ユスリカ駆除・予防の実践方法!血を吸わなくても徹底的な対策を

2021.4.30

ユスリカ駆除・予防の実践方法!血を吸わなくても徹底的な対策を

田んぼや川の近くで蚊柱ができているのを見てゾッとした経験はありませんか?運の悪い人であれば、蚊柱の中に入ってしまって気持ち悪い思いをしたことがあるかもしれません。蚊柱を作っている虫たちの正体はユスリカと呼ばれる害虫です。ユスリカは蚊のように人を刺すことはありませんが、ときと場合によってさまざまな害を引き起こします。

ユスリカでお悩みの方はこのコラムを参考にしてみてください。

ユスリカの生態

ユスリカは「蚊」という名前がついているにもかかわらず、ハエの仲間の昆虫です。世界に10,000種近く存在しており、日本でも約1,000種類が発見されています。そんなユスリカの生態についてみていきましょう。

見た目

ユスリカはハエの仲間ですが、一見すると血を吸う害虫の蚊にそっくりです。

とくに、ユスリカの成虫は蚊の成虫に似ており、体長が0.5~1mmに、2枚のハネ、細長い体が特徴的です。

ユスリカの幼虫は見た目が蚊の幼虫とは異なるものの、アカムシやアカボウフラと呼ばれています。ユスリカの幼虫はヘモグロビンを持っているため、その名の通り体色が赤く、細長い円筒形の体をしています。

生息地

ユスリカの生息地は、川や池などの水がある場所の周辺になっています。幼虫ならば水中、成虫ならば水辺と棲み分けがなされているのが特徴的です。

ユスリカの幼虫は河や池などの自然環境だけではなく、私たちの生活排水が溜まったどぶ川でも大量発生することもあり、ユスリカの幼虫は水中で泥を集めて巣穴を作り、そこから上半身を乗り出してゆらゆらしている姿がよく見られます。このようにゆらゆら揺れている姿からユスリカという名前が付けられました。

ユスリカの成虫は水辺の近くで群れて柱状に集まって飛んでいることがよくあります。これを「蚊柱ができる」と形容することもあり、田んぼや川の近くで蚊柱を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

ユスリカの幼虫は動物の死骸や腐敗物などの水中の有機物を食べて成長します。その反面、ユスリカは成虫になると餌を食べることがありません。これは口器がなく、消火器も退化しているため、餌を食べるような体の構造になっていないからです。ユスリカは名前も見た目も蚊にそっくりなので血を吸うように考えられがちですが、その体の構造上吸血できるはずもなく、この点が蚊大きく異なるということができます。

光に引かれる

ユスリカは光に誘引される性質を持っています。これを光走性といいます。とくに夕方になると、大量に群れて繁殖活動を行います。その強い光走性のため、自動販売機や灯りのついた民家の窓、街灯などにも群がることもあります。

『蚊柱』を作る

前にも述べたように、ユスリカは大量に発生して柱状に群れて、蚊柱を形成することがあります。蚊柱の中にはかなり多くのユスリカがいますが、そのなかでメスはたったの1匹しか含まれていません。そのたった1匹のメスを求めて多くのオスが交尾しようと競っているのです。ユスリカが効率よく繁殖するためには、このように蚊柱を作ることが効率的な方法になっています。

しかし、蚊柱を形成しているユスリカは寿命が近づいていることもあらわしています。なぜならユスリカは交尾をして産卵すると間もなく死んでしまうからです。
      ユスリカの生態

ユスリカの一生

ユスリカは卵→幼虫→さなぎ→成虫というサイクルで一生を過ごします。

ユスリカの卵はゼリー状の物質にくるまれており、水面や浮葉植物、浮遊物などに産み付けられると、池や川などの水中や湿った土の中から1~3日くらいで孵化します。

ユスリカの幼虫が生まれると、湖底や河底に沈んで、泥や粘液を使って繭のような巣を作ります。4~5回の脱皮を繰り返してさなぎになると、羽化するために水面へと向かいます。

ユスリカがさなぎから成長になると、わずか1日~1週間程度しか生きることができません。この短い期間の間にオスは配偶者を求めて活動します。そして、交尾・産卵を終えると息絶えます。
      ユスリカの一生

害虫としてのユスリカ

蚊のように人から吸血することはないとはいえ、ユスリカも私たちに害をもたらすことがあります。ここでは、害虫としてのユスリカについて説明します。

景観の悪化
ユスリカがもたらす害としては、景観の悪化があげられるでしょう。ユスリカが発生したときは群れを形成することが多く、ガードレールや壁などにびっしりと密集すれば景観を悪くします。日本では琵琶湖や諏訪湖周辺でユスリカの被害が深刻になりやすく、「びわこ虫」という俗称が生まれるほどになっています。景観が悪くなった場所には人が足を運ばなくなることもあるので、経済的な損失もありえるでしょう。

