
餌を求めて山から下りてくるハクビシンは、私たちの生活にさまざまな被害を及ぼします。
畑などの農作物をハクビシンによって荒らされることによる被害総額は、シカやイノシシ、サルやクマなどに並んで毎年上位にランクインしています。
ハクビシンはこのような物理的被害だけでなく、人間の家屋に住みつき、人やペットの健康面にも甚大な影響を及ぼします。
今回はハクビシンが私たちに与える影響と家屋への侵入対策についてご紹介していきます。

目次
人やペットにも襲いかかる病気『疥癬(かいせん)症』
ハクビシンが与える被害の中でも、人だけでなく家で飼っているペットにも影響を及ぼす病気があります。
「疥癬症」という病気を耳にしたことはあるでしょうか。
これはハクビシンが直接的に人や動物へ感染させるものではなく、山に生息しているノミやダニがハクビシンの毛に付着して運ばれてくることで、引き起こされる皮膚の感染症です。
この「疥癬」とは、「ヒゼンダニ」という小さなダニがヒトの皮膚に寄生しておこります。腹部や胸部、太ももの内側などに激しいかゆみを伴い、皮膚に寄生しているダニが直接的に肌から肌、または衣類やリネン類を介して間接的にヒトからヒトへ感染します。自宅で飼っているペットにも同様に感染します。
この疥癬には「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2つのタイプがあり、その違いはダニの数による感染力と症状にみられます。
通常疥癬
症状:顔や頭を除く全身に赤いぶつぶつができ、非常につよい痒みを伴います。
感染力:寄生するヒゼンダニの数は数十匹以下なので比較的感染力は低いです。しかし長時間、肌と肌が直接触れることで、皮膚に寄生しているダニが移動して感染します。
短時間ではほとんど感染しないといわれていますが、感染者が使用した寝具や衣類などを他の人がすぐに使用することで感染することもあるといいます。感染してから症状が出るまでの潜伏期間はおよそ1~2ヶ月です。
角化型疥癬/ノルウェー疥癬
症状:耳や爪などを含む全身に、ざらざらとカキ殻状の分厚い角質が増殖します。痒みには個人差があり、人によっては全くない場合もあるようです。
感染力:寄生するヒゼンダニの数は100万~200万匹と多く、感染力が非常に強いです。
短時間の接触でも感染し、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します。また、感染者の剥がれ落ちた角質にも多数の生きているダニが含まれているため、それが付着することで感染するケースもあります。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、角化型疥癬感染者から感染する場合、およそ4~5日と早い発症がみられます。
角化型疥癬は主に全身が衰弱している人や重度の疾患を患っている人など、免疫力が低下している人に発症します。そのため、もし角化型疥癬感染者から感染しても通常疥癬として発症するケースがほとんどです。
このように、ハクビシンは病気の原因となる細菌や害虫を連れてきます。
実は濡れ衣?SARSとの関係
ハクビシンによる病気といえば「SARS」を連想する方も多いのではないでしょうか。
「SARS」は新型のコロナウイルスが原因で引き起こす重症急性呼吸器症候群のことで、2003年に中国南部の広東省を中心に世界的規模の集団感染を起こしました。
発生から終息宣言が出された時点までのおよそ9ヶ月間で、全世界での感染者数8,098名、死亡者数774名と、猛威を振るった感染症でした。
この全世界を震撼させたSARSは発生当初、その感染源がハクビシンにあると考えられていました。しかし後の研究によって、当時ハクビシンが持っていたコロナウイルスの型がSARSの型と酷似していたために、ハクビシンがSARSの感染源であると疑われたようです。
ウイルスの型は似ているものの実際には遺伝子が異なり、現在ではSARSの感染源はコウモリであったと考えられています。
とはいえ、ハクビシンは多くの雑菌やウイルスを媒介する動物であるということは事実です。ハクビシンは病原菌などの菌に対する免疫力が強く、ハクビシン自身が感染していても元気でいられます。
つまり、SARSのように恐ろしい感染症に感染したハクビシンが元気な姿で住宅家屋に住みつき、あちこちを走り回ることで、そこに住む人間やペットの感染症の元となる菌を繁殖し、ばらまいている可能性も高いといえます。
