家庭用の換気扇を設置する場合、その費用や耐用年数を気にすることが多いです。家庭用の換気扇の耐用年数は「換気扇の寿命」と言い換えることもできますが、オフィスなど業務用の場合は意味が異なります。
耐用年数は減価償却費を計算するうえで欠かせませんし、どのように経費として計上するのかに直結します。ひいては、会社の利益に影響します。難しい話になりますが、業務用の換気扇などを購入する場合は一度考えてみましょう。
目次
耐用年数と減価償却の関係について
換気扇の耐用年数について考える前に、まずは『耐用年数』と『減価償却』について見ていきましょう。この2つの言葉の意味と関係性はどのようなものなのでしょうか。
耐用年数
耐用年数とは、減価償却の対象になる資産が何年使用に耐えられるのかという年数です。国税庁では「耐用年数表」を出しており、建物・建物付属設備・構築物・工具など、さまざまな資産の耐用年数をまとめています。
対象の資産をどのように使うのかで実際の耐用年数は異なります。しかし税金の計算をするうえで楽なので、多くの企業は法定耐用年数を選択しているのです。また、法定耐用年数は企業が故意に利益を操作して節税することも防ぎます。
国にとっても企業にとっても、耐用年数を定めることにはメリットがあるのです。
減価償却
減価償却とは、時間の経過や使用によって価値が下がる固定資産を取得した後、その購入代金を分割して経費計上することです。そのため、価値が下がらないものは減価償却資産に含まれません。
耐用年数と減価償却の関係
たとえば、1,000万円の減価償却資産を購入し、その耐用年数が10年だったとします。
もしも購入した年で一度に経費計上した場合、その年だけ1,000万円の費用が計上されます。それ以降は経費計上されません。この方法では、その会社の経営状況を正しく判断することが難しくなります。
減価償却の考え方では、1年あたり100万円が費用として計上されます。それが10年続くことになります。
このように、耐用年数と減価償却は密接な関係にあります。
換気扇も消耗品。換気扇の耐用年数について
それでは、換気扇の耐用年数は何年なのでしょうか?
まず、換気扇は国税庁の耐用年数表の「建物付属設備」に該当します。構造・用途「電気設備(照明設備を含む。)」の細目「その他のもの」に含まれます。表を見ればわかるように、耐用年数は「15年」と定められています。
実際の換気扇の寿命は10~15年が一般的ですが、法定耐用年数は15年という点にご注意ください。もちろん、10年で壊れることもあれば、15年以上経っても問題なく使用できる場合もあります。
10万円未満かどうかで計上が変わります!
換気扇の取得価額は、換気扇本体だけではありません。施工費用など、設置にかかるすべての費用を含めた金額が取得価額となります。業者に支払った金額とイメージすればわかりやすいかもしれません。
取得価額の金額によって、どのように経費計上するのかが変化します。取得価額10万円は、ひとつの基準となります。
取得価額が10万円未満の場合
10万円未満の場合、一括経費計上することができます。国税庁によれば、「使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満のものは、全額を業務に供した年分の必要経費とする」という旨の発表をしています。
取得価額が10万円以上20万円未満の場合
この場合、「一括償却資産」という扱いになります。取得価額の3分の1相当の金額を、3年にわたって経費計上することができます。
つまり、10万円は「減価償却の対象になるか否か」の基準になるのです。
取得価額が20万円以上の場合
この場合、対象の耐用年数に応じて「定額法」で減価償却費を計算します。
定額法では「取得価額÷耐用年数」という簡単な式で減価償却費を計算することができます。換気扇の耐用年数は15年なので「取得価額÷15(年)」ということになります。
ただし、より正確に計算するには「償却率」を用いて計算する必要があります。また、平成28年4月1日以降に購入した換気扇の場合、定額法で計算することになります。
換気扇は修理よりも交換しよう
換気扇が不調を訴えるようになってきたら、修理か交換をする必要があります。その場合、購入してからの年数を考慮しましょう。
換気扇の耐用年数は15年であり、こまめに修理・メンテナンスをしていれば実際に15年ほど使えます。逆に、最低限の修理だけの場合はせいぜい10年程度でしょう。どちらにしても、10年以上使用している場合は感交換がおすすめです。なぜなら、10年も時が経てば高性能な機種が登場しているからです。
ただし、購入して1~5年程度なら修理するべきです。保証期間内であれば必ず利用したほうがいいでしょう。メーカーや販売店までお問い合わせください。
よほど使用年数が短くなければ、交換したほうが得になるかもしれません。しかし、経費として計上することを考えると、その金額やタイミング次第でどちらが得になるかわかりません。詳細については、税理士などに相談することもご検討ください。
まとめ
業務用の換気扇を導入する場合、換気扇の耐用年数や減価償却費、取得価額ごとの経費計上の違いなどに頭を悩ませることになるかもしれません。聞き慣れない専門用語なども多く、慣れない方にとっては減価償却費の計算ひとつ取っても難しいでしょう。
換気扇の施工も工夫次第で節税できるかもしれません。大きな利益が出た時は、固定資産について見直してみてはいかがでしょうか。
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