
和室などの畳の部屋がある住宅では、畳の交換は避けて通ることができない課題です。しかし、畳の種類は多く、畳を交換する時期や方法を個人で判断することは困難なときがあります。
「なるべくお金をかけずに畳を交換したい」「せっかく畳を交換するなら品質の高いものにしたい」など、個人の考え方も変わってくるので、畳を交換する際は、このコラムを参考にしてください。

目次
畳替えは畳の状態に合わせた方法を!
私たちが普段使っている畳は、畳表(たたみおもて)・畳床(たたみどこ)・畳縁(たたみべり)の3つの部分で構成されています。
・畳表
畳表は畳を設置したときに表になっている部分のことです。イグサの茎を折り合わせて作ったござのものが一般的ですが、最近ではパルプや科学繊維を使ったものもあります。保温・除湿機能があるほか、リラックス効果をもたらすなど、畳の主な機能を担います。
・畳床
畳床は畳の内部を構成しているもので、畳のふみ心地を左右しています。乾燥わらが用いられるほか、ポリスチレンフォーム、タタミボードなど様々な素材を用いて作られており、弾力性や吸湿性、断熱性などの機能を備えています。
・畳縁
畳縁とは畳の側面に縫い付けてある布のことです。畳を保護しているほか、畳縁の色や模様によって部屋の雰囲気を変えることができます。
このように畳は複雑な構造をしているので、ただ単に畳を変えるといっても、畳の状態によって畳を交換する方法が変わります。
この章では、「裏返し」「表替え」「畳替え」の3つの方法について説明します。
裏返しとは
実は畳の畳表は表と裏の両面とも使うことができます。新品の畳を使用しているとおおむね3~5年程度で畳表が日焼けや擦れによる傷みなどで劣化してくることがあります。そのようなときに、畳表を反対にひっくり返して畳床に貼りなおす作業が「裏返し」です。
畳の傷み具合にもよりますが、目安としては2~3年ほどで裏返しを行えば畳がきれいなままの状態を維持することができるといわれています。
しかし、この裏返しを行ううえでは注意しなければならないことが2つあります。
ひとつは一度裏返しを行うと、再び裏返しを行うことはできなくなってしまうということです。この理由としては、畳床・畳表が既存のものを使うため、何度も再利用できないからです。なお、裏返しを行う際には畳縁は新しいものに変わります。
もうひとつは、古い畳ほど裏返しが困難になるということです。なぜなら、古い畳ほど畳表にひどい劣化や変色があり、裏返しする畳表も傷みや劣化が起きているおそれがあるからです。そういった場合は、ほかの方法で畳を交換することをおすすめします。
表替えとは
「表替え」とは、畳床はそのままの状態にしておいて、畳表と畳縁を新品に交換する方法です。この方法を使うのは畳表の表面が擦れたり、全体的に変色したりという全体的な問題が畳にあるときです。
畳床は変えないので畳の踏み心地は大きく変わりませんが、畳表のイグサが新品になることでいい香りを発します。
畳がへこんでしまった場合や畳床のふみ心地が悪いため畳を交換したい場合は表替えでは対応できません。
畳替えとは
「畳替え」とは、文字通り畳を新しいものに新調することです。新畳工事、新調などといわれることもあります。おおむね10年経過すると裏返しでも表替えでも快適な畳に交換することが難しくなるため、畳替えを行います。
畳替えのタイミングは畳の使用状況や傷み方などで判断しますが、その判断は難しいといわれています。畳替えをするかどうか迷った際は畳専門の業者に問い合わせてから行うことをおすすめします。
畳を交換するメリットとは
畳を交換するメリットはたくさんあります。以下で畳を交換するメリットをご紹介します。
メリット1:汎用性の高さ
和室ではそのまま横になってくつろいでいても不自然ではありませんし、布団を敷けば寝室になるので、和室は居間と寝室の機能を兼ね備えているといえます。また、畳を交換すればそれだけで模様替えにもつながるでしょう。このことは、常にベッドやソファが置いてある洋室にはないメリットということができます。
メリット2:天然素材がもたらす効用
畳はイグサのような多年生の植物を使って作られることが多いです。このような天然素材は湿度を調節します。夏の熱帯夜は湿気が多く寝苦しいことがありますが、畳の部屋は湿度を吸収してくれるので、寝苦しさが軽減されます。
また、新しい畳の香りにはリラックス効果があるといわれています。リラックス効果がある成分としてはイグサのフィトンチッドが有名です。
そして、空気を含んでいるイグサはフローリング以上にクッション性が高くなります。クッション性が高くなれば、横になったときに居心地がいいだけでなく、階下への物音を軽減させることにもつながります。
畳を交換すれば、これらの天然素材がもたらす恩恵を1度に受けることができます。
畳交換の相場はどれくらい?地域で差があるって本当?
