ヒアリは殺虫剤で退治できる?状況に応じた正しい対処法を解説!
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近年、日本でも発見されているヒアリは、人を刺すことがある危険な外来生物です。日本ではまだ定着していないとされていますが、ヒアリを見つけたときに被害にあわないために、ヒアリの対処法を知っておくことは大切です。
ヒアリは攻撃性が強く、毒をもっているため、むやみに殺虫剤を使ったり、巣を壊したりするのはかえって危険な場合もあります。そのため、ヒアリを見つけたときの状況に応じて適切に対処しなければなりません。
今回のコラムでは、ヒアリの特徴や、見つけた場合の対処法をはじめ、ヒアリの予防についても紹介していきます。ヒアリに殺虫剤を使う前に、適切な対処法を知っておきましょう。
ヒアリに殺虫剤は効く?見つけたときの対処法
ほかのアリ同様、ヒアリも殺虫剤で駆除することができますが、状況によっては使用するとかえって危険が増す場合もあります。なぜなら、ヒアリはとても攻撃的な性格で、毒針で人を刺すことがあるからです。
ヒアリに刺されると、熱をもったような強い痛みや、じんましんが出ることがあります。また、アレルギー体質の人は、アナフィラキシーショックという重篤な症状に陥ることもあるので要注意です。
ヒアリに刺されないためにも、まずはヒアリの見分け方を知り、状況に応じて正しい対処をしていきましょう。これから、ヒアリの見た目と、状況に応じたヒアリの対処法を紹介していきます。
ヒアリの見た目
ヒアリの色は赤みがかった茶色で、おしりにかけてはやや黒っぽくなっています。ヒアリの表面はつやつやとしていて、毛はあまり生えていません。最も数が多いヒアリの働きアリは、体長が2mm~6mmほどと、大きさにばらつきがみられるという特徴もあります。
形の特徴として、ヒアリの触覚の先端は、2節のふくらみがあります。体はほかのアリと同じように、頭・体・おしりと3つのパーツにわかれていますが、体とおしりの間に2つのこぶがみられます。
また、ヒアリの背中にはトゲがありません。そのため、背中にトゲがあるアリを見つけたら、ヒアリではないということが判断できるでしょう。さらに、ヒアリの特徴として、おしりの先に小さな毒針をもっています。
ヒアリによく似たアリもいるので、自己判断で見分けるのは難しいこともあります。ヒアリを特定する場合は、自治体に連絡して、専門家の判断をあおぎましょう。
ヒアリの数が多い場合
ヒアリの数が多いときは、むやみに刺激すると攻撃してくるおそれがあり、大変危険です。大量のヒアリには殺虫剤を使用せず、触らないように気をつけましょう。
ヒアリを見つけたときは、情報を共有するために自治体に通報する必要があります。環境省のHPによれば、ヒアリ相談ダイヤルも開設されているので、活用してみてください。できれば、ヒアリの発見場所と日時、写真があると状況が伝わりやすくなります。
ヒアリの数が少ない場合
ヒアリが数匹歩いている程度であれば、殺虫剤や熱湯をかけて駆除することができます。ヒアリに殺虫剤を使う場合は、即効性が期待できるスプレータイプや、液体タイプがおすすめです。
ヒアリを駆除したら、必ず自治体に報告しておきましょう。ヒアリの定着を防ぐため、ヒアリが発見された場所や日時を共有する必要があるからです。できれば、写真やヒアリの死骸があると、種類の特定がしやすくなります。死骸であっても、ヒアリの毒が残っているおそれがあるので、素手で触らないように気をつけ、綿などで包んで保存しましょう。
やってはいけない対処法
