雨漏りの原因を調べるときは、サーモグラフィーを使うと正確性の高い調査ができるでしょう。目視ではわからない雨漏りによる湿気の発生場所なども、サーモグラフィーカメラで撮影できるためです。
今回のコラムでは、雨漏り調査にサーモグラフィーがどのように活用されるのか、また費用相場について解説します。特定がむずかしいといわれる雨漏りの原因も、サーモグラフィー調査を取り入れれば突き止めて早期の解決につながるでしょう。
目次
赤外線サーモグラフィー調査とは?
赤外線サーモグラフィー調査とは、温度がある物質から放出される光(赤外線)を赤外線サーモグラフィーカメラで撮影して、温度分布を測定する方法です。雨漏り箇所を調べる方法として、近年は多く使われています。
水にぬれるとその箇所は表面温度が低くなりますが、ぬれていない部分の温度は変わりません。赤外線サーモグラフィーカメラはこの温度差を撮影するもので、水にぬれて温度が低い部分は画像に青色で、水にぬれていない部分は黄色から赤色で表示されます。
人間の目だけではわからない雨漏りによる湿気の発生場所を、サーモグラフィーカメラで撮影できるのです。壁や内装を壊さなければわからない建物の内側でも、その温度を測定することで雨漏り箇所を見つけることが可能です。
従来の雨漏り調査とあわせておこなうことで、より手軽に、そしてより正確に調査ができるようになりました。まずは、このサーモグラフィー調査の手順や画像の見方などをご紹介します。
調査に向いている建物は?
サーモグラフィー調査には向いている場所と向いていない場所があります。向いている場所は次の通りです。
- 道路に面している
- 角地に立っている
- 隣の建物から5m以上離れている
建物の外壁のサーモグラフィー調査は、離れた場所からおこないます。マンションの高層階など高所を撮影するときは、高所作業車が入りやすいスペースが必要です。
サーモグラフィー調査に向いていない場所は次の通りです。
- 金属屋根
- 隣に建物がある
- 木々に囲まれている
直射日光が当たる金属屋根など、極端に熱くなりやすい建材を使用している住宅は温度差がわかりにくいためです。また、周りに建物や木々があって常に日が当たりにくい場所も同様の理由から不向きといわれています。この場合は、できるかぎり内部の撮影を中心におこなって、雨漏り原因を調べます。
屋根や天窓などサーモグラフィー調査での画像の見方
ここではサーモグラフィーで雨漏り部分を撮影すると、どのように画像に表示されるのかをご説明します。雨漏り箇所として多い屋根や外壁を例にしてご紹介していますので、あらかじめ知っておくと、業者に調査をしてもらったときの説明を理解しやすいでしょう。
・屋根
屋根が外側にはりだしている部分の軒から外壁にかけて青くなっているのであれば、軒に損傷があり、上から下へと雨水が流れていることが考えられます。サーモグラフィー調査では、こうした雨水の通り道もわかるのです。
・外壁
外壁の目地部分のみが青くなっているのであれば、コーキングの劣化による雨漏りが考えられます。コーキングとは外壁など建材の継ぎ目を埋めている充填材です。
・ベランダ
てすり部分に取り付けられている笠木などの「仕上げ材」や防水のため設置した部材「立ち上がり」が青くなっていると、そこから雨漏りをしていることが考えられます。笠木や立ち上がりを留めているビスがゆるむなどして、雨がベランダ内部に入り込んで雨漏りするのです。
・天井
天井に雨漏りの跡がなくても、青くなっているときは天井裏がぬれているのかもしれません。このようにサーモグラフィーであれば、天井がぬれているなどの目に見える被害が出ていなくても、雨漏りを発見できることがあるのです。
・天窓(トップライト)
ベランダのすぐ真下にある天窓が青くなっている場合、ベランダが雨漏りの原因なのかもしれません。このときはベランダの建材に雨漏りがないか、防水塗装がはがれていないかなどをあわせて調べます。
雨漏り調査はサーモグラフィー調査だけではない
雨漏り原因はサーモグラフィー調査だけで判別することはほとんどありません。必要によっては目視調査や散水調査をあわせておこない、総合的にみて診断します。
