床下断熱と床暖房の違いは?メリットとデメリットを確認してみよう!

2021.4.30

床下断熱と床暖房の違いは?メリットとデメリットを確認してみよう!

最近の住宅では『床暖房』や『床下暖房』を入れているお宅が増えていますが、床暖何が違うのかご存じでしょうか?同じものと思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、床暖房と床下暖房には違いがあるのです。

そこで、今回は、床暖房と床下暖房の違いをご紹介し、床下暖房のメリット・デメリットなどをお伝えします。

床下暖房とは

『床下暖房』とは、基礎断熱(建物の基礎を断熱材で覆う工法)をすることで床下の空間を暖房する暖房システムです。
床暖房は、床を直接暖めて室温以上の高温である25~30℃にするので、変形してしまう無垢のフローリングには使用できませんでした。そして、その温度では暖か過ぎて長時間座っていることができませんでした。

しかし、床下暖房は床下の空気を暖めるので、間接的に温められるので快適です。無垢のフローリングでも使用でき、心地よい22℃前後の床温度と室温20℃という快適空間を生み出すことができるのです。

床下の空間に市販のエアコンを1台設置するだけで、床下の基礎コンクリートを暖め、蓄熱させます。そして、その暖かい空気を家じゅうに循環させるので、1つのエアコンで全館暖房が可能となるのです。
床下暖房とは

床暖房との床下暖房の違い

床下暖房と同じように、よく床暖房という言葉も耳にするかと思います。「同じではないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、まったく違うものなのです。

床暖房

床暖房とは、床自体がカーペットのように暖かくなるものです。床に張りめぐらされた熱源機や温水が通るパイプなどから熱を感じることができます。
しかし、長時間直接座っていると床と人の接触部分に熱がこもり、低温やけどになるおそれがあります。カーペットなどを敷いて、長時間直接座らないようにするとよいでしょう。

また、エアコンやヒーターなどと違い、風がなくて音がしないという点がよいとされています。しかし、床下に温水マットや熱源機などを配置する必要があり、床材も限られたものしか使用できません。電気代・ガス代や工事費用も大きくなってしまいます。

床下暖房

それに対して、床下暖房は、床下の空間をエアコンで暖め、その暖かい空気を循環させるものです。床暖房のように、長時間直接座っていても体温と同じなので低温やけどの心配はありません。床材も好きなものが選べ、日々の暖房費や工事費用は小さくて済みます。ただ、空気が乾燥するという難点があります。

つまり、床暖房と床下暖房の違いとは、「床を直接暖める」のと「床下の空間を暖めて部屋へその暖かい空気を送る」という暖め方の違いがあるのです。そして、床材を自由に選べるか、自由に選べないかという違いもあります。
床暖房との床下暖房の違い

床下暖房を取り入れるメリット・デメリット

床下暖房を取り入れるメリットとデメリットを詳しくまとめてみましょう。

メリット

1.床材を自由に決めることができる
床が変形することもないので、無垢材などの素材も使用できます。

2.エアコン1台を使用するだけなので、初期工事費用を抑えることができる
必要なのはエアコンだけなので、床暖房のように床下を工事する必要はありません。

3.エアコン1台で全館暖房ができるので、暖房費・修理代などを抑えることができる
修理といっても、エアコンの修理のみですので費用は掛かりません。交換しても安いでしょう。また、床暖房のように温水や電気を使用して床を暖めている場合は故障すると温水が漏れたりするので危険ですが、床下暖房はそのようなことはありません。

デメリット

1.空気が乾燥してしまう
暖かい空気が循環しており、外気から空気を入れないのでどんどん乾燥していきます。加湿器などを一緒に使用することをおすすめします。

2.基礎断熱である必要がある
しっかりした基礎断熱でないと、暖かい空気が循環しません。まずは、基礎断熱がしてあるかを確認する必要があります。

3.家に適したエアコンを選ぶ必要がある
建物の大きさ(床面積)や「Q値(熱損失係数)」から熱量の選定が必要です。そして、そこから設置するエアコンを選び設置します。基礎の形なども確認し、何台エアコンが必要なのかなども確認する必要があります。素人には難しいことでしょう。

