梅の剪定法は?徒長枝の見分け方と花芽のつきをよくする方法をご紹介
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3月になるときれいな花をつける梅の木ですが、美しく育てるためには1年に2回の剪定が必要です。
梅の木の成長は、日当たりや風通しのよさが大きく関係します。そして、それらを左右するのが剪定なのです。
剪定をおこなっていないと、花や実のつきが悪くなってしまうこともあります。この記事で適切な剪定の時期と方法を知って、健康で美しい梅の木を育てましょう。
梅の種類と特徴
梅にはさまざまな種類が存在しますが、大きく2つの種類にわけることがあります。ひとつはしだれ梅のように花を楽しむ花ウメ、もうひとつが南高梅のように花だけでなく実も楽しむことができる実ウメです。
どちらも日当たりがよく風通しのよい場所でよく育ちます。寒さに強いので、マイナス15度を下回るような極端に寒い土地でない限り、屋外での栽培も可能です。
梅は2~3月の寒い時期に花を咲かせ、6~7月に熟した実を楽しむことができます。時期によって異なる楽しみ方ができる植物ですが、成長が早いので剪定を怠るとあっという間に大きく形の悪い木になってしまうのです。
美しい梅に剪定は必要不可欠
前述したように、梅の木は成長が早いため、美しい樹形を保つためには定期的な剪定が必要です。また、枝が増えすぎると隙間がなくなってしまい、内側の枝葉に日が当たらなかったり木全体の風通しが悪くなったりします。
上記のような状態が続くと、光合成がうまくできなくなるためか、枝葉が枯れてしまうことがあるのです。風通しの悪さによって、じめじめした木の内側に害虫が棲みついてしまうおそれもあります。
以上の理由から、健康で美しい梅を育てるためには、適切な剪定が必要不可欠となるのです。
剪定をおこなう前に知っておくべきポイント
梅の木を剪定する必要性がわかったところで、事前に知っておきたい2つポイントについて抑えておこうと思います。
・不要な枝を落とす
また、自分で剪定をおこなう際に必要な道具もご紹介しますので、参考にして事前の用意を始めていきましょう。
植え込みをおこなった年数で方法が異なる
梅の木は植え込みから1年目・2年目・3年目・4年目以降で剪定の時期や方法が異なります。4年目以降の剪定方法は次章で詳しく解説しますので、ここでは1~3年目の剪定についてご紹介します。
剪定時期 | 剪定方法 | |
1年目 | 9~11月 | 地面から30~60cmの高さで幹を切る。 |
2年目 | 12~1月 | 1.幹から3本の枝を残し、残りを切る。 2.残した枝から約3本細い枝が生えるようにしてほかの枝を切る。 3.さらにその細い枝を3分の1程度の長さに切る。 |
3年目 | 12~1月 | 交差するように生える枝や伸びすぎている枝を切って樹形を整える。 |
不要な枝とは?
3年目から落とさなければならなくなる不要な枝ですが、不要とされている枝にはいくつか種類があります。それぞれ名称もあるので、生え方や特徴とともにご紹介します。
徒長枝:主枝や幹の途中から太く、まっすぐ上に力強く伸びている枝
並行枝:残したい枝と平行にあとから伸びた枝
腹切枝:幹と交差するように伸びている枝
逆さ枝:幹に向かって伸びている枝
車枝:一ヶ所から複数伸びている枝
ふところ枝:幹に近い場所で成長している枝
絡み枝:枝同士が絡み合っているもの
下り枝:地面の方向に伸びている枝
胴吹き枝:幹の下のほうから飛び出している枝
ひこばえ:木の根元から生えている枝
不要な枝が残っていると、それらも木の栄養分をたくさん吸収してしまい、花つきや実つきを悪くしてしまいます。
一見勢いがある元気な枝に見えるものでも、上記に該当するものは美しい梅の木には不要なものです。そのままにしておくと梅の樹形が崩れて見栄えが悪くなってしまいます。
また、枝だけが元気で花や実はまばらといった現象が起こってしまうため、不要な枝は迷わず剪定してしまいましょう。
梅の剪定に必要な道具
剪定に使用する道具はいくつか種類があります。梅の大きさや成長具合によって使用する道具が変わるので、さまざまな状態の剪定に対応できるように以下の道具を揃えておきましょう。
