かわいがっていた愛犬が亡くなってしまったら、悲しくてどうしてよいかわからなくなってしまうかもしれません。しかし、亡くなったあとにも飼い主がしてあげられることがあります。それは最期のお別れの手配です。人間同様に、犬も火葬することができます。愛犬を火葬してしっかりと供養してあげましょう。
この記事では、犬の火葬の流れやプラン、費用や業者選びのポイントなどをご紹介します。自分の気持ちを整理するためにも、信頼できる業者に依頼して悔いのないお別れをしてください。
犬が亡くなったらまずすること
大切な愛犬が亡くなってしまったら、まずなにからしたらよいか冷静に考えられなくなってしまうかもしれません。犬が亡くなったら、まずは遺体の安置、そして行政上の手続きと火葬の手配をしましょう。順に解説していきます。
1.犬の遺体を安置する
愛犬が息を引き取ったことを確認したら、遺体の腐敗の進行を遅らせ、きれいな状態でお別れできるように、遺体を適切な方法で安置しましょう。
人間の火葬の場合は、死後24時間はおこなえないと法律で定められていますが、犬の火葬の場合はそのような法律は存在しないため、すぐに火葬することも可能です。
しかし、葬儀の予約がすぐにとれるとは限りません。なにより気持ちの整理のためには少し時間が必要でしょう。最期のときをご家族と自宅でゆっくりと過ごして、思い出を振り返ってあげるとよいかもしれません。
詳しい犬の安置方法については遺体の安置方法の章で解説しています。
2.必要な手続きをする
犬が死亡したときは、自治体の保健センターなどに30日以内に死亡届を提出しなければなりません。手続きには鑑札と注射済票が必要になりますので、用意しておきましょう。受付窓口は基本的には犬の登録や予防接種の届け出をしたところと同じですが、自治体によって異なりますので、ホームページや電話で確認しておくのが確実です。
3.犬の火葬方法を選ぶ
最近は動物の愛護及び管理に関する法律などによってペットの地位は以前よりも認められてきてはいますが、基本的に日本ではペットは「物」として扱われています。したがって、犬が死んでしまった場合、ゴミとして遺体を処理しても法律的には問題ありません。
しかし、大切な家族のような存在の愛犬なら、しっかりと供養してあげたいと考えるのが飼い主の心理かと思います。最期のお別れを悔いのないものにするために火葬の手配をしてあげましょう。
犬の火葬をする場合は、ペット火葬業者に依頼するか自治体に依頼するかのどちらかになります。以下、両方のメリットとデメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット | |
ペット火葬業者 | ・個別に火葬できるため、返骨可能。 ・プランによっては火葬から納骨までしてもらえる ・遺族の意向に合ったお別れ方法を選択可能 |
・自治体に依頼するより費用が高い ・いろいろな業者やプランがあるため選ぶのに手間がかかる |
自治体に依頼 | ・ペット業者に依頼するより費用が安い ・業者選びの手間がかからない |
・お別れの方法を選べない ・合同火葬が多く、返骨不可の場合ほとんど |
遺体の安置方法
犬が亡くなってから火葬するまでは、遺体を自宅などで安置しておく必要があります。遺体の安置は飼い主がしてあげられる最期のお世話です。正しい安置方法を知って、きれいな姿で送り出してあげましょう。
1.遺体を安置場所に移動させる
まず、安置する場所を決めましょう。遺体の腐敗を遅らせるために、涼しい場所を選んでください。夏季はクーラーが効いた部屋に寝かせておくことをおすすめします。
遺体は段ボールなどの箱に入れるか、大きめのタオルの上に寝かせると移動させやすくなります。死後硬直が起こる前に両足を曲げて目を閉じてあげましょう。犬の種類によって異なりますが、死後硬直は死後2~3時間で始まることが多いです。
2.犬の体を清めてきれいにする
犬は亡くなってから、目や口、肛門などから血液や汚物が出ることがあります。死後、人間にも起こることで、特別な現象ではありません。やさしく拭き取ってきれいにしてあげてください。鼻や肛門に脱脂綿やティシュを詰めてあげると、遺体が汚れることを防げます。
3.犬の体を冷やす
遺体は時間とともに腐敗が進んでしまうため、ドライアイスや保冷剤、氷などで体を冷やしてあげましょう。特に腐敗の進みが早い腹部を中心に、首元や肛門付近などにも置いて、冷気が逃げないように体をタオルなどでくるんでください。
4.犬を安置できる期限
遺体は腐敗が進むため、安置できる期限があります。普通の保冷剤などで冷やした場合、夏場は1日~2日、冬場でも4日程度が限界です。火葬の予約が先の日程しかとれなかったり、すぐにお別れするのが辛くて安置日数を伸ばしたかったりする場合は、遺体を衛生的に安置できる専用の棺やバックもあります。火葬を依頼する業者に問い合わせてみましょう。