4長期優良住宅の認定を受けることができない
シロアリ予防剤を塗布すると温風に乗って薬剤が上ってきて、シックハウス病になるおそれがあるのでできない場合があります。そうなると、長期優良住宅の認定が受けられません。
長期優良住宅の認定とは、新築住宅を建てる際にいろいろ優遇される処置です。その認定がほしい方にはおすすめできません。
床下暖房を取り入れるメリット・デメリット

床暖房のメリット・デメリット

床下暖房とは違い、床自体が温かくなる床暖房のメリットとデメリットもまとめてみましょう。

メリット

1.基礎断熱でない一般的な住宅でも施工できる
基礎断熱は特殊な工法となっています。そのため、自宅が基礎断熱になっていない場合もあります。一般的な床断熱でも使用できるのが利点です。

2.快適で、部屋全体を暖めてくれる。
床から足元に伝わる熱伝導と、床からの赤外線の熱が空気を暖める輻射熱が、床から暖かい空気が上へ上昇する自然対流によって部屋全体を暖めてくれます。

3.熱源が屋外にある。
熱源が屋外にあるので、部屋の空気に影響を与えず、騒音もしません。室内のエアコンなども以外と音がするので、静かなのはありがたいです。

4.ホコリが舞いあがらない
エアコンのように、空気を吸い取って、吐き出すということはありません。そのため、ホコリを舞い上がらせないので、室内はキレイな空気のままです。

5.必要な熱量が少ない
エアコンやストーブに比べると、熱量が少なく省エネです。

デメリット

1.初期費用が高い
電気ヒーター式が安いようです。しかし、やはりコストは大きいです。

2.ランニングコストも高い
温水式の方がコストは抑えられるようですが、やはりたの暖房器具を比べても高くなります。また、部屋全体を暖めるので、効率的とは言えません。エアコンなどを併用してしまえば、余計に光熱費がかかってしまうでしょう。

3.メンテナンスが必要
温水式であれば、温水が通るパイプ。電気であれば、その熱源機のメンテナンスが必要となります。修理費用も高いので、エアコンよりもかかる場合があります。また、交換となればさらに費用がかかります。

さらに床暖房には、「電気ヒーター式」と「温水循環式」があるので、それぞれのメリットとデメリットもご紹介しましょう。
床暖房のメリット・デメリット

電気ヒーター式

電気によって、床下に敷いたヒーターによって床を暖めます。

メリット

1温水循環式に比べて初期費用が安い
温水を作る熱源が不要で、暖房パネルを床に敷くだけなので施工も簡単です。

2メンテナンス費用も安い
ヒーターの寿命は住宅と同じと言われており、交換になっても安く済みます。

デメリット

1.ランニングコストが高い
電気代が電気の温水循環式に比べて4倍も必要です。ガス温水循環式と比べても2倍なので高いと言えるでしょう。

温水循環式

電気・ガス・灯油などにてお湯を沸かし、その温水を床下のパイプに流して床を暖めます。

【メリット】

1.ランニングコストが安い

さらにガス式の温水循環式だと、以下のメリットがあります。
・部屋全体が暖まる。
・スイッチを入れてすぐに暖まる。
・給湯器がコンパクトなのに、パワーがある。

【デメリット】

1.初期費用が高い
部屋の広さにも異なりますが、約50~100万ほど必要になります。

2.メンテナンス費用も高い
温水パイプは約30年使用できるようです。しかし、その他のガス給湯器やエコキュート・ヒートポンプなどには寿命があり、10~15年で交換となります。また、循環する不凍液の補充や交換も必要になるので費用がたくさんかかるでしょう。
床暖房のメリット・デメリット

床下暖房は基礎断熱と組み合わせで

床下暖房を行ううえで、基礎断熱は重要な役割をはたしています。基礎断熱とは、建物の基礎に断熱材を貼って外気を通さない施工法です。結露対策や、冬の底冷えなどに効果的とされています。

