
私たちが暮らす日本では、梅雨時にはたくさんの雨が降り、夏には局地的なゲリラ豪雨、冬には大雪に見舞われるなど、多様な自然環境があります。そんな環境のなかで、建物を維持管理していくうえで防水対策は欠かすことのできないものです。とくに雨漏りが発生しやすい屋上に関しては、日ごろから防水対策に頭を悩ませているという方も多いのではないでしょうか?
じつは、屋上の防水工事には、アスファルト防水・ウレタン防水・シート防水・FRP防水といった工法があり、それぞれ費用相場が異なります。防水工事の工法ごとに工期や施工の工程が大きく異なるからです。
この記事では、屋上の防水工事の費用相場についてご紹介します。また、防水工事の工法ごとの特徴や業者選びのコツについてもご説明するので、納得した施工にするためにお役立てください。

目次
工法ごとの屋上防水工事の費用相場
工法ごとの屋上防水工事の費用相場は、以下のとおりです。
屋根防水工事の費用相場(1平方メートルあたり) | |
アスファルト防水工事 | 約8,000円~ |
ウレタン防水工事 | 約7,500円~ |
シート防水工事 | 約8,000円~ |
FRP防水工事 | 約9,000円~ |
なお、それぞれの工法がどんなものか、簡単に以下にまとめました。
アスファルト防水工事
合成繊維不織布に、アスファルトを含ませてコーティングしたシート状のものを貼り重ねていく工法です。
ウレタン防水工事
液体のウレタン樹脂を施工面に塗布して、固めることによって弾力のある防水膜を形成する工法です。
シート防水工事
シート状の材料を屋上に接着して防水層を形成していく工法です。
FRP防水
“FRP(Fiber Reinforceed Plasticsの略称)”と呼ばれる繊維強化プラスチックを敷き、その上から樹脂を塗る工法です。
それぞれの工法の特徴について、詳しくは後ほどご説明します。工法の特徴については、そちらを参考になさってください。
工法以外で費用が変動するポイント
工法以外に、現場の状況や材料によっても費用が変動します。ここでは、どんな場合に費用が上がるのかについてご紹介します。
現場の状況
屋上の防水工事の費用は、現場の状況によって高額になることがあります。たとえば、以下のような場合です。
・下地に凹凸がある場合
・下地に傾斜がない場合
・現場が人の出入りがしづらい場合
・現場に障害物のある場合
下地に凹凸があると、雨水がたまりやすくなるため、凹凸を取り除く作業が必要となります。また、下地に傾斜がないときは雨水が流れやすくなるよう、傾斜をつける作業が必要となるのです。
さらに、人の出入りがしづらい現場や障害物がある現場であれば、作業がしやすいよう準備をしなければなりません。このように、現場の状況によって作業が増え、より高額な料金がかかるのです。
材料
同じ工法でも、使う材料が異なれば費用も変動します。たとえば、シート防水の材料には、基本的に”合成ゴム系シート” または“塩化ビニル系シート”が使われます。
これらの費用を比較すると、合成ゴム系シートが3,000~7,000円、塩化ビニル系シートが3,600~7,500円となっており、塩化ビニル系シートのほうが若干高額だといえるでしょう。なお、これらのシートの違いについては、次の章でご紹介します。
費用以外もチェックしたい!工法ごとの特徴
防水工事は、工法ごとに耐用年数や工期など、特徴が異なります。防水工事をおこなおうと考えている方は、これらの特徴を理解しておくことで、適したものを選ぶことができるでしょう。そこで、ここでは防水工事の特徴を工法ごとにご紹介します。
アスファルト防水の特徴
アスファルト防水の特徴は、以下のとおりです。
アスファルト防水の特徴 | |
耐用年数 | 20年程度 |
工期 | 6~7日 |
メリット | 高い信頼性がある |
アスファルト防水は、昔から使われていた工法のため、高い信頼性があります。また、ほかの工法よりも防水効果が高く、耐用年数も20年程度と長いです。そんなアスファルト工法は、工事の方法によって以下の3種類に分けられます。
常温密着工法:常温でも使用可能な接着剤を使い、シートを張り付ける方法
熱工法:熱で溶かしたアスファルトでシートを張り付ける方法
トーチ工法:アスファルトが張り付けられたシートをあぶり、張り付ける方法
