暑い夏が過ぎ、涼しくなりはじめる初秋になると、庭の芝生の様子も変わってきていると感じる方もいるでしょう。芝生は秋ごろから枯れ始めるものもあれば、元気になるのもあります。そのため、芝生の変化に合わせてお手入れの仕方も変えていかなくてはなりません。
また、秋は芝張りにも適した時期といわれています。そこでこの記事では、芝生を秋に手入れする方法や芝生の張り方についてご紹介します。芝生の種類別に秋のお手入れの仕方を知ることで、きれいな芝生を維持していくことができるでしょう。
暖地型芝の芝生は秋になったら休眠のための手入れをしよう
野芝や高麗芝などが代表的な暖地型芝生は暑さに強く寒さに弱いのが特徴です。そのため、春から暑い夏は青々とした緑になり、秋ごろから成長はゆるやかになりはじめます。しだいに緑が茶色く変色し、冬には休眠期に入ります。
まだ芝生に成長が見られるうちは、月に2回ほど芝刈りをおこないましょう。秋が深まる10~11月には本格的に休眠期に入るため、1回芝刈りをおこなえば年内中は必要ないようです。暖地型芝生の秋の水やりは、まだ暑さが残る場合3日に1回ほどおこないますが、休眠期に入れば水を与えなくても問題ありません。
また、生えている雑草は放っておくと育ってしまうため、見つけたら手で抜き取るようにしましょう。肥料に関しては、涼しくなった10月に1平方メートルあたり30gほど与えておきます。
このように、暖地型芝生は秋が深まるにつれて成長がゆるやかになるため、芝刈りや水やりなどの頻度を控えていくのです。
寒地型芝の芝生は秋から成長が盛んになる。成長を促す手入れをしよう
ベントグラス類やライグラス類のような寒地型芝生は寒さに強く暑さに弱いため、秋になると生育が活発になります。そのため、水やりも週に2~3回ほどおこないましょう。
成長促進のため、肥料も1平方メートルあたり20~30g与え、雑草は見つけるたびに取り除くようにします。寒地型芝生は秋から生育が活発になるため、芝刈りの頻度も月に2~3回ほどおこなうと整った芝生を維持することができるでしょう。
さらに、寒地型芝生は夏の暑さで部分的に夏枯れが起こり、色がまだらになっていることがあります。まだらな部分をなくして、きれいな緑一面の芝生にするには、夏枯れした芝生を種が発芽しやすい秋のうちに補修しなくてはなりません。補修するときは、夏枯れしてしまった芝生の上から種を追いまきするとよいでしょう。
この方法をおこなうと、種をまいて目土をするだけで芽が出て芝生を補修してくれるので、手間がかかりません。目土とは、水はけがよい土を芝生にかぶせることです。追いまきのあとは成長するのを待つため、その場所に立ち入らないようにしましょう。
5cmほど芝生が伸びたら、見栄えをよくするためにも芝刈りをして周りの芝生と同じ高さに整えましょう。このように、寒地型芝生は秋から成長を促すお手入れや補修などをしていくのです。
芝生は秋に張ることもできる
芝張りの時期は、春と秋がよいといわれています。夏は30度を上回る猛暑の日が続くことから夏枯れが起こってしまうリスクが高く、冬は休眠期に入る種類の芝生もあるため不向きといえるでしょう。
春と秋は芝生にとって生育が活発になり、しっかり根づいてくれる時期です。家の庭に芝生を張ってみようと考えている方は、現在が晩夏であれば秋におこなってみるとよいでしょう。また、1年中緑の芝生を楽しみたいという方には、オーバーシードもおすすめです。
オーバーシードとは、「春から夏は暖地型芝生、秋から冬は寒地型芝生」というように芝生の入れ替えをすることです。暖地型芝生は日本の高温多湿な気候に適しているので、春から夏にかけて青々とした緑が見られますが、秋から冬にかけて枯れてしまいます。そのため、冬は茶色い庭で過ごすことになるのです。しかし、オーバーシードをおこなえば、1年中元気な緑の芝生を楽しむことができます。
秋にオーバーシードをおこなう際は、成長がゆるやかになった暖地型芝生を1cm未満に刈り込み、下準備をします。爪のような金具がついたレーキという道具などを使って、1cm程の間隔で約3mmの穴をあけていきます。あけた穴に寒地型芝生の種と肥料をまき、目土でふたをすれば完成です。
オーバーシードをおこなう上で注意することは、水切れを起こさないようにすることと、植えた種の上をなるべく歩いたりしないことです。オーバーシードをおこなった直後の芝は、水を吸収しにくく乾きやすい状態になります。毎日の水やりをかかさずおこないましょう。
また、水やりするとき以外はなるべく芝生の上を歩かないように心がけましょう。根が張る前に踏んでしまうと、ダメージがかかり枯れてしまうことがあるのです。そのため、水やりの際も、そっと歩くようにするとよいでしょう。
このように、芝生は秋に張ったり、オーバーシードをおこなったりすることで年中緑を楽しむことができます。しかし、涼しくなった秋という短い期間で芝張りやオーバーシードをおこなうのは大変な作業です。
自分ではできない広い庭や時間をとれないときは、業者に依頼するのもひとつの方法です。プロの力を借りれば、あっという間にきれいな芝張りやオーバーシードができ、作業時間を省くことができるでしょう。
秋の軸刈りは回復に時間がかかる
しばらく手をかけず放置してから芝刈りをおこなうと、軸刈りをしてしまうことがあります。軸刈りとは、芝にある成長点より下を刈ってしまうことです。芝には成長点というものがあり、これを起点として育つため、軸刈りしてしまうと光合成が上手くできず枯れてしまうこともあるのです。
春や夏は芝生の生育も活発なため、軸刈りしても回復してくれる見込みはあります。もし軸刈りをしてしまった場合は窒素系の肥料を与え、水やりをたっぷりおこないましょう。
しかし、芝生の軸刈りを秋にすると、葉が回復せずに枯れてしまうおそれがあります。いくらお手入れをしても芝生は秋になると休眠期に入るものもあるため、元気がなく回復に時間がかかってしまうからです。
そのため定期的に芝刈りをおこなうことで、軸刈りを予防することができます。芝生は芝刈りをせずに放置しておくとぐんぐん育ち、地表近くにあった成長点も高い位置になってしまいます。そうすると、芝刈りをおこなったときに生長点の下を切ってしまうことにつながるのです。
本来芝刈りは、葉先から3分の1だけ切るのがよいとされています。そうすることで軸刈りの予防や生長点を傷つけることがないからです。定期的に芝刈りをできないという方は、業者に依頼して芝刈りをしてもらうことをおすすめします。せっかくのきれいな芝生を維持するためにも定期的な芝刈りを心がけましょう。
まとめ
芝生の秋のお手入れは、暖地型芝生と寒地型芝生によって異なります。暖地型芝生は秋から冬にかけて休眠期に入るため、水やりや芝刈りの頻度などを控えていきます。反対に寒地型芝生は成長が促進されるため、水やりや芝刈りの頻度も高くなるのです。
また、秋は芝張りやオーバーシードをおこなうことにも適した季節です。これから芝張りをしようと考えている方や1年中緑の芝生を楽しみたい方は検討してみるとよいでしょう。
芝張りできる秋の短い期間でも、業者に依頼すれば時間や手間をかけず迅速におこなうことができます。知識や技術もしっかりしているため、きれいな仕上がりも期待できるでしょう。
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