トコジラミ(南京虫)とダニは違う?トコジラミを駆除する必要性とは
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南京虫とは、「トコジラミ」とも呼ばれている衛生害虫の一種です。ベッドの隙間や柱の割れ目など、狭くて暗い場所に多く潜み、刺されると強いかゆみを伴います。効果的な殺虫剤が開発されたことにより、一時期は日本から姿を消した南京虫ですが、近年薬剤への耐性がついたためか、再び被害を起こすようになりました。
そんなトコラジミですが、若い世代の家庭ではどう対処をしていいのか分からない方も多いのではないでしょうか?そういった方のために、本稿では効果的なトコジラミの駆除方法をご紹介します。
目次
トコジラミ(南京虫)とは?
トコジラミとは南京虫(ナンキンムシ)とも呼ばれている吸血性の害虫です。英語圏ではベッドバグと呼ばれています。
小さな害虫で、幼虫だと体調1.5ミリメートルほど、成虫でもわずか体長7ミリメートルほどの大きさしかありません。体色は茶褐色をしています。基本的には夜行性で、寝ている間に忍び寄り噛みつき、巣に戻ります。トコジラミに血を吸われると強いかゆみに襲われる、噛まれた部分が赤く腫れ上がる、といった症状が起こります。ノミやダニと違い、肌が露出している箇所を刺します。吸血昆虫のため病気を感染させる恐れもありますが、感染したという事例は報告されていないようです。
日本では500年ほど前にはすでに生息していたといわれています。かつては猛威を振るっていたトコジラミも、殺虫剤の普及によって駆除が進み、やがてほとんど目にすることがなくなりました。そのためトコジラミ被害も大きく減少したのですが、近年のトコジラミは薬剤への耐性を身に着け、再び増加しているといわれています。
ダニとトコジラミの違い
朝、部屋の布団から起きたら何かに刺された跡がある、といった経験はありませんか?そしてその跡はダニなのかトコジラミなのか分からない、などといったこともあると思います。ダニよりもトコジラミに噛まれたほうが痒みが強く、ひどく腫れあがる場合が多いといわれていますが、体質によって見分けがつかないこともあり得ます。
そのような場合でも、実はどちらに刺されたものなのか、判断しやすい違いがあるのをご存じですか?
それは、ダニとトコジラミでは刺される箇所が違うということです。
ダニは主に露出していない身体の柔らかいところに対して、トコジラミは肌が露出しているところを刺します。
長袖、長ズボンで寝ているときは、顔、首、手首から先、足首から先が刺されます。
また、ダニは基本的に人から吸血することはありませんが、トコジラミは吸血するうえ、潜んでいるトコジラミに何カ所も噛み痕を残されることが多いようです。
吸血するため、貧血を起こす恐れもあるといいますので、痒みが強力な場合はトコジラミを疑い、医者へ行くことも大切だといえます。トコジラミの駆除が完全に終わるまで被害は続きます。トコジラミによる被害だと判明した時点で、徹底したトコジラミの駆除をおこなうようにしましょう。
トコジラミによる被害はどの程度増えているのか?
それでは、実際にトコジラミによる被害はどの程度増加しているのでしょうか。
(画像引用元:厚労省「衛生動物に関する最近の動向」)
厚労省が発表した統計資料によると、東京都ではトコジラミの相談件数が顕著に増加しているという調査結果が出ました。特に2009年頃から急激に増加しており、前年度の2.5倍という高い数値を記録しました。その後も、300件前後の件数で推移しています。また、他県でも年々増加しているという調査結果が出ているのです。
トコジラミは、国内外の行き来の増加や、トコジラミに対する理解の不足により再び増加したといわれています。今後もこのような状況は続くと思われますので、同時にトコジラミ被害も増加し続けるでしょう。
トコジラミの効率的な対処方法
トコジラミは見つけにくい害虫であるかもしれませんが、居場所と弱点が分かれば効率的に駆除をすることができます。より効率的にトコジラミを駆除するためにも以下のポイントをよく押さえておきましょう。
■調査するポイント
トコジラミの生息場所
トコジラミは蚊のように自由に飛び回っている害虫ではなく、住処を拠点とした行動範囲の中で血を吸っています。住宅の中では特に以下の場所に注意が必要です。
・ベッド(フレーム・マットレス・スプリングマットレス)の縫い目部分や隙間
・幅木と壁の間
・柱の割れ目
傾向としては狭くて暗く、部屋の上部や小さな隙間など人間から見えづらい場所によく潜伏しています。また、布団やシーツなどの寝具類や寝室での発見も多いことから夜に長時間人間がいる場所を好むのも特徴といえます。
ほかにも床板、畳の継ぎ目、椅子やタンスなどの家具の隙間・継ぎ目、カーペットやじゅうたんの下、衣類、コンセントの中などがあります。トコジラミは名刺ほどの薄さしかないため、あらゆる家具・建物の隙間に潜伏している恐れがあります。
また、意外と多いのがコンセントプレートの裏側です。上記の箇所を探してみていないようであれば、チェックしてみましょう。表面のプレートを外すだけなら、電気工事士の資格がなくても取り外すことは可能です。
トコジラミの卵やフンを見つける
トコジラミの卵も駆除すれば、被害の再発を未然に防ぐことができます。また、トコジラミ本体を見つけられなくても、フンを見つけることで生息場所を発見することができます。
トコジラミの卵は、1ミリメートルほどで乳白色です。本体と同様、壁の隙間や家具の縁など目立たない場所に産み付けられます。フンには血が含まれていることから赤黒く、点々と密集した汚れになっています。
トコジラミの弱点をついて退治しましょう
・熱消毒がオススメ
トコジラミの弱点は熱です。殺虫剤はトコジラミの成虫には効果がありますが、硬い卵には効果がない場合があります。残さず駆除する場合には熱消毒、特に60℃以上の熱にさらすことが必要とされています。服についている場合は70℃くらいのお湯で洗濯するのが効果的です。洗濯できないマットレスなどはスチームアイロンやスチームクリーナーで蒸気を当てることによって同等の効果が期待できます。
・掃除機も活用を!
