ほとんどのペットは私たちより先に寿命を迎え、その最期を看取ることになるでしょう。近年では人間と同じように、ペットもしっかりと供養をおこなうことが増えてきました。しかしいざ、というときになってみないとその流れに触れる機会はなかなかありません。
今回は大阪府豊中市に本社を置き、火葬車・固定炉両方でペット葬儀をおこなっている「株式会社ココロニア」へ取材をおこないました。
今回取材協力していただいた加盟店:株式会社ココロニア
お聞きした方:代表・岡田さん
火葬車での訪問火葬だけでなく、自社ビルに大型の固定炉やペット専用の納骨堂も持つ加盟店。代表の岡田さんは住職の資格も持ち、亡くなったペットを真摯に供養していらっしゃいます。
目次
ペット用の火葬炉を取材。写真でみるすがた
ゴミと一緒にペットの遺体も焼いてしまうのは昔の話。自治体でも人間用は別に動物専用の火葬炉を用意しているところが多くなってきました。しかしこうした火葬炉を見る機会は少なく、どのような設備で火葬するもか気になる方もいるでしょう。
株式会社ココロニアでは訪問火葬をおこなうための火葬車を計4台、本社ビル1階に大型の固定炉を1つ所有しています。火葬車はすべて対応中とのことで、今回は固定炉の様子を見学させていただきました。
見せていただいた火葬炉は、大型犬などでも十分に対応できる大きさとなっています。なお同じ動物用でも大きさは大小さまざまあるそうで、その載せられる自動車も軽トラックから通常のトラックまで異なるとのことでした。
どのくらいお骨が残るか、実際に火葬した様子を見せていただきました
※ぼかしが入った画像をクリックすると遺骨が表示されるため、ご注意ください。
ココロニアのご厚意で、火葬したお骨の様子や収骨の様子も見せていただきました。
火葬炉からの取り出し
亡くなったペットの遺体は白い台の上で安置され、火葬炉に入れられます。その台を引っ張り出して台車に載せ、火葬されたお骨が運ばれてきました。
火葬炉から出した小型犬の遺骨
この遺骨は小型犬のものだそうですが、写真からもしっかりと形が残っているのがわかります。うさぎやハムスター、鳥などであってもしっかりとお骨は残るそうで、これまでにも亀や猿、ヘビなどの火葬依頼があったとの話をお聞きしました。とくに小鳥はお骨が残りにくい印象がありますが、空を飛ぶため丈夫な構造で、お骨も残りやすいのこと。
意外だったのが魚で、意外ともろく、お骨が残りにくいそうです。一応火葬の要望があれば対応はするものの、その点は了承してもらっておこなうという話でした。
収骨
火葬したお骨は供養のため、骨壺などに集めて保管します。ただし一部のお骨はペンダントなどにいれ、お守りにする方も少なくありません。ココロニアではお守り用のペンダントを1つ無料でサービスしており、今回火葬されたペットのご家族もペンダントに入れてほしいとのご希望があったそうです。
まずはご家族からご希望のあった、指としっぽのお骨を探して拾い上げます。私たち編集部では大きなお骨しか区別できなかったものの、どの部分かは研修をおこなえばすぐに判別が付くようになるとのことでした。人間の火葬では「喉仏(正確には背骨の一部)」を別に収骨して供養する地域もあり、同じような供養の形として考えることができるでしょう。
これらのお骨をガーゼにつつみ、ペンダント型のグッズに納めます。ペットの思い出を身近に感じていたい方にとって、このようなお守りは少しでも悲しみを和らげる手助けになることでしょう。
そのほかの遺骨は人間と同様、骨壺へと納めていきます。最後に頭蓋骨を納め、収骨は無事終わりました。なお一連の火葬はペットの大きさでも変わりますがだいたい30~40分、その後冷ますのに同じくらいの時間がかかるという話でした。
なお今回は訪問火葬の都合がつかなかった関係でお客様は見かけませんでしたが、場合によっては家族が立ち会い、人間のように拾い上げていくこともあるそうです。
火葬で気になることをインタビューしました
縁が薄く、亡くなってから慌てることも多いペット葬儀。気になるポイントを編集部がインタビューしました。
料金について
火葬にかかる料金はどのように決まるのですか?
基本的には体重を申告してもらって、あとは遺体を引き取る合同火葬、ここに遺体を運んできてもらう持込火葬、火葬車で出張する訪問火葬で料金が変わります。ココロニアの場合、持込火葬が訪問火葬より5000円ほど高くなりますね。
ペット葬儀の火葬は動物の種類ではなく、遺体の体重によって変わるそうです。あくまで自己申告に任せるという話ではありますが、健康管理の観点からも「定期的に体重測定をおこなっておくこと」が大切といえるでしょう。
火葬の注意点
火葬の際、一緒に入れてはいけないものはありますか?
