突如「ピシッ!」という音とともにフロントガラスに走る傷……。楽しいドライブの状況が一変する瞬間です。
道路に転がる小石を対向車のタイヤが跳ね飛ばして、ガラスに直撃する石。弾丸のようなおそるべき威力をもったこの「飛び石」は、フロントガラスの破損原因の多くを占めるトラブルだといわれています。
フロントガラスが飛び石で傷付いてしまった場合、そのまま走行し続けることはおすすめできません。ほんの小さな傷でも、放置しているとガラスが大破してしまうことがあるためです。また傷が視界を邪魔して、大きな事故につながってしまうかもしれません。
本コラムでは、フロントガラスが飛び石で割れてしまったときにとるべき応急処置と、その後どのように対処すべきかを、段階に分けてまとめました。再び快適なドライブを楽しむためにも、フロントガラスの傷ははやめに直してしまいましょう。
目次
まずはフロントガラスの状態を確認する
フロントガラスに飛び石が当たってしまったら、とにかく車を安全な場所に停めて被害状況を確認しましょう。車内からでもわかるレベルで傷が入っているのに、そのまま走り続けるようなことは避けるべきです。
まずは、飛び石が当たった場所を中心に、どの程度の傷が出来ているのかを確認しておきます。チェックしておきたいポイントは以下の通りです。
傷の場所
フロントガラスの端から何センチの位置にあるかをおおまかに測っておきましょう。傷がフロントガラスの端に近い場所にできている場合、修理ができない可能性があります。
傷の大きさ
傷があまりに大きすぎる場合、修理ではなくガラス自体の交換が必要になるかもしれません。修理できるかどうかを確認するために、傷が直径何cm程度かを測っておきます。正確に測る道具がない場合は、500円玉を傷口にかぶせてはみ出すかどうかを確認しましょう。500円玉の大きさ以上の傷の場合、交換が必要になってきます。
傷の深さ
ガラスのコーティング表面にひっかき傷ができているだけなのか、それともコーティングを貫通してしまっているのかを調べます。爪で傷の表面をひっかいて、引っ掛かりを感じるようであれば、深い傷になっている可能性が高いです。
視界を妨げるかどうか
たとえば運転席から前方を見たときに、ちょうど道路の上に傷口が重なるような場合は注意が必要です。対向車や道路に落ちている危険物が、傷に隠れて見えなくなってしまう可能性があります。
運転中の視界に傷口が入ってくるようであれば、そのまま運転するのはやめておいたほうが無難です。レッカー者を呼んで、ディーラーや自動車修理業者まで持っていってもらうようにしましょう。
飛び石被害を受けたときの連絡先
傷の状態確認が済んだら、次は関係各所への連絡をおこないます。必ず連絡しておきたいのは、以下の2つの連絡先です。
警察
ガラスが傷付いた程度で警察を呼ぶのも……と思われる方もいるかもしれません。しかし、フロントガラスに飛び石が衝突するのは、法的に「物損事故」として扱われるトラブルです。事故の届け出が必要になるため、まずは警察へ連絡を入れましょう。
警察へ連絡する場合、電話は通報などと同じように「110番」で問題ありません。
警察に事故届けを出しているかどうかは、今後の修理費用にも関わってきます。多少の傷であっても「事故」であることに変わりはないということを念頭においておきましょう。
保険会社
フロントガラスの飛び石による傷は、物損事故として扱われるため、修理費用の一部を保険会社に負担してもらえることがあります。警察への連絡が済んだら、そのまま保険会社への連絡もおこなっておきましょう。
このとき注意しておきたいのは、保険会社への連絡は必ず「事故の直後」にする必要があるという点です。もっと具体的にいうと、フロントガラスの修理をおこなう前に連絡を入れなければいけません。
保険会社が修理費用を補償するには、「修理前の状態」と「修理後の状態」を保険会社が確認しておく必要があります。というのも、修理の際に飛び石で破損した部分以外も直されてしまうと、どこからどこまでが保険の適用内かがわからなくなってしまうからです。
可能であればフロントガラスの状態を写真に収めておくのがおすすめです。どの傷が飛び石によって破損したものかを明確にしておくと、保険会社との交渉もスムーズになることでしょう。
放置は危険!応急処置をしよう
フロントガラスが飛び石で傷ついてしまった場合、もっとも避けるべきなのはそのまま放置してしまうことです。一度亀裂の入ったガラスは、走行時の振動や風圧、衝撃などでどんどん広がってしまいます。
