水稲雑草の一種、「ホタルイ」はいちど芽を出すと、あっというまに繁殖してしまい、駆除がむずかしい雑草です。しかも近年では、一発処理除草剤とよばれる、一回の散布で除草できる薬剤が効きづらいことも多く、除草に失敗して大繁殖してしまうケースが多いようです。
今回のコラムでは、生態や有効なホタルイの除草剤についてご紹介します。ホタルイの生態や有効な除草剤についてあらかじめ知っておくと、ホタルイが大発生する前に駆除ができることでしょう。
目次
ホタルイの生態について
ホタルイはカヤツリグサ科で、「水田雑草」という田んぼに生える雑草です。漢字で「蛍藺」と書きます。昆虫の蛍は水がきれいな田んぼに生息しますが、このような場所に生える「藺(い)」というイグサ科の植物の意味から、その名がつけられたようです。
葉形は細長く、草丈は大きく成長しても60㎝ほどで、稲よりも高くなることはありません。田んぼや溝、池などのぬかるんだ湿地を好みます。
ホタルイ、イヌホタルイ、タイワンヤマイ、コホタルイなどがありますが、日本全土でもっとも多くみられるのは、イヌホタルイです。イヌホタルイは茎の先端にいくつか、小穂とよばれる穂をつけます。
ホタルイは2年目以降も越冬株が成長し、冬になっても枯れない多年草の雑草です。また種の寿命が長いのが特徴で、種から育つと4~10月にかけて繁殖します。
田んぼに生えているホタルイを放置すると、本来稲にいきわたるべき地中の養分を、吸い取ってしまうおそれがあるのです。さらに、イヌホタルイの小穂は、斑点模様の稲の原因となるカメムシをよんでしまい、米自体が被害にあってしまいます。
こうなると、最終的に米の収穫量は減ってしまいます。ホタルイが繁殖した水田では、例年の半分の収穫量しかなかった、という事例もあるのです。
ホタルイに除草剤をこまめに散布して駆除をすればよいと考えますが、問題は繁殖力が強いことです。塊茎が残るため、どんどん増殖して繁殖するのです。種だけではなく、越冬株と種の両方で繁殖してしまうので、根絶やしにするのは簡単ではありません。
ホタルイに除草剤が効きづらい理由は主に3つ
通常、水田に生えている雑草の処理は、「一発処理除草剤」という農薬を使います。その名のとおり、一回の散布で除草が可能であるため、効率よく除草ができます。
しかし、ホタルイは、独自の生態により、一発処理除草剤が効きづらいのです。その理由は、ホタルイの「種の休眠」「成長の早さ」「抵抗性雑草」という特徴が関係しているためです。
種が休眠している
ホタルイの種は休眠性があります。秋から冬にかけての寒い気温と雨や雪の環境をへて、翌年の春に目を覚まし、発芽をします。場合によっては、目を覚ましても、ふたたび休眠することもあります。このため、ホタルイを一発除草剤で駆除をしても、種は地中に残っていることがあるのです。
成長が早い
水田の稲から養分を奪って成長してどんどん繁殖するため、ホタルイは成長が早いのが特徴です。一発除草剤で駆除しても、地中の種が芽を出しどんどん成長します。そのため、一発除草剤では、駆除が追いつかないのです。
除草剤への耐性が付いている個体が多い
一発処理除草剤には、スルホニルウレアという成分を含むものがあり、よく使われます。近年ではこのスルホニルウレア系の除草剤に抗体を持つ雑草が多く、除草に苦労することの原因のひとつです。
同じ畑で毎年スルホニルウレア系の除草剤を使っていると、雑草が耐性を持ちはじめます。これらの雑草は「スルホニルウレア(SU)抵抗性雑草」とよばれますが、ホタルイもこれに該当するのです。これが、一発処理除草剤がホタルイの駆除にききづらくなっている原因のひとつです。
成長が進んでしまっていたホタルイを駆除する方法
スルホニルウレア系の耐性を持つホタルイの駆除には、一発除草処理剤とあわせて、次章で述べる後期剤とよばれる除草剤を使用します。ホタルイに除草剤を使うのに適した時期は、ホタルイが繁殖をはじめる前の「2葉期」から対策をおこなうとよいでしょう。
「葉期」とは、ホタルイの葉齢の数え方のことです。種が成長すると鞘葉が伸びて、その後に本葉が1枚伸びていきます(1葉期)。細長い本葉の枚数で、1葉期から4葉期まで数えます。本葉が5枚以上あると花茎が成長してきます、このころは「花茎伸長期」です。
しかし、ホタルイの駆除に適している2葉期は、草丈が3㎝ほどととても小さく、水田にいるかどうかを確認することがむずかしくなります。繁殖前に除草を済ませたい方は、業者に相談するのもよいでしょう。
耐性が付いているホタルイに効く除草剤とは
スルホニルウレア系農薬に耐性を持つホタルイですが、近年ではスルホニルウレア(SU)抵抗性雑草にも効果がある除草剤が登場しています。ホタルイの除草剤にはこのような後期剤を使用することが多いようです。
新成分メタゾスルフロン(別名:アルテア)を配合した除草剤は、スルホニルウレア(SU)抵抗性雑草でも枯らすことができます。地上部に生えているホタルイだけではなく、地下部の根の部分にも成分が浸透するのです。
「フェントラザミド」、「ベンゾビシクロン」という新成分を配合した除草剤もスルホニルウレア(SU)抵抗性雑草に対して、有効に作用します。ほかにも、「メソトリオン」「テフリルトリオン」などの新成分も登場しています。
近ごろは後期剤には、これらの成分を既存農薬に配合して販売することが主流です。除草剤の新成分は続々登場しています。実際に使用するときは、業者に相談をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ホタルイの生態や、有効な除草剤についてご紹介しました。ホタルイは一発除草剤が効きづらい、スルホニルウレア(SU)抵抗性雑草です。ホタルイが成長をはじめる2葉期に、耐性がある雑草にも効き目がある新成分を含む後期剤を追加で使用すると、除草に効果があるでしょう。
しかしホタルイが繁殖をして増えすぎていると、駆除がむずかしいかもしれません。まだ成長する前の段階でも、ホタルイの成長初期である1葉期~4葉期は草丈が短く、稲に隠れて発見できないこともあります。もし駆除に不安がありましたら、業者に相談することをおすすめします。
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