金属やプラスチックはお骨に癒着してしまうことが多いので、一緒にいれないようにしてください。基本布製のものは大丈夫で、持込火葬のときにはこちらで生花などもご用意します。
金属はよく聞く話ですが、プラスチックも入れてはいけない点には驚きでした。取り外すのが難しいことも多いですが、きれいなお骨を残すためにできるだけ努力はしておきたいものです。
ペットの大きさ
大きなペットでも火葬って対応できるのですか?
ココロニアではトラックに積むような大型の火葬炉を持っているので、レトリバーなど大型犬でも対応できます。そのため、断ることは基本ありません。
大型のペットほど、遺体の供養は大変になります。ココロニアでは大型の火葬炉も用意し「さまざまなご要望」に対応することで、しっかりと供養してあげることにつながっているのでしょう。
丁寧な心遣いで対応を。ペット葬儀へのこだわり
家族のように過ごしてきたペットが亡くなったとき、気持ちにも何らかの動揺があることでしょう。どのように対応を心がけているか、ココロニアの取り組みをお聞きしました。
葬儀をおこなうにあたり、気を付けていることはありますか?
状況に応じて言葉を使い分けられるよう、50パターンの対応マニュアルを用意しています。言葉の使い方によっては、お客様を不快にさせてしまうおそれがありますから。
またペットが亡くなりそうな状況での相談や生前見積りも1割から2割ほどあるそうですが、その際の言葉遣いはとくに難しいとのことです。たとえば「うちを利用してください」と言ってしまうと、まるで死を望んでいるような表現にも受け取られてしまいます。顔が直接確認できない電話口の対応が多いため、その点は誤解を与えないような言葉遣いを大切にしていらっしゃるそうです。
「お寺から行きます」といえる強み
ほかの業者と比べた「ココロニアの強み」についてもお聞きしました。
ココロニアの強み、ってなんでしょうか?
私が住職の資格を持っているため、「お寺から行きます」ができるのが強みです。また「ペット葬祭プランナー」の資格を持つ者も配属することで、より一層の安心感を提供できるようにしています。
ココロニアは「八峰山幸豐寺」という、ペット供養専門の仏教寺院の側面を持っています。ペット葬儀を始めるにあたって岡田さんは住職の資格を取り、安心して供養をしてもらえる環境を整えたそうです。葬儀=仏教というイメージにも寄り添うことができるため、依頼するお客様にとっては安心して供養を依頼できるメリットがあります。
火葬後に納める納骨堂や供養グッズについて
訪問火葬や持ち込みでの個別火葬では、火葬後に遺骨が残ります。こうした遺骨を供養していく取り組みとして、ココロニアでは納骨堂による永代供養やメモリアルグッズの販売をされているそうです。
ココロニア3階・納骨堂の様子
3階にある納骨堂(幸豐寺 一心堂)の様子も見学させていただきました。
ペットを導くのは地蔵菩薩といわれているそうで、奥にも地蔵菩薩の像が配置されています。引き取り火葬で預かったペットの遺骨もここに保管され、3回忌まではここで供養されます(2019年に旅立ったペットの場合、2023年に埋葬)。遺骨は白い布の袋に入れられ、大きな木箱でまとめられていました。
ちなみにココロニアでの供養時には木のご位牌を作り、「ペットの名前+号」という形で供養をおこないます。というのも戒名(法名)は人間に付けるものであり、違う世界(畜生道)を生きる4本足の動物には付けないという考え方があるそうです。
納骨堂に納めるときは骨を細かく砕き、六角形の木箱をした専用の骨壺に入るようにするそうです。また散骨などの希望もあるそうで、作業をおこなうための機械も備え付けられていました。
供養グッズ
供養に使うグッズも見せていただきました。
ココロニアでは骨壺、お守りとして遺骨を納められるキーホルダー、メッセージ付きのフォトフレームなどを無料でお送りしているそうです。ココロニア本社での火葬では木製の位牌もおつくりするほか、安置し火葬するための布団を用意するなど、最後までペットの思い出を大切にする試みをおこなっています。
遺骨を納める骨壺に関しても、動物の大きさに応じいくつか種類が用意されています。火葬の待機スペースには見本として、3寸~5寸サイズの骨壺が置かれていました。
人間と同様の骨壺に入れ、自宅で供養し続ける方もいます。またペットの写真などを埋め込んだメモリアルグッズを注文される場合もあるそうで、火葬の待機室にもさまざまなグッズの見本が置かれていました。こうしたグッズの手も借りて後悔なく送り出せるよう、そして思い出とともに大切に残していきたいものですね。
まとめ
ペット火葬というと「単に焼くだけ」という印象を持ちがちです。しかし今回取材させていただいた「ココロニア」では各種資格の取得やその後の供養まで、大切なペットを安心して送り出せるよう取り組まれていました。家族の一員として過ごしてきたこそ、最後まで丁寧に送り出してあげたいものですね。
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