病気以外にも被害が…
免疫力の強いハクビシンは病気にかかりにくいため、病原菌を媒介することで私たちに影響を及ぼします。しかし、ハクビシンによる被害は健康被害だけではありません。冒頭で述べた通り、畑など農作物を荒らされる被害も多くあり、その被害額は毎年上位に入っています。農作物のほかに、家で飼っているペットの餌を食べられるなども被害が出ています。
また家屋に住みついて屋根裏や壁などを破壊したり、足音や鳴き声などの騒音、排泄物による悪臭や汚染などもあります。
ハクビシンの排泄物による影響は物理的にも健康面的にも深刻化するため、家屋に住みつくのを防ぐ必要があります。
ハクビシンの習性として、巣の近くの決まったところに排泄をするため、屋根裏に住みついた場合は屋根裏がハクビシンのトイレになってしまいます。いつも同じ場所に排泄をすることによって天井にシミができ、最悪の場合、腐敗して崩落するおそれもあります。
また悪臭もひどく、糞に存在する雑菌も多いです。そのため梅雨から夏の時期にかけては屋根裏で雑菌の繁殖が加速し、人間やペットに甚大な健康被害をもたらします。
ハクビシンの侵入対策が重要
ハクビシンは病気だけでなく農作物を荒らすなど、さまざまな影響を与えますが、実は鳥獣保護法によって勝手に家庭内で捕獲したり殺したりすることは禁止されています。そのため、ハクビシンが家屋へ侵入しないための対策を行うことが非常に重要です。
ハクビシンの侵入を防ぐために
(1) 侵入経路を探して塞ぐ
天井裏への侵入経路として考えられるのは、劣化により外壁が脆くなった場所または穴の開いた場所、屋根同士が重なっている場所、通風口としてあけられた基礎コンクリートの穴などです。
建物を増築している場合は、つなぎ目にも注意しなければなりません。
また、建設時に通風口に柵を付けているから大丈夫、と油断していると、その柵が劣化していた場合はあっさり破られる場合もあります。そのため、定期的な点検が必要といえます。
(2) ハクビシンが登る木などの足場をつくらない
ハクビシンの対策として、フェンスを設置する方法があります。しかしハクビシンは1メートル以上ジャンプすることができるため、簡単にフェンスを超えられてしまいます。フェンスの設置をする場合はかなりの高さが必要になります。
またハクビシンは木を登ることもできるため、木を伝って侵入できないように木の枝などを切っておくといいでしょう。
(3) 食べ物や生ゴミを放置しない
ハクビシンのエサになり得る食料を置かないことも侵入防止の対策となります。
ハクビシンは糖度の高い作物、特に果物を好んで食べる習性がありますので、果物を放置するのは危険です。
農作物を育てていると収穫した作物や間引いた作物をつい放置してしまいがちですが、ハクビシンを呼びよせる格好のエサとなっている可能性があります。ペットを飼っている人は、ペットフードの放置にも気を付けたいところです。
それでも侵入してしまったら
もしハクビシンが家庭内に侵入してしまった場合は、住みつく前にハクビシンを追い払うことを心がけましょう。
ハクビシンが苦手とするニンニクや石油、木酢液を置くと、それらの臭いを嫌がって逃げて行くかもしれません。この他にも、オオカミの尿の臭いも嫌うため、オオカミの尿成分が入っている忌避剤も併用して使用すると効果的といわれています。
またハクビシンは夜行性なため、青色LEDストロボが有効です。
青色LEDは、ハクビシンに限らず夜行性の動物には有効であることが知られています。家の至るところに青色LEDストロボを設置することで、ハクビシンを寄せ付けない効果があります。
こちらの記事も参考にして追い出し駆除をしてください。
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まとめ
見た目はかわいいハクビシンですが、彼らが私たちの生活に及ぼす影響は決してかわいいものではありません。ハクビシンは病気を媒介するため、直接的でなくてもSARSのように、人間を死に至らしめる可能性も十分にあり得るのです。
まずは家庭内への侵入を防ぐ必要がありますが、いくら最善の対策をしていても完全に侵入を防ぐことは難しいものです。もし家庭にハクビシンが侵入している形跡や住みついている可能性があったら、迷わず専門の業者に相談するようにしましょう。
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