この章では、畳を交換する際にかかる費用の相場や気を付けなければならないことに言及しておきます。
畳交換の相場
畳を交換するには、当然費用がかかります。そして、その費用は1章で説明した「裏返し」「表替え」「畳替え」によってそれぞれ異なります。
まず、裏返しにかかる費用の相場はおおむね2,000~5,000円ほどです。畳表は裏返すだけで新調するのは畳縁のみなので、畳の交換方法の中では最も費用がかからない方法です。
次に、表替えにかかる費用の相場はおおむね5,000~15,000円ほどです。表替えをするには畳床以外の畳表や畳縁を新調するので、その分裏返しよりも費用がかかります。
最後に、畳替えにかかる費用の相場はおおむね10,000~25,000円ほどです。畳表も畳縁も畳床もすべて新調するので、3つの交換方法の中では1番費用がかかります。同じ畳替えでも、新調する畳の種類によって必要な費用の変化が大きいのも畳替えの特徴です。
安易に価格の安さだけで畳替えを行うと、劣化が早くすぐに交換が必要になるような粗悪な畳に変えてしまうことになるので、かえって費用がかかることもあります。その反面、品質の良い畳であれば、畳が傷みにくいので30年以上使うこともできます。
また、畳替えを行う際に、忘れがちになるのは古い畳の廃棄費用です。古い畳の廃棄費用はおおむね1,600円です。廃棄する畳の枚数が多くなればなるほど、廃棄費用も畳替えを行う際は慎重に行いましょう。
畳交換は地域格差がある?
一説によると、畳の大きさは地域によって若干の違いがあるため、畳交換にかかる費用には地域格差があると考える人がいるかもしれません。これが本当ならば、お住まいの地域の相場が気になることでしょう。
しかし結論からいうと、全国で畳交換にかかる費用の相場に大きな違いはありません。ただし、全く違いがないとも言い切れないので、お住まいの地域の畳交換にかかる費用の相場を調べる方法を2つご紹介します。
ひとつは、電話で畳交換の業者に問い合わせることです。「餅は餅屋」といいますが、その地域の畳交換にかかる費用についてよく知っているのは、その地域の業者です。問い合わせる手間はありますが、最適な畳交換の方法を考えてもらえたり、場合によっては相場より安い価格で畳を交換してもらえたりする可能性もあるので、おすすめです。
もうひとつは、畳交換の業者に直接問い合わせることに不安を感じる場合は、インターネットの情報サイトや口コミサイトなどを参考にすることです。口コミはあくまで個人の主観ですが、ある程度参考にすることもできます。
畳は立派なインテリア!さまざまな畳をご紹介
畳を交換することで、その部屋の雰囲気は変わります。その意味で、畳は立派なインテリアということができます。年を重ねるごとに畳の種類も増えてきており、その分、よりインテリアの幅も広がってきているということができます。この章では、インテリアとしておしゃれな畳をご紹介します。畳交換の際にはぜひ参考にしてみてください。
スタイリッシュな縁なし畳
縁がない畳は琉球畳とも呼ばれ、和室をシンプルにすることができます。サイズは畳1畳のものだけでなく、半畳のものもあるのでアレンジがしやすいです。
最近では、フローリングの部屋や廊下に隣接している和室も珍しくないので、そのような和洋折衷の住宅に取り付けても馴染むことができます。また、縁がないことで部屋が広く感じるという意見もあるようです。
ただし、縁なし畳は縁がない分、普通の畳よりも傷みやすいといわれています。そもそも畳縁は畳の角や側面などの弱い部分を保護するためにあります。縁なし畳にはその畳縁がないので、縁なし畳の角や側面はイグサを折り曲げた状態になっており、そこから擦り切れてしまったり傷んでしまったりするおそれがあります。また、縁なし畳は普通の畳に比べて高価であることも多いようです。とくに、半畳タイプの縁なし畳を使う場合は、単純に普通の畳を使う場合の2倍の枚数が必要になるので、それだけ枚数が必要になります。(例えば、普通の畳が6枚必要な場合は、半畳の畳では12枚必要になります。)
お手軽なユニットタイプ
防音性やメンテナンスの簡易性などの機能性を重視するなら、ユニットタイプの畳がおすすめです。ユニットタイプの畳は置き畳、フローリング畳とも呼ばれており、カーペット感覚で使うことができます。
