
「プロパンガスの臭いがする!」「ガス漏れかな?」と思ったら、すぐに換気をしてガス業者などの緊急連絡先に電話をしましょう。
プロパンガス(LPガス)が部屋に充満すると、火災や爆発事故を引き起こすおそれがあります。ただし、プロパンガスの臭いがするのはガス漏れが発生しているときだけではありません。ボンベ内のガスの量が少なくなったときにも臭いが強くなることがあるのです。
当記事を読めば、ガス漏れによる臭いか、そうでないかがわかるはずです。プロパンガスの臭いについて知って、適切に対処しましょう。
目次
プロパンガスの臭いがする!危険か正常か判断しよう
プロパンガスのコンロや給湯器を使用中に、ガスの臭いが漂って来るなんてことはありませんか?「もしかしてガス漏れ!?」と不安に思っている方もいるかもしれませんね。
プロパンガスの臭いには、緊急性の高い危険な場合と、問題のない場合があります。まずは臭いの原因がガス漏れなのか、そうでないのかを見極めましょう。
こんなときはガス漏れの危険!
漂ってくるプロパンガスの臭いの原因がガス漏れか、そうでないかを判断するひとつの基準となるのが「臭いの継続時間」です。5分以上継続してプロパンガスの臭いがするというのなら、ガス漏れを疑ってください。
そして、プロパンガスの臭いの原因がガス漏れだった場合、火災や爆発事故を引き起こすおそれもあります。のちほどご紹介する方法を参考にして、早急に対処しましょう。
正常な「片切れ」でもガス臭くなることがある
プロパンガスの臭いがするのは、危険なガス漏れ時ばかりではありません。プロパンガスボンベ内のガスの残量が減ったときにも、ガスの臭いが強くなることがあります。
プロパンガスは、ガス切れを起こさないために予備のボンベと合わせて2本設置するのが一般的です。2本のボンベのあいだには「自動切替調整器」があり、1本目を使い切ると自動で予備のボンベに切り替わるようになっています。
この1本目のガスボンベを使い切った状態を「片切れ」と呼ぶのですが、片切れ間際にはガスの臭いが強く出ることがあるのです。理由についてはのちほど詳しく解説します。
片切れしているかどうかは、調整器で確認できます。調整器の表示板が赤くなっていれば、メインのボンベを使い切り、予備のボンベに切り替わっているということです。
通常、過去の使用量から予測してプロパンガス業者が定期的にボンベの交換をおこなってくれます。ただし「赤くなってから随分経つのに交換に来てもらえない」という場合には、予備のボンベまで使い切ってしまう前に業者に連絡しましょう。
もしも対応に不安を感じるのであれば、業者変更を検討してみるのもよいかもしれません。
プロパンガスの臭いがするときの対処法
プロパンガスの臭いの原因が片切れであった場合には、きちんと換気しながら使っているかぎり、とくに問題はありません。しかし、片切れが原因ではなく、ガス漏れが疑われる場合には対応をあやまると大惨事に発展しかねません。以下で紹介する手順に従って適切に対処してください。
ガス警報器を設置していますか?
都市ガスにおいては家庭での「ガス警報器」(ガス漏れ検知器)の設置は義務ではありませんが、プロパンガスでは一般家庭でも設置が義務になる場合があります。
プロパンガスを利用する際には、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(LPガス法)や建築基準法、消防法などで定められている基準に従って「ガス警報器」を設置する必要があるのです。
ただし、ガス栓がヒューズ栓(※)で、ガス機器に立ち消え安全装置が組み込まれている場合など、設置義務から除外される場合もあります。ご自宅には設置の義務があるのか、有効期限内のガス警報器が正しく設置されているのか、プロパンガス業者にきちんと説明してもらい確認しておきましょう。
※ヒューズ栓:一度に規定量以上のガスが流れるなどの異常が起こったときに、ガスの流出を自動的に止める機構の付いたガス栓。
警報器が鳴っている場合
ガス警報器は、プロパンガスの爆発下限界濃度(着火によって爆発を起こす最低濃度)の100分の1以上のガスを検出すると警報が鳴るように作られています。(LPガス法より)
ガス警報器が鳴っているときには、ガス漏れの危険性が高いです。以下のとおりに、すみやかに対処しましょう。
- 窓や戸を大きく開けて換気する
- ガス栓・元栓をすべて締める。メーターガス栓も締める。
- 緊急連絡先に電話する
まず第一に換気です。プロパンガスは空気より重いので、高い位置の窓からではきちんと排出できません。掃き出し窓や玄関のドアなどを大きく開いて換気しましょう。