このうち、常温密着工法は、熱を使わないため作業が安全で、ほかの工法に比べて簡単に施工することができます。そのため、業者によって施工の差があまりでないといえるでしょう。ただ、常温密着工法は、ほかの方法に比べて防水効果が劣ってしまいます。
一方、熱を使う熱工法やトーチ工法は、アスファルトは常温密着工法に比べると防水効果は高いといわれています。ただ、アスファルトを均一に伸ばさなくてはならないため、高い技術力が必要です。そのため、業者選びがとくに大切になるといえるでしょう。また、熱工法は作業をおこなうときにアスファルト特有の臭いが発生してしまうというデメリットもあります。
ちなみに、施工費用は熱工法>トーチ工法>常温密着工法の順になっていることが多いようです。同じ熱を使う工法でも、大がかりな作業が必要になる熱工法に比べ、トーチ工法ではガスバーナーでアスファルトをあぶることから、費用が安くなっているようです。
ウレタン防水の特徴
ウレタン防水の工法の特徴は、以下のとおりです。
ウレタン防水の特徴 | |
耐用年数 | 10~15年 |
工期 | 3~10日 |
メリット | 複雑な形状の場所でも施工可能 |
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を用いるため、どんな複雑な形状にも対応することが可能です。ただ、紫外線に弱く、ほかの工法に比べてメンテナンスの回数が多くなるでしょう。そんなウレタン防水の工事の方法には、以下の2種類があります。
通気緩衝工法:通気効果があるシートを設置し、その上からウレタン樹脂を流す方法
密着工法:下地にウレタン樹脂を流す方法
密着工法は、軽量な防水層を使うため、建物への負担を軽くすることができる工法です。一方、通気緩衝工法とは、屋上で使われることが多い工法で、密着工法とは異なり、”膨れ”を抑える効果が期待できます。
防水工事すると、少しずつ防水層の内部に水分が浸透していきます。その水分に日光などの熱が加えられることで蒸発し、湿気が防水層の外に逃げようとして膨らむことがあります。その現象が”膨れ”です。
通気緩衝工法は、通気効果を持つシートを使用しているので、水分を逃がし、膨れを抑えることができるのです。なお、防水工事の費用は、密着工法に比べて通気緩衝工法のほうが高額だといわれています。
シート防水の特徴
シート防水の特徴は、以下のとおりです。
シート防水の特徴 | |
耐用年数 | 15~20年程度 |
工期 | 1~4日 |
メリット | 手軽に施工することが可能 |
シート防水は、広い場所でも一度にシートを敷くことができるため、手軽に施工することができ、ほかの工法に比べて工期も短くて済みます。
ただ、シート状になっているため、凹凸のある下地に張り付けると、隙間ができて雨水が入ってきてしまうおそれがあります。そうした理由から、下地が平らな場合にしか用いることができません。なお、シート防水をおこなう際は、以下の方法のいずれかの方法で工事がおこなわれます。
密着工法:下地に直接シートを張り付ける方法
機械的固定工法:ビスや鋼板などを使い、防水シートを固定する方法
密着工法は、直接シートを張り付けるため、風圧に強いのが特徴です。ただ、ウレタン防水の密着工法と同様、膨れが起きやすいデメリットがあります。その点、機械的固定工法は、防水シートが下地に密着していないので、水分を逃がすことができ、膨れが起きにくいのです。施工費用は、密着工法に比べて機械固定工法のほうが高額になるようです。
また、シート防水で使うシートには、おもに” 塩化ビニル系シート防水”と“合成ゴム系シート防水”があります。塩化ビニルシートは耐摩擦性が強く、歩く頻度が高いという場合に向いています。さらに、紫外線に強いため、日が当たりやすい場所にも適しているでしょう。
一方、合成ゴム系シートは伸縮性に優れているため、地震などの衝撃が加わった場合でも、ひび割れしにくいといわれています。また、先ほどもお伝えしたように、塩化ビニルシートに比べて施工費用が安いため、施工費用を抑えたい方に向いています。ただ、紫外線に弱いため、定期的なメンテナンスが必要です。
FRP防水の特徴
FRP防水の耐用年数や工期は、以下のとおりです。
FRP防水の特徴 | |
耐用年数 | 10年程度 |
工期 | 1~2日 |
メリット | 強度が高い |
FRP防水は、” 耐摩耗性”と” 耐衝撃性”に優れていて、ほかの防水材とは比べ物にならないほど強度があるのが特徴です。人の出入りが多い場所に向いているでしょう。また、FRP防水は、乾燥するのが早いため、工期が短いメリットもあります。