・高枝切りバサミ
・剪定用のノコギリ
・脚立
・滑り止め付きの手袋
・ビニールシート
・癒合剤
ハサミは軽量で手の大きさに合うものを選択するのがおすすめです。ノコギリは太い枝を切断する際に便利なもので、大きめな両刃のものと片手で持てる小さめの片刃のもの両方用意しておくとよいでしょう。
そして、剪定に必要な道具は枝を切るためのものだけではありません。背の高い梅の木の場合は高所の枝を落とすのに脚立が必要になります。手袋はケガを防止するために着用してください。
ビニールシートは必須ではありませんが、地面に敷いておくと剪定後の片づけが楽になるので、用意しておくことをおすすめします。
最後にご紹介した癒合剤は、剪定した枝の切り口を保護するものです。剪定は木が傷つくことにもなるものなので、きちんと保護して菌が入らないようにしておきましょう。
キホンが分かる!梅の剪定時期と方法
4年目以降は、おもに夏と冬の年2回のペースで剪定をおこないます。前章でご紹介した不要な枝をしっかりと取り除き、梅の成長を促しましょう。
ただし、夏と冬では剪定のポイントが異なります。それぞれどのような方法で剪定をおこなうのか、どの程度剪定すればよいのかを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
梅の剪定①:夏剪定
夏の剪定は7~8月におこないます。梅はこの時期に花のつぼみとなる花芽をつけるので、花芽により栄養が届くように剪定をおこなうのです。
また、日当たりや風通しをよくしておくことになるので、病気や害虫被害の予防にもなります。ポイントは以下の2点です。
・大幅なカットはせず樹形を整える程度
花芽のない枝を残すと、届けたい枝に栄養がいかなくなってしまいます。元気に成長している枝であっても、1年に1m以上成長したものには花や実がつくことはないようなので、思い切って根元から剪定しておくとよいでしょう。
ただし、夏の剪定は大幅に切り過ぎてしまうと花つきや実つきが悪くなるおそれがあります。以下の手順にしたがって、慎重に剪定をおこないましょう。
1. 徒長枝などの長く伸びた枝を切る
2. 交差した枝を切る
3. 枯れている枝を切る
4. 内側に伸びた枝を切る
5. 元気のない枝を間引く
6. 癒合剤を塗る
基本的には上記の流れがよいとされていますが、2~4は順番が違っても問題ないようです。5の間引きは、近い場所で同じような太さの枝が何本も生えている場合におこないます。もっとも元気のない枝を1~2本落とせばよいでしょう。
6の癒合剤ですが、切り口の小さい細い枝の場合は、剪定後そのままでも問題ないようです。太い枝を剪定した場合に必要になるので、菌の侵入や害虫が寄りつくのを防ぐために、念入りに塗っておきましょう。
梅の剪定②:冬剪定
冬の剪定は10~12月におこないます。この時期は梅があまり成長しない休眠期なので、夏よりも大胆な強剪定が可能です。理想の樹形を意識して剪定をおこないましょう。
1. 徒長枝などの長く伸びた枝を切る
2. 交差した枝を切る
3. 枯れている枝を切る
4. 内側に伸びた枝を切る
5. 元気のない枝を間引く
6. 残った枝の先のほうを切る
7. 癒合剤を塗る
手順は基本的に夏と同じですが、癒合剤を塗る前にひとつ作業が増えます。残した枝には花芽がついているものが多いでしょう。しかし、花芽はたくさんあればよいというものではないのです。
枝の根元から数えて5つほど芽を残したら、それよりも先の部分は切り落としておきましょう。厳選して芽を残すことで、ひとつひとつに効率よく栄養がいきわたるようになります。
梅を剪定するときの注意点
梅の剪定をおこなう際の注意点はおもに2つです。それぞれなぜ注意が必要なのかも合わせて解説しますので、確認しておいてください。
・間引きすぎないようにする
冬の剪定で特に注意していただきたい点です。冬は葉が少なく枝が見やすいうえに、大胆なカットができます。しかし、スカスカになるほど間引いてしまうと、樹形が乱れてしまうので、開花の時期の樹形をイメージするなどして、切り過ぎに注意しましょう。
・尖った枝でケガをしないようにする
