マンションのひび割れは危険のサイン!原因と対策方法についてご紹介

2021.4.30

マンションのひび割れは危険のサイン!原因と対策方法についてご紹介

マンションの壁にひび割れをみつけてしまうことは、そう珍しいことではありません。しかし、ひび割れの中にはほうっておいたら危険なものもあるのです。危険なひび割れは、マンションの安全性にも関わってくるおそれがあります。

住居の安全は、人の安全に直結する問題です。住まいの安全を確保するためにも、危険なひび割れの原因やその補修方法についてご紹介していきます。

マンションのひび割れの種類と危険性【外壁】

同じようにみえるひび割れでも、実は種類によって危険性に大きく違いがあるのです。危険なマンションのひび割れをほうっておくと、建物の強度がどんどん低下してしまうでしょう。もろい建物は地震の際に倒壊する危険があるので、早めに対処する必要があります。

【危険度:低】ヘアークラック

マンションの外壁にはコンクリートが使われていますが、その表面に小さなひび割れができることがあるでしょう。ヘアークラックと呼ばれるひび割れは、温度変化によってコンクリートが膨張と収縮を繰り返すことで発生します。

ヘアークラックは深さ4ミリ以下で、幅0.3ミリにも満たない小さなひび割れを指すので、建物の倒壊などの危険性は低いでしょう。ヘアークラックは、塗装の劣化が原因ということもあります。そのため、修繕工事などの対処の緊急性も低いといえるのです。

マンションのひび割れは危険のサイン!原因と対策方法についてご紹介

【危険度:高】構造クラック

構造クラックはひび割れの深さが4ミリ以上で幅が0.3ミリ以上と、ヘアークラックよりも大きいものを指します。構造クラックの場合、ひび割れが表面だけでなく、内部にまで達してしまっているおそれがあるのです。

構造クラックは建物の基礎に問題があること以外にも、地震や地盤沈下などが原因で発生することがあります。構造クラックをほうっておくと、ひび割れから雨水が入り込み、内部の鉄筋が錆びてしまうこともあるでしょう。マンションの強度はますます低下することが考えられるので、早急な対処が必要です。

【危険度:高】シミがある

マンションの外壁に、白や茶色のシミができることがあります。エフロレッセンスと呼ばれるこの現象は、ひび割れから雨水が入り込むことで化学反応が起こり発生します。

エフロレッセンスをほうっておくと、内部の鉄筋の腐食が進み、コンクリートの強度は低下してしまうでしょう。白や茶色のシミをみつけたら、早めに業者に相談することがおすすめです。

マンションのひび割れの原因【外壁】

ひび割れの発生には、さまざまな原因が考えられます。地震や地盤沈下など物理的な損傷以外にも、大きなひび割れが発生する場合があるのです。

乾燥

コンクリートは月日が経つごとに中の水分が蒸発し、乾燥が進みます。コンクリートには乾燥すると収縮するという特性があるので、その力でひび割れが発生するのです。コンクリート中の水分は2,3年かけて蒸発していくので、時間をかけてひび割れが大きくなることもあるでしょう。

温度変化・凍結融解

コンクリートは温度変化によって、膨張と収縮を繰り返します。マンションのコンクリートは鉄筋や柱などで固定されているので、自由に伸び縮みできずにひび割れを起こしてしまうのです。

また、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことでもひび割れが発生します。寒冷地で、特に起こりやすい現象です。

マンションのひび割れは危険のサイン!原因と対策方法についてご紹介

施工不良

施工時にコンクリートの打ち込み作業が不十分だった場合に、コンクリートの層が一体化しないことがあります。このように一体化しなかった層はコールドジョイントと呼ばれ、ひび割れの原因になるのです。コールドジョイントは建物の耐久性を損なうのみならず、雨水の侵入を防ぐ水密性が劣るので漏水の原因になります。

コンクリートの劣化

元はアルカリ性のコンクリートですが、雨や紫外線にさらされると、中性化が進んでしまうのです。中性化は、コンクリート内部の鉄筋の錆びをもたらします。鉄筋は錆びると膨張するので、マンションのひび割れの原因になるでしょう。

鉄筋の膨張によるひび割れは、塩害と呼ばれます。塩害はひび割れ以外にも、鉄筋の露出や壁の剥離を引き起こすことがあるのです。

マンションのひび割れの原因と種類【内装】

ひび割れは外壁だけでなく、内装にも発生することがあります。部屋にひび割れがあると、雨漏りや耐震面で心配になってしまうでしょう。住居の安全のためにも、あると危険なひび割れの種類についてみていきましょう。

危険性が高いひびと低いひび

同じひびにみえても、その種類によって危険度は大きく変わってくるのです。例えば、窓やドアといった日常生活で頻繁に振動を与えるような場所にできたひび割れは、年月が経てばある程度はできてしまうものなのであまり心配はいりません。しかし、それ以外の場所のひび割れは、構造の下地の部分に問題があるおそれがあります。