ユニットタイプの畳にはカーペットよりも弾力性があり、普通の畳より衝撃や音を吸収してくれます。そのため、赤ちゃんがいる家庭でも階下への音や赤ちゃんの安全性についての心配が軽減されます。また、軽量化されているので、畳の交換や掃除、撤去が簡単になります。さらに、ユニットタイプの畳は普通の畳と同じように調湿効果や断熱効果、リラックス効果なども兼ね備えています。
ユニットタイプの畳の注意点は、決まった規格がなく、メーカーによって大きさが異なることがあるということです。なので、異なるメーカーで作られたユニットタイプの畳を同じ部屋に使ってしまうと、違和感のある部屋になってしまいます。
洗濯できるウォッシャブル畳
一般的に畳はフローリングの床よりも手入れに手間がかかるものです。とくに、ジュースなどの飲み物を畳にこぼしてしまったときは、シミになってしまうこともあります。そのままにしておけば見栄えはよくありませんし、逆にそのたびに畳を交換していたのでは費用がかかり過ぎてしまいます。そんな時におすすめしたいのが、ウォッシャブル畳です。
ウォッシャブル畳は、その名の通り水洗いすることができます。そのため、万が一畳を飲み物などで汚してしまったとしても、簡単に洗い流すことができて、交換の必要がありません。
その反面、いざウォッシャブル畳を交換するときには、基本的に畳替えのみでしか交換することができません。その理由は、ウォッシャブル畳の構造が普通の畳のそれよりも特殊なものになっているので、表替えや裏返しで対応が困難になっているからです。
畳縁を替えてオシャレにリフォーム
畳の状態にもよりますが、普通の畳を使っている場合でも、畳縁のみを変えて部屋の雰囲気を変えることができます。前述したとおり、畳を交換するときには、「裏返し」「表替え」「畳替え」のすべての方法で畳縁を新調することになります。そのようなタイミングを有効活用して、畳縁を違ったデザインのものに変更すれば、それだけのことで部屋の雰囲気ががらりと変わるかもしれません。
畳を選ぶ際に気を付けるべきポイント
畳を交換する際に気を付けるべきポイントについて、以下でまとめました。
畳を確認
畳はその部屋の雰囲気を左右する重要なアイテムです。前章で述べたように、さまざまな種類があるだけでなく、畳表を構成する素材や本数、織り方にまで気を配ったほうが、ご自分の理想にあった部屋の雰囲気作りができるでしょう。それぞれの考え方や状況に合わせて、適切な畳を選びましょう。
畳表を構成する素材には、国産物と中国産のものがあります。国産のものはより弾力性や耐久性に優れている反面、費用がかかります。他方、中国産のものは国産のものより品質で劣るものの、費用を抑えることができます。
畳のイグサの本数は多ければ多いほど、耐久性が高くなり高品質になります。
イグサの織り方は、引目織り、メセキ織り、市松織りの3種類があり、それぞれの好みに合ったものを選びましょう。
畳交換に適した時期とは
畳を交換する時期は、畳の状態をよく見て判断しなければなりません。
畳を購入してから3~4年ほど後を目安に、畳表が日焼けなどで傷んでいるようであれば、裏返しを行います。購入後6年ほどで、畳表が傷んでいるようであれば表替えを行いましょう。そして、購入から10~15年後を目安に、畳同士の隙間が目立ったり畳床が傷んでいたりするときは畳替えをしましょう。
ただし、これらはあくまで目安であり、実際には畳の品質や使用状況で畳の交換時期は異なるため、それぞれの判断が必要です。個人での判断が難しい場合は、畳交換の専門業者に問い合わせることをおすすめします。
まとめ
畳は日本人が古くから親しんできたもので、その長い歴史の中でさまざまな工夫がなされてきました。そのため、「畳がどのような状態か」「部屋をどんな雰囲気にしたいか」「畳の品質と値段のどちらを取るか」「どの種類の畳を使いたいか」などという個人の事情で畳を交換する方法は変わってきます。
畳の交換には個人の判断だけではなく、専門業者の判断と技術が必要なことは少なくありません。あなたが畳の交換でお悩みの際は、その地域の畳交換の専門業者に相談することからはじめてみましょう。きっとあなたが理想のお部屋を築くうえで助けになってくれることでしょう。
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