汚れ
それだけでなく、ユスリカは光に集まる習性があるので、街灯や民家、飲食店などの光に集まり、ユスリカが家の中に侵入してきたり、ユスリカの死骸で電灯が汚れたりすることもあります。洗濯物や布団にユスリカが付着した場合、手で直接払ったり、こすったりするとつぶれて自分の手や家具などが汚れてしまうこともあります。

アレルギー
蚊柱にうっかり近づいてしまったときに、ユスリカを完全に回避することは難しいです。その際に、ユスリカが目や口、耳などに誤って入り込んでしまうと痛みを生じることがあります。

そして、ユスリカがもたらす害として最も気を付けなければならないのが、アレルギーです。ダニやゴキブリなどがアレルギーの原因物質(アレルゲン)になるのと同じように、ユスリカもアレルギーを引き起こす原因になることがあります。ユスリカによるアレルギーとして有名なものは「ユスリカぜんそく」という呼吸器疾患で、ユスリカの成虫が体内に入ったり、ユスリカの死骸が風化した微細な粒子を吸引したりすることで起こると考えられています。

蚊柱が発生していたら近づかないようにするとともに、ユスリカの死骸などの粒子も吸い込まないように注意が必要です。
      害虫としてのユスリカ

益虫としてのユスリカ

ユスリカは害虫としての側面がある反面、益虫としての側面もあります。その例を大きく3つご紹介します。

水質改善
前述した通り、ユスリカの幼虫は水中にある動物の死骸や腐敗物などの有機物を食べて成長します。このことは水中にある窒素やリンなどを効率的に分解してくれることにもなり、川や池の富栄養化を防ぐことができ、水質を改善・保全してくれる役割があります。

底質改善
ユスリカの幼虫には河床に潜る性質がありますが、それによって底質が掘り起こされ、酸素供給や物理的な変化が起こります。そうすることで、底質も良好な状態に保たれるのです。

他動物への餌
ユスリカはほかの動物の餌としても役立ち、自然界の循環に寄与しています。ユスリカの幼虫は水中にいる魚の餌となり、ユスリカの成虫はクモや鳥などの餌になります。

このことは人が生活するのにも役立っています。釣りをするときにユスリカの幼虫であるアカムシを餌にして魚を釣ることもできるからです。

ときには害虫にもなるユスリカですが、このような役割も持ち合わせているため、一方的に駆除してしまうとほかの動物にも悪影響を与え、自然界のバランスを崩すことにもなってしまいます。
      益虫としてのユスリカ

蚊とユスリカの違い

このコラムでは、蚊とユスリカの違いについて随所で述べていますが、実際のところどこが違うのでしょうか?蚊とユスリカの違いについてまとめてみました。

・血性
蚊の成虫とユスリカの成虫は見た目も大きさもそっくりですが、吸血性があるかどうかで大きく違います。

蚊の成虫は、よく知られているように、人から吸血します。吸血された部分は赤く腫れてかゆみを生じることもあるので厄介です。

それに対して、ユスリカの成虫は口器がなく、消化器官も退化しているため、食事をすることがありません。そのため、蚊の成虫のように吸血をすることはないのです。

・寿命
ユスリカの成虫は蚊の成虫に比べて寿命が短くなっています。これはユスリカの成虫が食事をとることができないため、ほかから栄養源を取り入れられないためです。

・りん粉
蚊を手でたたいてつぶすと黒いりん粉が付くことがあります。それに対して、ユスリカはりん粉を持っていないため、叩いてつぶしても黒いりん粉が付くことはありません。

・集団で飛ぶ
ユスリカは集団で群れを作って飛びます。そのほうが短い寿命の中でオスとメスが効率よく出会って、繁殖することができるからです。そのため、蚊柱を形成するのはユスリカのみになります。

蚊の成虫は集団で群れを作ると、吸血するときに見つかりやすく非効率的になってしまいます。そのため、群れを形成することは少なく、単独で飛んでいることが多いです。

・ヒゲ
ユスリカの成虫には口がありませんが、口と思しきところにヒゲが2本生えています。しかし、蚊にはヒゲはありません。見た目がそっくりでも、このように細部では違いがみられるのです。