剪定した枝は、切り口が鋭く尖ったものもあるでしょう。切り傷や靴に引っかかるといったことも危険ですし、脚立を使用しているときであれば、落下した拍子に枝が刺さる危険性もあります。
ご紹介したような失敗や事故がないように、慎重かつ丁寧に剪定をおこなうよう心がけましょう。
庭木の剪定を自分でするときのポイント
梅の剪定では徒長枝などの不要な枝を切ることが強調されがちですが、ほかにも意識すべきポイントはあります。要点をおさえて、効率よく剪定をおこないましょう。
内芽を切って徒長枝予防
樹木は葉芽が芽吹き、それが伸びて新しい枝になります。つまり、芽のつき方からある程度はどんな枝になるかどうかを判断することができるのです。
そして、横枝につく芽のうち、内側につく芽を内芽、外側につく芽を外芽といいます。内芽を摘むことで、内側に向かって生える余計な枝をある程度は予防することができるのです。
また、萌芽力の強い梅の場合は、外芽もある程度剪定することで、徒長枝の予防になります。外芽だからとたくさん残すのではなく、全体のバランスを考えた剪定をおこないましょう。
一緒に肥料をやる
不要な枝を落とすといっても、剪定は少なからず木にダメージを与えることになります。木によっては剪定のし過ぎによって枯れてしまうことがあるほどです。
そのため、剪定をおこなったあとは一緒に肥料をあげるのもよいでしょう。ただし、あげ過ぎても枯れてしまう原因になるので、量には注意が必要です。
大木になった梅の木を小さくする方法
2mほどの大きさが扱いやすく理想的とされる梅の木ですが、ときに5~10mほどの大木になってしまうことがあります。存在感があってよいと思う方もいるでしょうが、大木の管理はとても難しいものです。
育ちすぎた梅の木を小さくしたい場合は、以下にご紹介する2つの方法で梅の成長を抑制しましょう。
梅の木を小さくする方法①:芯止め
芯止めとは、もっとも成長している主幹の先端を短く切断する方法です。もっとも背が高く太い枝を切ることで、高さを抑えて管理しやすいサイズにします。
ただし、一度芯止めをしただけでは、主幹となる枝が変わるだけで全体の大きさを小さくすることはできません。
芯止めを何度もおこなって成長している枝の先端を切断することで、理想の大きさにすることができるのです。
梅の木を小さくする方法②:切り戻し剪定
切り戻し剪定とは、不要な枝を切断する際に理想のサイズまで切り込んでしまう方法です。芯止めのようによく成長している主幹1本を切るのではなく、全体の不要な枝を短くして樹形を整えます。
伐採したほうがよい場合も
大きくなりすぎた梅の木が、芯止めや切り戻しもできずに隣の家にまで侵入してしまっているような場合、伐採するというのもひとつの方法です。剪定ができずに大部分が枯れてしまった場合も、伐採したほうがよいかもしれません。
伐採は、チェーンソーやノコギリを使って根元から梅の木を切り倒すため、しっかり倒れる方向を決めて安全を確保しなくてはなりません。
ご紹介した大木への対処法は、どれも高所作業が必要です。素人が下手に挑戦すれば、作業に失敗したり落下などの事故が起こったりする危険性があります。
梅の木が大きくなり過ぎて自分で対処するのが難しいと感じたときは、無理せずプロの業者に相談するようにしましょう。
まとめ
梅の木の剪定は、不要な枝を見極めて剪定するのが大切です。なぜなら、不要な枝は樹形を乱し、栄養分をたくさん吸収してしまうからです。元気がある枝でも思い切って切り落としてしまうのが、きれいな花や実をつけさせるための鍵といえるでしょう。
また、梅の木は夏と冬の2回剪定をおこないます。夏の剪定は樹形を整えるためにおこない、冬の剪定は花つき実つきをよくするために強めに剪定をおこないましょう。
もし剪定していても梅の木が大きくなりすぎてしまった場合は芯止めや高さを整えるのがおすすめです。芯止めもできないほど成長してしまった場合は、伐採してしまうのもひとつの手でしょう。
その際は、高所作業による危険や慣れない作業による失敗なども起こるリスクがあります。無理に自分で対処しようとせず、業者に依頼しましょう。
(この記事は2020年8月18日に加筆・修正しています)
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