ただし、材料であるFRPは紫外線に弱いため、ほかの工法に比べて劣化しやすく、耐用年数が短いのです。また、伸縮性が低く、広い場所での施工には適さないといわれています。
納得した工事にするために……業者選びのコツ
納得した防水工事をおこなってもらうためには、業者選びもとても重要です。業者によってサービスや料金が大きく異なるため、深く考えずに業者を選ぶと「思ったよりも高額な費用が請求された」「納得したサービスを受けられなかった」と後悔してしまうかもしれません。
防水工事を満足のいくものとするためにも、業者選びは慎重におこないましょう。ここでは、優良業者を選ぶ際のコツをご紹介します。
相見積りを取る
先述のとおり、防水工事の費用相場は、工法以外に、面積や現場の状況、材料によっても異なります。そのため、より正確な費用を知るためには、業者から見積りを取るのが得策です。
このとき、複数の業者から見積りを取って費用を比較することで、ご自身の場合の費用相場を知ることができます。その結果、高額な費用を請求してくる業者を避けることができ、賢く業者を選ぶことができるのです。
見積書が明瞭かどうかを確認
見積書が”一式”といったような曖昧な表記な場合、依頼者はどんな工事にいくらかかっているのかを知ることができません。すると、見積り内容に必要な工事が入っておらず、後から追加料金を請求される可能性があります。
「こんなに費用がかかるなんて……」と後悔しないためにも、見積書が内訳までしっかりと書かれている業者に依頼しましょう。
経験が豊富な業者かどうかを確認
防水工事は、専門性が高い分、技術力や知識が必要とされます。多くの工事を経験している業者であれば、技術力が高く、知識が豊富な可能性が高いでしょう。
業者の経験を判断するひとつの目安となるのが、”実績”です。実績は、業者のホームページなどで知ることができるため、ぜひチェックしてみてください。
アフターフォローの有無を確認
アフターフォローがある業者であれば、もしも施工不良が起こったときでも無料で対応してもらうことができます。そのため、アフターフォローのある業者を選ぶことが大切です。アフターフォローの期間などの内容は業者によって異なるため、複数業者のアフターフォローを比較し、より充実しているところに依頼するとよいでしょう。
防水工事を長持ちさせる方法を知っておこう!
防水工事は、メンテナンスをおこなえば長持ちさせられる可能性があります。ここでは、防水工事が劣化したときの症状とあわせて、長持ちさせる方法について見ていきましょう。
防水層が劣化したときの症状
防水層は、劣化すると以下のような症状が現れます。
・防水層のひび割れが起こる
・防水層がはがれる
・膨れが起こる
・水はけが悪くなる
このような状態になると、雨漏りが起こりやすくなってしまいます。そこで、以下のような対策をおこなうことで、このような劣化を遅らせることができる可能性があります。
【方法1】ドレン掃除
ドレンとは、いわゆる排水溝です。ドレンを掃除しないと、ゴミや枯れ葉などがたまってしまいます。すると、水がうまく流れることができず、防水層の劣化につながるのです。目安として、3か月に一度はドレンの掃除をおこなうのがおすすめです。
【方法2】トップコート
トップコートとは、防水層の上に塗る塗料のことで、防水層を保護する役割があります。そんなトップコートは、だいたい5~10年くらいで劣化するといわれています。そのため、防水層を長持ちさせるためには、トップコートを5年に1回程度塗りなおすとよいでしょう。
まとめ
屋上の防水工事の費用は、工法によって異なります。防水工事にはアスファルト防水・ウレタン防水・シート防水・FRP防水といった工事方法があり、工法によって費用が異なります。それぞれの費用や特徴を比較し、「防水工事にかけられる予算」や「屋根の状態」、「重視するポイント」に応じて、適切な工事を選ぶようにしましょう。
そして家の屋上に防水工事を施したいとお考えの場合は、いくつかの業者に相見積りを取って、不明点があればあらかじめ質問することをおすすめします。そのようにして、信頼できる業者をみつけることができれば、安心して工事を任せることができますね。
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