マンション屋上防水工事は修繕費になる?支出をおさえる税務的なコツ

2021.4.30

マンション屋上防水工事は修繕費になる?支出をおさえる税務的なコツ

屋上防水工事が修繕費と認められるには、工事の目的が「維持管理によるもの」である必要があります。必要でない部分まで修理したり、もともとより耐久性を上げるような修理をしたりした場合は「資産価値の増加」が目的となり、修繕費として認められないからです。

このコラムでは、「修繕費や資本的支出とはなにか」や「修繕費と認められるケース」などについて解説しています。修繕費かどうか迷ったときの判断基準や特例についてもご紹介しているので、今後の節税対策の参考になれば幸いです。

その屋上防水工事は修繕費?修繕費となるケース

屋上防水工事が修繕費となるかどうかは、節税対策上、非常に重要なポイントとなります。修繕費と認められれば経費として計上することができ、納税額の軽減につながるからです。

通常、所得から必要経費を差し引いた額に対して税金がかかってくるため、必要経費が多くなればなるほど、納税額を少なくすることができます。そのため、自身のおこなった防水工事が修繕費と判断されるか気になって仕方ないという方も多いことでしょう。

冒頭でもお伝えしたとおり、屋上防水工事が修繕費として認められるかどうかは「修理の目的」で異なります。わかりやすくするために、もう一度整理しておきましょう。

  • 修繕費…建物の原状回復や維持管理することが目的

上記のとおり、建物が経年劣化で老朽化したことによって生じた雨漏りや破損などへの修理は、建物の維持管理に必要不可欠なものです。そのため、修繕費と判断されます。ただし、修繕費となるかどうかはケースバイケースであるため、判断が難しいものです。

そこで以下では、どのようなケースが修繕費となるのかについて事例とともに見ていくことにしましょう。また、修繕費となった場合どのようなメリット・デメリットがあるかについても解説しています。

修繕費となるケース

修繕費となるケース
修繕費となるケースには、以下のようなものが該当します。

  • 維持管理が目的の防水工事
  • 維持管理が目的の屋根・外壁塗装
  • 原状回復が目的の雨漏り修理
  • 原状回復が目的の屋根修理

たとえば、雨漏り箇所の特定が難しく屋根全体に防水工事をおこなった場合は、「建物の本来の効用を復活・維持する」ための工事であるとして修繕費と認められた事例があります。

一方で、屋上美装のため「特別に上質な材料を用いて」防水工事をおこなったことで耐用年数が長くなった場合は、修繕費として認められない可能性があるため注意が必要です。

修繕費となるか判断に困ったときの特例・基準

以上のように、修繕費となるかどうかは裁判でも争われるほど判断が難しいケースも多いため、特例や基準が設けられています。ご自身のケースが修繕費となるかわからない場合は、以下の特例や基準を参考にしてみるとよいでしょう。

ただし、以下でご紹介している特例や基準は読み解き方を間違えるおそれがあるため、資格をもった税理士さんに一度確認してもらうことをおすすめします。

【内容の検討なく修繕費と認められる特例】
・修理のための支出が20万円未満
・3年以内の周期でおこなわれる修理や改良のための支出
⇒ 全額を修繕費とすることが可能

【形式的に修繕費と区分するための基準】
修繕費かどうか明らかでない費用について……
・修理のための支出が60万円未満
・土地・建物など、修理や改良をした固定資産の前期末時点での取得価格の10%以下
⇒ 全額を修繕費とすることが可能

【その他の基準・特例】
・7:3基準
修繕費かどうか明らかでない費用について……
(1)支出額の30%相当額
(2)修理や改良をした固定資産の前期末時点での取得価格の10%相当額
⇒ いずれか少ない金額を継続して修繕費としている場合に処理が認められる

・災害特例
災害などによって損傷した建物などに対する支出で、修繕費かどうか明らかでないものは、支出額の30%を修繕費とすることができる

修繕費のメリット・デメリット

ご覧いただいたように、修繕費の判断基準や特例は複数あり、税務に慣れていないとなかなか読み解くのが難しいかもしれません。「特例や基準がよくわからない!」という場合、屋上防水工事が修繕費と認められればどのようなメリット・デメリットがあるかについて、最低限おさえておくようにしましょう。