・とまっているときの姿勢
蚊の成虫が壁や草木にとまって休んでいるときは、左右のハネを閉じて休みます。一方、ユスリカの成虫はハネを開いた状態で止まるのが特徴です。

普段生活する中で、蚊やユスリカがとまっている場面をじっくりと観察する機会はあまり多くありませんが、機械があれば観察してみてください。

・呼吸方法
成虫の違いにばかり触れてきましたが、蚊の幼虫とユスリカの幼虫も違いがあります。その違いの中で代表的なのが、エラ呼吸かどうかということです。

蚊の幼虫であるボウフラは、普段は水中の中に生活していますが、呼吸する際には水面に浮かんで呼吸します。

ユスリカの幼虫であるアカムシ、アカボウフラは水中の中でエラ呼吸をしているので、さなぎになって羽化するまでは湖底や河底から上がってくることはありません。

ここも蚊とユスリカの大きな違いということになります。
      蚊とユスリカの違い

ユスリカを駆除する方法

ユスリカを駆除する方法は幼虫と成虫によって性質が異なるので、それぞれに分けて対策が必要になります。

ユスリカの幼虫を駆除する方法

ユスリカの幼虫は池や川、側溝などの水中で発生します。そのため、ユスリカの幼虫が発生している水中に駆除剤を撒くのが有効です。その駆除剤は水に溶ける錠剤になっているものがあり、これを撒くことによってユスリカの幼虫は脱皮ができなくなり死滅します。

ただし、必要以上に効果が強いものを選ぶと魚やプランクトンなどのユスリカの幼虫以外の生物にも影響が出ることがあります。専門的な判断が必要なときは、業者にお任せすることをおすすめします。

ユスリカの成虫の駆除方法

ユスリカはほかの害虫と同じように、スプレー式の殺虫剤を噴射すると、駆除することができます。室内にユスリカが侵入してきたときやユスリカの成虫が密集している場所に噴射すれば、比較的容易に駆除することができるでしょう。

また、ユスリカの成虫は光に誘引される習性があるので、その習性を生かして光で誘引して駆除する方法も有効です。市販のものでは、光につられた害虫を捕まえて電気ショックを与えて駆除するものがあるので、あまりにユスリカの数が多いときは有効活用するとよいでしょう。

ユスリカの侵入を防ぐ方法

ユスリカの侵入を防ぐ方法についても、幼虫と成虫に分けて論じる必要があります。

ユスリカの幼虫の侵入を防ぐ方法

ユスリカの幼虫は水中で発生します。そのため、室内に侵入してくることはあまりありませんが、敷地内にある側溝や水たまりには侵入してくるおそれがあります。

そこで、ユスリカの侵入を防ぐためには側溝や水たまりの中にある泥やごみを取り除かなければなりません。ユスリカの幼虫は水中の中に巣を作る習性がありますが、その巣の原料となる泥やごみがなければ、ユスリカの幼虫も侵入できなくなるのです。

少々の手間はかかりますが、こまめに清掃してユスリカの幼虫の侵入を防ぐことが、ユスリカの成虫の大量発生を防ぐことにもつながります。

ユスリカの成虫の侵入を防ぐ方法

ユスリカの成虫は室内の光に引き寄せられて、窓やドアから侵入してくることが多いです。そのため、窓やドアは必要以上に解放せずに、開放する場合も網戸を使うなどして対策が必要になります。

ユスリカの成虫を室内に入れないようにするため、適切な網戸に付いては「網戸の『メッシュ』は細かさを表す単位!防虫に役立つメッシュは?」を参考にしてください。

また、網戸に防虫用の殺虫剤を吹き付けておくことで、網戸にとまったユスリカを駆除して侵入を防ぐこともできます。これらの方法を組み合わせて対策を行えば、より一層ユスリカの侵入を防ぐことができるでしょう。
      ユスリカの侵入を防ぐ方法

まとめ

ユスリカは蚊のように人に対して直接的に害をもたらす害虫ではありませんが、油断は禁物です。いったん発生したら大量発生するので、駆除や侵入予防には蚊以上に骨が折れることもあります。

また、ユスリカは益虫としての側面があるので、必ずしも駆除しなければならないということもありません。ユスリカの駆除には周りの生態系も併せて考える必要があるのです。その判断には素人では難しい判断も多く含まれています。

これらのことからユスリカのことでお悩みの際は、害虫駆除のプロにお任せすることをおすすめします。それによって、あなたの生活環境が快適に保たれることを祈っています。

この記事の監修者 ナカザワ氏について

この記事の監修者
ナカザワ氏 NPC 総合害虫駆除
監修ジャンル:害獣 害虫
神奈川県・東京都を中心とした総合害虫駆除サービスを運営。防除作業監督者(防第14721号)の国家資格を有し、アリ、ゴキブリ、ダニ、ハエ、トコジラミ、ハチやコウモリなど幅広い害虫や害獣にも対応。

この記事の監修者 ナカザワ氏について

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ナカザワ氏 NPC 総合害虫駆除
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