構造の問題とは、例えば地震、地盤沈下による家の傾きです。家の傾きは窓やドアのゆがみや建てつけの悪化、小さな地震でも激しく揺れてしまうといった症状があります。窓やドア以外の場所のひび割れは、マンションの傾きを疑ってみましょう。

さらに、ひび割れの形状として、同じ方向に斜めに入っていると危険だといわれています。ひび割れが斜めに入ると、その建物の構造がゆがんでいるおそれがあるのです。その場合には、ひび割れの補修のみならず、建物の耐震補強が必要といえるでしょう。

マンションのひび割れは危険のサイン!原因と対策方法についてご紹介

危険なひび割れの場合の対処法

危険なひび割れの場合、建物の構造に問題があることが多いので、自分で補修することは難しいでしょう。専門の業者に補修依頼をすることが必要ですが、管理人はまず補修工事について住民の許可を取らなければなりません。なぜなら、マンションのひび割れを直す際の費用は、住民が負担する場合が多いからです。

住民がひび割れを発見した場合は、まず管理人に報告します。マンションのひび割れ補修工事は、基本的に管理会社がとりおこなうことが多いです。賃貸の場合はもちろん、購入の場合も工事をする際には他の入居者の承諾が必要なことがあるので、必ず管理人に相談しましょう。

ひび割れを放置する危険性

ひび割れは放置すると、悪化してしまうおそれがあります。最初は少しだったひび割れが、徐々に広がって危険なものになってしまうことがあるのです。それにより、マンションにさまざまな悪影響を及ぼすでしょう。

外観が悪くなる

ひび割れは放置することで徐々に広がっていき、その結果マンションの外観が悪くなるおそれがあります。単にひび割れが目につくだけでなく、例えばマンションの外壁塗装がひび割れによって剥げてしまうことが考えられるのです。

ひび割れが目立ち、塗装が剥げているマンションは外観からあまりよい印象を受けないため、入居者が減ってしまうこともあるでしょう。ひび割れをみつけたら早めに補修をして、美しい外観を保つようにすることで、マンションの資産価値が下がることを防ぎます。

雨が壁の中に侵入する

マンションのひび割れが生む隙間には、雨が入ってきてしまうおそれがあるのです。ひび割れから雨水が浸入すると、建物の内部の鉄筋やコンクリートを劣化させます。特に鉄筋は雨水にさらされると錆びてしまうので、マンションの強度が大きく損なわれるでしょう。

マンションの強度は安全性に関わる問題なので、外壁にできた大きなひび割れには要注意です。また、ひび割れから室内にも雨水が入ってくることがあるので、雨漏りも発生するおそれがあるでしょう。

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耐震性が低下する

ひび割れがマンションの構造に影響を与えている場合には、耐震性を大きく低下させることがあります。例えば、ひび割れから雨水が浸入して鉄筋やコンクリートを劣化させているような状況ならば、マンションの強度は低下しており、耐震性も低下するでしょう。

マンションが傾いてしまっている場合にも、ひび割れができます。建物の傾きも、耐震性を大きく損なわせるのです。深刻な場合にはマンションの倒壊もあり得るので、ひび割れは早急に補修することをおすすめします。

ひび割れを補修する方法

大きなひび割れや構造に問題があるひび割れについては業者に依頼して補修してもらいますが、軽度なひび割れについては自分で補修することもできるのです。マンションのひび割れの補修方法にはいくつかの種類があるので、それぞれみていきましょう。

内装のひび割れをDIYで補修する

ひび割れの大きさが幅0.3ミリに満たない場合には、自分で補修することができるでしょう。補修用の道具は、ホームセンターで手に入れることができます。補修道具には、ひび割れの隙間を埋めるセメントチョークやセメントのスプレー、シーリング材といったものがあるのです。

特にシーリング材については、使われている樹脂によって種類がいくつかあります。ひび割れの場所によって、使うべきシーリング材の種類が違ってくるのです。補修場所にあわせてシーリング材を選ぶと、耐久性を上げることもできるでしょう。

被覆工法

被覆工法は、小さなひび割れを補修する際におこなわれる方法です。補修材には水や砂が混ざったポリマーセメントや、ひび割れに馴染みやすい表面被覆材などがあります。ひび割れの上に補修材をかぶせて貼りつける方法や、塗り込むことでひび割れを補修するのです。ひび割れから雨水が入り込むことを防ぐ、簡易的な補修方法でしょう。

注入工法

小さなひび割れから幅1ミリほどの大きなひび割れまで、広く補修することができる方法です。補修材には接着剤として使われるエポキシ樹脂や透明性が高いアクリル樹脂、セメントといったものがあります。

それを注射器や補修材を注入できるグリースポンプを使って、ひび割れに注入して隙間をふさぎましょう。建物の耐久性や、防水性を高めることが期待できる工法です。

充てん工法

充てん工法はひび割れ部分のコンクリートを切り取って、そこに補修材を充てんさせる大掛かりな工法になります。そのため、大きなひび割れを補修する際に適した方法でしょう。補修材は主にエポキシ樹脂、ポリマーセメントなどを使用します。

