介護用トイレの進化|ベッドからトイレまでの介助はもう必要ない!?

2021.4.30

介護用トイレの進化|ベッドからトイレまでの介助はもう必要ない!?

介護においてトイレの悩みはつきものといってよいでしょう。高齢になると体の動作ひとつひとつで大きな負担がかかります。特にトイレは「トイレまでの移動」「便器への立ち座り」「排泄行為そのもの」と体への負担が大きい動作が含まれており、介護をする側、介護をされる側両方にとって大きな負担です。

特に近年は「老老介護」と呼ばれる、高齢者が高齢者を介護するような状況が増えており、2016年の国民生活基礎調査によれば、65歳以上が65歳以上を介護する割合は過半数を超えています。また介護によって仕事をやめるような状況を改善する必要もあることから、介護による負担を軽減する取り組みが進められています。

今回はトイレの介護について、その特徴と取り組みについて見ていきます。

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高齢者介護にかかせないトイレ事情

2013年の内閣府「介護ロボットに関する特別世論調査」によれば、介護で苦労した点として6割以上の人々が「排泄」を挙げています。これは食事や入浴を超えもっとも高い割合です。

近年は在宅介護の負担を軽減する仕組みとして「デイサービス」などさまざまな取り組みが行われています。特にデイサービスでは「入浴」の支援を代わりにしてくれるなど、介護する側にとってはありがたい仕組みでしょう。しかし「排泄」はデイサービスの入浴のように時間をずらすわけにはいかず、介護するにあたっては必ず向き合わなければならない課題のひとつでしょう。

また臭いや汚物処理など、介護する側にとっての負担は小さくありません。さらには介護される側にも「自分でできない」と感じさせ、情けなさにつながってしまうことも多いようです。すると排泄がおっくうになり、失禁などで介護者の負担がさらに大きくなることにもつながってしまいます。

そういった介護される側の精神的負担を避けるために、「できない部分だけを手伝う」というのが介護の基本とされています。しかし一方で、介護する側の負担がかえって大きくなることもあり難しい問題でしょう。
      介護される親も、介護する側も。負担になりがちなトイレのこと
      

ウォシュレットや暖房便座付きも!ポータブルトイレ

在宅介護で一番大変な排泄ですが、トイレへの行き来が大変になってくると「ポータブルトイレ」が使われるようになってきます。

ポータブルトイレは簡単にいえば「便座」と「汚物を溜める部分」の2つが一体となって構成されています。そのため持ち運びがしやすく、ベッドの横でも使えることからトイレへの移動距離を削減できます。特に夜は足元の暗さなどで移動には困難を伴うため、ポータブルトイレは排泄の失敗を防ぐためには有効な手段となるでしょう。

家具調など部屋に合わせた見た目のものや、ウォシュレットや暖房機能付きなど機能性を向上したポータブルトイレも登場してきています。また構造的にベッドからの移動が楽なタイプなどもあります。

ポータブルトイレのデメリットとして大きいのは、臭いの問題です。汚物を部屋の中へ置くことになるため、使用後は放置せず頻繁に処理する必要があります。また排泄中の臭いも問題のひとつであり、特に子どもなどは介護を行っている部屋に近づきたくない、と言い出すこともあるでしょう。それが孫だとすれば、介護される側にとってショックは小さくありません。

大きな問題のひとつである臭い対策は、ポータブルトイレのメーカーも機能性を向上させることによって対処しています。例えば脱臭機能の搭載、汚物を排泄後すぐに密封する仕組み、微生物によって分解するなどの取り組みです。
      在宅介護で一番大変?ポータブルトイレとは?
      

トイレの介助を少しでも楽にするための工夫

トイレの介護は負担が大きいため、負担を軽減するためのさまざまな工夫も提案されています。

手すりを設置する

シンプルな方法としては、トイレへの手すり設置です。手すりを設置することで立ち座りの運動を手で支えやすくなり、自分でできる範囲が広がります。これは自信につながるとともに、介護する側にとっても力作業が少なくなります。加えてトイレリフトなど、電動で便座が昇降することによってさらに立ち座りが楽になるようになる装置も開発されています。

「ベッドサイド水洗トイレ」を取り入れる

また、介護に機械技術を取り入れた製品開発を支援する「ロボット介護機器開発・導入促進事業」も経済産業省を中心に進められています。

その一例として「ベッドサイド水洗トイレ」があります。このトイレは床に固定しないため、従来のポータブルトイレのようにベッドの横に置いておくといった使い方ができます。しかしホースを通じて給水管や排水管につながっており、水によって流すこともできるのです。

これまでは管を太くする、流すために傾斜が必要などの問題があり、水洗トイレは固定式が主流でした。こうした問題を「排水圧送粉砕ポンプ」という、汚物を細かくして送り出すポンプの開発により解決したのが「ベッドサイド水洗トイレ」です。このベッドサイド水洗トイレは壁のホース取付け部から2mほどの範囲という移動制限はあるものの、汚物がすぐに処理できることから臭いや汚物処理の解決手段として大きいでしょう。

また似たような開発として、ポータブルトイレにおいても便座とポンプ部分を分けることで水洗機能などの高機能化を行ったものがあります。特に室内ユニットタイプは工事不要で導入でき、汚物も密閉した状態で処理できるため臭いの対策には有効手段でしょう。
      トイレの介護を少しでも楽にするための工夫
      

寝室にトイレを設置する方法

トイレの介護を楽にする方法のひとつは「トイレと寝室の距離を近づける」ことです。そのため介護用に寝室にトイレを増設する例も増えています。

部屋をもっとも有効的に使える方法は、もともとある押入れやクローゼットなどの収納スペースを利用して増設することでしょう。こういった空間をトイレに転用すればすっきりと収めることができるでしょう。ただ配管によっては施工できない場合もあるので注意が必要です。

また、空間を仕切ってトイレを増設するというのもひとつの方法です。ただこの方法は寝室が狭くなってしまうデメリットがあります。逆にトイレ部分を増築するという方法もあるのですが、費用は高くなりがちでスペースなどさまざま問題が絡んでくるでしょう。

さきほど紹介したように、ポータブルトイレだけでなく「ベッドサイド水洗トイレ」といった、固定式のトイレの機能に近づいた製品も登場してきました。こうしたトイレは移動ができるため、トイレリフォームよりも手軽にできるかもしれません。

寝室にトイレを設置する場合、臭い対策も必要です。トイレの増設リフォームには費用がかかりますし、トイレがひとつ増えることで増設後も金銭的な負担が大きくなります。そのためリフォーム後に後悔しないようしっかりとした計画が必要になります。

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まとめ

トイレの介護は難しい問題ではありますが、これまで大きかった介護への負担はトイレの技術開発によって軽くなってきたといえるでしょう。トイレの改良は介護する側だけでなく、介護される側のストレス軽減にもつながります。介護の際はこうした新しいトイレの形を導入してみるのもよいかもしれません。

また介護の負担を減らすためには、家全体のバリアフリー化も避けられない問題でしょう。この対策は「高齢者になっても住みやすい家へ――バリアフリーリフォームの基本」でも取り上げていますので、ぜひそちらをご覧ください。

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