はじめはほんの小さな、よく見ないとわからないような傷であっても放置は危険です。傷を放っておいて運転し続けるうちに、フロントガラスを横断するような大きな亀裂に成長してしまう可能性は十分に考えられます。
それから、修理業者に持っていく間に傷が広がってしまうのも避けたいところですよね。そこで、フロントガラスの飛び石による傷を、広がらないよう保護するための応急処置の方法をご紹介します。
◆補修シールを使った応急処置の方法
傷ついたガラス表面の応急処置は、人間がケガをしたときの対処と似ています。たとえば指先に小さな切り傷ができたとき、どのように対処しますか?傷口を洗って消毒して、絆創膏を貼っておきますよね?ガラスの応急処置も同じようにおこなうことができるのです。
ガラスの傷の応急処置は、大きく2つの作業に分けられます。「傷口の洗浄」と、「傷口の保護」です。
まずは傷のついた部分を濡らしたタオルなどでしっかり拭き掃除し、汚れとゴミを取り除いておきましょう。傷の内部に入り込んだゴミは、つまようじや裁縫針を使って掻き出すようにするのがおすすめです。
汚れをとり終えたら、ガラス表面に油膜やホコリ、水分が残らないようしっかりと乾拭きしておきます。傷口が綺麗になったら、ガラスにとっての絆創膏にあたる、「補修シール」や「応急処置シール」といったものを貼って傷口を保護しておきましょう。
ガラスの傷にとって、水分やゴミは大敵です。とくに水分が傷の奥に入り込んでしまうと、傷を広げる原因となってしまいます。補修シールなどは、車が走る際にフロントガラスに付着する水分やホコリ、排気ガスなどから傷口を守る保護カバーなのです。
補修シールなどを貼り終えたら、これで当面の応急処置は完了です。このまま走っても傷に水分が入り込むことはないでしょう。とはいえ、補修シールなどは傷を治すものではなく、あくまで傷口を清潔に保つためのものです。
補修シールなどでできることは応急処置に過ぎないということは忘れずに。早めの修理が重要になります。
フロントガラスを修理する3つの方法
応急処置が済んだら、フロントガラスの飛び石の傷をどのように修理するかを考えていきましょう。フロントガラスを修理するには、おおまかに3つの方法があります。以下に、それぞれのメリットとデメリットをまとめました。
自分で修理する
傷が小さく浅い場合は、市販の「ガラス用リペアキット」を活用することで自力での修理が可能かもしれません。リペアキットは傷口を特殊な薬剤で埋めて傷を塞ぐ道具のことで、ホームセンターなどで手軽に入手することができます。
リペアキットを使った修理のメリットとしては、第一に費用を安く抑えられる点が挙げられます。ほとんどの場合、業者に修理を頼むと10,000円以上かかるような傷であっても、自力での修理ならリペアキット代の1,000円~3,000円ほどで済みます。
また、業者に修理を依頼する場合、業者とスケジュールを合わせて修理工場まで車をもって行かなければなりません。自力の修理なら、いつでもどこでもおこなうことができます。フロントガラスの傷は一刻も早く修理したいものですから、この利点は見逃せません。
デメリットとしては、修理の出来(品質)が個人の技量に大きく左右されるという点でしょうか。修理の出来はガラス自体の見た目に影響があるだけではありません。うまく修理ができていないと、「整備不良」として車検が通らない可能性があるのです。
修理業者に依頼する
ガラスの修理をおこなう業者のなかには、自動車のフロントガラスのリペアも請け負っているところがあります。そうしたところへ車を持ち込んで、ガラスの修理をおこなってもらう方法です。
メリットとしては、自力でおこなうよりもはるかに安定した品質で修理を受けられる点が挙げられます。また、フロントガラスを全交換するよりもおおむね修理のほうが安く済ませることができます。
主なデメリットは、費用の相場が15,000円~20,000円程度と、自力でおこなうよりも費用が高くつきやすいことです。また、傷の深さや大きさ次第では修理を受けられない場合があります。
カーディーラーに依頼する
車を購入したカーディーラーや、車のメーカーを取り扱うカーディーラーでフロントガラスの修理を受けることも可能です。ただしこの場合、厳密には「修理」ではなく「交換」になります。フロントガラスを丸ごと取り替えることになるわけですね。
カーディーラーに依頼した場合のメリットは、傷ついたガラスを丸ごと交換するため、まったくの無傷な状態に戻すことができるという点です。ガラスが原因で車検に通らないなんてことはまずありません。安心、確実を重視するならカーディーラーを選ぶべきでしょう。