ほかには掃除機を使用するという方法もあります。トコジラミが発生している場所や住処に対して、擦りつけるくらいに強めに掃除機をかけ、卵ごと徹底的に吸い取ってしまうのです。トコジラミの活動範囲は広くありませんので、発生した場所がそのまま住処であることが多くなっていますから、一網打尽にすることも可能かもしれません。
・トコジラミトラップを活用する
あらかじめトラップを仕掛けることで効率的な駆除ができます。トコジラミが潜んでいると思われる場所付近に仕掛けることで、その場所を通過する個体を捕獲します。血を吸うトコジラミは生き物の呼気に含まれる二酸化炭素を感じ取って近づくといわれているので、ドライアイスなどを併用することもあるようです。
・定期的なトコジラミ対策をやりましょう
これらの作業をする中で重要なのは一度ではなかなか駆除できないという点です。一度発生した場所で駆除をしたら、しばらくその近くで定期的に駆除をした方がよいです。そうすることでトコジラミを徹底的に駆除することがでるでしょう。
・トコジラミが発生したモノは処分も検討
熱消毒、掃除機、トラップとトコジラミが発生したところへの対処をご紹介してきましたが、何度も駆除しても効果が出ない場合には、発生源である家具やマットレスなどを処分することも考えておきましょう。
トコジラミの被害が急増している理由
トコジラミの被害は急増しております。その原因は海外からの観光客であったり、より強力なトコジラミが登場したりしたということがあるようです。このためにトコジラミをまず家に入れないというところから考える必要があります。
■海外からやってきたトコジラミ
トコジラミは戦後まもなく大々的に駆除がおこなわれ、しばらく姿を消していましたが、近年観光客や輸入物資の増加によって海外からトコジラミが持ち込まれるようになりました。これらは荷物や靴の裏、衣服などにくっついて国内に広がっていき、近年再び被害件数が増えることにつながっています。
■スーパー南京虫の存在
かつてトコジラミの防除には、大量の虫除けスプレーによる薬剤散布が用いられてきました。しかし海外からのトコジラミの中には、市販の殺虫剤が効かないトコジラミも出現しており、それらは別名をとってスーパー南京虫と呼ばれています。殺虫剤に高い耐性を持ったことで非常に駆除しにくくなってしまい、結果的に被害が増えてしまうのです。
■家に入れさせないためには
もしも海外出張や海外旅行に出向いた際や外国人旅行者がよく来る場所、宿泊する場所に出向いたときには、帰宅後にカバンやその中身にトコジラミが付着していないかチェックしましょう。被害を抑えるにはトコジラミを家の中に持ち込まないようにするのが何よりも重要です。海外の安宿に泊まった際、宿の客室に発生する恐れが高いです。
また旅行前にあらかじめ防虫剤を荷物に入れたり、殺虫剤を吹きかけたりしておくなどの自衛手段を講じておくのも一つの手です。
海外からアンティーク家具を購入した際も注意したほうがいいでしょう。トコジラミは環境によって1年近く飢餓に耐え抜くことがあるといわれており、アンティーク家具が家への侵入経路となることもあります。
より本格的なトコジラミ対策は?
上記の対策をおこなったとしても、トコジラミの繁殖が大規模になってしまうと対策として不十分なケースがあります。トコジラミに刺された際の痒みを体験したくないのでしたら、より確実な方法を選ぶのがおすすめです。そこで、トコジラミの駆除をおこなっている業者に依頼をするという方法があります。業者の手にかかればトコジラミの住処の特定から駆除まで幅広く対応してくれるでしょう。
また害虫駆除業者は、一般家庭ではもちろん、ホテルや旅館など大型の施設の駆除もおこなっています。特に宿泊施設の場合、お客様に被害が及んでしまうと駆除が完了するまで営業停止に追い込まれたり、悪評が広まったりしてしまう恐れがあります。発生した際には速やかな駆除が必要ですし、発生していなければ予防に努めなければいけません。そのための力になってくれます。
まとめ
トコジラミは探しにくい害虫ですが、弱点や対策を理解すれば手が出せないような害虫ではありません。しかし実際に自分自身で駆除を試みるというのは、時間がかかったり、駆除しきれずに南京虫が残ったりしてしまう危険があり、自信がないという方もいらっしゃるでしょう。そんなときは専門業者に施工を依頼しましょう。
(この記事は2020年6月3日に加筆・修正しています)
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