アリの駆除剤には、ベイト剤というタイプがあります。ベイト剤とは、毒餌をアリの通り道に設置し、アリの巣に運ばせて駆除するものです。目の前に出現したアリをすぐに駆除することは難しいですが、ある程度の時間をかけて、巣の中にいるアリを退治することが期待できます。
環境省のHPによれば、ヒアリを見つけたときはベイト剤を使ってはいけないとされています。なぜなら、ベイト剤を使用することによって、ヒアリの天敵となる在来種のアリも無差別に駆除することになるからです。そうすると、かえってヒアリが繁殖しやすい生態系になるおそれがあるので、自己判断でベイト剤を使用しないように気をつけましょう。
ヒアリの被害にあわないための注意点
ヒアリはまだ身近なところには住み着いてはいないかもしれませんが、ヒアリの被害にあわないためにも、予防しておくことは大切です。ここでは、ヒアリが好む環境や、ヒアリの予防策についてみていきましょう。
ヒアリがいると思われる場所
ヒアリは、日本ではまだ一部の港などで発見されるにとどまっています。しかし、ヒアリが定着してしまった海外の例をみると、公園や緑地の芝生、水辺の広場や畑などの、日当たりのよい開けた場所に生息しているようです。
ヒアリは2~3年をかけて、20cm~50cmほどにもなる大きなアリ塚を作ります。もし、身近な場所で大きなアリ塚を見かけたら、ヒアリへの警戒が必要です。
ヒアリは大きなアリ塚の下に長いトンネルを作って、女王アリ、雄アリ、働きアリという役割をもって生活しています。迷宮のような長いアリの巣には、数万匹のヒアリが生息していることもあるようです。
日本では、海外からの貨物に付着して発見される場合が多く、まだ大きな巣を作っているケースはないかもしれません。しかし、ヒアリが定着してしまうと身近な場所に危険が及ぶリスクがあるので、正しい知識をつけて警戒することが重要です。
屋外で過ごす際の注意点
ヒアリの被害にあいやすい状況は、庭や畑の手入れをしているときや、屋外で遊んでいるときなどが考えられます。ヒアリに刺されないために、あらかじめ身を守るにはどうしたらよいかをまとめました。
農作業などをするときは、手足や素肌を出さないように、長そで長ズボンや、厚手のゴム手袋などを着用します。また、屋外に放置しているサンダルの中にヒアリが潜んでいるケースもあるので、靴を家の中にしまったり、素足でサンダルをはくのを控えたりしましょう。
ヒアリはいつの間にか体にのぼってきて、ズボンの裾から侵入してくることもあります。そうした場合には、ズボンや靴にベビーパウダーをかけて、ヒアリがのぼるのを防ぐという手段もあります。
ヒアリは、公園や庭などの身近な場所に住み着くおそれもあります。そのため、日ごろからヒアリに警戒し、刺されないように身を守ることが大切なのです。
ヒアリを寄り付かせないために
ヒアリは、日当たりのよい場所を好んで巣を作ることが多い生物です。そのため、ごく身近なところにも生息しているおそれがあります。
ヒアリは雑食性で、人の食べ残した生ごみにも群がってきます。そのため、生ごみや食べ物を放置せず、こまめに片づけておくようにしましょう。
また、ヒアリの侵入を防ぐには、市販の粉剤をまいておくという方法もあります。家の周囲に粉剤をまいておくと、数週間~1か月以上、アリの侵入を予防することが期待できそうです。ヒアリ以外のアリ予防をしたい人にもおすすめです。
さらに、ヒアリを寄り付かせたくないという人は、アリ駆除の業者に相談するのもよいでしょう。ヒアリの殺虫剤の使い方についても、あらかじめ確認しておくとよさそうです。
ヒアリ以外にも危険なアリがいる!
