波板を屋根に貼る方法は?種類や特徴を知って家に合った波板を選ぼう

2021.4.30

波板を屋根に貼る方法は?種類や特徴を知って家に合った波板を選ぼう

屋根葺き材として一般に普及しているもののひとつに、『波板』と呼ばれるものがあります。波板は読んで字の如く様々な材質の板を波状に加工した板であり、小さなものは物置や簡易的な小屋の屋根に使われているのをよく見かけます。面積当たりの単価が安いことが最大の特徴とされていますが、そのほかにも波板は素材によって様々な特質を備えています。
ここでは、お家の屋根材として波板を選択するときのために、どのような種類の波板があり、どうやって波板を屋根に貼る作業を行うのか、簡単にご紹介していきます。

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波板の種類と特徴

市販されている各種の波板の特徴を、使われている素材ごとにご説明いたします。

塩ビ製波板

ポリ塩化ビニルを主材料とする、プラスチック製の波板です。市場では最も安価で入手でき、薄手で軽く加工がしやすいためDIYで簡単な大工作業に用いるのに適しています。大き目のハサミがあれば特別な工具なしに切断できるという利点は、翻せば耐久性が低いということでもあり、長くても3年程度で劣化してしまうといわれています。また軽いため、強風に飛ばされやすいという危険性もあります。

ガラスネット製波板

塩ビ製波板に対してガラス繊維で補強を施した波板で、市場では『高級塩ビ』とも呼ばれています。耐久性が強化されているほか耐候性も高く、ガラスネット波板の屋根は5年程度強度を保つことができるとされています。加工はノコギリがあれば可能です。

ポリカーボネート製波板

プラスチックの中でも非常に頑丈なポリカーボネートを使用した波板です。軽さに対する耐久性がとても高く、10年程度強度を維持できるとされています。また透明度が高いことも特徴で、採光のできる屋根材として人気の高い波板です。
ただ紫外線のカット効果があるため、温室の屋根材などに使用する場合は注意が必要です。また高温高湿度の環境下では、加水分解を起こして通常よりも早く劣化するという事例が報告されています。加工にはノコギリが必要です。

トタン波板

トタンとは鋼板に亜鉛でメッキを施したもののことで、金属製波板の中では最も安価に入手できます。馴染みの深い建材の一つで、倉庫などの屋根に使われる『トタン板』としてイメージしやすいものかと思われます。
金属製だけあって非常に頑丈で、15年以上の寿命を持つといわれています。ただしメッキ製品のため、表面の亜鉛が剥がれてしまうと急速にさび付いてしまうという難点があります。加工には電動ノコギリなどの工具が必要です。

ガルバリウム波板

ガルバリウムはアルミニウムと亜鉛の合金のことで、鋼板にガルバリウムでメッキしたものがガルバリウム波板になります。トタン以上の耐久性を誇り、寿命は20年以上とされています。
サビに強く、また熱を遮る能力にも秀でているため熱のこもりやすい場所の屋根材として適しています。電気ノコギリによって加工が可能です。
      波板の種類と特徴

波板を屋根に貼る方法

波板の屋根は同じ材質・同じ厚みの平坦な板と比較して構造上の強度に優れており、軽くて強い建材として屋根への使用に向く性質を備えています。しかし波状に加工されているため、貼り付けにはちょっとしたコツが必要になります。屋根の骨組みや下地に波板を張る方法について説明します。

◆取り付け位置を決める

まずは下地材と波板を接合するポイントを決めます。波状の板には『山』と『谷』がありますが、各所の固定具をどちらに取り付けるかは統一しましょう。屋根の先端を庇(ひさし)として張り出す場合、波板は薄いため強風に煽られるのを防ぐため、100mm以内に抑えるのがおすすめです。とくに強風の吹く地域では、庇を50mm程度にしておくとよいとされています。

◆使用する固定具

波板の固定具としては『波板ビス』と呼ばれる金具が市販されています。これは波板の形状に合わせた座金(ワッシャー)が取り付けられていて、波板を押さえつける能力に特化した構造をしています。

そのほか普及している固定具として『傘釘』があります。これは通常の釘よりも幅広の頭部になっていて、波板をがっちりと押さえ込むことができます。
下地に穴を開けず、フックで挟み込むようにして固定する『フックボルト』は、下地を傷つけない固定具として使用されます。

◆波板をつなげる場合

屋根が広くて一枚の波板だけでは足りない場合、複数枚繋げて使用することになります。その際、強度維持のために波板同士の端を最低でも2山分重ねるようにしましょう。また風上風下がはっきりしている場合は、風上方向の波板を上にして重ねることであおられにくくなります。

◆固定具による固定

波板ビス・傘釘はそのまま波板と下地を貫通する穴を開け、固定具を打ち込むことで固定が可能です。フックボルトの場合、まず波板に穴を開けてフックを通し、下地材の端を噛ませるようにして固定を行ってください。
      波板を屋根に貼る方法

波板の切断方法

波板を屋根に適した形状に加工する専用工具として『波板切りはさみ』があります。刃が波状に湾曲したはさみで、波板の形状に沿って刃が入るため歪ませずにカットすることができます。塩ビの波板や薄手のプラスチック波板でしたらこの波板切りはさみ一つで十分に切断が可能です。
工具がお手元にない場合、プラスチックであれば太刃のカッターなどで筋を入れて、折り曲げを繰り返すことで切断することもできます。

金属製の波板は電動ノコギリを使用するほか、強力なバネ機構を搭載した専用ニッパーを使う方法もあります。いずれの場合もバリが発生するため、グラインダーやヤスリを準備しておくとスムーズに作業ができます。必ず厚手の手袋を着用して切断を行いましょう。

波板を屋根に使う際の注意点

塩ビ製波板は温度によって柔軟性が失われる場合があり、寒冷時に張り付け作業を行うと割れや欠け、亀裂が生じる可能性があります。寒冷時を避けるか、作業時に波板の温度を維持できるよう工夫しましょう。暖房の効いたガレージの中で穴あけや切断加工をするのも一つの手段です。
またポリカーボネート製の波板には裏表があり、耐候性があるのは表面になります。裏表を間違えないよう予め印をつけておくなどして分かるようにしておきましょう。

金属製の波板は頑丈で寿命も長いですが、金属特有の音を非常に通しやすいという性質があります。そのため大粒の雨が降っているときなどは、屋根を雨が叩く音が気になるかもしれません。金属製波板を屋根材に使用する場合は、下地との間にクッションになるものを挟み込んだり、別途天井を構築するなどの防音処理を施したほうがよい場合もあります。

また波板は面積に対して非常に軽いため、どの材質も強風には弱いという難点が共通しています。とくに風の強い地域では、固定具の数を増やしたり、風を受け流せるような構造を設けるなどの対策が必要になるかもしれません。
      波板を屋根に使う際の注意点

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まとめ

ここまで波板を屋根に使用する際に知っておくと便利な基礎知識をご紹介してきました。要点をまとめると以下の通りです。

・波板にはさまざまな材質があり、それぞれ異なる特徴を備えている。
・波板を屋根に張り付けるには、専用の固定具を使用するのが有効。
・プラスチック製の波板は専用工具がなくてもカットが可能。金属製は電動ノコギリや専用はさみを使用する。
・材質由来の性質、形状由来の性質それぞれ難点があるため注意が必要。

屋根材としての波板には、形状ならではのさまざまな性質があります。メリットとデメリットをしっかり把握して、ご自宅に最適な波板を選びましょう。

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