているものもいます。毒が肌に触れた程度ならば問題はないかもしれませんが、毒が体内に入ってしまうと危険なことがあります。そのような危険を冒してまでヤスデを食べる生き物はいないとしても不思議なことではありません。これらのことから自然界にヤスデの駆除を任せることは難しいということができます。

ヤスデの駆除が難しいときは

ヤスデの駆除は困難を極める場合があります。ヤスデが好んで入り込むような隙間は人の目や手が届かない場合があり、素人ではヤスデの発生位置を特定できないかもしれません。また、ヤスデがいったん大量発生してしまうと、駆除してもキリがないということも珍しくありません。そもそもヤスデなのかムカデなのかという害虫の種類の特定すら素人には困難かもしれません。

そういった場合には専門の業者に駆除を依頼することをおすすめします。「ムカデのように人を噛まないヤスデでも駆除してもらえるの?」「害虫の種類がわからなくても駆除してもらえるの?」といった疑問はあるかもしれませんが、業者にとってはそのような問い合わせも珍しくはないため、問題ありません。放置しておけばもっと手におえない事態になるおそれもあるため、悩んでいるときこそ業者に問い合わせましょう。

      ヤスデの駆除が難しいときは

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まとめ

たとえ自然界の中での分解者としての役割を果たす益虫であっても、またムカデのように強い毒を持たず直接人に害を与えることがないとしても、私たちの生活環境にあらわれればヤスデは害虫になります。発生すればそのまま大量に増殖する種類のヤスデもいるので、駆除するのは非常に労力を要します。

ヤスデが家の中に入ってこないようにするための対策と家の中でヤスデを駆除する方法は、ほかの害虫に対するものと大きく違いはありません。そのため、しっかりヤスデ対策をすることがほかの害虫へ対策をすることにもつながります。快適な生活環境を保つためにヤスデ対策はしっかり行いましょう。

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依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「ムカデ駆除」をご覧ください。

この記事の監修者 ナカザワ氏について

この記事の監修者
ナカザワ氏 NPC 総合害虫駆除
監修ジャンル:害獣 害虫
神奈川県・東京都を中心とした総合害虫駆除サービスを運営。防除作業監督者(防第14721号)の国家資格を有し、アリ、ゴキブリ、ダニ、ハエ、トコジラミ、ハチやコウモリなど幅広い害虫や害獣にも対応。

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