【外来種】アメリカカンザイシロアリの生態!被害の特徴や対策方法

2023.9.11

【外来種】アメリカカンザイシロアリの生態!被害の特徴や対策方法

アメリカカンザイシロアリはアメリカから入ってきた外来種で、乾いた木材などを好むシロアリの一種です。日本の住宅に被害を与える代表的なイエシロアリやヤマトシロアリとは違い、水気の少ない場所でも生きていけるため、シロアリのなかでも厄介な種類ともいわれています。

アメリカカンザイシロアリは、木材の中に形成する集団の個体数が数十~数百と小規模なため、加害スピードは遅いです。しかし、遅いからこそ発見が遅れ、気付いたら木材が穴だらけ、なんてことも少なくありません。

そこで今回は、アメリカカンザイシロアリの生態から駆除方法まで、詳しくご紹介していきます。日本でも徐々に被害が増加しているため、もしものときのために対策をしておきましょう。

アメリカカンザイシロアリの生態

日本の住宅に被害を与えるシロアリといえばヤマトシロアリやイエシロアリが多いですが、近年、外来種である「アメリカカンザイシロアリ」「ダイコクシロアリ」の被害も増えてきています。

他のシロアリとは違った生態をもっているので発見が遅くなり、甚大な被害を受けてしまうこともあります。アメリカカンザイシロアリの生態についてご紹介していきますので、早期発見・早期対処のために、しっかりと特徴を知っておきましょう。

外来種アメリカカンザイシロアリの特徴

アメリカカンザイシロアリは、もともと日本にいなかった外来種です。海外から輸入した木製の家具の中に潜んでおり、日本に持ち込まれたとされています。

乾材シロアリの仲間であるアメリカカンザイシロアリは乾いた木材のわずかな水分でも生きることができ、家の柱や家具など乾燥した木材の中に巣を作るのが特徴です。また、温度や湿度の変化に強く、環境が要因で死んでしまうケースは少ないといわれています。

日本の生息地域

シロアリの分布

アメリカカンザイシロアリは、メキシコ北部から北米西部が原産であり、アメリカ各地で生息しています。日本では1976年に東京都江戸川区で初めて発見されており、現在は関東より西部を中心に、全国各地で生息しています。

階級ごとの見た目の違い

アメリカカンザイシロアリの見た目は階級ごとに異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

職アリ(働きアリ)

アメリカカンザイシロアリの職アリは、くびれのない寸胴の体型をしており、体は乳白色になっています。体長は5~8ミリメートル程度で、他のシロアリよりも一回りほど大きいのが特徴です。

兵アリ

茶色っぽい褐色の見た目に四角い頭をしたのが、兵アリです。体長は10ミリメートル程度で大きな顎をもっています。それほど攻撃的ではありませんが、木材を芯から食害してしまいます。

羽アリ

アメリカンザイシロアリの羽アリは、頭が赤っぽい褐色をしており、体と羽が黒くなっているのが特徴です。体長は7ミリメートル程度ですが、羽を含めると10ミリメートルを超えることもあります。

羽の白いイエシロアリの羽アリとは区別しやすいですが、ヤマトシロアリの羽アリの羽は黒いため見間違えやすいです。ただ、ヤマトシロアリは頭も黒いため、羽と頭の両方を確認することで、シロアリの種類を判別できます。

女王アリ

体長が10ミリメートル程度ある褐色の個体がいれば、女王アリかもしれません。女王アリは基本的には巣の中にいるため、ほとんど目にすることはないでしょう。また、オスとメスは一緒に行動していますが見た目に違いがなく、見分けるのが困難です。

アメリカカンザイシロアリの被害

土壌処理でのシロアリ駆除は自分でできるのか

加害場所に巣を作るアメリカカンザイシロアリの場合、どこに潜んでいるか特定をしなければ、当然駆除ができません。しかし、アメリカカンザイシロアリは「被害範囲が広い」「被害スピードが遅い」ことから、被害が発見しにくいといわれています。

被害範囲が広く建物全体に及ぶおそれ

アメリカカンザイシロアリは、食害する建材の中に巣を作ります。床下以外にも、天井裏や壁を支える通し柱、木製の窓枠など建物全体を加害してしまいます。巣が小さく、同じ柱の中にいくつか巣を作ることがあり、被害の特定が難しいです。また、巣の再生能力も高く、駆除したと思っていても、再び被害が発生するおそれもあります。