犬の火葬方法には3つのプランがある
犬の火葬方法には「個別火葬」「合同火葬」「訪問火葬」の3つのプランがあります。それぞれの特徴を把握して、ご意向に合ったお別れのプランを選びましょう。
個別火葬
個別火葬とは、遺体を個別に火葬するプランです。個別に火葬するため、お骨を拾うこともできますし、返骨もしてもらえます。
個別火葬には、「個別一任火葬」と「個別立ち会い火葬」があります。個別一任火葬は、火葬のすべてを業者に一任する方法で、個別で火葬したあとのお骨上げや納骨までお任せするプランです。個別立ち会い火葬は、火葬後のお骨上げに立ち会い、自身でお骨を骨壺に納めることもできるプランです。
合同火葬
合同火葬は他の複数のペットと一緒に火葬するプランです。他のペットと一緒に火葬するため、お骨上げや返骨はできません。火葬から納骨までを火葬業者に一任する形で、お骨は霊園の合同墓地で供養されることが一般的です。
寂しくないように、複数のペットと一緒に火葬してあげたい、火葬に立ち会うことを避けたい、などの場合は合同火葬がおすすめです。個別火葬や訪問火葬より費用が安く済むこともメリットです。
訪問火葬
訪問火葬では、火葬炉を載せた移動火葬車が自宅などにお迎えにきます。移動したその場で火葬できるため、自宅や思い出の地などで火葬したいという方や、忙しくて火葬場にいく時間がとれない方におすすめです。車に社名を入れずに目立たないようにしたり、迷惑のかからない場所に移動して火葬したりなどの近隣への配慮もされているため、安心して利用できます。
火葬費用は犬の大きさとプランで変わる
犬の火葬を依頼するにあたって気になるのが費用でしょう。火葬費用は犬の大きさと選ぶプランによって変わります。大きい犬ほど費用が高くなり、小さいと費用は安くなるのが一般的です。また、各プランのなかでは合同火葬が最も費用を安く抑えられます。
犬の火葬費用相場|大きさ・プラン別
犬の大きさとプラン別の費用相場を表にしましたので、参考にしてください。以下の表はあくまでも目安です。実際にペット火葬業者に依頼する場合は、事前に見積りを取って正確な費用を確認しましょう。
また、大型犬の場合は火葬車で対応できない場合があります。火葬車を利用するときは、対応してもらえるかどうかを事前に火葬業者に問い合わせるとよいです。
キログラム/犬種 | 個別火葬 | 合同火葬 | 訪問火葬 |
5キログラムまで (超小型犬) |
約2万~2万5千円 | 約1万~2万円ほど | 約1万5千~2万円 |
5~10キログラム (小型犬) |
約2万5千~約4万円 | 約2万~2万5千円 | 約2万~3万円 |
10~25キログラム (中型犬) |
約4万~6万円 | 約2万5千~3万5千円 | 約3万~4万円 |
25~40キログラム (大型犬) |
約3万~4万円 | 約3万5千~4万円 | 個別対応 |
40キログラム以上 (超大型犬) |
約5万5千円以上 | 約5万円以上 | 個別対応 |
火葬費用についての注意点
記載されている火葬費用以外に別途費用がかかることがあります。例えば、遠方への出張費、埋葬や納骨の費用などです。思わぬ追加料金が発生することのないように、事前に業者に見積りを取ってもらい、プランに含まれる内容と費用を確認することをおすすめします。
火葬当日の流れ
心の準備を済ませて落ち着いてお別れができるように、火葬当日の流れを見ておきましょう。火葬方法ごとにそれぞれ紹介していきます。
個別立ち合い火葬の場合
個別立ち会い火葬では人間の火葬と同じく、お見送りからお骨上げまで立ち会えます。一方で、個別一任火葬の場合は出棺の際は立ち会わず、お別れ式以降は葬儀業者にお任せします。その後、葬儀業者の方がお骨上げをおこなったあとに返骨される流れです。
来園またはお迎え | 愛犬とともに火葬場へ来園、または自宅にお迎え |
受付 | 受付とともに体重を計測 |
納棺 | 棺に遺体を納め、お花やお菓子を飾る |
お別れ式(お葬式) | 最期のお別れ |
出棺・火葬 | 火葬炉までご家族でお見送り |
お骨上げ | 火葬後にお骨上げをおこなう |
個別立ち会い火葬、個別一任火葬ともに返骨を希望できます。返骨を希望しない場合、業者によっては霊園への埋葬や納骨施設への安置を依頼することが可能です。
合同火葬の場合
合同火葬はでは他のペットと一緒に火葬されるため、どの骨が飼っていた犬の遺骨なのか見分けがつかなくなります。そのため、基本的に返骨されません。また、合同火葬の場合、火葬の際は葬儀業者に預けてしまいます。最期のお別れである火葬の場まで見届けたいという方には合同火葬は向きません。
来園またはお迎え | 愛犬とともに火葬場へ来園、または自宅にお迎え |
受付 | 受付とともに体重を計測 |
お別れ式(お葬式) | 最期のお別れ、この後は葬儀業者の方にお預け |