もし建物内部の鉄筋が錆びているようなことがあれば、そこを露出させて錆びを落とす作業も必要でしょう。大きなひび割れの場合は、業者に補修を依頼することがおすすめです。

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ひび割れの補修を業者に任せるには

マンションにひび割れができてしまったら、小さく軽度なもの以外は基本業者に相談することが求められるでしょう。業者にひび割れ補修を依頼する場合には、その費用や期間、仕上がりといった気になるポイントがいくつかあります。

補修にかかる費用と期間

費用については、ひび割れの大きさや範囲によって価格が大きく変わってくるでしょう。小さなひび割れの場合、相場は外壁塗装と概ね変わらず、1平方メートルあたり約1,000円~4,000円ほどになります。しかし、大きなひび割れの場合など程度によっては数十万円かかることもあるでしょう。

期間についても、小規模の工事なら数時間で終わることもありますが、ひび割れの大きさや範囲によっては数日から数か月かかることもあります。マンションの場合は特にひび割れの状態を確認する箇所も多いので、どうしても時間がかかってしまうことが多いといえるでしょう。

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業者を選ぶポイント

ひび割れの補修というマンションの安全面に関わる作業を依頼するので、信頼できる業者を選ぶ必要があります。信頼できる業者の特徴としては、ひび割れ補修の実績があることや費用が相場と大きくずれないこと、工事内容の説明が丁寧であることといった点があるでしょう。

工事を依頼する上でまず一番重要なのが、技術力の面といえます。ひび割れを適切に補修することができる業者を選ぶには、実績を確認することが大切です。また、費用面については相場と大きなずれがないか確認することが、良心的な業者を選ぶポイントになるでしょう。

技術力や費用面のほかにも、説明や質問などの対応がいいことは信頼できる業者のポイントです。また、工期の希望などにできる限り応えてくれる業者も良心的といえるでしょう。

補修費用を抑えるコツ

費用を抑えるコツとして、足場を立てないということがあります。足場は工事の際に作業員の安全を確保するために組むことが多いですが、すべての場合で足場が必要ということではないでしょう。まずは、足場がなくても作業できるかどうかを確認してみるといいかもしれません。

ひび割れが広範囲にわたっている場合には、工事期間が長くなることがあります。しかし、見積りの段階で工事期間を短くしたいと伝えておくと、分割工事をしてくれることがあるのです。工事を分けて少しずつおこなうことで、費用が抑えられる場合もあるでしょう。

同じひび割れ補修工事でも、業者によって費用が変わってくることがあります。複数の業者から相見積りをとることで、どの業者が安くおこなってくれるのかがわかるのです。費用を抑えたい場合には、少しでも安い相見積りの業者に依頼するといいでしょう。

壁の補修だけで大丈夫?建物の耐震性を判断するには

マンションのひび割れは、建物の基礎に原因があることが考えられます。基礎に問題があると建物の耐震性は低下し、家の安全に関わる問題となるのです。マンションにひび割れができたら、補修のみならず耐震性の強化も頭に入れておかなくてはいけないでしょう。

耐震診断で建物全体の診断を

マンションの耐震性を判断するためには、耐震診断をおこなう必要があります。耐震診断は建物の強度を調査して、実際に地震が起こった際にどの程度の被害が想定されるかを診断するものです。

マンションの耐震性を調べたいときには、まず管理会社に問い合わせてみます。築年数が古い場合には、特に耐震診断をおこなう必要があります。実際に耐震診断をおこなうときは、管理組合を通して依頼するとスムーズでしょう。

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耐震診断にかかる費用

マンションの耐震診断の相場は、1平方メートルあたり約1,000円~2,000円が相場だそうです。しかし、マンションの規模や築年数、設計図の有無で価格は変わってくるので一概にはいえないでしょう。

また、自治体によっては耐震診断の費用に補助金がでることがあり、場合によっては全額賄われることもあります。各市町村によって制度は異なるので、確認が必要です。

まとめ

マンションのひび割れには特に問題がないものから、安全性を損なう危険なものまであります。ひび割れをみつけたら、まずはひび割れの種類を確認する必要があるでしょう。ひび割れの原因には、乾燥や温度変化といった自然現象から施工不良といった人為的なものまであります。

内装のひび割れは、構造の問題でできたものについては危険ですので、補修工事をおこなう必要があるでしょう。ひび割れを放置してしまうと、外観が悪くなることや内部に雨が浸入してしまうこと、耐震性の低下などのおそれがあります。

ひび割れは小さなものならば自分で補修することもできますが、大きなものや構造に問題があるものは業者に依頼することが必要でしょう。信頼できる業者をみつけて、依頼することが大切です。また、マンションの耐震性を判断するには耐震診断をおこなうことが必要になります。耐震診断をおこなって、マンションの安全性を確認しましょう。


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