被害スピードが遅く早期発見が難しい

アメリカカンザイシロアリの巣の規模は小さいため、加害スピードも遅いのが特徴です。加害の初期段階ではそれほど住宅に影響がないため、知らない間に被害が広がってしまうおそれがあります。また、アメリカカンザイシロアリは家の木部を加害して空洞にするため、建物の耐久性が低くなり、被害が広がることで家が倒壊する危険性もあります。

アメリカカンザイシロアリの巣の規模

日本の住宅に被害を与えるヤマトシロアリやイエシロアリは、適度な水分を必要とするため、湿気が多い床下を中心に加害し、土の中に巣を作ります。一方、アメリカカンザイシロアリは水分を必要としない場所でも加害し、建物のあらゆる木材の中に巣を作ってしまいます。

アメリカカンザイシロアリは、ひとつの巣に数百匹ほどが生息しています。ヤマトシロアリの場合は数万匹、イエシロアリであれば数十万匹が生息していることもありますので、比べるとずいぶん数は少ないです。そのため被害が小さいと油断してしまう人もいます。

しかし、アメリカカンザイシロアリの場合は、1軒の住宅にいくつもの巣を作ることもあります。ひとつのコロニーに数百匹しかいなくても、住宅内にアメリカカンザイシロアリの巣がいくつもあれば、当然その被害も大きくなります。

営巣場所

ヤマトシロアリやイエシロアリは、地下(地面の中など)に巣を作り、蟻道を通って床下から侵入してきます。対してアメリカカンザイシロアリは、外から羽アリが家の中に侵入し、木材の中にコロニーを作り繁殖します。加害場所がアメリカカンザイシロアリの巣になるため、被害が見られる場所にシロアリが集中していることが多いです。

アメリカカンザイシロアリの侵入経路

水分がなければ生きられないヤマトシロアリやイエシロアリは、湿気の多い土壌からの侵入がほとんどです。しかし、アメリカカンザイシロアリは羽アリが発生する時期になると、“窓”や“屋根裏”などから家に侵入します
。また、木製の家具などに巣を作っている場合もあり、購入した家具と一緒に入り込んでしまう
ケースもあります。

水分を蓄えられるアメリカカンザイシロアリは、移動範囲が広くなっており、被害が広範囲に及びます。ヤマトシロアリやイエシロアリのように水回りといった特定の被害場所がなく、あらゆる場所で被害を受けるおそれがあります。そのため、通常のシロアリのように床下の予防だけでは防ぐことができないのです。

羽アリの発生時期

アメリカカンザイシロアリの中にも、もちろん羽アリという個体が存在します。シロアリの羽アリは背に羽が付いており、空中を飛行することが可能です。また、幼虫と違い生殖機能があるため、未来の女王アリ・王アリといえる存在でもあります。

アメリカカンザイシロアリの羽アリは、6~9月頃の暖かい時期になると繁殖のために飛び立ちます。「ヤマトシロアリは4~5月」「イエシロアリは6~7月」頃が羽アリの活動時期となっており、発生時期によって判別することも可能です。

アメリカカンザイシロアリの羽アリは、あまり長距離を飛ぶことができません。そのため、近隣で発生したアメリカカンザイシロアリの羽アリが順番に侵入していき、被害を拡大させていくことが多くなっています。

アメリカカンザイシロアリの被害を発見する4つのポイント

アメリカカンザイシロアリ被害は早期発見が大切です。しかし、加害する場合のほとんどは建材の中なので、食べている現場を肉眼でとらえることは難しいです。

そこで、シロアリ被害のサインをいくつかご紹介します。以下のような要素があれば、アメリカカンザイシロアリによる被害を疑ってみましょう。

1.木くずのようなふんが落ちている

1.木くずのようなふんが落ちている

何気なく窓枠や床を見たときに、見覚えのない木くずのようなものが落ちていることはありませんか?その木くずが粒状で乾いたふんのような形をしていれば、それはアメリカカンザイシロアリのふんである可能性があります。アメリカカンザイシロアリは建材の中が巣になっているので、排せつもその場でおこなうことが多いです。

ふんを見つけたら、近くの木材にふんの排出口がないか確認してみましょう。排出口の大きさはさまざまで、目で確認できる大きさの穴から画びょうで開けたような小さな穴まであるため、発見するのは難しいかもしれません。もし排出口が見つからなくても、アメリカカンザイシロアリのふんらしきものが落ちていたら、一度シロアリ業者に確認してもらいましょう。

2.空洞音がする

建材を叩いてみて空洞音がする(コンコンやポコポコといった音)場合は、アメリカカンザイシロアリにすでに加害されているおそれがあります。ふんだけでは判断材料に困ると思われる場合は、どこか空洞音がしないかも調べてみるとよいですね。