出棺・火葬 | 合同火葬の場合、火葬には立ち合えません |
お骨上げ | 葬儀業者が納骨をおこないます |
訪問火葬の場合
移動火葬車での訪問火葬は自宅や愛犬とよく一緒に散歩した公園前などで火葬することが可能です。お骨上げはその場でおこなえる場合と、のちに業者がおこなう場合があります。いずれにせよ、返骨してもらえる場合がほとんどです。
来園またはお迎え | 自宅にお迎え、自宅以外で火葬の場合は移動 |
納棺 | 火葬炉に遺体を納め、お花やお菓子を飾る |
お別れ式(お葬式) | 炉前にて最期のお別れ |
出棺・火葬 | 火葬車の中で火葬 |
お骨上げ | 火葬後にお骨上げをおこなう |
火葬にかかる時間
火葬自体にかかる時間は、犬の大きさや体重で異なります。その他、受付や納棺、お別れの時間やお骨上げなどもありますので、火葬自体にかかる時間とは別に約1~2時間は余裕をもっておきましょう。
大きさ | 所要時間 |
超小型犬(5キログラムまで) | 約45分~1時間 |
小型犬(5~10キログラム) | 約1時間~1時間30分 |
中型犬(10キログラム~25キログラム) | 約1時間30分~2時間 |
大型犬・超大型犬(25キログラム以上) | 約2時間~4時間 |
火葬当日の持ち物・服装
犬の火葬当日の持ち物や適した服装など、気を付けておくべきことをご紹介します。きちんと準備して悔いのないお別れができるように事前に確認しておきましょう。
犬の火葬当日の服装について、人間の葬儀のような厳密なルールはありません。普段着でも差し支えありません。犬の葬儀をおこなう場所が人間の火葬もおこなっている場所の場合、喪服を着ていく方が多いです。
火葬当日の持ち物についても特に決まりはありませんが、以下の物を用意しておくとよいでしょう。
- 生前の犬の写真
- 好きだったおやつやおもちゃ
- お花
- 数珠
- ハンカチ
- 首輪や洋服
一般的に焼香台や香炉、ロウソクや線香などはペット火葬業者が用意してくれるため必要ありません。人間と同じように供養してあげたい場合は、数珠をもっていきましょう。写真や首輪などはお焼香台に飾ることができます。
お花やおやつは一緒に火葬できるところが多いので、棺に入れてあげるとペットが喜ぶかもしれません。ただし、金属類やプラスチック、ビニール製のおもちゃなどは溶けて骨にくっついたり、黒煙が出たりするため、一緒に火葬することができませんので注意してください。
失敗しないために!業者選びの4つのポイント
しっかり供養してあげるためには、火葬業者選びも重要です。遺体の不法投棄や火葬中の追加料金請求など、思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、ご紹介する4つのポイントを押さえて、信頼できる火葬業者に依頼しましょう。
1.料金は明瞭になっているか
依頼をする際は必ず事前に見積りを取りましょう。料金があいまいだったり、火葬や葬儀の内容がきちんと記載されていなかったりするような業者は避けたほうがよいです。見積りのあとに追加料金が発生しないかどうかも確認してみてください。
2.家族の気持ちに寄り添ってくれるか
愛犬との最期のお別れの時間をよりよいものにするために、しっかりと家族の気持ちに寄り添ってくれる業者にお願いしたいですよね。ごく一部ですが、大切なペットを物のように扱う悪徳な業者が存在するのも事実です。事前の電話対応などで違和感を覚えるような対応をする業者は選ばないほうが無難です。
3.評判や口コミはよいか
火葬業者の評判や口コミもチェックしましょう。身近な人が利用していて評判がよいかどうかは、ひとつの参考に役立ちます。
火葬業者の自社ホームページも確認してみましょう。「代表者名」や「所在地」などの基本的な企業情報がしっかり記載されている業者は、最低限の社会的責任感があると判断できます。料金設定やサービス内容が詳細に紹介されていれば、実際の対応もイメージしやすくなります。
また、ペット霊園や納骨堂の場合は面倒かもしれませんが、実際に訪れて状態を確認するのがいちばんです。しっかりとした火葬炉があるか、清潔感があるかなどをチェックし、安心して任せられる業者かを判断してください。
4.希望の葬儀プランがあるか
業者によっては「個別火葬のみしかおこなっていない」「訪問火葬を専門におこなっている」など、火葬方法が限定される場合もあります。ご自身のご希望のプランに対応している業者を選びましょう。
犬の火葬だけでなく、ペットを火葬して供養してあげたいと願うご家族は多くいます。そのため、ペット火葬業者も数多く存在するようになりました。悲しみのなかで業者選びをすることはなかなか難しいかもしれません。
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