デメリットとしては、まず費用が高額になりやすいです。フロントガラスの交換はガラス自体の値段が高いうえに、大規模な工事が必要になるため、工賃もかかりがちになります。
カーディーラーでガラスを交換した場合の費用は、50,000円~100,000円ほどが相場とされています。さらに、カーナビのフィルムアンテナをガラスに張り付けている場合、そちらも張り直しになるため、プラスで30,000円程度の費用が発生します。
このように、フロントガラスの3種の修理方法は、それぞれ明確なメリットとデメリットをもっています。品質や価格のうち、自分がなにを重視するのかを考えて、どこで修理をおこなうかを選びましょう。
状況によっては交換になる場合も
前項でも軽く触れましたが、フロントガラスの飛び石の傷を修理業者に持ち込んでも、修理ができずに交換が必要になることがあります。傷の位置や大きさ、深さによっては、修理しても公道を走行できるレベルの耐久性を取り戻せない場合です。
まず、フロントガラスの端に近すぎる位置にできた傷は、原則修理ができないとされています。
フロントガラスの端はガラスを支えている部分なので、負担がかかりやすく大きな亀裂に発展しやすいためです。
一般的に、フロントガラスの上端と左右の端から4cm以内、あるいは下端から8cm以内の場所に傷が出来た場合は、修理ではなく交換が必要になるといわれています。
また、傷が大きすぎても傷口を塞ぎ切ることができず、ガラス交換になる可能性があります。修理業者によって対応可能な傷の大きさは異なりますが、おおむね100円玉から500円玉程度が修復可能な傷の大きさです。
修理業者に依頼する際は、あらかじめ傷の大きさが100円玉くらいなのか500円玉くらいなのかを伝えておくと、見積もりの作成がスムーズにできるかもしれません。
傷の深さも重要になります。コーティング表面を傷つけただけであれば修理は可能とされています。しかし、コーティングを貫通していたり、ガラスが抉れてしまって大きくへこんでいる場合、修理業者からガラス交換をすすめられる可能性が高いです。
車両保険を使うと等級が下がる
前述のとおり、フロントガラスに飛び石が激突して割れてしまうというトラブルは、れっきとした事故として扱われます。そのため修理費用には高確率で保険が下りますが、保険を使う場合は注意が必要です。
修理費用を負担してくれる保険ですが、保険は使えば「等級」が下がるという点は考えておきましょう。
「等級」とは、保険の加入後から無事故(保険を使用しない)で過ごした年数に応じて付けられるレベルのことで、大抵の保険会社はこの等級制度を導入しています。
基本的に、等級が高ければ高いほど、事故を起こしていない優良ドライバーということであり、等級に応じて毎月支払う保険料が割引されるという仕組みです。
等級は、保険を使わずにいれば毎年上がっていくものです。逆に、事故を起こして保険を使うと、事故の内容に応じた等級が下がります。飛び石による破損も例外ではなく、修理に保険を使うと等級が下がってしまうのです。
ほとんどの保険会社では、破損の原因が対向車による飛び石によるものであれば、下がる保険等級は1等級だと定めています。ここで考えるべきなのは、保険を使う場合と使わない場合、どちらがお得かということです。
たとえば、1等級下がることによって増額した保険料が、修理代金を上回るのであれば、保険を使って修理することは「損」ですよね?とはいえ、破損の状況によっては、保険等級を下げてでも保険で修理したほうが安くつくこともあります。
保険を使うか使わないかは、車の所有者が自由に決めることができます。まずは修理業者に見積もりをとっておきましょう。修理費用と1等級下がった場合の保険料の増額分を照らし合わせて、よりお得なほうを選ぶのが、うまい保険の使い方だといえます。
まとめ
フロントガラスが飛び石で割れてしまった場合にとるべき対処は、以下の4つです。
①被害状況の確認と警察・保険会社への連絡
②フロントガラスの応急処置
③修理方法の選択
④保険を使うかどうかの選択
フロントガラスの飛び石による傷が、修理で済むのか、それともガラス自体を交換しなければならないのかは、傷の場所や大きさ、深さによって変わります。加えて、応急処置を適切におこなったかどうかにも大きく影響されます。
飛び石は予防のしようのない、不運な事故です。しかし、事故後の対処の仕方によっては、さらなる被害を抑えることは十分にできます。正しい対処方法をおぼえて、ドライブの際に役立ててみてください。
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