サネカズラは赤い果実が特徴的な常緑樹ですが、実は滋養強壮の薬として用いられていたことなどもあり、古くから私たちの生活に深く関わりのある植物であるといえます。
そんなサネカズラですが、大きな樹木ではないため、家庭でも気軽に育てることができます。この記事では、サネカズラの特徴や育て方、剪定方法についてご紹介します。サネカズラの魅力を知って、ぜひ庭木として育ててみてはいかがでしょうか。
目次
サネカズラは赤い実をつける植物!その特徴とは
マツブサ科の植物であるサネカズラは、温暖な気候を好むため、日本でも自生している様子を見ることができます。最大の特徴は、10月から年末にかけて観察することのできる鮮やかな赤色の果実で、ブドウやブルーベリーの果実のように、密集してなっている姿が印象的です。
サネカズラの花言葉である「再会」は、この密集した果実が仲間との合流を連想させることからつけられました。果実のなるこの時期は比較的花をつけない植物が多く、色味が寂しくなりがちです。そのため庭で栽培するときなど、鮮やかな果実はより一層映えるでしょう。
常緑樹であるため、水分を維持するための薄い膜が発達しており、1年を通して光沢のある葉をたくわえています。開花期は夏で、小さな黄白色の花を咲かせます。果実と比べて目を惹く色合いではありませんが、近くでよく見ると赤いおしべや緑のめしべと黄白色な花の対比を楽しむことができます。
また、バラやブドウといったつる性の植物には、フェンスや高木などの既存物に巻き付いて上方へ伸びていく性質があります。そのため、ガーデニングにサネカズラを用いるのであれば、型枠を用意して好みの形に育ててみるのもひとつの楽しみといえるでしょう。
サネカズラの育て方
栽培する環境として、できるだけサネカズラの好む温暖な気候で育てましょう。寒冷地域でも育ててみたい場合は、鉢植えをおすすめします。冬の間のみ、暖かい場所に移動しておきましょう。また、サネカズラは日光を好むため、日当たりよい場所に植え付ける必要があります。
しかし、1日のうち数時間程日光が当たるような半日陰でも十分に育つので、常に日陰になっている場所を避ければ育つことができるといえます。しかし寒さには弱いため、冷たい空気の中で育てると葉が赤く色づいたり落葉したりするおそれがあるので注意しましょう。
冬越しに不安がある方は、株元に腐葉土を盛るなどの対策を取ることをおすすめします。また、植え付ける土壌は水はけがよく、かつ水持ちのいい状態が望ましいです。そのため栽培用土に適度な量の腐葉土を混ぜて、バランスを調整するとよいでしょう。
サネカズラの植え付けと植え替え方法
植え付けや植え替えは、特別難しい技術を必要としません。しかし、間違った方法でおこなうと枯れてしまう原因となります。そのため、基本的な手順をしっかりと知っておきましょう。
植え付け方法
温暖な気候が続く、安定した時期におこなうとよいでしょう。しかし、夏は平均的に気温が高く、根を傷めてしまうおそれがあります。そのため、夏と冬は避けることをおすすめします。
庭植えの場合は、根鉢よりひとまわり大きな穴を掘り、掘り返した土に腐葉土や堆肥などを混ぜ合わせてサネカズラと一緒に植えてください。このとき、根鉢の土を払う必要はありません。作業を終えた後に水を与えて、土と根を密着させるとよいでしょう。鉢植えの場合は植え替えと同様の手順で作業をおこなってください。
植え替え方法
鉢植えの植え替えは、根詰まりを防ぐためにおこないます。そのため、鉢選びには注意が必要です。1~2年ぐらいをめどにするとよいでしょう。また、サネカズラは土壌に注意しなければいけない部類の植物ではないので、市販の栽培用土で十分です。土壌に植えたら植え付けの作業と同様に、水を与えてあげましょう。
サネカズラを育てる上で注意すること
自生している様子が見られるため比較的丈夫だといえるサネカズラですが、どんな植物でも病気にかかったり害虫に狙われたりすれば、枯れてしまうおそれがあります。そのため、特に注意すべき病気や害虫についてしっかり知っておきましょう。
ウドンコ病
ウドンコ病は、糸状菌が繁殖することによって葉上に白い膜を形成します。発症すると、光合成がうまくできずに枯れてしまう危険性があります。そのため、発症しやすい温暖な時期は、糸状菌の好む乾燥した環境を作らないことが大切です。
また、定期的に薬剤を散布するのも効果的でしょう。発症してしまったさいは、白くなった葉を剪定することをおすすめします。
すす病
すす病は、発症すると植物全体が黒く覆われてしまいます。そのためウドンコ病と同様に、光合成を阻害して枯らしてしまう危険性があります。原因となるカビは、虫の排泄物から繁殖します。
そのため対策としては、媒介するカイガラムシやアブラムシを駆除することがあげられ、薬剤を散布することが効果的です。発症したさいも同様で、媒介する害虫を駆除するとよいでしょう。
ハダニとキクイムシ
特に注意すべき害虫はハダニとキクイムシの2種類で、両者ともに葉や果実への食害が主な被害になります。気温が高い時期に発生することが多く、乾燥しすぎればハダニが、湿度が高すぎればキクイムシが繁殖するので、適度な湿度を保つことが大切です。発生した場合は、市販の殺虫剤で駆除しましょう。
サネカズラの剪定方法
剪定に適した時期は、春になる少し前の2月~3月です。剪定による健康面の管理は、基本的におこなわなくても育てることができます。しかし、樹形を整えるのであれば剪定は必要になってきます。サネカズラはつる性であるため、意図しない方向につるが伸びることがあります。
そのため剪定をおこなうことで、樹形を整えていきましょう。また、常に樹形をキープしたいかたは、毎年新芽を選別することをおすすめします。新芽を4つほど残して残りを切り取ると、管理しなければならない枝が減るため、樹形が整いやすくなるでしょう。
剪定すると見栄えがよくなることはもちろんのこと、切り口から枝が増えて花数を増やせるというメリットがあります。さらに前述した病気や害虫は、剪定をすることで発生を抑制することができます。そのため、軽剪定だけでもこまめにおこなうことをおすすめします。
まとめ
赤く密集した果実が魅力的なサネカズラは、栽培環境に気をつければ家庭でも育てることができます。しかし、特徴である果実と1年を通して青々とした葉であるがゆえに、害虫に狙われたり病気にかかったりすることがあります。今回紹介した対策とこまめな剪定を意識して、サネカズラを育ててみましょう。
また、ガーデニングを始めたばかりの場合、剪定は正しい方法でおこなうのが難しい作業となります。最悪の場合、枯らしてしまうおそれもありますので、不安なかたは業者に相談・依頼してみてはいかがでしょうか。
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