3.建材がもろくなっている

建材を叩いたときに木くずが落ちてきた場合、シロアリがその中に住んでいる可能性があります。木くずが落ちてきたということは、そう遠くない場所にシロアリが穴を開け、その穴からシロアリのふんが落ちてきたと予想されるためです。

木くずが落ちてくるほど食害が進んでいる場合、アメリカカンザイシロアリによる被害が深刻な状態である可能性が高いです。早急に対処をしましょう。

4.羽が落ちている

見慣れない虫の羽が落ちている場合も、シロアリの存在を疑ったほうがよいです。シロアリの羽アリは、新たな巣を求めて飛び立ちます。そして、ちょうどよい場所を見つけると、羽を落として新たな巣を作り始めるのです。

そのため、シロアリの羽が落ちている場合は、すでに子孫繁栄の準備をしている可能性があります。シロアリの羽と疑わしいものを発見した際にも、早急にシロアリ調査をおこなうのが安心です。

アメリカカンザイシロアリの予防・駆除方法

あらゆる場所から侵入し、さまざまな場所に被害を出すアメリカカンザイシロアリには、効果的な予防法がほとんど確立されていません。そのため、少しでも早く発見して対処したり、できる限りの対策をしたりすることが大切です。

この章では、アメリカカンザイシロアリに効果のある予防・駆除方法についてご紹介していきます。発生の本場であるアメリカではどういった対策がされているのかも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ホウ酸塩処理をする

アメリカカンザイシロアリの予防・駆除には、ホウ酸塩水溶液を使った処理が効果的です。ホウ酸塩処理による駆除はすぐに効果が出るわけではありませんが、徐々に被害を抑えてくれる効果があります。また、新築住宅の場合、ホウ酸処理を家全体におこなうことで、アメリカカンザイシロアリの予防ができます。

穿孔注入処理をする

被害のある箇所に防除薬を注入し、アメリカカンシロアリの駆除と予防ができる方法です。ただし、処理漏れや巣の見逃しがあることを考えて、数回点検をしながら処理をおこなう場合があります。

アメリカでは毒ガスの使用も

アメリカでは、猛毒ガスを使った「燻蒸処理」が一般的なアメリカカンザイシロアリの駆除方法となっています。この猛毒ガスは、人体に悪影響を及ぼすほど強力なもので、高い駆除効果を望めます。

燻蒸処理では、建物全体をビニールシートで覆い、その中に毒ガスを入れてシロアリを駆除します。ただし、毒ガスを使用するには近隣への許可を取る必要があり、建物が近接している日本ではあまり現実的ではありません。また、毒ガスは強力な毒の成分が建物に残留しないよう分解しやすくなっているため、シロアリ予防の効果がなく、再び侵入されるおそれもあります。

定期的にシロアリ調査をする

アメリカカンザイシロアリの被害は、何より早期発見が大切です。一度被害に遭えば家のあらゆる場所に巣を作るおそれがあるため、早い段階で気付けるよう定期的に調査をおこないましょう。アメリカカンシロアリシロアリの羽アリが飛び出す時期だけでも点検しておくと、早期発見につながり、被害を最小限に食い止めることができます。

弊社では、シロアリの点検や駆除がおこなえる業者を多数ご紹介しています。シロアリがいないか不安な方は、ぜひ点検からご相談ください。お電話は24時間対応しております。

シロアリ駆除はプロに依頼しよう!

もしアメリカカンシロアリの被害が出てしまったら、業者に駆除を依頼しましょう。DIYではなく、プロに依頼したほうがよい理由を4つご紹介します。

理由1.被害の特定が困難

アメリカカンザイシロアリはあらゆる場所から侵入してくるため、被害場所の特定が困難です。被害場所を特定できないということは、巣の場所の特定もできません。そのため、知識や経験の豊富なプロに任せるのがおすすめなのです。

被害場所をすべて特定できていないままDIYで駆除したとしても、すぐに再発してしまう可能性は高いでしょう。アメリカカンザイシロアリだけでなくシロアリが発生した際には、すべてを完璧に駆除することが何より重要なのです。

理由2.被害範囲を把握しにくい

アメリカカンザイシロアリは少数精鋭で行動し、建材の加害スピードが遅いです。住宅内での行動範囲も広いため、被害箇所を特定することが難しいです。かろうじて「シロアリの被害に遭っている」ことは把握できていても、どの範囲で、どのくらいの規模の被害に遭っているのか素人では判断しにくい部分があります。