床下暖房は、この基礎断熱の密閉性を活用して行うので、その組み合わせは絶対です。そして、床にエアコンなどを設置して暖かい空気を循環させるのです。基礎断熱の特性を活かしたシステムと言えるでしょう。

ただ、基礎断熱は密閉するため、湿気の逃げ道がないので結露を起こしやすく、カビが発生する可能性もあります。湿気の原因となるのは、基礎のコンクリートに含まれていた水分となります。雨などで完全に乾かないうちに施工した場合に、水分が床下にとどまった状態になったと考えられます。定期点検を行い、チェックする必要があるでしょう。

また、基礎断熱を行ううえで注意点があります。
基礎断熱には、断熱材を基礎の内側・外側どちらに施工するかによって『基礎外断熱』と『基礎内断熱』に分けられます。基礎外断熱は家を外側から守るので、防霧や断熱性が優れています。しかし、土と断熱材が接触してしまうので、寒い地域以外ではシロアリに注意が必要となります。
床下暖房は基礎断熱と組み合わせで

基礎断熱と床下断熱どちらを選ぶべきか

床下暖房に必要な基礎断熱工法について、床暖房が使用できる床下断熱工法とどちらがよいのか比べてみましょう。

基礎断熱は、寒い北海道などで採用されていた施工法です。
寒い地域では、水道管が凍ってしまい、膨張することで破裂することがあります。また、家を地面が凍ることで押し上げられたりしてしまうこともあります。そのため、床下の排水管や建物が押し上げられることを防ぐために、基礎断熱にして外気を入れずに密閉しているのです。

寒冷地では、よいとされていた施工法ですが、本州では問題も起こっています。それは、結露とシロアリです。
基礎断熱は湿気の逃げ道がないので、結露が発生してしまいます。また、シロアリによる基礎の被害が発生しており問題になっています。しっかり点検とメンテナンスを行い防ぐことが重要となるでしょう。

しかし、結露とシロアリの問題は床下断熱でも起こり得る問題です。どちらの断熱にしても点検とメンテナンスは必要となってくるでしょう。

地域やライフスタイルなどによって、どちらがよいのかを選ぶとよいでしょう。そして、床下暖房と床暖房のどちらを使用したいのか。その費用も含めて検討させることをおすすめします。

床下暖房は掃除とかはどうするのか

床下暖房にされた方の中には、床下の掃除をどのようにすればいいか迷っているかもしれません。どうやって床下を掃除するのかをご紹介します。

掃除の頻度は3~5年に一度が目安になっています。そして、床下にたまったほこりを取る掃除を行い、点検をします。

密閉された空間だからそんなに汚れていない、と思われがちですが、意外にホコリや虫の死骸が散乱しているのです。ネズミの死骸なども見つかる場合があり、掃除をしないとどんどん床下が汚くなります。そのため、掃除は必ず行う必要があるのです。

通常は、床下点検口などから床下に入り、掃除をしていきます。だいたい基礎の高さは40cmぐらいしかありません。低姿勢での作業は大変で自分では掃除は困難でしょう。

そこで、ルンバなどのお掃除ロボットを使用されることをおすすめします。
しかし、床下空間には給排水管があり、走りを邪魔してしまいます。そこで、配管などを床上に吊ってお掃除ロボットを走らせるスペースをはじめに作っておきましょう。基礎断熱を行ってもらう時に、業者の方に頼んでおくと対応してくれるでしょう。

お掃除ロボットを使用しない場合は、自分で掃除することも可能です。しかし、なるべく点検もまとめて業者に行ってもらうことをおすすめします。基礎断熱をお願いした業者に依頼されるとよいでしょう。シロアリの発生状況などもしっかり行ってくれるはずです。
床下暖房は掃除とかはどうするのか

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は床下暖房と床暖房についてご紹介してきました。床下暖房と床暖房を選ぶ時には、基礎断熱か床下断熱かなど断熱の方法まで考える必要があるということでした。どちらにもメリットとデメリットがあるので、しっかり確認して選ばれるとよいでしょう。

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