コンクリートの腐食は内部でも進む。放置すると耐震性が下がるかも

2021.4.30

コンクリートの腐食は内部でも進む。放置すると耐震性が下がるかも

住宅に使われるコンクリートは、さまざまな成分や物質と交わることで劣化につながるとされています。また、コンクリートの腐食や劣化が進むと、強度や耐震性が低下してしまい、倒壊などの大きな被害につながる危険性があります。

今回は、コンクリートが劣化するおもな原因とともに、症状や危険性について知識を深めていきましょう。そして、住まいの安全を高めるためにも必要な耐震診断についてもご紹介していきます。

コンクリートが劣化する原因

建物に使われるコンクリートは、経年による劣化に加えて、物質反応によるものや鉄筋の腐食によっても劣化症状が発生します。おもな劣化原因の種類として、鉄筋の腐食による中性化や塩化物イオンによる塩害、寒い地域で発生しやすい凍害などがあります。それぞれの劣化原因の特徴について、種類ごとにみていきましょう。

コンクリートの中性化

中性化とよばれる劣化は、コンクリートに含まれる成分と空気中の二酸化炭素が反応することで発生します。また、中性化が起こることで、コンクリート内部の鉄筋が腐食しやすくなり錆が発生します。このような現象が起こることで、鉄筋に沿うようにして内部からひび割れやコンクリートの剥がれなどといった劣化を生じさせるのです。

塩害

コンクリートの腐食を起こす原因である塩害は、海水や潮風に含まれる塩化物イオンとよばれる物質によって劣化症状を生じさせます。そのため、海に近い場所や潮風が吹きやすい地域のコンクリートでおもに発生するとされています。中性化と同じく、コンクリートのひび割れや剥がれなどの劣化が生じますが、修理をしても再発生する可能性が高いようです。
コンクリートが劣化する原因

凍害

寒さの厳しい地域で発生しやすいとされる凍害は、コンクリートが含む水分が凍結と解凍を繰り返すことで内部に圧力が生じることで、ひび割れなどの劣化が生じます。また、凍害の場合、1段階目はひび割れの症状、2段階目には中性化につながり、3段階目では鉄筋の腐食と、段階ごとに症状が悪化してゆくといった特徴があります。

アルカリ骨材反応(ASR)

アルカリ骨材反応は、コンクリート内に含まれるアルカリ物質が、形成するためのセメント内の骨材と反応することで膨張し、ひび割れを起こす症状です。この反応によって膨張が広がると、次第にひびが大きくなりコンクリートの強度の低下につながります。

コンクリートに化学的腐食が起こることも

コンクリートは中性化や塩害以外にも、酸との反応によって起こる科学的腐食といった劣化が生じることもあります。科学的腐食は、どのようなメカニズムで劣化していくものなのか、詳しくみていきましょう。
コンクリートに化学的腐食が起こることも

コンクリートの化学的腐食とは

セメントを使用したコンクリートは酸に弱いという特性があり、酸性の物質と交わることで科学的な劣化反応がおきます。これによって発生する劣化を科学的腐食といい、コンクリートが表面からもろくなっていき、徐々に内部へと侵食を進め症状が悪化していくのが特徴です。

科学的腐食の原因となる物質

コンクリートの腐食につながる科学的物質は、酸以外にも、植物や動物から抽出された油類、炭酸ガス、硫酸などがあげられます。また、温泉に含まれる硫黄物質も空気に触れることで酸化が進み硫酸へと変化します。それにより、科学的腐食を発生させるとされており、硫黄物質の多い温泉地や下水処理場などで起こることが多いです。

コンクリートの腐食は耐震性低下につながる!

コンクリートが腐食し、劣化した状態のまま放置し続けた場合、次第に内部の鉄筋が腐食し、骨組みがむき出しになるほか、外壁が剥がれ落ちるようになります。このような症状は、爆裂とよばれ、コンクリートの強度が落ち耐震性の低下へとつながるため、大変危険です。

さらに、この爆裂によって剥がれ落ちるコンクリートが人へ直撃し事故につながるだけでなく、耐震性が低くなることで地震の際に建物が倒壊してしまう危険性があります。このような被害を防ぐためにも、建物やコンクリートの劣化を細かく調べて、耐震性が十分であるか調べることが重要です。次の章では、具体的な耐震性の調査についてみていきましょう。

耐震性が十分かを確かめるには

建物の耐震性が十分であるかをチェックするためには、業者に耐震診断を依頼することで確かめることが可能です。また、この耐震診断は、自治体や条件によっては無料で受けることができるとされています。建物の状態やコンクリートの腐食や劣化を調べるためにも、耐震診断の内容や費用目安について、みていきましょう。
耐震性が十分かを確かめるには

耐震診断で確かめることができる

耐震診断は、建物の築年数や増築の有無、屋根裏や床下などといった構造を細かく業者がチェックすることで耐震性を調べることができます。そして、診断結果とともに、住宅のどのような場所が劣化しており、補強や修繕が必要であるかを業者の方からまとめて提示してもらうことが可能です。

耐震診断にかかる費用とは。無料で受けられることも!?

業者に耐震診断を依頼した場合、建物の大きさや種類によっても異なりますが、基本的な調査であれば、約10万円が費用目安です。また、建物の細部まで調査し明確な診断をおこなう場合は、さらに約20万円の費用がかかるとされています。

自治体によっては、無料もしくは補助金をもらって耐震診断を受けることができる場合があります。しかし、住まいの地域や自治体によって、このような制度を受けるための条件が異なる場合があるため、耐震診断をお考えの場合は、事前に各自治体へ相談するようにしましょう。

まとめ

コンクリートの腐食は、さまざまな物質や化学反応によって劣化が発生するとされています。また、これらが原因で発生した中性化や塩害、科学的腐食をそのまま放っておくと、次第にコンクリートがひび割れや剥がれ落ちるといった症状へと被害が拡大していきます。

そして、コンクリートが劣化することで、強度が弱まり耐震性が低下し、地震の際に倒壊してしまうおそれが考えられます。そのため、きちんと建物の状態や耐震性を確かめるためにも、業者に耐震診断をおこなってもらうことが大切です。倒壊などの大きな被害に遭わないためにも、きちんと住まいの耐震性を調べてもらい安全性を高めましょう。

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