目視調査は外壁のひび割れやクロスの剥がれなど、雨漏りの原因としてうたがわしい箇所を建物の外側内側から目視で調査します。散水調査は雨漏りの原因と思われる箇所に30分~1時間のあいだホースなどで水をかけ続け、雨の日と同じ状況を作って調べる方法です。
ここでは、1階天井の水漏れを例にあげて調査方法を説明します。1階部分の雨漏りは原因の特定が非常にむずかしいものですが、さまざまな調査を組み合わせておこなうと、より正確な調査結果が得られるのです。
1.天井がぬれていない、カビが生えていないなど目で見ても雨漏りの症状がわからないときは、サーモグラフィー調査をおこないます。
2.サーモグラフィー調査で1階天井部分が青く表示されており、天井がぬれている、または湿気があることがわかりました。
3.サッシや外壁など、1階天井への雨水の通り道になっている部分を再び目視調査します。
4.外壁のひび割れなど雨漏りの原因と思われる箇所に散水調査をおこない、1階天井部分へ水が流れていくかどうかを調べます。
雨漏りのサーモグラフィー調査の費用相場
赤外線サーモグラフィー調査の費用相場は、2階建て戸建住宅の場合は約20万円からです。この費用には一般的に、10ヶ所程度の撮影代(撮影画像20枚)が含まれています。撮影箇所や撮影枚数を増やしたいときは、追加料金が発生します。
レンタルすればサーモグラフィー調査費用をおさえられる?
雨漏りの原因を調べるのにあまり費用をかけたくない方は、サーモグラフィーカメラをレンタルすることをお考えの方もいらっしゃるでしょう。たしかにDIYで診断をすることも可能かもしれません。
しかし、正確に雨漏りの原因を調べたいときは、業者に調査を依頼したほうがよいでしょう。雨漏り診断ではサーモグラフィーをあくまで補助として使うのであって、サーモグラフィー調査の結果だけで判別するのではないためです。
また、建物の構造や雨漏りの仕組みを知っていることも大切です。たとえば、1階天井部分がサーモグラフィー画像で青く表示されていても、建物の構造を知っていなければそれがどこから流れてきた雨水なのかはわからないでしょう。1階天井部分は屋外に面していないので、屋根や外壁、サッシなどさまざまな場所からの雨漏りが考えられるためです。
業者に雨漏りのサーモグラフィー調査を依頼するときのポイント
最後に、優良な業者にサーモグラフィー調査を依頼するためのチェックポイントをご紹介します。雨漏りの特定はプロでもむずかしいものです。慎重に業者選びをおこなうためにも、ぜひご一読ください。
有資格者がいる業者に依頼しよう
「赤外線建物診断技能師」は建物の赤外線診断能力を有した作業員です。また、「雨漏り診断士」の資格をもつ業者は、雨漏り修理だけではなく、建築について幅広い知識を深めるための勉強会を定期的におこなっています。非常に雨漏りの原因の特定がむずかしい1階部分などでも、これらの資格をもつ業者になら安心して調査を依頼できるでしょう。
アフターフォローがある業者を選ぼう
雨漏りを修理したのに、すぐに同じ場所の雨漏りが再発したときのために、アフターフォローがあるかどうかを確認しましょう。調査が必要なときは、無料で再びサーモグラフィー調査をおこなってくれる業者が安心です。
まとめ
雨漏り調査にサーモグラフィーを使うときの手順や画像の見方などを解説しました。湿気がある部分などを一目で判別できる、非常に優れた調査方法です。なかなか雨漏り原因がわからずにお困りの方は、業者に依頼してみてはいかがでしょうか。
しかし、サーモグラフィーで撮影しただけでわかる雨漏りはほとんどありません。目視調査や散水調査もあわせておこない、はじめて特定できることばかりです。
雨漏りを止められるように、丁寧に調査をしてくれる業者をお探しの方は弊社にご連絡ください。コールセンタースタッフが雨漏りのお悩みをくわしく聞かせていただいたうえで、一刻も早く解消できるように優良な業者をご紹介させていただきます。
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