空気の流れを確保できたら、ガス栓を締めてガスがそれ以上漏れ出ないようにします。プロパンガスボンベの近くにある「メーターガス栓」も締めてください。
そして、ガスメーターなどに記載された「緊急連絡先」に電話しましょう。
- 火気厳禁!電気・電池のスイッチに触れない
- ガス警報器の電源プラグを抜かない
- 部屋の外で警報音を聞いた場合は、警報音が鳴りやんでから部屋に入る
ガスが漏れを起こしているときには、ライターなどの火気はもちろん、電気のスイッチなどから出る小さな火花もガス爆発の火だねになってしまいます。ガスを排出しようとして換気扇を回すこともやめてください。もともと回っていた換気扇は、そのままにしましょう。とにかく、電気や電化製品のスイッチには触れないことが大切です。
警報音が鳴りやまないからといって、ガス警報器の電源プラグを抜いてはいけません。また、屋外に居るときに警報器が鳴った場合には、慌てて部屋に入るのは危険です。屋内のガス栓を締めるのは警報音が止まってからにしましょう。
なお、ガス漏れ以外でも、シンナーやペンキ、酒類の蒸気、濃厚なタバコの煙でも警報音が鳴ってしまうことがあります。このような誤作動であればすぐに警報音は停止するので、慌てて警報器の電源プラグを抜かないようにしてください。繰り返し誤作動が起こる場合には、警報器の有効期限が切れていないか確認しましょう。
警報器が鳴っていない場合
ガス警報器が鳴っていない場合、または設置していない場合であっても、ガスの臭いがするなどガス漏れが疑われるときには、下記のとおり対処するべきです。
- 窓や戸を大きく開けて換気する
- ガス栓・元栓をすべて締める。メーターガス栓も締める。
- 「片切れ」でないか確認する
- 緊急連絡先に電話する
警報器が鳴っている場合と同様に、火気に注意して対処しましょう。電気や換気扇のスイッチは触らないでください。
自動切替調整器を確認して表示板が赤くなっていれば、片切れによる臭いである可能性が高いです。しかし、少しでもガス漏れが疑われるのであれば、緊急連絡先に電話をして検査してもらったほうが安全でしょう。
通報時に聞かれること
ガス業者などの緊急連絡先に電話をすると、以下のようなことを聞かれます。落ち着いて答えましょう。
- 住所
- どの程度の臭いがいつからしているのか
- どこから臭いがするのか
- 臭い発生時にガス機器を使用していたか
- ガス警報器は鳴ったか
プロパンガスの臭いは人工的に付けられたものだった!
「プロパンガスの臭い」と聞けば、多くの人が玉ねぎや卵が腐ったような臭い、いわゆる「硫黄臭」をイメージするでしょう。しかし、じつはプロパンガス自体は無色無臭です。
色も臭いもないまま使用すると、ガス漏れを起こしたときに気づくことができません。事故防止のため、嗅覚によってガスを探知できるように人工的に臭いを付ける「着臭(付臭)」が義務付けられているのです。
プロパンガスの着臭基準
プロパンガスは、空気中の混合比率が1,000分の1でも感知できる臭いを付けるように定められています。また、着臭剤の成分については以下のように細かく規定されてます。
- 人体に無害であること
- 一般に存在する臭いとは明確に識別できること
- 低濃度でも臭気を認められること
- 嗅覚疲労を起こしにくいこと
- ガス管やガス機器に吸着されないこと
- ガス管やガス機器に損傷を与えないこと
- 科学的に安定していて取り扱いが容易であること
- 燃焼を妨げないこと
- 完全に燃焼して臭気を残さないこと
- ガス管内の通常の温度では凝縮しないこと
- 水に溶けにくいこと
- 安価で入手が容易であること
- 嗅覚以外の方法でも検知が可能なこと
以上のような規定内容を満たしていれば自由に配合できるため、着臭剤の成分はガス業者ごとに異なります。
片切れ時にプロパンガスの臭いが強く出る理由
上記の着臭基準にもあるとおり、着臭剤は「完全に燃焼して臭気を残さない」ように決められています。しかし、着臭剤の燃焼スピードはプロパンガスと比べると遅いです。そのため、ボンベ内のガスの量が少なくなると相対的に着臭剤の濃度が高くなり、臭いが強くなってしまいます。これが、片切れ時にプロパンガスの臭いがする原因です。
プロパンガス自体に毒性はない
「ガス」と聞くと有害なものを想像されるかもしれませんが、プロパンガス自体に毒性はありません。人体に有害な一酸化炭素も含まれておらず、少量であれば吸い込んでも問題はないでしょう。ただし、以下の重大な危険を防ぐために、プロパンガスの取り扱いには注意が必要なのです。
- 不完全燃焼による一酸化炭素中毒
- ガスが充満することによる火災や爆発事故
不完全燃焼で発生する一酸化炭素(CO)が危険!