そのため、シロアリの生態を熟知しているプロに任せれば、「駆除できていなかった」という事態をなくすことができるのです。運がよければまだ被害の初期段階かもしれませんが、運が悪ければすでに家中の建材が食い荒らされたあとだったなんてこともありえます。

理由3.被害箇所によっては処理作業が難しい

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アメリカカンザイシロアリを含むシロアリは「こんなところにも……」と思う場所も食害します。例えば、屋根裏や床下は日頃足を踏み入れない場所であり、メンテナンスをするにも苦労する場所です。

普段目に付かない場所を加害されていれば気付きにくいですし、駆除をおこなうにも手間がかかってしまいます。作業に不慣れな方であれば、駆除しきれない可能性も高くなります。プロであれば、作業のしにくい場所での駆除経験が豊富にあるため、安心して任せることができるのです。

中途半端なDIYによる駆除は、建物の修繕費用を高くしてしまうこともあります。より的確に作業ができるプロに頼めば、余計な費用をかける心配はありません。

理由4.再発のリスクが高い

シロアリは完全に駆除することがとても重要ですが、数百の集団でいくつも巣を作るアメリカカンザイシロアリは、他のシロアリに比べて駆除しきるのが難しいです。駆除しきれなかった集団が繁殖し、被害が再発するリスクがあります。

よほどシロアリの知識や駆除経験がない限りは、プロに任せるのがおすすめです。何度もDIYで駆除するよりも、プロに依頼するほうが結果的には費用を抑えることにもつながるのです。

アメリカカンザイシロアリの駆除費用は状況次第

日本での発生件数がまだまだ少ないアメリカカンザイシロアリは、確立された駆除方法がなく、一概に相場を出すことができません。実際に多くの業者が相場を掲載しておらず、「要見積り」といった記載をしています。

そのため、アメリカカンザイシロアリの駆除費用を知りたい場合は、調査後見積りをもらうのがおすすめです。ただし、被害が広範囲に及んでいることが多いアメリカカンザイシロアリは、他のシロアリに比べて1.5~2倍ほどの費用が必要になる場合もあります。

提示された金額が本当に適正価格なのか気になる場合は、他の業者にも見積りを依頼して料金を比較してみましょう。

他のシロアリの費用相場は?

日本の住宅への被害が多いヤマトシロアリやイエシロアリには、「バリア工法」や「ベイト工法」といった、確立された駆除方法があります。駆除費用は、1坪あたり7,286円が相場となっており、平均坪数である30坪であれば、駆除費用の相場は218,580円です。

※上記の金額は、シロアリ駆除業者5社のホームページに記載されている料金の平均値を算出したものです。

業者選びのポイント

シロアリに限った話ではありませんが、業者を利用するとなると、費用ばかりに目がいってしまいがちです。しかし、必ずしも「料金=納得のサービス」とはいえず、他にも確認するべきことはあります。

業者を選ぶときは、料金の他にも以下のようなポイントを確認してみましょう。

  • 料金は適切か?
  • 実績はあるか?
  • シロアリ駆除の資格をもっているか?
  • アフターフォローはあるか?
  • 保証はあるか?

最低でもこの5つのポイントは確認することをおすすめします。実績や資格の有無、保証・アフターフォローなどは、業者の公式ホームページから確認できます。通常のシロアリの薬剤であれば、5年で効果が薄くなるため、保証期間も5年であることが多いです。

ただし、アメリカカンシロアリの場合通常と異なる方法で駆除する可能性もあるため、業者に直接聞いてみましょう。

業者の対応を確認する意味でも、直接問い合わせをおこない、実際に話してみるのもひとつのポイントです。もし確認してみても「どこに依頼するか迷う」という方は、弊社までご相談ください。

全国にシロアリ駆除業者の加盟店がありますので、よりご希望に沿った業者をご紹介することが可能です。24時間365日無料で受付対応していますので、気軽にいつでもご利用ください。

まとめ

外来種であるアメリカカンザイシロアリは、イエシロアリやヤマトシロアリとは違った生態をしています。他のシロアリに比べて発見が遅れやすく、被害が深刻な状態になりやすくなるのが特徴です。

また、一般的なシロアリ駆除の方法である「バリア工法」や「ベイト工法」での完全な駆除・対策が難しいのも、他のシロアリとは異なる点です。アメリカカンザイシロアリの駆除は、プロである業者でも簡単ではありません。

被害状況を把握しにくく完全な駆除が難しいため、再発のリスクも高いです。もしアメリカカンザイシロアリを発見したらDIYで駆除するのではく、プロに任せましょう。

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