ヒアリは、強い毒をもつため、特定外来生物に指定されています。しかし、危険なアリはヒアリだけではないのです。
ここでは、ヒアリ以外の日本に生息している危険なアリや、駆除方法について紹介していきます。危険なアリに刺されないように、注意してください。
危険なアリの種類
日本には、アカカミアリという危険な外来生物もいます。アカカミアリはアメリカ南部や中米原産ですが、沖縄や東京などでも発見されています。
アカカミアリは赤茶色で、体長は3mm~5mm程度です。頭やお腹に毛が生えていて、ヒアリと同様、体とおしりの間に2つのこぶをもっています。
アカカミアリはヒアリほどの強い毒性ではないとされていますが、刺された人の体質によってはアナフィラキシーショックを引き起こすおそれもあるので、注意が必要です。
ほかにも、日本の在来種では、オオハリアリという危険なアリがいます。オオハリアリはその名の通り、大きな針で人を刺すことがある生物です。
オオハリアリは黒色で、体長4mm~5mmくらいのほっそりした見た目が特徴です。オオハリアリはシロアリを食べることもあり、シロアリが住み着いている家の中に侵入してくるリスクもあります。ヒアリほどの毒はありませんが、人間が刺されることもあるので気をつけておきましょう。
駆除方法
これらの危険なアリも数匹程度であれば、ヒアリ同様に殺虫剤や熱湯を使って自力で駆除することは可能です。しかし、危険なアリが集団で見つかった場合は、アリ駆除の業者に相談した方がよいでしょう。
また、ヒアリやアカカミアリのように、危険な外来生物の場合は、自治体に連絡する必要もあります。自己判断で駆除するのは控え、自治体の判断のもとで対処することがポイントです。
自分で駆除する場合は、目の前にいるアリをすぐに駆除できるスプレータイプの殺虫剤がおすすめです。先にも紹介したベイト剤は、危険なアリの天敵も無差別に退治してしまうおそれがあるので、使用したい場合は自治体やアリ駆除の業者に相談してみてください。
危険なアリの駆除は業者に任せると安心!
アリはとても小さく、肉眼では危険なアリを見分けるのは大変です。もしも、危険なアリを見逃してしまうと、アリに刺されるなどの被害が出てしまうかもしれません。また、危険なアリやアリの巣を刺激すると、攻撃される危険も増します。そのため、危険なアリの駆除ははやめに業者に依頼した方がよいでしょう。
アリの駆除を業者にお願いすることで、刺されるリスクがなく、安全に駆除してもらうことができます。また、危険なアリが再び発生しないように、適切な予防をすることもできそうです。
業者を選ぶときは、事前に状況を確認してもらい、見積りを出してもらうと費用が把握できます。また、業者のHPなどで口コミを確認して、評判をリサーチするのもおすすめです。もし、危険なアリが身近なところで巣を作ってしまったら、ぜひ業者に相談してみてください。
まとめ
ヒアリは南米原産の毒をもつアリですが、近年日本でも発見されることが増えてきました。万が一、身近なところでヒアリを発見してしまうケースに備えて、ヒアリの見分け方や対処法を知っておくことは大切です。
ヒアリは赤褐色でつやがあり、2mm~6mm程度と大きさにばらつきがあります。触覚の先端にある2つの節と、体とおしりの間にある2つのこぶが特徴です。
ヒアリを見つけた場合は、状況によって対応策が異なります。数匹のヒアリは、殺虫剤や熱湯で駆除することが可能です。しかし、ヒアリの大群や巣を刺激すると、攻撃されるおそれがあるので、自治体に連絡して、判断をあおぎましょう。
ヒアリを見つけたときは、日時や場所、写真などを自治体や環境省のヒアリ相談ダイヤルに報告して、情報共有することが大切です。ヒアリが日本に定着しないように、必ずおこないましょう。
市販の殺虫剤にはベイト剤という毒餌を設置するタイプもありますが、ヒアリだけでなく、ヒアリの天敵を駆除してしまうかもしれません。そうすると、かえってヒアリが繁殖しやすくなるので、注意してください。
日本には、ヒアリ以外にも危険なアリが生息しています。危険なアリの駆除は、業者にお任せするのが安心です。ほかにも、アリの予防や対策を知りたい人は、ぜひ業者に相談してみてください。