プロパンガス自体は一酸化炭素(CO)を含んでいませんが、不完全燃焼を起こすことで一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素を吸い込むと、血液中のヘモグロビンと強く結びついて酸欠状態となってしまいます。これは「一酸化炭素中毒」といい、死に至ることもある大変危険なものです。そのうえ、一酸化炭素は無色無臭で空気とほぼ同じ重さであるため、気づかないうちに吸い込んでしまうでしょう。
プロパンガス機器を使用する際には、十分に換気をおこなってください。不完全燃焼防止機能の付いたガス機器を選び、定期的に設備の点検をおこなうことも有効な対策です。
プロパンガス漏れは爆発事故につながることも!
プロパンガス(LPガス)の主成分であるプロパンやメタンなどが充満するとガス爆発を起こす危険があります。空気中に含まれるガスの濃度が5~15%のときにもっとも爆発力が大きくなり、ライターなどの火気だけでなく、電気のスイッチからの火花や静電気でも引火します。
ただし、爆発は換気されていない密閉された空間でガスの濃度が一定量に達したときにのみ起こるため、換気をおこなうことで爆発事故を防止できるのです。プロパンガスの臭いを感じたときには、すぐに換気をおこないましょう。
プロパンガス(LPガス)は複数のガスの混合物
一般家庭で使用されているプロパンガス(LPガス)は、その呼び名の通り「プロパン」を主成分としています。しかし、プロパンだけで構成されているわけではなく、複数のガスを配合して作られているのです。
プロパンガスの成分
プロパンガス(LPガス)は、「プロパン」「ブタン」を主成分とし、「プロピレン」「ブチレン」「エタン」「エチレン」「ブタジエン」などを混合して作られたガス燃料です。プロパンガスの成分は、LPガス法またはJIS規格によって基準が定められています。
LPガス法では、ガスの混合割合によって「い号液化石油ガス」「ろ号液化石油ガス」「は号液化石油ガス」の3種類に分類されます。現在、家庭用・業務用として供給されるプロパンガスのほとんどが「い号液化石油ガス」で、混合割合は以下のとおりです。
JIS規格では、組成・硫黄分・蒸気圧・密度・銅板腐食と細かく基準があり、家庭用・業務用の「1種1号~3号」、工業用の「2種1号~4号」の計7種類に分類されます。
プロパンガスの混合割合に決まりがあるのはなぜ?
プロパンガス(LPガス)の混合割合に決まりがある最大の理由は、冬場の寒冷地などでもきちんと気化できるようにするためです。
プロパンガスは気化したガスを燃焼させて使用しますが、運搬・保管の際には体積を減らすために液体にしています。(※)液化したプロパンガスの体積は、なんと気体のときの250分の1ほどにまで縮むのです。
液体の沸点は気圧によって変化します。「富士山の頂上では約87度で水が沸騰する」という話を聞いたことはありませんか?気圧が低いと気化する温度も低く、反対に気圧が高いと気化する温度も高くなるのです。
この性質を利用して、プロパンガスは圧力を掛けることで沸点を上げ、液体へと変化させてガスボンベに充てんしています。使用時にはボンベのバルブを解放することで圧力が下がり、沸点も下がって気体のガス燃料として使えるようになるのです。
沸点はガスの種類ごとに大きく異なり、プロパンでは約-42度なのに対してブタンは約-1度です。沸点の高いガスを多く配合した場合、冬場の寒冷地などでは気化することができません。
そこで、プロパンガスはきちんと気化できるように混合割合が定められているのです。
プロパンガスにおいては、以上のような「液状化のしやすさ」を「蒸気圧」を使って表します。蒸気圧とは、密閉された容器内で液体と気体が共存するときの圧力のことで、蒸気圧が高いガスのほうが液状化しにくいのです。
※プロパンガス(LPガス)の正式名称である「液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas)」はこのことが由来である。
緊急時のサポート態勢を確認しておこう
プロパンガスの臭いがしたときには、当記事でご紹介した手順に従ってすみやかに対処してください。緊急事態に備えて、あらかじめガス漏れ時の通報先について確認しておくことも大切です。電話は24時間つながるのか、すぐに駆けつけてもらえるのかなど、サポート態勢も調べておきましょう。
また、メンテナンスを適切におこなってもらえるかも重要なポイントです。あなたが契約しているガス業者は、普段からきちんとガスボンベの交換や点検をおこなっていますか?もしも対応に心配な点があるのなら、ガス業者の変更も検討してみるとよいかもしれません。
優良なガス業者をストレスなく見つけたいなら、enepi(エネピ)を利用することをおすすめします。エネピの利用手順はこちら(プロパンガスが高い理由!あなたのガス代、5分で下げてみませんか?)を参考にしてください。
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