【メリット】
・節税対策になる
⇒ 経費として一括計上できます。

【デメリット】
・融資を受けづらくなることがある
⇒ 一括して経費を計上したうえ収入が少なかった場合、営業利益が減り、銀行から営業不振を疑われるおそれがあります。

修理の目的が「資産価値の増加」なら資本的支出になる

修繕費の場合、修理の目的が「建物の原状回復や維持管理すること」でした。一方、修理の目的が「建物の価値・性能・耐久性を上げること」である場合は、資本的支出に該当します。

税務上、資本的支出になると「減価償却」することになります。減価償却とは、不動産などの固定資産の取得費を耐用年数に応じて数年に渡って費用として分割計上することをいいます。そのため、経費として一括で計上することはできません。

資本的支出となるケース

資本的支出となるケース
資本的支出となるケースには、以下のようなものが該当します。

  • 耐震補強を目的とした修理
  • 付加的な防水加工

いずれも、建物の資産価値が増加する工事内容と判断されます。たとえば、屋根材の質をグレードアップさせたことによって耐用年数や耐久性が増加した場合は、資本的支出となってしまいます。

とくに外壁塗装の場合は「見栄えをよくするため」といった目的が多いですが、資本的支出となるため注意が必要です。修繕費とするにはあくまでも「建物の維持」を目的とした外壁塗装でないといけません。

資本的支出のメリット・デメリット

資本的支出になると経費として計上できないということを気にされるかもしれませんが、じつはメリットもあります。以下にメリット・デメリットをまとめていますので、参考にしてみてください。

メリット・デメリットを見比べてみて、どうするのが経営上もっともよいのか、税理士さんの意見も聞きながら決めてみてはいかがでしょうか。

【メリット】
・柔軟な経営ができる
⇒ 融資を申し込む予定があったり、収入が安定しなかったりする場合は、減価償却として調整できる資本的支出のほうが経営プランをたてやすいです。

【デメリット】
・一括して経費にはできないため、節税対策にならない
⇒ ただし、計画性のない経費への計上はかえって赤字になるおそれもあるため、資産的支出が絶対よくないとはいえません。

これから屋上防水工事をおこなうなら…

今後防水工事をおこなう予定があるなら、事前に修繕費となるのか資本的支出になるのかについて把握しておくとよいでしょう。長年の実績と経験がある業者なら、屋上防水工事が修繕費となるかどうかアドバイスをもらえるはずです。相談だけなら無料のところもあるので、まずは話だけでも聞いてみてはいかがでしょうか。

優良業者の見分け方

優良業者の見分け方
優良な業者を見極めるポイントはおもに以下の3つです。

  • 見積書が明瞭な業者
  • 説明がわかりやすく、対応が親切な業者
  • 依頼者の都合に合わせてくれる業者

見積書がアバウトで簡素なものだと、どこにいくらかかっているのか不明瞭です。そのため、見積書に材料費や工事内容ごとの費用の詳細が明記されている業者を選ぶようにしましょう。対応が親切な業者なら、疑問に思ったことに関しても納得のいくまでわかりやすく説明してくれるはずです。

また、依頼者の都合に合わせてスケジュールを組んでくれるかも大切なポイントです。契約を取りたいために急かしてきたり、着工日が「この日しか無理」といってきたりするような業者は避けたほうがよいでしょう。

まとめ

屋上防水工事が修繕費と認められるためには、修理の目的が「建物の原状回復や維持管理すること」である必要があります。

修繕費となるケースをいくつかご紹介しましたが、判断に迷うケースも多いため、迷ったときは税務に関して専門的な知識がある税理士さんなどの力を借りることをおすすめします。これから屋上防水工事を考えている場合は、長年の実績から防水工事に関する税務の知識がある業者にアドバイスをもらうのもよいでしょう。

弊社では、屋上防水工事ができる業者をご紹介していますので、まだお決まりでない場合は、ぜひご利用ください。優良な業者をスピーディーにご紹介させていただきます。


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